インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~   作:たちゅや

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龍也VS篠ノ之の訓練が行われる。
結果は見えていたが……


十一話

 アリーナの空をバーゼラルドが駆ける。

 後ろからは打鉄を纏った篠ノ之がアサルトライフル『焔備』の銃口を空に向けていた。

 トリガーに指をかけ、狙いを定めるがそう易々と当たってはくれない。

 

 何とか自分の距離に捉えたいが、龍也は自由自在に緩急をつけながら空を舞い、篠ノ之から逃げ続けている。

 

 戦って感じるのは龍也の操縦テクニックが優れ過ぎているということだ。

 どうにもIS操縦時間が二百時間に満たないというのは嘘にしか聞こえず、ずっと前から操縦していたのではないか? と考えてしまう。

 何よりも戦闘の間を取るのが巧すぎるのだ。

 緩急の付け方、攻守のバランス、どれもがプロの動きに感じた。

 自身も剣の道に通じているため、特に剣技に関してはよく判る。レベルが違い過ぎる、と。

 

 くっ、追いつけない苛立ちでどうにかなりそうだ。

 

 先ほどから龍也が避けてばかりで遊ばれている感じがし、篠ノ之はイラついていた。

 対して彼は涼しい顔をしていたが、フルフェイスで表情は伝わっていない。

 

「どうした篠ノ之! そんな速度と攻撃ではこちらは止まらないぞ‼ 」

 

 くそっ、と苦虫を噛み潰したような顔で彼を注視する。突破口が思いつかない。

 

「そっちこそ逃げてばかりでは、私は倒れんぞ‼ 」

 

「そうだな。でも、もう少しだけ俺は逃げるから、どうにかして接近戦に持ち込めるように考えるんだな!」

 

「き、貴様ぁッ!! 」

 

 怒りが頂点に達したのか、焔備をしまい刀装備である『葵』を取り出し猛スピードで攻めてきた。

 思わず良いスピードだなぁ、と感心してしまったがこちらも刀を握り相対する。

 

 放たれる一閃を受け止め、流す。

 怒りに支配はされているが流石は剣の道を進んでいる者らしく、太刀筋はとても良い。

 だが、それだけ。確固とした意志の力がない。信念が感じられないのだ。

 

「はああぁぁぁつ!」

 

 右からの袈裟切りを避け、こちらが逆袈裟で応対しながら思考する。

 

 一体、彼女はどうしたいんだろうか、と。

 

 ひとまず龍也が篠ノ之に抱く印象を話そうか。

 

 一つ、一夏限定で怒りやすい。

 一つ、普通に怒りやすい。

 一つ、気持ちが剣に現れやすい。

 一つ、自分の置かれた環境を姉のせいにしている。

 

 こんな所だろうか。

 しかし、思えばたかだか年齢が一つだけ上というだけで、人を導けるような指導力があるわけでもない。

 ただ、普通の人が経験しないようなことをしていただけである。

 

 そこまで考えて龍也は思考を止めた。

 

 柄にも無い事をするんじゃない、と。

 今の自分はあくまで級友なのだ。彼女が困ったら少し手を貸すことにしよう。なので、

 

「今はこの訓練に全力を注ぐか……」

 

 前に踏み込む。空中にいるが、まるで大地を駆けているように足に力が入った。

 これも重力制御の賜物である。

 踏み込んだと同時に唐竹割りを放つ。

 対して、篠ノ之は右からの薙ぎ払いで彼の攻撃を防いだ。

 

 くっ、弾けると思ったが受け止めるだけで精一杯か!しかし!

 

 篠ノ之は思い切った行動にでた。

 すっ、と全身の力を抜き龍也の刀を軸にし、全身を半回転させた。

 するとどうだろうか。丁度、彼女が太陽を背負っている形になったのだ。

 龍也は自然と視線を上げてしまったため、逆光で目が眩んだ。

 

 そして彼女はそのまま唐竹割りを放った。

 

「これで決めてやるッ!! 」

 

 この一撃、かわせはしないだろう!

 

 彼にとっては逆風の太刀が襲ってきたわけだが、あいにく培ってきた経験値はまだまだ上である。

 目を瞑ったまま薙ぎ払いで篠ノ之の太刀を止め弾いたのだ。

 

「なっ⁉ 」

 

 驚く彼女を尻目に、龍也は止まらない。

 

「必殺の一撃を止められたくらいで動きを止めるな! 格好の的だぞ!」

 

 言葉の通り動きを止めた彼女は良い的だった。

 刀を手放し素早く近づき、彼女の刀を持つ右腕を左腕で抑え込む。

 更に自身の右手にはユナイトソードを分解したショートナイフを展開し、首筋にあてた。

 この一連の動きは目にも止まらない速さで行われており、アリーナの隅で見ていた一夏とオルコットを驚かせた。

 最も一番驚いているのは彼女本人であろうが。

 

「チェックメイト、だね。篠ノ之さん」

 

「……本当にISの稼働時間は二百時間に満たないのか?嘘にしか聞こえないんだが」

 

 半目でこちらを睨みながら問いかけて来るが、彼の答えはすぐに返ってきた。

 

「いやいや。もう今月で二百時間に達したよ」

 

「そうではなくてだな!」

 

「まぁまぁ、いいじゃないか。とりあえず訓練はこれで終了。一夏達の所に行こうよ」

 

 そう言いながら彼は武装を解除しまっすぐ大地へ向かい、降り立った。

 釈然としないまま彼女も納刀し、龍也に続いた。

 

 

 

 

 訓練を終え、一夏達と合流し今日の総評を行った。

 

「一夏はもっと近接での基本を詰めていくのがいいと思う。もちろん、白式には慣れてね。次にオルコット嬢。近接での対応力強化と戦いの間の取り方を。戦場を支配出来るようになる事が目標だね。戦場を支配する、ということに関して言えば、一夏も篠ノ之も一緒だけどね。自分の優位なスタイルで戦えるように持っていきたいね。で、篠ノ之さん。剣道をやっているだけあって、太刀筋は良い。でも、自分が思っていなかった状態になると止まってしまう事があるから、そこだけ注意。と、まぁ好きに言わせてもらったけど、良かったか?」

 

「あぁ、いいぜ。だって龍也に頼んだのは俺達だしな」

 

「そうですわ。できれば、この後は個人的に……」

 

「それはともかく。秋野、本当にIS初心者なのか?セシリアの試合もそうだったが、どう考えても初心者には見えないんだが」

 

 ふむ、と腕を組み一拍空けてから彼が答える。

 

「秘密だ‼ 」

 




彼らの訓練を観客席で見ている生徒がいた。

次回、彼女が波乱を巻き起こす!
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