インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 作:たちゅや
対峙するゼルフィカールと白式。
真っ先に動いたのは龍也だ。
「ゼルフィカールッ ‼ お前の力を示せっ ‼」
全身のスラスターを吹かし、勢いよく前に出た。その速さは既にバーゼラルドを超えており、瞬く間に龍也は詰めていた。
一夏はその速さに驚きながらも、眼の前に振りかかる刃を雪片二型で受け止めた。
速さが乗った一太刀の重さに彼は歯を食いしばる。
速いし、重すぎるっ。
そう思う彼だが、訓練の賜物か次の動きは早かった。
受け流しながら自身は龍也から見て左を抜けるように移動、雪片二型を左片手だけで握り、左から振り向きざまに彼の背中を斬ろうと攻撃をしかける。
龍也は前方に跳躍し、彼の攻撃を避け着地と同時に方向転換。一夏を見据え、次の手を繰り出す。
放つは自身が最も得意とする技。
すっ、と左手を腰に当てると刀の鞘が出現する。素早く納刀し同時に突貫する。
「抜刀術……。龍也は少し本気みたいね」
モニターで観戦している刀奈が言う。飛鳥もそうだね、と頷いていた。
対する一夏はその技を訓練中に何度も受けていた為、動きを見ただけで一瞬、体が硬直した。
だが、すぐに体に鞭を打ち自身も同じように抜刀術の構えを取る。
雪片二型には鞘がないので左手で刃を握ってだが。
あの技は龍也の十八番。今度こそ、止めて見せるっ。
一夏は訓練中にこの技を止めることが出来ず、いつも吹っ飛ばされていた。
きっと、一夏は今度こそ、とか思っているんだろうが甘いぞ。
龍也は瞬時加速で更にスピードをあげ、射程距離に一夏を捉えると思いっきり右足で地を踏み込み、抜刀する。
秋野流剣技の壱の型である抜刀術・一閃だ。見る人によっては雷光のようだった、と称される技だ。
「ここだあぁっ ‼」
一夏が咆哮の如く叫びながら、抜刀する。
龍也の方が攻撃速度は速かったが、何とかタイミングを合わせることができたのか、重い金属音が響きつばぜり合いになった。
内心、龍也は感心していた。
「……よくタイミングを合わせたな一夏」
「お前に厳しく鍛えられたからな、これくらいはそろそろできないとっ」
巧くいったことに笑みを浮かべながら一夏がそう言う。
「ま、その抜刀の仕方を教えたのは俺なんだけどね」
ISを駆る時の一夏には幾つか欠点がある。それはまだ経験不足故の欠点がほとんどだが、龍也が一番気にした点は必殺技だった。
ここぞ、という時の技。
必ずしもではないが、熟練のIS操縦者は最も自信とする技(というべきか、テクニック)を持っている。
一夏を鍛え上げていた時に、この点を指摘し一つの技を与えたのだ。
それが、鞘のない雪片二型での抜刀術。
雪片二型の根元を左手で掴み、ひっかけるような形で抜刀。ISのパワーアシストを利用してはいるが、目にも止まらない速さで放つことが出来、教えた龍也からも才能がある、と太鼓判を押された技である。
……しかし、これが俺の好きなライトノベルの主人公の技というのは、口が裂けても言えないな。
フルフェイスの中で龍也は苦笑していた。
そう、彼が使う剣技には架空の作品の技も幾つか再現したものがあるのだ。父親から継いだ剣技もあるが……。まぁ、この話はまたどこかで。
龍也は表情を改め、このつばぜり合いを終わらせる為に動く。
「一夏、ついて来いよっ !」
左右の腕部ブースターを吹かし、一夏の剣を弾きながら左足で白式を蹴り飛ばす。
一夏はとっさに自ら後ろに飛びダメージは軽減させたが、反撃を行おうと体勢を整えた先には彼の姿が消えていた。
モニターしている者たちも龍也が消えた事に驚いていた。
「画面から見えなくなったぞ ?」
篠ノ之の言葉にオルコットや凰も同様の事を話す。
「一夏さんに蹴りを入れた瞬間に消えたような……」
「ええ。蹴って後ろに飛んだ様な気もしたけど……」
「消えたんじゃなくて、あのアリーナ内を縦横無尽に飛び交っているんだよ」
そう言うのはアキさんだ。
彼はスタッフに超スローカメラの映像を出すように指示を出した。
大画面の一部にワイプで超スローカメラの映像が映し出される。
場面はゼルフィカールが白式に蹴りを放った後だ。命中したと同時に、全身のスラスター及びブースターが点火し物凄いスピードで飛び上がったのだ。
次にアリーナ全体を俯瞰している映像に切り替わったが、何やら一夏の周囲を高速で動き回っているのか、残像のような物が映っていた。
「アレが増加装甲のスラスターのリミッターを外したゼルフィカールの速度だよ。一夏君はハイパーセンサーでギリギリ追いかけられるんじゃないかな ?」
