インフィニット・フレームアームズ~俺アームズでブンドド~ 作:たちゅや
龍也は一人、ゼルフィカール/NEのチェックをしていた。
ただの/NE仕様ではなく、彼好みの俺アームズ仕様だ。追加された肩、腕部、脚部に装備されている刃状の武装は、龍也の好きなメカの再現武器になる。
“凶鳥の眷属” と言えば分る者もいるかもしれない。この機体に装備されているのが刃状の展開武装である “T-LINKスライダー” だ。
この武装は刃による近接攻撃や射撃もでき、龍也の心をグッと射止めていた。そしてBT兵装として再現し、今回装備させるに至った。
もちろん、彼の機体が装備していた物は再現し、拡張領域に搭載済み。
とはいえ模擬戦で使うとすれば、T-LINKスライダーにセイバーといった所か。いくら全力でやると言ったが “アレ” を使う事は無い。
ふふん、と鼻歌を鳴らしながら細かいデータを見ていく。
各ステータス良好、追加した兵装と機体のバランスも問題無し。更に以前使った俺アームズの兵装との相性も問題無し、と出ている。
グヘヘ、とにやけが止まらない。
これにアーセナルアームズを持たせたら……いやぁ、凄い特機になっちゃうな ‼ ん ? フレームアームズオンリーのカスタマイズじゃないのかって ?
いやいや、自分好みにカスタマイズするのが俺アームズなわけで、自由にやろうぜ。
それに、凶鳥の眷属だってキットを出しているのは……ね ?
とはいえ、模擬戦やった後にみんなのISに悪影響が出てはいけないのでやり過ぎには注意である。
さて、龍也が調整を終えたころには全員、新装備のテストも終わり準備が完了していた。
やる気十分な表情をしているのだが、注意したい者もいる。特に二人…… 一夏と箒だ。
一夏はベリルソードを使ってから動きが格段に良くなっている。そのせいか、模擬戦でも龍也を除いた面々とでは勝率を上げてきていた。ただ、高揚しすぎると暴走気味になってしまうのが気になる点だ。
箒はといえば、専用機を得た事で今まで訓練で鍛えていた “心構え”が崩れる可能性がある。 力に溺れ、我を見失うかもしれないのだ。そうならないように専用機持ち組にいつも言い聞かせている事を彼女にも伝えてはいるが……果たしてどんな結果になるか。
まぁ、やるだけやってみて暴走するようであれば叩きのめすだけだ。
うん、そうしようと結論付けた龍也は全員に声をかけた。
「みんなそろそろ模擬戦してもいいか ?」
尋ねる彼の言葉に皆がうなずく。
「うむ。それじゃあ、やっちゃおうか」
龍也がゼルフィカールを展開し、空へ上がる。すると、千冬から声がかかる。
「お前達、模擬戦をするのはいいが決められたフィールド内でやるように。それと、私達が危険と判断した場合は即終了させるからな」
そう言うと隣にいた真耶が手に持っていた端末を操作し、専用機組にデータを送る。
送られてきたのは海面に設置された簡易シールド発生器の効果範囲を描いたMAPデータだった。機体にこれをインストールする事で、今回の模擬戦で動ける範囲を認識し、シールドが耐えれる程の攻撃設定にデチューンされる。
なので、幾ら龍也が全力で戦うと言っても、IS自体の攻撃力はそこそこ抑えられた状態になる。
まぁ、デチューンされるのは龍也だけなのだが。
こうしないと教師陣は安心できなかったんや……。
そんな二人の教師の想いを知らぬ面々はデータをインストールしていく。終われば、模擬戦を始めるのはいいが、誰から最初にやるか、という話になった。
ここは最初に俺が、と一夏が声を上げれば。
では、私も、と箒が次に挙手し。
いやいや、ここはまずわたくしが、とセシリアが前に一歩出てアピールする。
待て待て、と鈴も声をあげ、
順番でいいんじゃないのかな ? と言うシャルロット。
それもそうだが、こちらはペアでやるのも悪くないのではないか ? とも言うラウラ。
話し込めば長くなるであろうと考え、龍也が告げる。
「全員一斉にやってもいいぞ」
彼の一言にその場にいた者達が驚く。1対6、という数では圧倒的に不利になる状況でやるとは大層な自信があるということだ。
「あ、でもそうすると簡易シールドが耐えれないかもしれないから、こっちから指名させてもらうぞ」
では、と龍也は最初の相手を告げる。
「ようし、まずは一夏と箒の二人だ。その後にセシリア・鈴ペア。最後にシャルロット、ラウラペアの順番でやるぞ !」
