東方古神録   作:しおさば

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宴じゃ〜!!


79話/祭神は『祭り』の『神様』って意味じゃないらしい

「師匠!お酌します!!」

隣に座る美鈴が、酒に酔っていることもありいつもより数倍は大きな声で、それも耳元で喋る。流石の神様も、鼓膜は丈夫じゃないんだけどな。

 

あの異変から数日が経ち、今は神社の境内で宴会が開かれていた。どうやら異変の後には、その首謀者が主催で毎回開かれるらしい。

多分、紫が外から持ってきたのであろうブルーシートが、至るところに敷かれ、人間から妖怪まで、結構な数が集まっていた。

「ちょっと美鈴!その役目は私がするわ!!」

「紫さんも飲みますか?お酌しますよ?」

「いや、そうじゃなくて……あぁ!ちょっと零さないでよ!!」

俺を挟んで反対側に座るのは、一番弟子である紫。なんでこうも静かに飲めないんだろうか。

すっかり暗くなった境内には、酒の匂いが充満し、その空気だけで良いそうになる。

ま、皆楽しそうだから良いけどな。

 

「なぁ、ホントにアンタは神様なのか?」

ふと、魔女っ子のような格好をした少女に話しかけられる。そう言えば、あの異変の時にもいたような気がする。

「そうだが……えーと」

「あぁ、私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ」

「……普通じゃない魔法使いってどんなんだ?」

「……多分、あそこにいる紫もやしみたいなのだと思う」

それは余りにも失礼な気がするが。紫色のパジャマを着た女性。どうやらあの紅い館--紅魔館の住人らしく、この場にも来ていた。

……今更ながらに思い出した。そう言えば、1度紅魔館には行ったことがあるんだった。あれは随分昔だが、俺と美鈴と姫咲で異世界に飛ばされたことがあった。その時に訪れたのが紅魔館だったはず。

「そうなんですよ!あの時の館に、私も務めているんです!!」

「何その話。私、知らないんですけど!!」

「だぁっ!耳元で騒ぐな!!」

どうにかして左右の騒音を止めて欲しいものだ。

 

--------------------

 

 

「んで、詳しく聞かせて欲しいんだぜ」

紫と門番が取っ組み合いのケンカをし始め、それを霞さんが収めた後、魔理沙は詳しい説明を求めた。多分、紅魔館の連中も同じ気持ちだろう。

私だって、あの日に聞いていなければ気になってしょうがない。

「詳しくも何も。何から話せと?」

「そうだな……。まずはアンタの素性とか」

「創造神」

そんな一言で済まされても、誰も納得なんかしないわよ。

あからさまに疑っている魔理沙の表情を無視して、霞さんは続ける。

「ここにいる、紫と美鈴の師匠もしてた」

「紫の師匠なのか?!」

これはきっと、誰もが驚くことだろう。少なくとも、この幻想郷で知らぬ者はいない、妖怪の賢者と呼ばれる人物。その師匠となれば、実力はそれ以上。ましてやあの日、吸血鬼の妹との戦いを目の当たりにしている私たちならば、疑う余地はない。

「……私も初耳なんだが」

吸血鬼の姉。レミリアは流石に不機嫌になりながら言った。

自分の部下が、創造神の弟子だったと言うことよりも、それを知らなかったことの方が、よっぽど気に食わないらしい。

「あ〜、その〜。創造神様の弟子と言って、過度な期待をされると困りますので……」

「……なら居眠りばかりしてないで、ちゃんと働いて欲しいものね」

「……お前、何処でも寝る癖は治ってないのか」

どうやら昔からの様だ。確かに、あの日も私が起こすまで門に寄りかかりながら寝ていたし。

「んで、他に聞きたいことは?」

「なら、なんでこの博麗神社に居座っているの?」

それはレミリアからだった。

 

「だって、ココの祭神だから」

 

それはあの日、私に言ったのと同じセリフだった。

 

