保護官のお仕事   作:グリザー

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第1話

ここは第61管理世界スプールス。

自然が豊富で希少な動植物も数多く生息するので、ミッドチルダに本拠地を構える時空管理局の手により保護、管理をされている星だ。

そしてそこには当然だが、密猟者や生態系の維持を目的とした管理者。自然保護官がいる。

そして今日も保護官の仕事が始まる。

 

 

「こちらアルバ、聞こえてますか?」

「おお、感度良好。いつでも構わない」

「了解、ならいまから動くので、こちらに合わせてください」

 

一寸先すら見通せぬような暗闇の中、静かに念話を終わらせ、草木に隠れつつ希少動物を勝手に取っていく不届き者――密猟者共を見据える。

 

合計で3人。全身を黒の服で覆っており、一時的に魔力反応を消す装置もつけている。この用心さは、おそらく本職の密猟者だろう。

 

俺は、腰につけているロングソード型のアームドデバイスを触る。

カートリッジの弾数は、装填済みが十発の未装填が五発。少し少ないが、殲滅ではなく捕縛ならこの程度で問題はない。

 

それに、ここは希少動物の中でも一際屈強な体を持ち、ピラミッドの頂点に存在している生物、ガレアの住処が近くにあり、今はちょうど繁殖期だ。ガレアだけに気をつけていれば、ある程度なら暴れたところで問題はない。

 

俺は隣で伏せをしている犬。ジュリーを撫でる。

 

「もう行くぞ、準備はいいな?」

 

ジュリーは、了解の声の代わりに手を舐めてくる。

俺はもう一回撫でた後、ほふくですすみながらデバイスに指示を出す。

 

「スパイク、マレルを呼んでくれ」

『サモンモンスター:マレル』

 

スパイクは機械的な合成音声を発する。すると、腕の上に小さな魔法陣が発生し、一匹の粘体動物――スライムが出てくる。

 

「よし、マレル。いつも通りの準備を頼む」

「ギュ」

 

マレルは一言了解の声を出すと、俺から少し離れていく。

 

マレルは、手のひらサイズのスライム。こっそり動いていけば、いくらプロの密猟者だとしても基本バレることはない。

 

マレルは気づかれることなく、密猟者を挟むような場所に移動する。

だが、密猟者たちはお目当てのもの動物の巣でも目星がついたのか、ここから離れようとしていた。

 

だが遅い。

 

俺はマレルに向けて、合図を出す。

すると、辺り一面には結界が張られた。

 

その突然の出来事に、密猟者共は驚いてはいたが、それに対応をするべくサーチャーを飛ばし、3人で背中を合わせるようにして固まっていた。

 

「ジュリー!ゴー!!」

 

俺はそこに飛び込む。

その際に、逆方向からジュリーを走らせる。それにより、相手が少し困惑するが相手の一人が大声を出した。

 

「犬の警戒は軽くでいい!スライムを狙え!!」

「ちっ、スパイク!」

『バインド』

「無駄だ!」

 

敵に向かい、バインドの因子を詰めた魔力弾を放つが、一人が障壁を貼り、完璧に防いだ。

そしてその隙にマレルにむかい、二人は攻撃を仕掛ける。

 

「死ねぇ!!」

 

だがマレルは、その小さく素早い体を活かしうまくくぐり抜けた。

そしてその隙に、俺はスパイクを構えながら飛び込み、先ほど障壁を張った相手に向かい剣を振るう。

 

「はぁ!」

 

大上段からの振り下ろしを相手は、杖型のデバイスで受けきる。

しかし、勢いに耐えきることができずによろめいていた。

その隙に、俺はスパイクに魔法を発動させる。

 

『ストラグル・バインド』

 

強制拘束を食らった相手は、手と足を縛られバランスを崩し倒れる。

そしてそこで、相手からの反撃も来た。

 

「な!?やろう!!」

「くらえ!!」

 

二人は、至近距離から魔力弾を放ってくる。

俺はそれを、マレルに張ってもらった障壁で耐える。

 

いきなり目の前に障壁が現れたことには驚いているが、それでも構わず俺に攻撃を続けていた。

確かに、ここで俺を落とせば火力が下がるから悪い手だとは言わない。

――この場所でなければ。

 

――グオオオオオオオォォォォォ

 

突然、地獄の底から響くような声が辺り一面に広がる。

この瞬間を待っていたのだ。

 

「マレル!隠蔽化!ジュリーは戻れ!」

 

