東方古神録   作:しおさば

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今回は独自解釈が多分に含まれます。
ご了承ください。


85話/幻想郷大異変-博麗神社①

side 霞

 

-時間は遡ること数時間前。

 

 

幻想郷を突如として襲った、異形の軍勢による襲撃。

俺にすら気取られず張られた結界によって、対処が遅れた為に、後手にまわらざるを得なかった。

「とにかく、魔理沙は人里へと向かってくれ」

「わ、わかったぜ!!」

そう言って箒に跨り空へと飛び立つ魔理沙を見送り、俺は次の手を考える。

「私はどうすればいい?」

隣に立つ霊夢は、今までにない異変に珍しく多少の狼狽えを見せた。

いくら今までに数多くの異変を解決したと言っても、これだけの規模となれば話は別なのだろう。

 

そこで俺はふと気が付く。

 

「……おかしくないか」

この異変の首謀者が誰かは分からないが、少なくとも幻想郷において博麗神社(ココ)以上に重要な場所はない。

現実と幻想の境目。その結界の要はココだ。

ならば必然的に博麗神社を狙うべきだ。それなのに、俺達は能力が使える。

現にルーミアは未だに黒い球体になって辺りをフワフワと飛んでいるし、魔理沙も『魔法』を使って空を飛んでいった。

つまりはこの周辺には結界が貼られていないということ。

それは博麗の巫女を侮っているのか。それとも目的は別にあるのか。

「随分と舐められたものね」

「……もしかして怒ってる?」

「当たり前でしょ!」

 

暫くして、慌てた表情の紫がやって来た。

紫にとっても予想外の出来事らしく、珍しく困惑の色を見せていた。

「何故博麗神社では能力が使えるのでしょうか」

「そればっかりは分からん。だが、今後ココが狙われないと言いきれない以上、少なくとも霊夢はココを移動するべきでは無いな」

紫は頷きながらも、思考を巡らせているようだった。

「仕方ない。俺が行って、結界を破ってこよう」

いざと言う時に対処できるように、あまり動きたくはないんだけどな。

空を見上げると、さっきまで晴れ渡っていた筈なのに、雲行きは怪しく、分厚い雲が空を多い始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「それはオススメしませんよ、創造神」

 

 

 

 

声が聞こえた。

この時ばかりは一番聞きたくなかった声。

なるほど、コイツならば全て合点が行く。

つまりは他の者に手出しをされたくなかったんだ。

だから時間稼ぎとも思える手段で、態々回りくどい事をしたんだ。

「そうだろう。無明」

 

「さて、それはどうでしょう」

 

神社の屋根に登り、俺達を見下ろす無明。

貼り付けられた笑みは、より一層不気味に見えた。

「……師匠。結界は私が」

「まぁ、無理だと思いますよ」

無明の動きを警戒しつつも、行動しようとした紫を一言で制する。

 

「いま、各所に張っている結界は少し特殊な細工を施してあります。あなた如きの妖力では傷一つ付けられません」

「……あら、そんなことやって見なくては分からないじゃない」

口元を扇子で隠し、相手にコチラの真意を悟らせない。そんな紫のやり口は、無明には通用しなかった。

「まぁ、万が一。結界を破壊できたとしても、私が何も考えていないわけがないじゃないですか」

フワリと屋根から飛び上がると、無明はそのまま人里の方向を指さした。

 

「もし、結界が破られたならば、その瞬間この博麗大結界に大穴を空ける術式が発動します」

「……何を言っているの」

「おや、分かりませんか?現実と幻想の境界を無くしてしまう、と言っているんです」

博麗大結界。それがこの幻想郷にとってどれだけ重要なものか。もし、奴の言う通り、境界が無くなってしまえば、危うい均衡で保たれていたこの世界の住人は、その存在すらも保てなくなる。

外の世界で忘れ去られた存在が、ココで生きていけるのは、博麗大結界によって守られているからだ。身体、心、それらを大結界は外から隠しこの世界に留める為にある。

「そんなことになれば、いくら創造神でも手の打ちようがないのでわ?」

「何が望みだ」

こんな回りくどい方法を取り、幻想郷の住人まで人質にして。

俺は無明を睨みつける。

 

 

 

 

 

「世界の再構築ですよ」




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