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「はぁ?アンタがこの神社の祭神?!」

一足先に神社へと帰っていた俺を見るなり、当代の巫女--博麗霊夢は怒鳴り散らした。

何故ここにいるのか。

ココは私の家だ、と。

確かに、ココは博麗神社であり、霊夢は巫女なのだから、ココは霊夢の家だろう。でもその前に、俺を祀る社でもある。

それを説明すれば、驚きを隠せないでいた。

どうやら、紫からはなにも説明されておらず、ずっとこの社の神を知らずにいたらしい。

「……じ、じゃぁ何よ。ココは創造神を祀っていたの!?信じられないわ!!」

「ふむ。それもそうか」

確かに、いきなり現れた男に、『神様です、どうぞ宜しく』と言われても、胡散臭いことこの上ない。

ならばちゃんと説明出来る人物に登場してもらう他ない。そう思い、俺はワームホールを開く。片手を差し込み、目的の人物の襟首を掴むと、一気に引っ張りあげた。

「……あの〜、扱われ方に些か不満が有るのですが」

「……少なくとも無関係じゃないんだ。ちゃんと話しておかなかった責任は取ってもらう」

襟首を掴まれ、宙ぶらりんな状態の紫。それだけでも異様な光景だろう、霊夢は目を丸くしていた。

「紫とも知り合いなの?!」

「……その説明もしなきゃいけないわね」

 

そして語られたのは、俺と紫の出会いから、今までの大まかな話。

はるか昔に出会い、俺に弟子入りした紫と美鈴。そしていつの間にか建てられた博麗神社。幻想郷を創り、俺を迎え入れ、そして今日まで高天原で月夜見に書類仕事をさせられていたこと。

話し終えた頃には、真夜中を過ぎ、空が白んでいた。

「……なんかいきなり過ぎて頭が追いつかないんだけど。とりあえず、アナタが神様だってことはわかったわ」

「おう。それ位の認識で十分だ」

「師匠、流石に自分の社の巫女に舐められたらマズイですよ……」

そんなもんだろうか?

少なくとも俺は気にしないのだが。

「霊夢、今目の前にいるのは、本来ならば話をすることすら烏滸がましいほどの相手なのよ?わかってる?」

「……分かってるわよ。アンタが珍しく、この人……霞さんの言動に一々細心の注意を払っている位には、敬わなければいけないってことわ」

別にそんなことは望んでないんだがな。俺としては、特になにかする訳じゃないし。霊夢が一緒に住みたくないってんなら、別の場所に家を建てるだけだし。

「そうはいきません!師匠にはこの社に居て頂かないと」

「あ、はい」

「……まぁ、分かっていたことだけど、私には聞かないのね」

 

こうして当代の巫女との共同生活か始まり、翌日には再び現れた紫から、俺の紹介も兼ねた宴会を開くと教えられた。

 

---------------------

 

「なるほど。つまり正真正銘、一番偉い神様で、このボロっちい神社の神様なわけだな」

そう言って、魔理沙は納得していた。ホントに理解しているのかは疑わしいけど。

私は紫の隣に座り、1通りの話を聞き流しながらお酒を飲む。

未だに信じ難い部分はある。けれど、この数日の霞さんを見ていれば、何となくだけどあの紫と門番の師匠だってのは納得できた。

私以上にこの幻想郷を知り、私以上に『博麗の巫女』を知っている。そりゃそうだ……なんせ。

「霞様、料理が出来ました」

「おう、ありがとう。夢乃もそろそろ座って飲んだらどうだ?」

初代博麗の巫女がいるんだもの。




作「昨日今日と、連続投稿し過ぎた……」

霞「ホント、計画性が無いな」

作「なんか、書ける時は一気に書きたくなるんですよ」

霞「書けない時はとことん書けないのにな」

作「それを言わないで」



一応、次回でこの章は終わり。
次は……日常回でも書こうかな?

感想お待ちしております。
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