インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 作:たちゅや
二機のIS、バーゼラルド・リヴェンジャーのメガスラッシュエッジから放たれるビームと、フレズヴェルク・レイジのベリルスマッシャーの斬撃、二つの武器がぶつかり合う度に熱と破壊、衝撃波が生じ、社長室をどんどんと破壊していく。
元より戦う為の部屋ではないし、狭いので龍也はわざと大振りに攻撃をし床を抜き、戦闘エリアを拡大していく。
竜也は彼の意図を理解しているのか、背部アームに着けているベリルショット・ライフルを乱射し、わざと外していく。
そして、およそ二フロアほどぶち抜いた所で、接近戦へと攻撃の手段を変えていく。
龍也は瞬時加速の連続使用を用いながら、両のメガスラッシュエッジをセイバーモードへと変形させ、ビームの刃で斬りかかる。
対して、竜也はベリルスマッシャーで防ぎ、逸らしながら背部のベリルショット・ライフルで迎撃する。
高熱を纏った弾丸がバーゼラルドの装甲を掠める度に、SEを削るどころか装甲自体を溶解させていく。
ちっ、やはりバーゼラルドの紙装甲ではアイツの攻撃を受け止めれないなッ! 地味にSEも削られているし、ブラストシールドの修理が間に合ってて欲しかったな。
せめてゼルフィカールの状態なら、と思わずにはいられなかった。
嘆きながらもフレズヴェルク・レイジから放たれる四つの弾丸を紙一重で躱し続ける。
……やはり、一筋縄ではいかないな。 もう少し出力を上げるとしよう。
竜也はセーブしていた出力を引き上げる。ベリルスマッシャーの刃や機体のクリスタルが赤色に変化し、見た目で威力が上がった事が分る。
フレズヴェルク・レイジから禍々しさを感じ、龍也は武器を持つ手に力が入る。
アイツの機体に使っているTCSがどこまで再現されているか分らないが、あの禍々しさだけは気持ちが悪い……。早々に決着を着ける方が良さそうだ。
良しっ、と彼はメガスラッシュエッジの出力を最大まで引き上げる。ビームの刃はその輝きを増し、刀身は巨大化する。
龍也は右手を引き、左手を前に、右足は一歩引き左足を前に一歩踏み出す。
ほぅ、と竜也は武器を構え直した。
「なんだ、せっかく広くしたのにもう終わりにしたいのか ?」
「……あぁ。早く終わりにして帰りたくなってね」
「ふむ。まぁいいさ――集え我が力、来たれ劫火よ」
ベリルスマッシャーに突如、炎が纏わりつく。それは、世界を焼き尽くす炎。赤々と刀身を更に染めていく。
対する龍也は。
「浄化の炎よっ、我が力となれっ」
メガスラッシュエッジの刃に竜也と同様に炎が纏う。
これが彼らの異能の力の一端である。
だが、龍也はFA型ISでの戦いに異能の力を使う気は無かった。この力がどのようにISのコアネットワークに影響するかはが分らないからだ。しかし、相手が相手だ。意地を張って、使わないなんてできなかった。
「「ぬおおおおおおおおおおっ ‼」」
二人の叫びと共に機体が動く。
停止状態から一瞬で最高速度を出し、接近。間合いに入れば即、互いの一撃を決め合う。
交差する剣戟に破砕音が重なりながら、二人は立ち位置を入れ替えた。
バーゼラルドは両手のメガスラッシュエッジのビーム刃が砕けるが、代わりに炎が刃を形成し残っていた。
フレズヴェルクも同様に、ベリルスマッシャーの刃は砕けるが炎が新たな刃を造っていた。
「竜也、腕を上げたな」
フルフェイスの内側、神妙な顔で龍也は言い放つ。
「貴様もな……。だが、この
竜也は本当につまらなそうにそう言い、フレズヴェルク・レイジを解除した。
「我々にとっては拘束具だな。貴様はよくもまぁ、こんな玩具で遊ぶな」
侮蔑の混じった発言に龍也は苛立ちを覚えたが、表には出さずぐっとこらえた。
玩具とは言うが、その機体の開発にデュノア社を利用したのだ、何か裏がある。あるいは、あくまで自分と同様の力で勝ちたいのか……。
そこで、ふと彼の両手が震えていることに気づいた。
なるほど、と思った。
先程の攻撃で奴の両手に思った以上のダメージがあったのだ。こちらはそんな事は無い。互いの力量は同等。FA型ISの装甲でいえばフレズヴェルクの方が堅いが、おそらく造りの甘さから来るダメージだろう。
「……ふっ、まだまだ造りが甘いな。次はもっと精錬された機体で来い」
「ちっ、やはり貴様に見え透いた嘘はつけんな。――次に会う時はより完成した機体で立ち合おう」
竜也は再びフレズヴェルク・レイジを展開し、天井を突き破り逃走する。
「逃すわけがないだろうっ ‼」
龍也はセグメントライフルを両手に持ち、狙いをつけるが、さすがは魔鳥。速かった。
消えゆくフレズヴェルクを見ながら、バーゼラルドを解除した。
……やはり、フレズに対抗するにはゼルフィカールクラスが必要だ。
日本に戻ったらブラストシールドの修理を手伝おう、と硬く決意するのであった。
すると、足元から地響きを感じ、身構える。
飛鳥か ? 何と戦っているんだ ?
