インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~   作:たちゅや

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十四話

 龍也は凰の『戦いたい』という声にすぐに応えた。

 

「嫌だ」

 

 拒否の一声に凰は強張った表情を浮かべたが、彼はすぐに言葉を続けた。

 

「クラス対抗戦が近いのに他クラスの代表の実力を知るのは卑怯だと思うんだ。俺が凰さんと戦って得た情報を一夏に伝えれば、こちらはかなり有利になるし対応もしやすくなるしね。だから、対抗戦が終わった後でなら良いよ」

 

 今しがた行っていた訓練で一夏の実力は知られたが、クラス対抗戦までにもっと力を伸ばすことはしてやれる。最も、IS初心者という事には変わらないので、こちらは何も傷まない。

 だが、凰は違う。彼女は代表候補生なのだ。今の一夏が戦ったなら、勝負にもならないだろう。龍也なら五分の勝負をするかも知れない。そうすると、凰のISの特性や武装の情報を隅々まで理解できる。

 それはあまりにも有利過ぎて面白みに欠けてしまうのだ。と、あくまでこれは龍也の個人的な考えである。

 一組としてはこんな美味しい情報を頂ける勝負を捨てるのは、非常に勿体無い。

 

 凰は彼の言った言葉に納得したのか、

 

「……それもそうね。アンタの言う通りだわ。じゃあ、クラス対抗戦が終わったら戦ってもらうからね」

 

 そう言い観客席を後にした。

 

「はぁ、面倒な約束をしちゃったな。ま、とりあえずは一夏の訓練が最優先だな」

 

「いやいや。それよりもこっちはお前が何者なのか気になって仕方ないわ」

 

 一夏の言葉に篠ノ之もオルコットもうんうん、と頷くのであった。

 あのなぁ、と龍也はため息をついた。

 

「とりあえず着替えて夕飯にしよう」

 

 三人ともそれに賛同しアリーナから出て行った。

 

 

 

 

 元々IS学園は女子高のような物だったので、男性用の更衣室というのは無かった。

 急場で作られた更衣室はあまり広いとは言えなかったが、男二人が使うには丁度良い広さだった。

 小さいがシャワー室もあった。

 

「一夏、シャワー使うか?」

 

「いや俺は部屋で浴び……先に使わせてもらいます」

 

 篠ノ之と同室の一夏は二人で決めたルールで、先にシャワーを使うのは篠ノ之という事を思い出し、先に使わせてもらうことにした。

 龍也はそれじゃ、どうぞ、と譲りISスーツを着たままで待つことにした。

 

 さすがに部屋まで汗臭いままで行きたくないしな~。刀奈がいるならまた別だけど……。

 

 などと考えていると更衣室の扉を叩く音が聞こえた。

 

「ん~どちら様?」

 

「篠ノ之だ。私たちは先に食堂に行っているぞ」

 

「了解。席を取っておいてくれると助かる」

 

「分かった。あまり遅くなるなよ」

 

「はいはい。お嬢さん方を長く待たせないようにはするさ」

 

 足音が遠くなったのを確認し、一夏はまだか、と思っていると再度、扉を叩く音が聞こえた。

 だが、先ほどよりも軽い音だったので篠ノ之ではない事は分かった。

 

「どちら様?」

 

「凰よ。一夏はまだいる?」

 

「まだシャワー中だよ。急用か?」

 

「ううん、だったらまた後でいいや。じゃあね」

 

 そう言い彼女はそそくさと去っていった。

 ふむ、と考えるような仕草をする。

 

 あれか。彼女も幼馴染とか聞いたが……。一夏はフラグをよく建てるなぁ。これは篠ノ之さんも大変だな……頑張れ!

 

 心の中で彼女にエールを送る龍也であった。

 そうしているとシャワー室から一夏が出てきた。

 

「ふぅ……さっぱりしたぜ」

 

「お、では俺も浴びて来るかな。あ、一夏。二人とも先に食堂に行ってるってさ。俺はすぐに行くからさ、先に食堂に行っててくれよ」

 

「おう、龍也も早く来てくれよな。男一人だとあの周囲の視線に耐えれないから……」

 

「……了解だ」

 

 哀愁漂う一夏の背を見送りながらシャワー室へと入っていく龍也。

 

 一方、一夏が更衣室から出るとそこには先ほど来た凰が再びいた。

 

「あれ? 鈴、どうしたんだ?」

 

「あ……い、一夏に聞きたい事があって……」

 

 待ってた、と小さく呟く彼女は小柄な背も相まって愛らしく見えた。

 うっ、と一夏も一瞬、なんだこの小動物は、とたじろいでしまった。

 

「え、えーと、聞きたい事って何だよ?」

 

「え、いや、その……む、昔した約束って……覚えてる?」

 

 ん? と首を捻る一夏。

 約束……約束……? えっと、なんだっけ? 何かの罰ゲームの奴だっけ。違うな。

 

 鈴はちらっ、ちらっとこちらの表情を伺っていた。

 

 うーん、鈴の様子からすると大事な約束だよな。思い出せ、思い出すんだ俺!

 

「もしかして、覚えてない?」

 

 不安げな様子で一夏を見る鈴。

 その時、あ、と思い出した。

 

「あ、あれか。鈴の料理の腕が――」

 

 一夏の発言に鈴がそうそう! と反応した時だ。

 更衣室のドアが開き、

 

「何だ一夏、まだいたのか? 先に行っててくれって言ったのに」

 

 すっかり爽やかになった龍也が出てきたのだ。

 一夏が振り返り、

 

「おお、龍也か。いや、ちょっと鈴と話をしていたんだ」

 

 すると彼は怪訝な顔で、

 

「え? 一夏さ、お前一人しかいないよ?」

 

「はは、そんな馬鹿な」

 

 一夏がもう一度、鈴に視線をやると、彼女はいなくなっていた。

 ……いつの間にいなくなったんだ。

 




次の次くらいがクラス対抗戦になる予定!
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