剣の奇跡 鋼鉄の城に生きる八葉と妖精   作:銀炭

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かなり遅れて原作開始?


剣の世界

「・・・ここが」

 

仮想世界に入場したリィンは、不思議そうに周りを見回す。

 

 

鋼鉄の浮遊城アインクラッド 第一層 《始まりの町》

 

 

ゲーム開始直後にプレイヤーが転送される初期スポーン地点であり、チュートリアル地点とも言える。それ故に多くの人で溢れかえっている。

だがしかしそんなこと知るはずのないリィンはただただ驚くしかなかった。

 

「いや、驚いてる場合じゃない。まずはフィーと合流しよう」

 

しかしどうしたものかと。現実世界とは勝手の違うこの世界には彼ら愛用の《ARCUS》なる機械は存在しない。連絡手段がないせいで、足で探すことになるのだが、

 

「ん?」

 

後ろから袖を引っ張られた。

振り向くとそこには現実と服以外は何ら変わりない少女の姿。

 

「フィー、来てくれたのか」

 

「ん」

 

思わず撫でる。気持ち良さそうに目を細める姿は、猫のよう。

 

「とりあえず確認するか。右手でウィンドウとやらが出せるみたいだから、色々見ておこう」

 

そう言って二人一緒に確認作業。右手をスッと縦に振ると目の前にウィンドウが現れる。魔女の術で慣れている二人は特に驚くこともなくステータスの確認。

 

「レベル1、ステータスも低いみたいだな」

 

「装備も、全然良くない。プレートアーマーと片手剣だけ」

 

初期状態がここまで貧弱だとは思っていなかったが、命のやりとりをした経験がある彼らは、防具があるだけ優しいと感じていた。

 

「このコルってやつが通貨なのか」

 

「さっきちょっとだけ見てきたけど、アイテムも全然買えない」

 

「なら、サラ教官に言われた通りにレベル上げをしてみるか」

 

「そだね、魔物を倒すとお金をおとすのは変わらないみたいだし」

 

ウィンドウを消そうとして、あっとフィーが声を上げる。

 

「どうした?」

 

「サラが、フレンド登録と、パーティを組んでおきなさいって」

 

「・・・そういえばそうだったな。やり方は・・・・・・・・お、出来た」

 

「此方も、リィンの名前が出た」

 

フレンド登録とパーティ登録も済ませ、二人は漸くフィールドに足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

始まりの町を出て直ぐに見たのは、広大な草原だった。

 

「広い、ノルドの高原くらいありそう」

 

「ああ、まさかここまでとはな・・・あ、フィー、あれがmobってやつじゃないか?」

 

リィンが指差す先には、青い毛の大柄な猪がいた。近づいて見ると猪の頭上に簡易的なステータスが見える。

 

「フレンジーボアレベル7・・・7?高くないか?」

 

「でも、見た目通り動きが遅い。あれなら簡単」

 

いきなりのレベル差に驚くが、よくよく考えると一直線にしか走ってこない相手に苦戦なんてすることはない。ドスが付く猪の上位個体のように曲がってくれば話は別だが。

 

「だとすると丁度いいな、スキルも試してみたかったところだから」

 

「ん、じゃあやろっか」

 

剣を抜き、構える。本来なら刀を使うリィンと、短剣に近いものを使うフィーには少し扱いずらいが、今は我慢している。

 

「よし、フィー、行くぞ!」

 

「ラジャ」

 

 

 

──────────

 

 

「ハアッ!」

 

猪に向かってリィンが剣を降り下ろす。首の辺りを切り裂き、その部分からは赤色のダメージエフェクトが出始めた。

降り下ろした剣を直ぐ様横にし、猪の牙を受け止める。

 

「やあっ!!」

 

そこへ猪の後ろに回り込んだフィーが切りかかる。一撃入れて、一旦距離を取った。同時にリィンも距離を取り、

 

「そこだ!」

 

スキル発動の構えをとる。ライトエフェクトが剣を包み、リィンは一回転しながら剣を振る。

 

《ホリゾンタル》

 

片手剣のスキルの一つで初期から取得しているものだ。

ホリゾンタルの直撃を受けた猪はフィーの方へ吹き飛ばされ、同じくフィーが発動した《ホリゾンタル》を食らう。

 

「よし、これでスキルも問題ないな」

 

「ん、あとは倒すだけだね」

 

レベルだけの猪では、二人の相手にはならなかった。

 

 

──────────

 

 

「これで終わりだ!!」

 

片手剣スキル《バーチカル》でリィンが止めを刺す。残り僅かのHPを削りきられた猪は、悲鳴を上げながらポリゴンに変わった。

それと同時に、レベルアップの音とそのウィンドウ、そして取得アイテムが表示された。

 

「レベル4か。フィー、そっちはどうだ?」

 

「私も、4になった。それとスキルポイントだって」

 

「ステータスに振り分けるみたいだ。現実の体に近くなるように振り分けておけばいいか」

 

そう考えてリィンはSTRとVITに1、AGLに2。フィーはDEXとAGLに2ずつ振った。

 

「・・・これでよし。それとアイテムは・・・・・・換金する以外に使い道はなさそうだな」

 

「牙も皮もいらないね、お肉は?」

 

「一応持っておこう。料理も出来るみたいだからな」

 

「ん、なら持っとく」

 

今までの経験でテキパキとこなす二人、ウィンドウを弄るだけなので現実よりも楽そう。

 

「それじゃあレベル上げに戻るか」

 

「ここのはもう駄目そう、奥に行こ」

 

「ああ、何かあるまで進んでみよう」

 

 

──────────

 

 

数時間後

 

休憩を入れながらレベリングを続けたリィンとフィーは、既にレベル7まで到達していた。

mobの落とすコルとアイテムもかなり溜まり、1000しかなかったコルは3000を超え、アイテムも売却すればさらに溜まるだろう。

今は安全地帯(セーフティーゾーン)に入って休んでいる。

 

「これくらいにしておこう。そろそろ時間だ、町に戻ってログアウトしよう」

 

「結構貯まったし、レベルも上がった。これなら楽に行ける」

 

和やかに会話していた、その時だった。

ゴォォォォン、ゴォォォォンと始まりの町の方から鐘の音が聞こえた。それと同時に、

 

「!?」

 

「なんだ!?」

 

青い光に包まれた二人は、気がつけば《始まりの町》の中央広場にいた。

 

「今のは・・・転移エフェクト?強制移動か?」

 

「・・・・・・私たちだけじゃないっぽい、どんどん増えてる」

 

次から次へと転送されてくるプレイヤーたちに、疑問と言い知れぬ不安を覚える。そして、いつの間にか赤く染まっていた空を見上げる。

 

《System Announcement》

 

「システム?何か不具合でも起こっているのか?」

 

「・・・見て、リィン。何か出てくる」

 

フィーに言われ見てみると、血のようなものを滴ながら巨大なローブが現れた。人の顔は見えない、空洞のようになっている。

そのローブの何かは

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

人々に、絶望を叩きつけ始めた。

 




戦闘描写って難しい、てことでチュートリアル程度の戦闘はざっくりカットしました。本格的に戦闘を書くのは暫くあとになりそう。
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