インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~   作:たちゅや

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GWで更新を忘れてて、推敲せず一気に書いたので誤字脱字はあるかもっ!




三十話

 太平洋のとある孤島。

 篠ノ之束はここを拠点の一つとし、無人ISであるゴーレムの改良と製造を行っていた。

 IS学園に送ったゴーレムは瞬殺されてしまった為に、バーゼラルドの戦闘データを分析し強化していたのだ。

 ……内心、悔しかったのだ。

 FA型ISの方が強かったことに。

 

 それ故に、より強さを、破壊力を求めた。データ上ではバーゼラルドを超えた。

 これで、アイツを倒し我が物にできる、と思った。

 

 しかし、現実は違った。

 

「フフフフ、アーハハハッ ‼ 楽しませてくれるね二人目君っ ‼」

 

 自信作が破壊される事に束は歓喜していた。

 憎悪よりも歓喜が勝ったのだ。自分の予想を超える者がいる事に、だ。

 

「パーティーはこれからだよ~二人目君」

 

 そう、これはパーティーなのだ。

 たった二人だけの。

 だから、

 

「私が相手をしてあげる」

 

 彼女は彼の前に光臨した。

 

 

 

 

 目の前にはおよそ四十のゴーレムⅡの骸があった。

 よくもまぁ次から次へと出てきたな、と感心しながら次に進むべき道を探す龍也。

 

「む……壁ばかりか。何かギミックがあるんだろうが、どうしたものか」

 

 おそらく束は地下にいるだろう、と踏んでいるので下を目指したいのだが。

 思案しつつも、半ばセグメントライフルのチャージショットで床をぶち抜こうかと思い立ったところで、足元から地響きが聞こえてきた。

 

 何かが上にやってくる ⁉

 

 そう感じた瞬間、後方にバックステップすると床がせり上がり、お立ち台のような物に乗った篠ノ乃束が現れた。

 

「やっほーみんなのアイドル、束さんだよ~」

 

 ……ウサ耳に不思議の国のアリスのような服装、本当にそれが私服なんだな。

 

「やぁやぁ、二人目君。よくもまぁ、派手にやってくれたねぇ」

 

「いえいえ、もう少し派手にやりたかったんですけどね。武装の方がどうも地味な物ばかりで」

 

 そう言いながら龍也はバーゼラルドを解除した。

 彼はふぅ、と息を吐き呼吸を整える。

 気を充実させ、全身に力を活き巡らせる。

 

 何とも予想外の行動に驚いてはしまったが、この人はこれが普通なんだろうな。

 

 力が四肢に漲るのを感じながら、龍也は一つ、己がココに来た目的を果たすことに決めた。

 束は彼の変化を見ながら、何かがあってもISに使われる防御用のエネルギーシールドを展開する準備をしていた。左手に持つスイッチを押せば、瞬時に展開され彼の攻撃を受け止める事ができる。

 生身の攻撃だろうが、バーゼラルドでの攻撃だろうが関係なく、だ。

 だが、彼の行動は彼女の常識を覆すものだったのだ。

 

「……は ?」

 

 束は呆けることしかできなかった。

 目の前の龍也があまりにもおかしかったからだ。

 今の彼は自分の前で“土下座”をしていたのだ。

 

 しかもだ。

 

 龍也はこちらにジャンプし宙返り、ローリングしながら頭を床に叩きつけてのダイナミック土下座だったのだ。

 

「申し訳ないっ ! 博士の宇宙への夢の翼だったISを兵器として使い申し訳なかったっ ‼」

 

 まさかの謝罪に思考が追いつかなかった。

 一体、こいつは何をしに来たんだ ? 謝罪をするならゴーレムは破壊しなくても良かったんじゃないのか ? 等と考えるが凡人の考える事はよく分からない、と結論する。

 時間にして三分ほどだろうか、彼はそのある意味で美しい土下座を続けていた。

 

「さて、謝罪は終わりにして」

 

 龍也は立ち上がると、先ほどまでは誠心誠意の態度で謝罪をしていたのとは打って変わり、敵意をむき出しにし強い口調で言葉を放った。

 

「篠ノ之博士、先日のIS学園への無人機襲撃の件は見過ごすことが出来ないっ ‼ ヴァイスハイトを再現したISの製造についても説明を求めるっ ‼ なお、納得のいく説明が無い場合、俺はあなたを再起不能にするつもりだ」

 

 彼の言った事は完全な脅しである。

 

「はぁ ? 変な言いがかりはやめてくれないかな ? それに脅したって無駄だよ。束さんには――」

 

 束はそこで口を閉ざした。なぜなら、眼前には龍也が背負っていた機殻剣を突き付けていたからだ。

 視認できない速さでの抜刀。

 頭脳だけではなく、身体能力でも束は“天災”クラスなのだが、眼で追いきれなかった。

 自分の中でコイツの評価を変える必要があるか、と思案する束。剣先が目の前にあろうが、今の彼女は好奇心が勝るのであった。

そんな彼女に呆れながらも龍也は、

 

