「さて、どうしたもんかね」
予め美鈴から能力を聞いていなければ、とっくに五体満足とはいかない状況になっていた事だろう。
「お兄さん、一体何者?なんで壊れないの?」
「お、なんか久しぶりに正体を聴かれた気がする」
妹から放たれる弾幕。その一つ一つが当たれば致命傷となりうるもので、そんなものを避け続けている限り、辺りへの被害は甚大なものとなる。
結論から言えば、紅い館は跡形もなく崩れ去っていた。
これって、後々弁償しろとか言われないよな?
「そうだな、簡単に言うならば」
そして俺は指を伸ばす。指さされた妹は、突然のことに面食らった表情を見せる。
「君の嫌いな神様だ」
しかしながら、どうするべきか。流石にこれだけ幼い子を殺すのも気が引けるし、何よりもこの子の本心を聞いていない。
1歩後ろへと下がる。すると俺が立っていた場所に、大きなクレーターが出来上がり、土煙が舞い上がった。
「……なんで……なんで壊れないの!?」
「君の能力はとても恐ろしい。例え俺でも、壊されてしまえば治すのには時間がかかるだろう」
霊力を足に込める。少し力加減を誤ったか、地面がヒビ割れ捲れ上がった。
「でもね、だからと言って対処できない訳じゃない」
「壊れろ!!」
少女は掌を向けた。本来ならば気がつくはずもない、『目』と呼ばれる破壊点が、俺の身体から掌へと移された。
それを握られ、壊されてしまえば、『目』の元である身体は正体の分からない肉塊へと成り果てる。
「そんな事させないけどね」
移動させられたのならば、奪われたのならば奪い返すまで。
「……また、壊れてない」
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「ぷはっ!……死ぬかと思ったぜ」
パチュリーを抱えながら、いきなり崩れた瓦礫の中から這い出でると、今まで居たはずの館は跡形もなくなっていた。アレ?コレは何かの魔法か?
「一体何者なんだ……アイツは」
「知らないわよ」
すると聞き慣れた声がしてきた。見れば霊夢が少女と話していた。
どうやら異変の首謀者らしく、事件は解決したらしい。らしいのだが。
「何が起こっているんだぜ」
「あら、魔理沙。生きてたの」
勝手に殺すな。
「んで、アイツは何者なんだ」
「そんなの私が聞きたいわよ。いきなり現れたアイツと、そこの吸血鬼の妹がドンパチ始めたんだから」
その結果が後ろの館
あの妹の能力ってのも厄介だが、それを交わし続けているあの男も、相当異常だと思う。
まるで、こんな命のやり取りを何度もこなしているかのような。
必要最小限の動きだけで、無駄なく躱し続けて。
何よりも表情にはまだまだ余裕がある。
「あの〜。宜しいでしょうか?」
すると何処からか、緑のチャイナ服を着た女が現れた。
「美鈴。何か知っているのか」
偉そうな少女に呼ばれた女。ってか、コイツは偉そうにし過ぎじゃないか?
「えぇ、一応私の知り合いと言うか……恩人と言うか」
「要領を得ないわね、一体何者なのよ」
「私の師匠で、この世界の創造神様です、はい」
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足に込めた霊力で筋力の底上げをし、一気に間合いを詰める。どうやら種族は吸血鬼のようだし、多少は手荒に扱っても平気だろう。
腹に手を当て、掌底を叩き込む。衝撃波と共に吹き飛ぶ妹は、空中で何とか勢いを殺し静止した。
「なんで、なんで壊れないの……」
「そうだな。一つ種明かしをしようか」
俺は足元に転がる小石を拾う。
掌に収まるサイズの小石に、能力である施しをする。
「君の能力。『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』は、破壊対象の『目』が無ければ発動できない。そしてその『目』を君は自分の元へと移動することが出来るね」
本来ならば移動させられた『目』は、取り返すことすら不可能だろう。
「でも、俺の能力は『ありとあらゆるものを創造し操る能力』。破壊の『目』であろうと、俺が操れない訳がないだろう」
今まで、創造する事だけに使ってきた能力だご、こういった使い方もある。この世に存在するものは、小石から目に見えない概念ですら、操ることが可能だ。例外と言えば、あの男くらいか。
「さて、君の能力は俺には効かないことが分かったかな?」
「……なら能力を使わなければいい!!」
そう言って、少女は1振りの剣を取り出す。炎を纏った両刃の大剣。その見た目は少女には不釣り合いだった。
「それも無駄なんだけどなぁ……」
俺は指を鳴らす。すると少女の手に握られていた剣は、霧となって消えていく。
「すべての元を辿れば、俺が創り出したものになる。君が生み出したと思っている剣ですら、操ることは可能さ」
流石創造神。チート過ぎる能力だ。自分で言うのもなんだが。
「これで終わりかな?んじゃ、これだけの事をした君にはお仕置きが必要だな」
俺は1歩ずつ少女へと近づく。どう足掻いても勝てないと察してしまったのか、少女の表情は恐怖に染まっていた。
俺の1歩に合わせて少女も1歩退る。
次第に少女の顔には涙が流れ出した。
「なんで?!なんでよ!!私はただ、自由になりたかっただけなのに!!」
「自由を履き違えるなよ。全ての責任と、その代償を負うこともせずに、自由は有り得ない」
俺は夜月へと手をかける。抜き放たれた夜月は、霊力を纏い、青く輝き出した。
「自由になって……その後君は何をしたかったんだ?それは君の言う『自由』にならなければできない事だったのか?」
「私は……私は……」
「お姉様と一緒にいたかっただけなのに……」
霞「え、これってマズくないか?」
作「いやー!霞さんは相変わらずチートですねー」
美「流石師匠です!!」
霞「いや、あの子死んじゃうの?!」
作「ロリコンの私がそんな事をするとでも?」
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