インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 作:たちゅや
11月も終わりごろでようやく投稿っ。
すまん、待たせた。
七月を迎え、IS学園の一年生は臨海学校の真っ最中だ。
初日は午前が移動で、午後は自由行動。学生らしいイベントに胸を躍らせながら、龍也は目的地に着いた車から降りる。
ま、遅刻なんですけどね !
そう現在の時刻は夜七時半。もう自由行動も終わりの時間を迎え、夕食に皆が舌鼓を打っている頃だ。
「思ったより時間がかかったな。ほら龍也、お前の荷物」
運転席から降りたブライアンがトランクから彼の荷物を取り手渡す。二泊三日ともなればそれなりの荷物……になるはずなのだが、小さいキャリーケースが一つ。
「サンキュー、ブライアン」
「にしても、臨海学校とはいえ旅行みたいなもんなんだろ ? 荷物が少ないけど大丈夫なのか ?」
「ああ。バーゼラルドの拡張領域に他の荷物を入れてあるからね。こいつには着替えくらいだよ」
「そうかい。それじゃあ、俺も今日の宿に行くぜ。武装テストの結果はレポートにまとめて早めに送ってくれよ」
「了解。じゃあ、ブライアンも気を付けて」
彼は右手を振って応え、車を走らせていく。
テールランプが見えなくなってから龍也はキャリーケースを引きながら、宿泊場所である花月荘に入っていった。
中に入ると着物の姿の女将さんが、こちらに気づき近づいてくる。
「ようこそいらっしゃいました。秋野龍也さんですね ?」
「そうです。予定より遅れて申し訳ありません。三日間お世話になります」
軽くおじぎで挨拶をする。向こうも挨拶を返してくれる。
「女将の清州景子です、こちらこそよろしくお願いします。お食事はもうお済ですか ?」
「いえ、まだでして……」
「それは良かったです。今しがた、皆さんを大宴会場にご案内した所です。どうずこちらに」
「おーそれはナイスタイミング。では、お願いしますっ !」
食事にありつけたことに安堵しながら、女将の後ろをついていく。
大宴会場に案内をしてもらうと、生徒たちが夕食に舌鼓を打っていた。
中には龍也が来たのに気づいたのか何人かが声をかけてくる。
「あ、たっつーだ。今、来たの?」
「おっす、のほほんさん。そうそう、たった今到着さ」
「あ、秋野君だ。遅かったね~夕食済ませたの?」
「やぁ鷹月さん。これからだよ」
声をかけてくれる子達に返事をしながら、自分の食事が用意されているテーブル席に案内される。
そこでは千冬と麻耶、教師陣が座っていた。龍也としては千冬に報告すべき事があったのでちょうど良かった。席に座り、遅れた事を詫びながらスッと小さな紙を千冬に手渡す。
「いやぁ、思ったよりもブキヤでの仕事が長引きまして……」
「……一応、お前も学園の生徒なんだからこういう行事毎には始めからいてもらいたいものだ」
言いながら千冬は渡された紙を真耶達に気づかれないように素早く目を通す。
「まぁまぁ。事前に届けは出ていましたし、でも夕飯には間に合って良かったですね。ココの食事は格別ですよ」
ホントですよ、と彼が応えている間、千冬はハァ……とため息をつきたい所を我慢し、
「フッ……そうだな。それと山田先生。食事が終わり次第、会議の方をしたいと思います。先生方への連絡をお願いしても ?」
真耶は彼女の雰囲気が一瞬だけ変わったのに気づく。
ええ、分かりました。とだけ応え、近くの先生陣に声をかけていく。
「龍也、助かった」
「どういたしまして」
彼が彼女に手渡した紙にはこう書かれていたのだ。
『明日、0900から米国海軍のISテストがこの近くで実施。専用機組のデータ取りの際は、エリアに注意致し』
「その案件にはウチも一枚噛んでるんですよ。詳細は言えませんけどね」
「構わん。聞いていなければいらぬトラブルに巻き込まれていたかも知れん」
「だと思ったので伝えさせてもらいました。自分の息のかかった者もいるので、こちらの領域に来る事は無いとは思うんですけどね」
万が一に備えて、と彼は新鮮な刺身を頬張る。美味いなぁと顔を鉾ばらせる。
