霞「本当だろうな」
夢「なんか、私にとんでもない事が起きる予感」
作・霞「気にするなっ!!」
人里から少し離れた所にある、長い石造りの階段を登ると、それは厳かに建っている。
長い間手入れをされていないのか、雑草が伸びきっている境内には、所々廃れた箇所がある。
「ここが博麗神社です」
うん。わかってたけど、改めて言われると受け入れたくないなぁ。だって、一応コレが俺の社なんだよ?
神主や巫女の不在ってのは、こうも荒れ果てる結果となるのか。
「……私は、ここで見つけられました」
「なるほどね」
今では夢乃が雨宿りをするくらいにしか使われない神社。
なにはともあれ、まずはこの廃れ放題なのをなんとかしなきゃな。
「?なんでですか?」
夢乃は心底不思議そうに言う。そう言いつつも早速雑草を抜いているから、真面目ないい子だよ。
「んー?だって暫くはココに住むからな」
「ココに住むんですか?」
え?ダメなの?俺を祀ってるのに俺が住んじゃいけないの?
「ココに住むだなんて、まるでこの神社の神様みたいですね」
「え?そうだけど」
「……え?」
あれ?言ってなかった?
朝に到着したのに、手分けして雑草を処理し終わると、既に日は高い位置に登っていた。
「よし、境内はこれでいいだろ。あとは社をなんとかしなきゃなんだが……」
こればっかりは1日では修繕できない。なんせ木は所々腐っているし、床なんてまともに残っている部分の方が少ない。もう、建て直した方が早くないか?
ま、それも『人間が』やるなら時間がかかるってだけなんだが。
「そんじゃ、ちょいと神様らしい所を見せてやろうかね」
「ふぇ?」
俺は神力を1割開放して両手を合わせる。想像するのはこの廃れた神社の元々の姿。……内装は少し変えるか?
多少はいいんじゃ……ないか?知らんが。
「創造」
小さく呟いた瞬間、目の前が光で埋め尽くされる。
「きゃっ!」
なんとも可愛らしい叫び声が聞こえたが、多分夢乃だよな?声質が姫咲みたいだったけど、気のせいだよな。
光が晴れると、そこには新築と変わらない神社があった。
「……」
夢乃は開いた口が閉じないようで。なかなかに面白い顔をしている。ついでに言うと、何故か姫咲が顔を紅くしているが、そこには触れないでおこう。
「……ホントに神様なんですね」
「そうです。私がココの神様です」
とりあえず、神社に関しては住める環境を整えた。これで少なくとも管理する人間を見つけるだけになった。
「さて、少し遅いが昼飯にしよう」
既に神社の中を見て回っている美鈴と姫咲を呼んで、準備を始める。
驚いた事に夢乃は手先が器用で、特に料理の腕は弟子+αとは比べ物にならない。……特に姫咲のは酷かったからなぁ。俺が胃薬を創造してやらなきゃ、みんな2、3日トイレから離れられない結果になってた。思い出すだけでも腹が痛くなりそうだ。
「昔からなんです。いっつも考えた通りにならなくて、こうやって料理したら考えてた以上の出来になったり」
「は?」
なんだ自慢か?その自慢は姫咲にしか通用しないぞ?
