インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~   作:たちゅや

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三十四話

 秋野龍也はタイミングを伺っていた。何の、と聞かれれば教室に入るタイミングである。

 この男、ようやく任務を終えシャルル・デュノアが転入してくる今日に学園に戻ってくることが出来たのだ。

 忙しかったな、とため息をつきながら同時に朝のHRには遅刻だ、とも焦り教室の前まで来たのだが聞こえてくるのだ。

 女生徒の黄色い声が。

 思わず耳を塞ぐが、何なの ? と中の様子を伺うとシャルル・デュノアの容姿などに女生徒達がわぁわぁ、と歓声をあげているようだ。どうやら、転入してきた挨拶の時間のようだ。

 

「……でもさ、その体のラインを見るとどう見ても女だよ」

 

 事前に分かっているからというわけではなく、どう見ても女にしか彼には見えなかったのだ。

 世の中には“男の娘”というジャンルがあるのも理解はしているが、これは該当しないだろう……、と思う龍也であった。

 

 そんな事を考えていると、教室に入れなかったのだ。

 

「しかし、どうしよう。この中で入るのは勇気がいるな~」

 

 うーん、と思考するが良いタイミングが来た。

 

 おや ? もう一人はラウラじゃないですか。いつ見ても小動物ぽくて可愛いのぉ。

 

「そうか、彼女もやってきたのか」

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツの代表候補生で軍人だ。少しだがドイツ軍と共に仕事をしたことがあり面識はある。毅然とした態度で一つの部隊を率いている彼女に感心した事を思い出す。

 しかし、彼女の表情を見ると芳しくはない。

 よく見ると、一夏に対して並々ならぬ敵意を現していたのだ。

 あからさまな意思表示に気が付いているのは自分と千冬だけのように思える。

 千冬が彼女に挨拶を促すが、自身の名だけを告げて一夏に近づいていく。

 

 お、これは……。

 

 何かやるな、と自分も割って入れるようにドアに手をかけておく。そうしていたのは功をそうした。

 一夏は自分に近づいてきた彼女を不審に思ったが、次に取った行動には反応が出来なかった。

 

「いやいや、転校初日で問題起こすとかやめようなラウラ」

 

 振りかぶった右手は後ろに現れた龍也によって掴まれていた。

 

「……誰かと思えば龍也か。相変わらず気配を察知させないな」

 

 握られた腕を振りほどきながら、彼女は冷静に龍也を見る。

 久しぶりの再会だが、眼は笑っていない。邪魔をされ、苛ついているようだった。

 

「えっと……ありがとうなのか、龍也 ?」

 

 一夏はとりあえず礼を言うが状況はよく分かっていない。龍也はにこっ、と笑みを浮かべ、千冬の方を向き事態の終息を促す。

 

「……お前達、もういいから席につけ。それから、龍也。遅刻だぞ」

 

 千冬はやれやれ、といった態度でそれぞれを席につかせた。

 

「はーい、遅刻は以後、気を付けます」

 

 さて、ではシャルロットちゃんの出方を見ますかね。

 

 

 

 

 一限目は二組との合同での実技であった為、アリーナに集合だった。

 転校生、しかも“三人目の男”の登場に他クラスの生徒達も興奮気味に移動する彼らをつけまわした。

 龍也は一夏とシャルルを置いて、一人窓から身を投げ出し、まるで忍者のように壁を走り去っていった。ニンジャ、キタナイ。

 なんとか二人も更衣室に辿り着くが、一夏は彼に対して“何か違う”という印象を抱いた。

 

「なぁ、シャルル。何で俺が服を脱ぐ度に悲鳴をあげてるんだ ?」

 

「え ? い、否、ちょっと特殊な環境でそ、育ったからあまり……ね ?」

 

 赤い顔をする彼だが、どうも煮え切らない。

 だが、今は余計な雑念は捨てざるおえない。次の授業の担任は我が姉であり鬼教師である織斑千冬である。遅れれば、何が待っているか分らない。

 かつて、授業に遅れた際は実技の訓練だ、と打鉄を纏った姉との十連模擬戦があった。

 故に、今思った印象等は脳内の片隅に置き、さっさとISスーツに着替える。

 

