霞「え?どいつ?」
作「読めばわかるさ!迷わず読めよ!!」
姫「いくぞー!!いーち!にー!さーん!」
作・姫「ダー!!」
霞「……あ、本編どうぞ」
美鈴が旅立った翌日。俺達は少し静かになった神社の中で、それぞれ口数がやはり減っていた。
美鈴は俺達にとってムードメーカーだったようだ。居なくなってから気付くとは、なんとも師匠失格だな。
「霞様、お茶のお代わりは?」
「おぉ、貰おうかな」
すっかり巫女としての立ち居振る舞いが板に付いた夢乃。
苦労して育てた甲斐があるってもんだ。
「ごめんくださーい」
そんな事を思っていると、玄関から来訪を告げる声が聞こえてきた。
なんか聞き覚えのある声だった気がするが、多分空耳だろう。アイツがこんな所に来るわけがない。何より、月夜見がそれを許さないだろう。ってか許すな。
「あのー、霞様?お客様なのですが」
「……俺にか?」
いや、きっと違う。アイツなわけがない。
この神力は知っているヤツのソレだが、多分違う。
違って欲しい。…………違うといいなぁ。
「ちーちうーえさまーーー!!」
「ごふぁっ!!」
戸を開くと同時に得体の知れない物体が俺の腰辺りに飛び付いてきた。
その勢いのまま庭へと吹っ飛ぶ。
「……あれ?父上様?」
「えーと……アチラで伸びてますが」
「なんと!!一体何が?!……まさか敵襲!!」
「んなわけあるかぁああああっ!!」
盛大な音ともに、天照の頭に拳骨が落とされた。俺の手によって。
「んで、何しに来た」
頭の上に器用に氷嚢を乗せながら、天照は俺の腰に抱きつきながらも答える。
「主に父上様エネルギーの補充です!」
「だとしたらさっさと帰れ」
「存外に手厳しい!!……でも嫌いじゃないです」
なんだコイツ。ちょっと見ない間に進化……いや、悪化してないか?
「……あと、少しお耳に入れておきたい事がありまして」
「そっちが本題だろ」
だが、考えれば天照が直接出向くとは、それなりに面倒な事だと予想がつく。
そうでなければ月夜見が天照の暴走を許すわけがない。そして、月夜見ではなく天照が来たという事は、今の高天原では対処出来ないと言うことだ。
「……実はここ最近で未確認の生物が、人間を襲うという事件が起きているのです」
「未確認の生物?」
なんだそれ。この世を管理して見守っている神々でも、わからないってことか?
「その通りです。……正確に言えば、未確認というよりは未知の生物、と言うべきですかね」
「違いは?」
「これらの生物がどうやって出来たのか、わからないのです」
ふむ。それぞれ生物の進化を見てきた神が、その起源がわからないと言うのならば、れっきとした未知の生物だろう。途中で俺が創造したものならば話は別だが。
「多分、違うだろうなぁ」
「ですね。逐一父上様の動向を見守っている私が知らないのですから、その線は有り得ません」
「おいコラ、なにさらっとトンデモ発言してんだ」
普通にストーカー行為じゃねぇか。俺はもう太陽の下を歩けないのか?
「まぁ、冗談は置いといて。我々で調べたところ、どうやら異界の存在が感知されまして」
「異界、ねぇ」
なんとも、俺の能力のようだな。若しくは紫か?
でも紫ならば理想の世界を造ったと、真っ先に俺に報告しに来るだろうし。
「んで?その異界を調べて欲しいと?」
「まぁ、簡潔に言いますと」
まったく。面倒臭い事になってきたもんだ。
「さて、異界ってのに向かうのに穴を開く必要があるのだが、なんとも境内で開くには危険要素が多すぎるわけで」
「誰に言っているの?」
「んぁ?……気にするな。禿げるぞ?」
「はいはい」
さて、俺と姫咲は現在博麗神社の裏手にある山に来ている。ワームホールを開いて、その結果この世界に悪影響があっても困るので、人に見られる心配のない薄暗い洞窟で開くことにした。
「んじゃ、行きますかね」
神様モードになると両手を合わせる。この世界でならば創造神として絶対の地位を確立している俺だが、これから行くのは別世界。もしかすると俺の能力すら使えない可能性もある。最初から警戒しておくに越したことは無い。
「……ふむ。確かに俺の知らない世界が存在するな」
そこから感じ取れる力は、霊力とも神力とも、ましてや妖力とも言えない、今まで感じたことのない力だ。
「もう見つけたの?」
「まぁな」
別に見つけるだけならば難しいことじゃない。この世界は俺が作ったのだから、俺の手が加わっていない部分を探せばいいだけ。結果、直ぐに見つかった。
「さて、早速行くか」
俺はその異界へと繋がるワームホールを開く。なんとも不思議な感覚だ。
「……何があるのかしらね」
姫咲は何故か楽しそうな表情をしていた。
「……んで、何事もなく着いちまったな」
「拍子抜けね」
穴を抜けている間は、異界からの攻撃に備えていたが、何の事はなく簡単に到着してしまった。
足を踏み入れた異界は、あまり外の世界と変わらない。空が黒く染まっているくらいの違いしかないんじゃないか?
そこは森の中だった。視界を塞ぐほどの鬱蒼と茂った草木には、それぞれ不思議な力が巡っていた。
「なんだこれ」
「妖力……じゃないわね」
草木自体が力を保有しているとは、面白い世界だな。
「んじゃ、ちょっくら調べてみますかね」
森を進んでいると、抜けたところで街が見えてきた。
洋風な造りの街並みは、今の俺達の姿では場違いに見える。
「見たことのない着物ね」
「姫咲にはそうだろうな」
俺としては多少は見慣れた格好だ。幾分古いが。
石畳の道を歩きながら、街並みを見て回る。
人影はないが、閑散としているわけでもなく、まるでさっきまで活気ある街だったにも関わらず、一瞬にして人々が消えてしまったような。
「誰もいないのか?」
「この得体の知れない力を辿っていけば?」
ふむ。そうするか。
草木から感じた力とはまた違う、異質な力を辿って歩くと、一際大きな館へと辿り着く。まるで王宮と見間違うほどの大きさの館はその見た目とは裏腹に、門前には誰も立っておらず、門も開かれていた。
「……これ、確実に誘われてるよな?」
「でしょうね」
どうやらこの館の主は俺達がこの世界に来たことを既に知っていて、招き入れているようだ。
「ま、虎穴に入らずんばってヤツだな」
「中にいるのが虎子ならば良いけどね」
おいおい。なんでそんな不安になるようなこと言うかな。
そう言いつつも、俺達は館の敷地へと足を踏み入れていった。
「お客様がいらっしゃったみたいね」
私は館の敷地へと入ってくる、この世界とは違った二つの力を感じ取る。どちらも異常な程の力量を保有しているようだ。
「まったく。お迎えする準備も出来ていないのに……」
お茶くらいは用意するべきかしらね。
そう思いつき、私は部屋を出る。
まずはお客様をお迎えしないとね……。
この魔界の創造主として、失礼の無いように……。
作「ってなわけであの方です」
霞「あ、うん……」
作「どうしました?」
霞「いや、結局誰なんだよ」
作「わかる人にはわかります。だから良いんですよ」
霞「そーなのかー」