俺は素早く二匹に指示を出す。

ジュリーはその場から光の粒子になりながら消えていき、マレルは俺と一緒で透明になる。

 

俺は透明になったら、すぐにマレルを持ち、木の上に飛び乗る。

それに合わせるようなタイミングに、森の中から一匹の魔獣が現れた。

 

体は2メートル以上の巨体を持ち、地球にいる熊という動物の身体中に岩が張り付いているような超希少生物にして、こいつらのお目当てのガレアである。

 

この魔獣は基本的に温厚で、人に叩かれたとしても基本反応しないし襲わない。巣にはいられない限りは基本的に温厚な奴だ。

だが例外が一つだけある。

それは繁殖期だ。

 

ガルアは繁殖期になると、性別関係なく凶暴になる。それこそ誰だろうと巣どころか、その近くに来ただけで襲いかかる。

だが、生来の温厚な性格からきてるのか、縄張りに入ったとしても、すぐに逃げれば見逃してくれることが多い。個人的には巣から離れたくないからだと思うが。

 

とにかく、それに加えて探知能力もそんな高いとも言えないから、危ないと言っても脅威にはなりにくい獣。それがこいつだ。

だからこそ、こいつの皮膚にくっついている通常よりも質のいい鉱石や、牙。そこらへんが目当てで乱獲をされやすく、めでたくここで保護されるようになった奴だ。

 

そして今俺がやってることはなにか?そう押し付けだ。

 

いきなり現れたガレアに対して3人は動揺を隠せてなかった。

当たり前だ。こんな夜に来たんだ。こっそり近寄って捕獲するのは目的だったのだろう。そうなると当然装備も、隠密用になるべく軽く、薄くなる。

そんな状況で、こいつに出会ってしまったら?

 

そこから取れる行動は一つだ。

 

「お!おい!待ってくれよ!!」

「うるせえ!俺たちの身代わりになれ!!」

 

全力で逃げる。ただそれだけである。

 

バインドで縛られていない二人は、こちらに背を向けながら全力で逃げていく。その速さは、まさに火事場の馬鹿力とでもいうような速さで、魔法を使って低空飛行してるのもあるのだろうが、もう見えなくなった。

そしてそうなると、当然一人がそこに残る。

 

縛られてうまく動かない手足を必死に動かして後ろに下がっていく。

しかしその速度は、当然ながらとても遅く一歩分程度しか進めてない。

 

「ひっ!?いやだ!誰か助けて!!」

 

しかし、現実は非情だ。

股間から湯気を上げながら、後ろにズリズリと下がるが、やはり追いつかれる。

ガレアは、その光景を楽しんでいるのか、ちょっとづつ近づいていく。

 

そして、目の前に来た。

ガレアの体に完全に隠されて、こちらからじゃ様子が確認できない。

しかし、もうどうなるか明白だろう。

ガレアは、その成人男性の足のような太さの腕を振り上げ――肩に乗っけた。

 

混乱している密猟者を無視しながら、隠蔽化を解除しつつ近寄る。

すると、ガレアはこちらを一瞥した後、動物とは思えないような流暢な言葉で話してきた。

 

「お疲れ様です。これで確保ですね」

「ああ、お疲れ。これで今日の仕事は終わりだ」

「やったぜ!」

 

片手でガッツポーズをとってるガレアを見て、密猟者は信じられないような顔をしている。

 

「な、なんで?」

「これ変装しただけ」

「はぁ!?」

「そうですよ、アルバ先輩のとって来てくれた正確なデータがなかったら、できませんですたけどね」

「よせや、照れるだろ?」

 

ガレアは頭にモザイクがかかったかと思うと、そこから男の顔が出てくる。

そう、これは正確な生体データを基にした頑丈な着ぐるみのようなものだったのだ。

完全に似せることができる以外は、燃費悪いわ、戦闘補助にすらならないわで役立たずの一言だが、こんな時なら十分使える。

 

後輩と談笑をしていると、スパイクに通信が入る。

 

「はい、こちらアルバ」

「こちらグリス、密猟者を捕獲した。帰還してくれ」

「了解です」

 

そこで通信を切り、後輩を見る。

 

「よし、あっちも捕まったらしいから帰るぞ」

「うっす、今日は早く寝れますね!」

「何言ってんだ、報告書が残ってるだろ?」

「明日じゃダメなんですか?」

「ダメだ」

「そこをなんとか!!」

「じゃあ、給料減給するがいいか?」

「うえぇ、鬼畜!」

「なんとでも言え」

 

 

 




時系列でいうと、stsの2年前程度です
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