東方古神録   作:しおさば

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作「いやー。スランプって言うんですかね?なんも思いつかなかった」

霞「なら辞めちまえよ」

作「なにを!待ってくれている人がいましたから!!」

霞「なら書けよ」

作「……冷たっ!!」


70話/サヨナラとオカエリ

「父上様〜!!」

久しぶりの地を踏んだと同時に、胸襲ったのは俺でも耐えきれないほどの衝撃が訪れた。

「ぐふぅぁっ!?」

「し、師匠?!」

出迎えとしては少々(・・)熱烈な歓迎を受けて、俺は数百年ぶりに博麗神社へと訪れることになった。

「……」

「夢乃殿?何故そんなに神条様を睨んでいるのだ?」

とりあえず、離れてくれ天照。なんか知らんが夢乃の目から光が消えて、何かブツブツ言っているから。あれは流石に放置したら不味い気がする。

 

長い事留守にしていた筈なのに、神社はあの日と変わらず俺を迎え入れてくれる。

しかし、巫女である夢乃も俺を探すために、何年も不在だったにも関わらず、どうしてこうも管理が行き届いているんだ?俺は最初にここに来た時のように、荒れ果てた状態を覚悟していたのだが。

「あぁ、それならば代替わりした巫女が管理しているのだと」

「代替わり?」

「……流石に不老不死の巫女がいる神社なんて、信仰が集まるわけないですから」

なるほど。

つまり、今はまた別の巫女がここを管理していると。

ならばその巫女にも挨拶をしなきゃだな。

「なによ騒がしいな……。また紫なのか?」

社の奥から出てきたのは、夢乃に似た巫女服を着た、1人の少女だった。腰あたりまで伸ばした黒髪をリボンで結んでいる。

「またってなによ、またって」

「毎度毎度、『この神社の神は戻ってきた?!』って大騒ぎしてたのは何処の誰だ?」

流石に、言葉遣いは少女らしさを感じないが。と言うか、原因は俺だが、結構迷惑をかけてたみたいだな。主に紫が。

「一応言っておくが、その神様は戻ってきてないぞ」

「あら、そんなことないわよ」

そう言うと、紫は俺へと視線を移す。

「ほら、ここに」

「あ、どうも神です」

「あ、どうも巫女です」

お互いに頭を下げる。

言葉遣いはアレだが、礼儀は人並みには知っているようだ。

「……え、それで終わり?!」

 

 

「改めまして、当代の巫女です」

茶の間に案内され、それぞれ一息ついた頃、改めて挨拶をされた。

「この神社の神(仮)、神条霞だ。よろしく」

「……そのカッコカリとは?」

「気にしなくて良いわよ」

確かにそうだが、なんで紫が言うんだ。

「それで、どうして急に神社に戻るなんて言い出したんですか?」

お茶で喉を潤すと、紫は今朝から気になっていたのだろう事を聞いてきた。

 

俺が博麗神社へと戻ることにしたのは、今朝のこた。

 

-------------------

 