でも、料理をしている途中で微かに夢乃から霊力を感じたから、もしかすると何か能力を持っているのかもしれない。
夢乃の頭に手を乗せて、夢乃の奥底をのぞき込むイメージをもつ。
深い海の中にゆっくりと沈み込んで行くと、どうも靄が掛かったようにハッキリ見えない部分がある。どうやらコレが夢乃の失われた記憶の部分なのだろう。俺は他人の心を読む能力なんて造ってないから、この靄を晴らす事はできない。
更に深く、10センチ先も見えないほどの暗闇まで潜ると、小さな灯りがフワフワと浮かんでは消えてを繰り返していた。まるで海を漂うクラゲのように1箇所に留まらず、掴みどころのない光だが、しっかりと主張するようにオレンジ色の光を灯している。
多分、コレが夢乃の能力の正体なんだろう。俺は両手で優しく捕まえると、脳裏にある一文が浮かぶ。
『予想を超える程度の能力』
……なんとも、巫山戯た能力だ。
これはそんじょそこらの神でも相手をするのは手こずるぞ。なんせ、相手の力をしっかりと把握さえしてしまえば、それを苦もなく超えてしまうのだから。
だが、良い事だけども言えない。戦闘中なんかに自分の勝ちを確信した瞬間、それを超えた結果が導き出されるのだから。簡単に言えば、へし折れないフラグを立てるわけだ。
夢乃が『やったか!?』なんて言おうものなら、無傷の敵が目の前に現れる事になる。
「……ふぅ」
俺は夢乃の海から浮かび上がると手を離す。
「どうでした?」
「んー。どうやら俺でも夢乃の記憶は取り戻せないようだ」
「……そうですか」
あからさまにガッカリした表情の夢乃。
そうだ、俺は夢乃の記憶を見るために潜ったんだった。途中で能力なんか見つけたからすっかり忘れてたが。
「でも、夢乃の能力がわかったぞ」
「私の能力ですか?」
それから数日、俺達は博麗神社でノンビリしていたが、そろそろ諏訪子達を迎えに行かなければ。
「でも、夢乃を1人にするのは不安だな」
いつかの真苗を残した諏訪子達の気持ちがよくわかる。
見た目中学生くらいの夢乃だが、中身はもう少し幼い。と言うよりも若干天然っぽいから、不安しかないんだよ。
「私だって留守番くらいできますよ!!」
あ、フラグが立った。
「どうせこの辺りは平和そのものですから、妖怪も来ませんし」
まだフラグ立てるの?
「なにも起こりませんよ」
はい、もうお腹いっぱいです。こんだけフラグビンビンにされたら、むしろ何も起こらない方が不思議だわ。
「……しょうがない。と、言うよりもこの方が効率が良いからな」
そう言って俺は、神力を開放し神様モードになる。
纏った神力は神社を囲み、厳かな空気になる。
「我、創造神としてこの者に言い渡す」
どうせコレも形式上の儀式なのだから、簡単に済ませよう。
「今日、この日をもって夢乃を博麗神社の巫女に任命する」
「……へ?」
はい、終了。どうせ暫くはココの住むつもりだったし、夢乃の面倒を見る事を考えたら、巫女にするのが手っ取り早い。これでも鍛えれば霊力もちゃんと扱えるだろうし。
「私が……巫女、ですか?」
「おぉ!おめでとうございます!!」
美鈴は嬉しそうに拍手なんかしている。一応言っとくけど、本来なら妖怪の天敵だからな?
「私が……巫女」
「なんだ、不安か?」
「いえ、そんなことは……」
夢乃はどこか考え込んでいる。
まぁ、いきなり『この神社の巫女になれ』って言われても、何をしたらいいのかとか、わからない事だらけだろうけど。その点は俺がサポートすりゃいいし。元よりココは自由の神の神社だ。妙なしきたりとか、枠に囚われずにやればいいさ。
そんな事を考えていたらが、どうやら夢乃は別だったようで。
「この神社の巫女、という事は……。これからはお賽銭で毎日ご飯が食べれるのですね!!」
どうやら不安よりも食欲の方が上らしい。
こうして、我が博麗神社に初代巫女、『博麗』夢乃が誕生したのだった。
霞「なんか最後、無理矢理まとめた感が半端ないな」
作「しょうがないのです。この後の予定がありますから」
夢「予定?」
作「多分、次回は閑話になりますね」
霞「……おい、さっき渡されたこの台本だけど、お前……」
作「それでは皆様!次回もお楽しみに!!」
霞「……ホントにこれ大丈夫なのか?」
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