これにいち早く反応するのは、一夏と箒だ。
「よおし、やってやるっ !」
「ああ、やるぞ一夏っ !」
二人は元気のいい声を出してはいるが、龍也の心配は増すばかりである。
こうして順番が決まったところで千冬が声をかける。
「話はまとまったな ? 秋野に織斑、篠ノ之は準備をしろ」
「分かった。行こうぜ、箒」
一夏と箒がISを展開し、フィールドに移動していく。
「よしっ、行くぞゼルフィカール !」
龍也も愛機を展開しフィールドへ入っていく。
フィールド内で対峙する三人。
「二人とも全力を出すんだぞ」
「言われなくても最初から全力だ ! 今日こそは龍也から一本取るぜ」
「私もだ ! 一夏と共に勝利を勝ち取る !」
一夏は雪片二型を構え、箒はマガツキの武装であるテンカイとサツガを抜刀する。
龍也はNEの武装である試作型光波射出機と攻性防盾システムを持ち、模擬戦開始の合図を待つ。
だが、北方から強烈な殺気を感じ、龍也はそちらに視線を移す。ISのレーダーでの索敵範囲を広げると反応が一つ。それは自分の知る機体だ。
龍也の思考は瞬時に模擬戦用から完全戦闘モードに移行する。さきほどインストールした模擬戦用のデータは即アンインストール。並行してゼルフィカールのリミッターを解除し、相対していた二人に告げる。
「一夏、箒。模擬戦は中止だ」
「え ?」
一夏と箒がどうかしたのか、と聞いてくるが答えている暇はない。
「織斑先生、急用ができたのでココを離れます。もし俺が戻らなかったら、楯無に連絡を入れて下さい。よろしくお願いします !」
『な、待て秋野っ ! どこへ行く気だ ‼』
千冬の制止を無視し、ゼルフィカールの最大速度で目標へ向かう。
彼女はすぐに一夏と箒に戻ってくるように声をかけ、真耶に指示を出す。
「山田先生、秋野がどこに向かったか探してください。それと、お前達。すぐに部屋に戻り、こちらから連絡するまで待機だ !」
「どうなってるんだ千冬姉っ !」
模擬戦用のフィールドから戻ってきた一夏が千冬に問うが、織斑先生だ、と物理的指導を受けつつ、彼女の説明を受ける。
「どうもこうも、こちらも分っていないのが現状だ。今から秋野の行方を追うが――」
そう言っている最中に海の方、龍也が向かっていた先に眼をやる。千冬は言葉が続かなかった。不思議に思った一夏らも同じように見ると、映る光景に我が目を疑うのだった。
「なに……アレ……」
誰が言ったのか、はたまた全員が言ったのか。
彼らが見たのは遥か遠くでぶつかり合う赤い龍と黒い龍、二匹の龍だった。
●
こんなに早く再戦する事になるとは思いもしなかった、と龍也は内心呟く。
しかし、この時の為に万全を期したのだ。
バーゼラルドも改修し、俺アームズも二つ目が完成。アーセナルアームズも何とか完成させ、拡張領域には格納済みだ。その為、バーゼラルドで搭載してあった武装は拡張領域の都合上、除外されている。
「ついでだ、俺アームズ01も同時展開っ !」
掛け声一つでゼルフィカールの両脚部前面に、FAダオ系列が持つスラッシュシールドが装着される。
また背部には浮遊ユニットしてFAバルチャーの脚部ユニットが現れた。
見た目はそうだが、俺アームズ01は “魔を断つ剣” をFAで再現する装備の為、機能はそれに準ずる物となっている。
以前、篠ノ之博士の基地で使用したのは脚部ユニットだけだったが、飛鳥にバルチャーを建造した際に脚部だけ余剰に造り、これ用にくすねていたのだ。
「ベリルユニットでの推進力も中々だな……」
などと感嘆するが、ここまでの武装をして戦う相手に対しては気が抜けない。
「これだけの武装をしたんだ。ここで倒させてもらうぞ、竜也っ ‼」
お待たせしました!(待ってくれていた人がいるのか!?
全力全開の模擬戦は行われず、まだ福音も出てきていませんが、
怨敵現れる!!
もちろん、龍也はこれに立ち向かわなくてはなりません。
もう出すつもりも無かった俺アームズ01に、
凶鳥の眷属を模した俺アームズ02を装備した、
どう考えても俺ツエーがしたいだけのFAで挑んでいきますよ。
(ま、コトブキヤが両方ともキットで出してるし!)
あ、でも福音が出ない訳じゃないので!
次回は一週間以内に更新予定!!
→ 4/9 追記 ダメだったんじゃよ……