千冬も食事を続けながら、遅れた理由はコレか、と尋ねてくる
「まぁ、なんと言いますか……。そうだと言っておきます」
苦笑する龍也に千冬もそうか、と言うだけで二人は黙々と食事に集中する。
しかし、二人の来訪者によって彼が落ち着いて食べ続ける事なんてできなかった。
遅いっ!と如何にも怒っていますよ、という出で立ちで彼女らは龍也の左右に立つ。
「ん、セシリアにシャルか。食事はもう終わったのか?」
「ええ、終わりましたとも。誰かさんがいないおかげで、集中して食べれましたので」
「うんうん。僕も同じくね。誰かさんが遅れるなんて聞いてなかったし」
こっちは一緒に自由行動の時間遊び、食事もできると楽しみにしていたのに、と二人はブツブツと文句をぶつけてくる。
こう言ってくる二人に龍也は自然と笑みをこぼす。
随分と好意をぶつけてくるようになったな、と感じているのだ。セシリアとは付き合いが長いが、彼女が刀奈を知ってからは、自分に対して好意を見せる事は少なくなっていた。
シャルに関してはデュノア家の事で動いた事が、彼女の琴線に触れたようで懐かれ始めた。
とはいえ、彼女も表立っては好意を出さず内に秘めているようだったのだが。
きっとキッカケはアレか、と彼は黙って文句を聞きながら当たりをつける。
●
このイベントの前に龍也は刀奈とレゾナンスに買い物に行ったのだ。久しぶりに二人っきりだ、と喜んでいたのだが、現地に着けばセシリアとシャルの二人が待ってましたと現れたのだ。
『私が呼んでおいたの♪ だって、この二人も貴方を好きみたいだし。譲る気はないけど、どれくらいの気持ちか見極めたくって』
とは刀奈の弁。
愛する彼女にそう言われてしまうと、ソウデスカとしか口から出なかった。
そうして四人での買い物が始まるのだが、女の子の場合は総じて時間のかかるもの。自分は荷物持ちになり、時には好みを言い彼女達のセンスを褒めることに徹底。
最初はぎこちなかった二人も、半日も共に過ごせば食事の際に、龍也のどこが良いのか語り合うくらいには打ち解けていた。
だが、圧倒的に長い時間を過ごしている刀奈からは出るわ出るわ、彼も懐かしいなぁと時折感想をこぼす程、色々な思い出が語られる。
「くっ、僕ももっと早く龍也に出会えていれば」
時間にすれば、シャルが一番短いわけだが彼女とも中々濃い関係ではあるわけだ。
たった一人(飛鳥もいたわけだが)で、デュノアに乗り込み(両親を助けたのは飛鳥とリロイなんだけどね)元凶の犯人を退け、ブキヤ社長に話をつけ自分はテストパイロット。やりたい事をやれるようになるまでは、力添えをすると約束してくれているのだ。
少々、人への依存癖がある彼女にとっては龍也への想いが高まるには充分な事だった。
セシリアも同じ事を思っていた。彼女にとっても、男性への見識を変革させてくれた存在であるが故に特別な存在なのだ。
「そうねぇ……でも、そう言って諦めるの ?」
挑発する刀奈。
対する二人は声を揃えて返す。
「「諦めない(ませんわ)っ ‼」
即答する二人に満足したのか、
「よく言ったわ、二人とも !」
“お見事”と書かれた扇子を口元で広げながら、刀奈は二人にある物を配った。
それは、一枚のカード型端末。手に取ると端末が起動し、画面が表示される。
刀奈も同じものを取り出し、龍也にも見えるように置く。
「こ、これは……」
映し出された画面には“龍也 愛の会”というセンスの欠片も無い文字と共に、会員名簿と称して名前の書かれたリストが出ている。
「これはね、龍也を好きで好きで堪らない人達のリストよ。入会条件は妻(否定しようのない確定した結果)である私が面接し、合格すること」
リストのトップには終身栄誉№1と刀奈(表記は楯無)に始まり、№2には飛鳥の名前が書かれている。
現状、名簿にはこの二名しか書かれていないのだが、今、この瞬間に追加される。
「№3、セシリア・オルコット」
「№4、シャルロット・デュノア」
「……正直言うとね、私は龍也を独り占めしたいの。でも、飛鳥と昔にこの事で、血で血を洗う大惨事を引き起こしちゃってね……。その時に学んだの。自分の夫がモテるのは鼻が高い。そして、龍也も私を一番大事に想ってくれている。だったら、私が認めた人くらいには手を出させてもいいかな、ってね」
