インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 作:たちゅや
(一部訂正)
ブキヤ地下アリーナ。ブキヤ所属のパイロットの訓練に、武装のテストがされるこの場所で今、二人の男が戦っていた。
別室では刀奈に篠ノ之、オルコット、凰が食い入るように見ていた。
その後ろでは多数の機器を用い、データを取っているアキ達がいた。
たくさんの人々が見守る中で、秋野龍也はスラスター内蔵の増加装甲を付けた新たなバーゼラルドを纏っていた。
織斑一夏は白式を使ってはいるのだが、両の腰にはバーゼラルドが使用していたプロペラントタンクを装備していた。
彼のISには後付け装備すらつけるスペースが無かったのだが、他者の武装でも許可を出せば使用可能、という仕様を用いてプロペラントタンクを使っている。
二人は互いの獲物を持ち、広いアリーナ内を縦横無尽に駆け巡りながら斬り合っていた。
増加装甲をつけ重くなった、であろうバーゼラルドだが速さが更に上がっていた。
白式もプロペラントタンクをつけていることで、エネルギー管理能力に乏しい一夏でも、気にせずに瞬時加速を使いまくることが出来ていた。
さて、どうして二人が戦うことになったのか、それは数日前までさかのぼる。
●
龍也と刀奈が千冬達と別れて部屋に戻ってからすぐの事だった。
戸を叩く音がした為、誰が来たのか、と尋ねると一夏達だった。全員が真剣な眼差しでこちらをみていた。
何事だ、と龍也は思いながら声をかける。
「一夏に篠ノ之さん、凰さんにオルコット嬢か。お揃いでどうしたんだ ?」
「龍也。少し、中で話させてもらってもいいか」
そう言う彼の声は少々強張っていた。
ふむ、と龍也は全員を部屋に招き入れた。
中では刀奈が既に全員分の飲み物を用意し待っていた。
用意が早いな、と思いながら椅子の数が足りないので、ベッドに座ってもらったりし話を聞くことにした。
だが、その前に一夏は刀奈と初対面だったので紹介した。
「そうだ、一夏。話の前に楯無を紹介しておくよ。俺の同居人で、嫁になる予定の更識楯無だ」
「もう、龍也。嫁になる予定じゃなくて、嫁になるんです ! っと、IS学園の生徒会長もやっている更識楯無よ。もし、何か困ったことがあったら言って来てね、織斑君」
こう紹介するとひどく驚いていた。一体、どこに驚く要素があったのか分らない龍也だったが、周囲の人間はダメだ、コイツ、と脳内ツッコミを入れていた。
「で、一夏。話って何だ ?」
「あのアリーナに乱入してきたISについてだ」
彼には十分な話が聞かされなかった。あの時も不満があった。納得できたわけではないのだ。だから、龍也に訊ねてきたのだ。
なるほど、自分だけ聞かされなかったのが不満だったのか。分らないことはない。
だが、知ってどうしたいんだろうな。
「一夏や皆もそうだが、それを知ってどうしたいんだ ?」
「俺は……ISに触れてまだ少しだが、あいつ等が危険な存在だというのは分る。だから、巻き込まれただけで終わりたくないんだ。次に同じことが起きたら、誰かを護れるように、龍也の様にすぐに行動したいんだ」
一夏の言葉に皆が私たちも同じだ、と答えた。
刀奈は複雑な顔で彼らを見、龍也の服を引っ張った。
『どう答えるの ? この子達、かなり真剣よ』
そう言っているかのような眼で訴えるが、彼はにこやかな顔で応え、彼らに話し始めた。
「お前達の意思は分った。でも、まだ足りない」
足りない。彼はそう言ったのだ。
何が足りないのか。
「俺と同じように動きたい ? 力のないお前たちに何ができるんだ ?」
言葉に伴う力が彼らにはまだ無い。まだまだ未熟なのだ。
「……確かに、俺にはまだお前のような力は持っていない未熟者だ。だけどっ !」
一夏の言葉と姿勢から彼は少なからずの意地と覚悟を感じ取った。
単に不満だけがあるのなら言わないでおこう、と思ったが……今の段階なら及第点と言えるか ?
