霞「お前にシリアスとか書けるのか?」
作「失礼な!シリアスと思えばシリアスになるんですよ!!」
霞「気分の問題かよ」
どうも、神様らしくない神様、霞です。
門前に姫咲を残し、俺1人館内へとやってきたわけなんだが。
重い扉を開くと、だだっ広いエントラスで、やはりこの洋館も人の気配が薄い。
掃除は行き届いているが、どうも使われた感じがしないのだ。
「誰か〜!居ませんか〜!!」
大声で呼ぶが、声は帰ってこない。
調度品や至るところに飾られた花たちを眺めつつ奥へと進む。どうでも良いのだが、普通飾るなら切り花じゃないか?室内に鉢植えを置くなんて、珍しいな。いや、観葉植物だと言われたらそれまでなんだが。
とりあえず、手当り次第に扉をノックして中を覗く。どれも綺麗にされているが、使われている形跡がない。
この館に住んでいるのは門番のあの子だけなのか?
いや、だとしたら門なんかで立ってないで中に居るか。
「そういや、門番の子の名前、聞いてなかったな」
後で聞いてみるか。生きていたらだけど。
「ただいま」
ふと、背後から姫咲の声がした。どうやら終わったらしい。
「おかえり。あの子は生きてるか?」
「えぇ……多分」
なんとも、不安の残る答えだ。
「それにしても、この館も人の気配が無いわね」
「そうだな」
そろそろ面倒臭いので、この館周辺を探知するとしよう。
俺は両手を合わせ、霊力の波を発生させる。範囲はこの館がすっぽり入る半径100mくらいか。
「ふむ。やはりこの館には誰も居ないようだ。……あ、あの子ギリギリ生きてる」
なんだ、生きてたの。と姫咲から聞き捨てならないセリフが聞こえたが、今回は聞かなかったことにしよう。
「誰も居ないんじゃここにいてもしょうが無いか」
「それもそうね」
そう言って俺達は一旦外で倒れている少女を介抱する為に外に出た。
……なんで俺は中に入ったんだよ。
「ほんと!ほんっっっっっとに殺されるかと思った!!」
傷を治した少女は、目を覚まし姫咲の姿を見ると一気に表情を青くして俺に抱きついてきた。
姫咲、どんだけやったんだよ。
俺が見つけた時には全部の関節があらぬ方向に向いてたし、少女の持っていた鎌は原型を留めていなかったぞ。
「……手加減はしたわよ?」
「あれで?!」
多分、本当だろうな。そこまで大きな妖力を感じなかったし。
「んで、まぁ今更なんだが、君の名前は?」
「ふぇ?」
ほんと、どんだけやったんだよ。ガチ泣きじゃないか。
「……わ、私はエリー。この館の門番よ」
「門番……ねぇ。でもこの館には誰も住んでなかったぞ?」
「昔は住んでたのよ」
ほう、なにか理由がありそうだ。
「この館は『夢幻館』。大妖怪『風見幽香』の住む館よ」
「風見幽香?」
はて、聞いたことのない名前だが。
「あら、知らない?」
「聞いたことは……ないか?姫咲はどうだ?」
「私もないわ。ってか、余り他の妖怪と交流しなかったし」
だろうな。
「むー」
いや、そんな膨れられても。
「幽香ちゃんは凄く強いのよ!!それこそ、貴方なんか直ぐに殺されるんだから!!」
「「ふーん」」
「いや、ふーん。じゃなくて!」
だって俺は死なないし、姫咲だって多分現妖怪でなら最強だろうし。それに匹敵する妖怪ならば少なからず俺の耳にも聞こえてくる筈なんだが。
「……貴方、何者なのよ」
「ん?外の世界で1番偉い神様」
『とにかく!今日は見逃してあげるからさっさと帰ってよね!!』
と、エリーに追い出されてしまった俺達は、仕方なく神社へと戻ってきた。なんか今日は無駄足が多かった気がする。
「もう少し調べてからにしなさいよね」
「へいへい」
神社の中へと入ると、机に突っ伏す。この後は天照に魔界の事を報告しなきゃいけないし、エリーの言っていた『風見幽香』って妖怪も気になる。魔界の消えた奴らもどうなったのか調べないとな。
……そう言えば、神社の中が静かだ。普段なら夢乃が慌ただしく家事をしたり、境内の掃除なんかをしているはずなんだが。
「あいつ、どこ行った?」
「……さぁ」
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霞様が出ていかれてから直ぐに人里の方が神社に駆け込んできました。汗だくになりながら息を切らせてきた事から、あまり良くない事が起きているのだと理解できます。
「ど、どうしたんですか?」
「さ、里が!里が襲われているんだ!!」
見ればこの方も所々怪我をしているようで、血を流していました。
「わかりました!直ぐに向かいます」
そう言って私は準備もそこそこに人里へと向かいました。
今考えれば、この時に少し思慮深くなっていればこの事件の異質さに気付いたはずなのに。
人里は阿鼻叫喚の地獄絵図でした。辺りからは火の手が上がり、逃げ惑う人々ど混乱しています。
「うわぁぁあああ!!」
「た、たすけてぇっ!!」
私はいてもたってもいられず駆け出します。1人でも多くの方を助けなければ。
角を曲がると、ちょうど里人の喉元に何者かの鋭い爪が立てられたところでした。喉から大量の血を吹き出し、事切れた人は、投げ捨てられ、今度は標的を私に変えたようです。
私は初めて見る人の死に、頭の中が真っ白になっていくのを感じました。呆気なく人は死ぬ。私の能力でも、きっとあの人は生き返らない。既に終わってしまった結果には、干渉できないからだ。
私がもっと早く来ていればあの人は助かった?
そうかもしれない。
でも、もう遅い。コイツがコロシタ……。
コイツ、コロシタ……。
ナラ………………コロス。
もう何も考えなくていい。
コイツが誰かとか、
何が目的なのかとか、
そんな事はどうでもいい。
私がするのは簡単なこと。
コイツらを許さない事。
霞「おい、これ大丈夫なのか?」
作「夢乃ちゃん大変!!」
夢「うわぁ、私ってこんなキャラなんですか?」
作「まだまだこんなもんじゃないよ?」
霞・夢「「え?」」
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