私、凄く良い事言ってる!という雰囲気が刀奈から溢れ出ているが、龍也から見れば俺の彼女の頭が壊れた、とあたふたしていた。
「あの、楯無さんや ? 正直俺には言っている意味が分かりません」
「もう龍也ったら鈍いわね。あのね、私が許可した人だったら貴方の女にして良いって言ってるのよ ?」
勿論、私が一番よ ? と可愛げに言うが、何言ってんだコイツとしか感想が出てこない。かといえば、件の二人は違うリアクションを見せる。
「「良いんですか!?」」
「えぇ、ただし、私に一言言ってからヤるのよ?」
「「応とも!!」」
●
……というとても頭の悪そうなイベントの後から、露骨に好意を現すようになった。
手を出していないのかと言われれば、ノーな所が自分の悪い所である。
「済まないな二人とも。今回は他言無用だったからさ。埋め合わせは夏休みが始まればするから許してくれ」
すまん、と目の前で手を合わせる。
むぅ、と頬をハムスターのように膨らませる二人だが、埋め合わせしてくれるという発言に言質は取ると、
「約束ですわよ !」
「約束したからねっ !」
とはしゃぎだす始末。さすがに千冬も黙っていられなくなったのか、じろりと視線を二人に向ける。
殺気の篭った視線にようやく千冬がいた事に気づいたのか、
「お、織斑先生はこの席でしたか……」
「オルコット、デュノア。食事の時間位は静かにできんのか。まぁ、それくらい元気が有り余っているのなら、そうだ。この周辺を走ってくるか ? ん ?」
「「ごめんなさーいっ ‼」
ささっと席を離れていく二人を尻目に、今度は龍也へと矛先を向ける。
「お前は猿か ? 少しは自重しろ」
「何言うんだこの教師は。俺が最も愛し命を懸けるのは楯無ですよ」
「とか言いながら、既にあの二人に手を付けている癖にか」
「……まぁ、妻(確定している事実)からの許可も下りていますからねぇ。だから、あの二人も守りますよ。俺ができる“全て”を使ってです」
女性三人を養い、あらゆる害から彼女らを守る術を自分は持っている。
代々受け継がれてきた“秋野家”の力は日々の鍛練で強さを増し、“仕事”で築いてきた各国との繋がりや、個人的な繋がり。頼れる仲間達もいる。
余談だが、飛鳥とは既に男女の仲ではない。あくまでも仲の良い友人であり、頼るべき相棒なのである。
自信のある言葉に千冬は呆れるが、それだけの根拠を持っているし、正しく能力を用いる事も出来ている。甲斐性のある男と見ている。
十七の子供とは思えんな……。その眼はもはや歴戦の戦士が見せるものだぞ ? 本当にコイツはイレギュラーだな。正直、これくらい言えるだけの胆力が一夏にも欲しい所だ。
「全く十七の子供が言うセリフではないぞ。……さて、私はそろそろ席を外すが、お前は自分の部屋がどこか聞いているか ?」
「ええ、織斑先生と同じ部屋ですよね。姉弟の甘い部屋にお邪魔させてもらいますね」
瞬間、千冬の拳が飛ぶが左手で難なくガードをする。
「何を言うかたわけが。教師をなめるなよ ?」
「ハハ……すいません」
悪ノリする彼に釘を刺してから千冬は宴会場を出ていく。
龍也は受け止めた左手に感じる鈍い痛みに苦笑しながら、食事を続ける。
さてさて、明日はどうなるのか……。
大変長らくお待たせしました。
書きたい物が増えると、どう書けばいいのか分らなくなり執筆を休んでいたのさ!!
おかしいなぁ、今年の予定ではもう臨海学校は終わっているハズなんだが??
で、まぁ多少話としてはおかしくても前へ進めていく形で投稿した次第で。
色々キャラ性格が崩壊し、私色に染まっていく……。
今回の話を簡単にまとめると!
・龍也君、ブライアンと何かをしていた(軍用IS関係に一枚噛む)
・本妻から第二、第三婦人としてセッシー・シャルが認められる
・龍也君、千冬に軍用ISのテストあるから気を付けてね~とフラグを建てる
この三点かな!
ここから速度(という名の端折り)を上げて、臨海学校編を終わらせにかかりますよ。
では近いうちにあげる次の話でお会いしましょう。