しかし、一夏はヒーロー気質というか熱血漢というか。よし、もっと鍛えてやろう。
などと思いながら、
「ふっ……。及第点かな。良いだろう、教えてやるよ。あのISの正体を」
その言葉に一夏が喜び、先を促した。
「……初めに言っておくが、聞いたことは他言無用だぞ ? 他に漏らしたら……命は無いと思え」
一言脅しだけ入れておき続きを話す。
「さて、あのIS達は無人機だ。使われていたコアも未登録の物だったよ」
「無人機って……。ISは人が乗らないと動かないんだろ ?」
続けてオルコット嬢が、
「使われたコアも未登録と言う事は、まさか……」
「そうね、あたしたちはISの全てを理解している訳じゃないし。そんな事ができるとすれば」
凰がオルコットの言葉に付け加え、最後に篠ノ之が言葉を紡いだ。
「……姉さんがこの事件を仕掛けた ?」
そうだとすれば、と思うとあのアホ姉さんめ……と篠ノ之は唸っていた。
「だから、他言無用な」
龍也は用意してくれた飲み物に一口つけてから、念を押すように言った。
聞いてしまえばあっけない事実だが、内容は衝撃的なのだ。
無人で動くIS。それを製造できる篠ノ乃束。さすが天災というべきなのだろうか。
一夏も事実を知ることが出来、満足していた。
それを感じ、龍也が話を収束させるのに、
「と、いうわけでこの話はここまでな」
そう言うと、凰が一番に訊ねた。
「はいはーい、最後に聞きたいんだけど、あんたのバーゼラルドが使ってた武装なんだけど、あれなによ ?」
「あれは武装のリミッターを解除しただけだぞ。お前たちのISは知らないけど、俺のフレームアームズ型ISは基本、軍用と思ってもらっていいからな。普段はリミッターをつけて競技用の出力まで落としている」
「……初耳なんですけども。龍也さん、それって大丈夫なんですの ?」
オルコット嬢が言う意味はIS委員会等から法律違反云々とかで何か言われないのか、また各国から突かれないのか、という点であろう。
彼はふふ、と笑った。
「大丈夫だよ、オルコット嬢。その為にIS学園に来たんだよ」
どういう意味だろうか、とは訊ねなかった。
彼が続けて話してくれたからだ。
「IS学園にいれば各国からの干渉は避けることが出来る。IS委員会については……、まぁ言ってしまってもいいか。日本政府から圧力をかけてもらっている。俺の邪魔をするな、てな」
どうもこの発言はいけなかったのか、彼らは唖然としてしまっていた。
ただ、オルコットと凰は龍也が政府と関係しているのを知っているので普通だったが。
「こら、龍也。あなたのそういう身分はおいそれと人に言うもんじゃなかったでしょ ?」
「そうは言うがな。こっちも説明するのって面倒なんだよ、楯無さんや ? ま、俺はただの学生でもブキヤのテストパイロットだけでもない、という事。もちろん、この事も他言無用でお願いするよ」
刀奈に窘められるが、彼は気にせず少しの事実だけを伝え濁した。
「さ、本当に話は終わりね !」
パンッと手を叩き、完全に話を収束させ、別の話題を龍也は提供した。
「ところで、クラス対抗戦でゴールデンウィークのずれた休みが明後日から始まるけど、みんなは予定とか決まってるのかな ?」
「俺は特に予定がないかな」
「私も無いな」
「ワタクシもないですわ」
「あたしもないわー」
一夏に篠ノ之、オルコット、凰が順番に予定がないと答えた。
すると、刀奈が、
「もしかして龍也、この子達も一緒に連れて行く気なのかしら ?」
「あぁ、そのつもりだ」
「……まぁあなたが良いって言うならいいけど」
彼女は呆れたように言うが、ぼそぼそと二人きりの時間が減っていく、と言っているのを龍也は聞いたが、埋め合わせはまたするから、というのを本当に小さな声で伝えた。
刀奈はしっかり聞いたのか満足気な表情をした。
「そうか、予定は無しか。もし、なんだが良かったらブキヤに一緒に来ないか ?」
え ? という顔をする面々に彼は、
「実はバーゼラルドの新武装の受領とテストがあるんだが、みんなに手伝ってほしくてね。それに、ISを造ってる企業の見学って中々出来ないと思うんだ。良い機会と思わないか ?」
「まぁ、確かにそうだな。でも、テストに付き合うって何をすればいいんだ ?」
一夏の問いに龍也は笑顔で言う。
「簡単だよ、俺と模擬戦してくれればいいだけだから」
行きあったりばったりで書いてるので、
そろそろ、ちゃんとストーリーを定めないとミカンの罠が迫るぅ。
と、いうのは置いておきまして。
ついに、アレが出ました。
バーゼラルドといえば、アレですが、アレです。
でも、本格的な動きは次回の話ですね。
あと、白式につけたプロペラントタンクについですが、
原作ではシャルが銃を一夏に使用許可を出して貸していましたよね。
あれがどの程度、許されるのかが分らないんですが、
ねつ造設定として、武装以外の補助装備も許可を出せば使用できる、としています。
次回からシャル達が転入してくるまでは、しばらくはブキヤでのお話が中心になっていきます。
どうなるんでしょうねぇ、フヒヒヒ。