疑問に思うと同時に近くの床を破壊しながら、彼女がデカイ生物を剣で貫きながら現れた。
それはゴリラのような体格だったが、全身の筋肉は異様に膨れ上がっており、肉もただれ落ち骨が見えている所もあった。
また、背中には宝玉の様な球体が嵌め込まれており、飛鳥の攻撃を受けながら点滅を繰り返していた。
しかし、その光は次第に弱くなり、ついには灰色になる。
飛鳥は着地と同時にソレを床に叩きつけながら剣を抜くと、絶命したソレには目もくれず龍也に駆け寄った。
「龍也、無事っ ⁉ どこも怪我してないわよねっ ‼」
こちらの無事を確かめたく、彼女は必死の形相で迫り、ぺたぺたと体中を触りまくる。
「お、おいおい、大丈夫だよ」
そうは言うが、彼女は信用ならんという感じで全身くまなく触診をする。
妙に手つきがエロくねっとりしているのだが、気のせいだと思っておく。
「……うん、そうみたいね。はぁ~良かったぁ」
龍也が無事だと確認でき、安堵感を覚えたのか一気に脱力し、床にへたり込む。
「本当に無事で良かったよぉ。これで何かあったら刀奈ちゃんに怒られちゃうよ」
「ん、そうだな……。いつも刀奈と飛鳥には心配ばかりさせているからな」
いつもありがとう、と言ってから彼は目の前にあるソレについて尋ねる事にした。
「あぁ、アレ ? アレはデュノア社の社員達の成れの果てよ。詳細はコレを」
彼女がこちらの端末に情報を送ってくる。
内容は竜也がISコアの解析から始まり、コアの量産をする為にしていた実験の事について書かれている物だった。
読み進めていくと、だんだんと険しい顔になる龍也。
何故なら、人間の脳を使ってISコアを製造しようとし、失敗した場合は生物兵器への転用実験に社員を使用と書かれているからだ。
飛鳥が戦闘したのはガーディアンクラスと名付けられた物で、ISコアに使うには出力が足りない粗悪品を人体に埋め込み、改造された人間だった。
「……成程、アイツはとうとうここまで堕ちたんだな」
結果的に、竜也はデュノア社を生贄にすることで“疑似ISコア”を完成させる、と締めくくられていた。
「そう。地下にはアレみたいな生物兵器がうようよいたわ――全て滅してきたけどね」
その戦闘中にこの情報を見つけた、と付け加える。
「そして、アイツは亡国企業に身を置いている。場合によっては、俺達がこれから相対するのは疑似コアを使ったISもどきや、今回の生物兵器と、という事になる」
「えぇ。必要な場所に連絡を入れて対策を取らないと大変な事にもなるわ」
しかし、だとすればバーゼラルド砲戦仕様を用いた脅迫やシャルロット・デュノアの件は何なのか、真意が分らない。
この辺りはデュノア夫妻からきちんと聞くべきだな。
龍也はひとまずフランス政府に一報を入れることにした。
何せ、企業一つを潰すかもしれず、無茶をする事や人払いをするにも力を借りていたからだ。政府も彼の頼みだから二つ返事で動いてくれている。
「佐山社長や日本政府にも話を通さないとダメだなー。ハァ~だんだんと俺とお前だけじゃ対応できない話になってきたねぇ……」
龍也は竜也が飛び去った空を見つめ、これから成すべき事についてアレやコレと考え始めるのであった。
●
一方、龍也が海外で奮戦している間、IS学園でも一悶着が起きていた。
多くの生徒に囲まれているのは一夏とラウラだった。
互いに敵意を剥き出しにしており、今にも飛びかかりそうな勢いでいた。かろうじて行動に移していないのは彼らを箒達が抑えているからだ。
騒動の発端は模擬戦だ。