「篠ノ之博士、これは冗談じゃない。俺は納得のいく説明が無いなら、ココであなたを再起不能にする覚悟と力がある」

 

「へぇ……じゃあ、試してもらおうかしら」

 

 ニヤァッと歪な笑みを浮かべ、束の姿が変わった。

 龍也は剣を戻し、対象を観察する。

 日本武者のような紅い鎧の装甲に身を纏い、背部には二本の刀がマウントされていた。

 また、腕部及び脚部の一部には青く輝く結晶体が装着されている事に気づく。

 これはどう見ても……。

 

「君の好きなFAのマガツキ、だっけ ? これを再現してみたよ」

 

 どう、似合う ? 等と抜かす束に龍也はただただ、黙って直視するばかりであった。

 

 月面側勢力にして防御に定評のあるマガツキか。再現度は高い、がTCシールドはT結晶体もしくは類似した技術が無ければ再現はできないだろう。

 では、どうするか。

 答えは簡単。こちらの力を示すのみだ。決めれば行動は早い。

 

「もう一度言うよ、篠ノ之博士。納得のいく説明をして欲しい。でなければ――滅するぞ ?」

 

「え~だから――」

 

 再度、通告したが答えを聞くは無かった。

 

 少しだけ本気を出してやろう。――我が儘ばかりを言う子供を叱り、矯正だ ‼

 

 脳内の神経伝達を意図的に操作し、通常なら段階的に上がっていくべき運動速度を初速から最大速度で動くようにして踏み込み、右の袈裟斬りを放つ。

 持っている機殻剣には“文字には力が宿る”の概念が付してある。

 機殻に書かれている文字は【最強の剣】だ。攻撃200になる名前だ。

 ……それは置いておき、実際の性能はISに使われる装甲材やエネルギーシールドすら叩き斬るくらいの攻撃力を有する物になっていた。実際に、自社で確認済みの性能だ。

 

 龍也の斬撃はマガツキの左肩から胸部装甲を切り裂く。

 

「なっ ⁉」

 

 無意識に束は一歩後ろに退いた為に致命傷は避けることが出来たが、まさか破損するとは思っていなかった為に声を上げてしまった。

 

「……続けるか ?」

 

「アハ、勿論っ ‼ 私も本気になれそうだからねっ ‼」

 

 束は背中の二刀を握り抜刀と同時に龍也に襲い掛かる。

 龍也は返す刃で二刀同時に弾く。重い金属音が響くが、マガツキの二刀は折れてはいない。よほど硬い材質を使っているのか、刃こぼれもしていなかった。

 

 なんと。概念で強化してある剣で斬れない材質……だ、と ?

 

 龍也も手に響いた衝撃に驚き、そんな事を考えるが意識は攻撃指示をだしたままだ。故にまだまだ攻撃は続ける。更に一歩前に踏み込みながら両手で剣をしっかり握り、唐竹割りを放つ。

 束はバックステップで下がりながら、左の刀を振り衝撃波をお見舞する。

 

 な、剣圧で衝撃波を出すだと ⁉ ただの科学者じゃないか !

 

 舌打ちをしながらも、機殻剣の腹で受け両足に力を入れ踏ん張った。

 

 そうか、篠ノ之家は剣術を教えていたんだったか。束博士も習得していると考えるのが妥当だな。なら、その実力を見せてもらおう。

 

 防御態勢の彼に束の攻撃が迫る。

 彼女はわずかな間合いを瞬時加速で詰め、左右の刀による連続斬りを繰り出してきた。

 交互に繰り出される剣戟に龍也は暫く防御の姿勢を取った。

 

 防御をしたね、それは悪手だよ ♪

 

 束はマガツキの背にヴァイスハイトを再現した際に造った武装、ベリルショットライフルを展開、固定し銃口を龍也に向けるのであった。

 彼は銃口を目にしても恐れなかった。

 むしろ順当すぎる手段、予測していた行動だった為、自身も対応する動きを行った。

 それは、彼女がベリルショットライフルを放つのと同時であった。

 

 

 

 

 同時刻、日本国内の某高級ホテル。

 スゥイートルームの一室で“彼”は夜空を眺めていた。

 窓は開け放たれており冷たい風が頬を撫でる。空を眺める眼には美しい満月が映っている。

 普通なら綺麗だな、等と思うのだが彼の内心は荒れていた。

 

 あぁ、どうして自分はこんな所にいるのだろうか。

 

 自分ではどうにもすることのできない事態に巻き込まれ、運命を弄ばれている。

 

 本当なら……あんな所に行きたくも、ISにも関わりたくもなかった。

 

 待機状態のISを握る手には自然と力が込められていた。

 しかし、彼――シャルル・デュノアは目的を達するまで帰る事は出来ない……。

 

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