「お久しぶりですね、創造神」

「無明!!」

スキマから現れたのは、俺の探し続けた男だった。

その姿を目にした瞬間から、俺の身体中を怒りで力が駆け巡る。夜月を握る手にも血が滴るほどに、俺は力を込めてしまっていた。

「何しに来たんだよ」

「貴女が余りにも遅いので、迎えに来たのですよ」

どうやらこの少女と無明は仲間のようだ。まぁ、今となっては関係ないが。

この場でコイツを倒す。それが少なくとも俺に課した責任だ。

俺は一息に飛び上がり、無明の腹を目掛けて夜月を突き出す。

しかし、その一突きは躱され、隣にいた少女に蹴りを入れられてしまう。

「アンタの相手は私だって言ったろ」

「……うるせぇな。お前とは後で遊んでやるよ」

怒りからか、俺の言葉遣いも荒くなってしまう。どうも頭に血が上ると理性が働かなくなってしまう。

「ふむ。貴方とは遊んでいる暇はないのですよ」

「知るか。お前の時間はここで終わりなんだよ」

月に照らされた夜月の刃が、俺の神力を纏って青く輝く。

辺りはすっかり静寂に包まれ、時折木々が風に揺れて、葉擦れの音が聞こえるだけだ。

地上では夢乃と姫咲がただ黙って俺達のやり取りを見ていた。掌握で手出しすら出来ない夢乃は、どこか歯痒い表情をしている。

「創造!千本刃!!」

俺は背後の空間から、無数の刃を創造する。夜月に似た幾千もの刃は、全てが無明へと向かい放たれる。雨のように降り注ぐ刃を、無明は微動だにせず眺めているだけ。

それを防いだのは、余りにも予想外の人物だった。

「三歩必殺」

次々に砕かれていく刃の先には、拳を突き出した姫咲が居た。赤く染まった妖力を纏い、妖怪の頂点らしい禍々しさを兼ね備えている。

「姫咲……どうして……」

「……飽きたのよ、貴方と一緒に居ることに。どうせ貴方と私は妖怪と神。相容れぬ存在ならば、私は私の生きたいように生きるわ」

その言葉は無明に操られているわけでもなく、紛れもなく姫咲の意志を持って紡がれていた。

「そう。妖怪と神、人間と神。それらは決して互いを理解することなどできないのです」

そう高らかに無明は語る。

「ですが、私は違う。私は人間という『壁』を超えた存在。貴方のような神ではなく、私が全てをやり直す」

無明は言い放つと両手を空へと掲げた。

その先には大きなスキマが開かれ、中には大量の眼がこちらを睨んで光っていた。

「……さて、そろそろ時間です。名残惜しいですが、失礼させていただきます」

大量の眼が蠢くスキマに、無明と少女、そして姫咲は足を踏み入れていく。

「また逃げるのか!!」

「逃げる?面白い冗談です。その命をあと僅かばかり、お預けするだけですよ」

振り返り、気味の悪い笑みを貼り付けた表情を向ける。

「……そう言えば、あのスキマ妖怪が理想郷なぞを作ったそうですね。そんな儚い夢の様な世界なんて、私が壊して差し上げます」

「な……なに?!」

「ふふ。次は理想郷でお会いしましょう。この世界の創造神よ」

その言葉を残し、スキマは閉ざされていった。あの笑みが何時までも瞼の裏に残されたまま。

 

 

----------------------

 

「と、言うことは。その男は次にこの地にやってくると」

一通り話し終えた頃には、紫以外は言葉を失っていた。

そりゃそうだ。創造神の俺が敵わず、ましてや逃がしてしまうなんて、本来ならば想像すら出来ないことだ。

「恐らくそうだろうな。だから紫にその理想郷へ案内を頼んだんだが、まさか博麗神社が入っているとは思わなかったよ」

紫の作った理想郷は、この神社だけでなく麓の人里や、天狗達のいた妖怪の山も入っているらしい。どうやって離れたところの山を移動させたのかは教えてくれなかったが。

「いつ頃来ると思いますか」

「わからん。今日かもしれないし、百年後かもしれん」

つまり早急に対策を練らないといけない。生半可な結界など、姫咲の前では無駄だろうし、何より無明は紫のスキマを使うことが出来る。

「わかりました。結界に関しては任せてください」

「済まないが、頼む」

この地に関しては、今では紫の方が熟知しているだろう。成長し、その力も向上した紫ならば或いは何か策を思いつくかもしれない。

「私も微力ながらお手伝い致します」

藍も尻尾を揺らし、決意を固めた表情をしていた。

「……私は、どうもお役に立てそうにないな」

そんな中、今代の巫女が呟いた。

俺は既に気がついていた。この子には霊力が無いのだ。

今まで()が不在だった為に、言葉は悪いが、神事などは真似事だけで済んでいた。しかしながら今回の件に関しては、それでは戦力には数えられず、また結界にも関与することは難しい。

「なに、心配すんな。この件に巻き込むわけにはいかないさ」

「……」

そう言ってやるが、やはり何処か悔しそうにしている。

全く、博麗の巫女は強情なのが務めるのか?

 

 

こうして、俺は再び博麗神社へと戻り、紫の作った理想郷--幻想郷へとその住まいを移すこととなった。




作「はい、この章は終わり!!」

霞「やっと幻想郷か」

作「正直、今回までの話でプロットの大幅な変更をしてしまいました」

霞「??」

作「なんせ『無明』が扱いにくくて……」

霞「いや、知らんがな……」


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