一夏がいつものメンバーと行っていた時に、ISを纏ったラウラが現れ彼を挑発したのだ。
私と戦え軟弱者、と。
彼も自分が弱い事は自覚しており、あからさまな挑発に乗るつもりは無かったのだが、攻め手を変えてきた。
「ふん、どうせお前程度に付き合うそこの連中も大した実力は無いのだろうな」
これに一夏はキレた。自分ならまだしも、他者を貶める事には我慢がならなかった。
当の本人達――箒とセシリア、鈴やシャルルは意に介しておらず、怒る必要は無いと言うがもはや耳には届いていない。
ちなみにラウラ自身はセシリア達の練度の高さは知っている。故に、この発言は一夏を怒らせるためだけに放たれた。
「お前、今の発言は取り消してもらおうかっ ‼」
「ならば、力で捻じ伏せるがいいッ ‼」
一夏はならば、と雪片二型を構え直そうとしたが、ふと脳裏に以前の龍也の言葉がよぎる。
“大きな力を持つ者”が力を正しく用いれないなら、俺はそれを奪い潰すぞ。
……今、俺がここでラウラと戦うのは正しい用い方なのか ?
友を蔑まれた事に怒りを持つのはきっと正しい事だと思う。だが、怒りに任せたまま力を行使する事は違うのではないか。
一瞬の思考ではあったが、一夏は武器を収納し代わりにこう言った。
「ラウラ、決着は今度のトーナメント戦で着けようじゃないか。そこでなら、闘ってやるよ」
その眼には制御されない怒りではなく、静かな闘志の孕んだ眼になっていた。
「……いいだろう。精々、私と果たし合うまでは勝ち残るんだな」
「はん、お前こそ負けるんじゃないぞ」
ラウラはふん、と背を向けアリーナから去っていく。
一夏は白式を解除し、肩の力を抜いた。
「一夏、よく堪えたな」
箒が肩を叩きながら褒める。
一夏自身、龍也の言葉を思い出さなければ闘っていたかもしれない。あの言葉は自分が持つISという力への認識を改めるものだった、と思っている。
それを皆に伝えると、彼女達も彼の言葉が響いていたようだった。
「しかし、ラウラも運が良かったよ。多分、龍也がいたらボコボコにされてたぜ ?」
「そうですわね……。きっとラウラさんは龍也さんがいない事が分っていたから、やって来たんでしょうね」
「そうだろうな。しかし龍也も急に海外とは。ブキヤは中々人の扱いが荒いんだな」
そう、龍也はブキヤ・フランス支社へ出張という形で一週間ほど休むという連絡がHRで千冬からされたばかりであった。
真実を知っているのは千冬含む一部教師陣に、楯無ら生徒会に一夏と当事者のシャルルだ。
「うーん、荒いというよりきっと龍也にしか出来ない事が多いんじゃないかな ? だって、FA型ISの開発者なんだよね。プレゼンとかさせるなら本人にやらせる方が効率も良いと思うんだ」
シャルルの一見、尤もらしい言い方に箒達は納得するが、内心は穏やかじゃない。
彼に自分の想いは伝えた。“救われたい”という願いを。
龍也はシャルルの本音に耳を傾け、こう言ったのだ。
“待っていろ。必ず救ってやる”
力強い声に期待はするが、一体どんな事をするのか……。
彼女がデュノア社に関したニュースを聞くのは、この次の日であった。
どうも。
少し投稿に間があいたのは、仕事が……ねぇ。
さて、このSS。
あんまり教師陣が活躍しないというか、話に出てこないな!
千冬は活躍する場が出る事無さそうだなぁ……。
などと思いながら、内心は早く銀の福音まで話を進めたいッ!
だって、そこの話の山場はもう出来てるんだよおおおおっ!!
……ふぅ。
まぁ、それは置いておき。
次回は学年別トーナメントのお話しをやりたいな、と。
それでは、また。