「ま、いっか。それよりも急ぐぞっ ! 千冬姉は授業に遅刻する者に凄い罰を与えるからなっ !」

 

「わ、分かったよっ ! こっち見ないでねっ !」

 

 男の裸なんて好き好んで見たくないっ ! と思うが、一夏は着替えを進めていく。

 一般的にISスーツは女性用に造られている為、彼女達にはとても着やすいもの。一方、一夏とシャルルの物は、スキューバダイビングのスーツのように露出している部分は頭と手足のみ。

 着るのに手こずるのである。で、あれば最初から制服の下に着ておけばいいのでは ? と考えもする。うん、正解だ。

 シャルルは制服の下にISスーツを着ていた為に服を脱げば終了だ。

 一夏も次からはそうするか、等と呟きながら着替え終わる。

 

「よし、急ごうっ !」

 

「う、うんっ」

 

 一夏が自然とシャルルの手を取り走り出した。

 彼としては二人で遅刻は避けたいという一心から出た行動だった。が、シャルル本人はもう顔から火が出るのではないか、というくらい赤くなっていた。

 

 ダメだよぉ、恥ずかしすぎるよっ。

 

 “彼”いや“彼女”としてはもう男を装うのはとっとと辞めてしまいたいと強く強く思うのであった。

 

 

 

「……うん、ギリギリ間に合ったな。さっさと列に入れ」

 

 何とかギリギリで間に合った二人に千冬は授業を始める為、列に入るよう促した。

 間に合った事に安堵しながら、一夏とシャルルは先に来ていた龍也の後ろに並ぶ。彼は遅かったな、と言うが二人はコイツ、何言ってやがるといった視線で返事をしてやった。

 

「今日から射撃及び格闘武器の実戦を始めるぞ。まずは早速だがオルコット、凰の二人は前に出てこい」

 

 授業開始のチャイムが鳴り、千冬はセシリアと鈴を前に呼びISを装着させた。

 

「織斑先生、ISを展開しましたが」

 

「あたしとセシリアで戦闘による実演を行え、って感じ ?」

 

「そうだ。だが、お前達はペアだ。山田先生っ !」

 

 千冬は隣でニコニコとしている真耶を呼ぶ。

 

「はい、では……」

 

 彼女は教導用のISを展開する。彼女が纏うのはデュノア社製の『ラファール・リヴァイブ』のように見えるが細部に見たことのないパーツが付いている。

 左右の肩には鎧武者の肩部分のようなのが増設されており、脚部にはブキヤが販売するエクステンドブースターを小型化した物がついているカスタムタイプだった。

 

「えっと、わたくしと鈴さんで山田先生と戦うんですの…… ?」

 

 セシリアは不安気な声をあげる。鈴も同じことを千冬に言う。

 

「千冬さ……織斑先生、さすがに専用機持ち二人が相手じゃ」

 

 それに対して千冬は笑みを浮かべ、

 

「なぁに、今のお前達ならすぐに負けるさ」

 

 その言葉に二人は闘志が芽生えたのか、戦闘態勢を取る。

 真耶も武装を展開し、千冬の号令を待った。

 

「ようし、では始めっ ‼」

 

 こうして本日最初の授業が始まったのだった。

 




次回、山田先生VSセシリア・鈴 ! 魔改造されたラファール・リヴァイブを見た彼女達の反応は ?






さてさて、皆さまレイファルクスが発売しましたねっ!
以前、私はどこかの話数のあとがきで三つ予約した、と言っていましたが。
あれは嘘だ、すまない。

我慢できなくて、アーセナルアームズと含めて、五個ずつ買ってしまったよ……。
許すまじクリアパーツ。
恐るべしクリアパーツの誘惑。

誘惑には勝てなかったよ……。

と、まぁあまり長々と書くのはやめて、このSSでのレイファルクスの登場タイミングは……実はもうすぐなんだ……
でも、必ずしも味方とは限らない。
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