語るアキさんの表情は不機嫌そうだった。
刀奈が彼の表情に疑問を持ち、尋ねる。
「アキさん、何だか機嫌が悪いようだけど何か ?」
「ん……いやぁね、楯無ちゃん。アイツ、ゼルフィカールに使ってる増加装甲が試作機だってこと忘れてるんだよ。リミッター解除しての運用なんて考えてないから、その内、爆散すると思う」
だが、誰も爆散することには不安を感じず、ただスタッフ一同が頷き嘆く。
「あのアーマー作るの手間なんですよね……試作機だから製造ラインの確保もしてないし……」
「使ってるスラスターもワンオフ品だからなぁ。アレ造ってる職人さん、今は他を造ってるから次の注文まで何か月か待ちかな……」
等と不満を口々にする中で誰一人として龍也本人の心配をしない彼らだった。
刀奈達も聞けば必ず、
『だって、龍也だしなぁ。死にはしないだろう』
と返すだろう。それだけ彼は別格なのであった。
――そんな事は置いておき、一夏はハイパーセンサーによる視覚強化で何とか龍也を捉えていた。
「ついて来いってこういう事かよっ !」
縦横無尽に駆け回るゼルフィカールを何とか視界におさめるべく、瞬時加速で追いすがろうとするが直線的な動きでしかない動きでは、高速でターンし動き続ける彼に追いつけない。
技術として、瞬時加速によるターンはあるがマスターしている人物は指で数える方が早い。
龍也がいともたやすくやっているのは、全身の増加装甲部のスラスターがフレキシブルに動き、オートで各出力を調整しているからだ。
さてさて、一夏よ。どうするかな ?
こういう状況での仮想訓練は彼に施してきた。
だから、一夏はこうすることにした。
縦横無尽に動く龍也に対して彼が取った行動は……。
追いつけないなら、向こうの攻撃の瞬間を狙うっ。
一夏はいつでも零落白夜を発動できるように、ハイパーセンサーで彼の動きを追い続ける。
龍也は待ちの戦法に移ったことを評価した。
「そう、むやみに動く必要は無い。エネルギーがあるからと瞬時加速の多様をすれば、ここぞという時に決定打を打てなくなる。だから、向こうが来るのを待てばいい」
高速で移動しながら、彼の呟きは一夏にしか聞こえていない。
「ああ、あの漸雷との訓練で得た俺の戦い方だ」
「俺もゼルフィカールの限界スピードを体感できたし、仕掛けさせてもらうぞ」
龍也は刀を収納し、大型両刃剣ベルングルストを持ち一夏を討つべく動きを変えた。
彼の周囲を、円を描くように移動していたが一夏の真上に飛び上がり、剣を上段に構える。
「上から !」
一夏は視線を上げ、剣を下段に構える。
同時に零落白夜を発動。雪片二型の刀身が展開しまばゆい白の輝きが刃を形成する。
「はああああああっ ! 一刀おおおっ両断ぅっ ‼」
龍也が全てのスラスターを上に向け一気に噴射し、地上へと高速で落下していく。
「うおおおおおおっ !」
落下してくる龍也の刃に合わせるべく、剣を振り上げる。
重なり合う刃と刃。
ぶつかり合う金属音がアリーナを支配する。
だが、僅かに均衡したかに思えたそれも、零落白夜の刃がベルングルストの刃を砕いていく。
砕かれていく刃を見て一夏は勝てる、と思ったが、
「浮かれるなよ一夏っ ‼」
砕かれた刀身だが、このベルングルスト。ユナイトソードを元に開発されている。
だから、当然ギミックもあるのだが、これを知るのは彼とスタッフのみ。故に、一夏は斬られた。
「えっ……」
龍也が地上に着いたと同時に、胸部と腹部をX字に斬られ、絶対防御が発動しSEが一気に減少。その事実を受け止められず、一夏は龍也の手に持つ武器を二度見した。
彼が両手に握っていたのはベルングルストを分解した細剣リハルー。
「……相手の獲物が一つとは思わないことだ。こんなギミックを隠し持ってるかもしれないしな」
最後に覚えておけよ、と言いながら返す刃で更に攻撃し白式の大量にあったエネルギーを尽かせた。
「……く、分かったよ」
悔し気な顔をする一夏だが、自身の負けを認めて白式を解除した。
「勝ったと思ったんだけどなぁ~」
「良い筋にはなってきたよ。あと一年、ちゃんと訓練すればもっと強くなれるさ」
そう語る龍也もゼルフィカールを解除し笑っていた。
まさか、3月は一回しか投稿しなかったとか自分を疑いたくなる。
ええ、ニーアオートマタに超、夢中になっていました。
面白かったです。主要エンディングは全部見たので、今は武器やサブイベントの回収作業中です。
この後にもホライゾンと無双スターズが待っている……。
いやぁ、今月はちゃんと毎週投稿できるようにしたいなー。