意外と手書きのほう書き溜めてあって驚きでしたー。
しかし問題はこれから先がまったくの真っ白だということです……。どうしようか。
翌日が休日だったこともあり、俺は朝から簪を探していた。中級たちやヒノエにも事情を話して方々を探してもらっていたが、初日から見つかるはずもなく。
夕方、疲れて溜息をついた俺にカラカラと笑って春弥は言った。
「そう簡単に見つかったら僕の目が節穴だってことになっちゃうよ~」
それからも学校帰りに探したり、休日も日が暮れるまで外にいて、塔子さんは俺が毎日どこかしらにはっぱをつけて帰るので、「元気ねぇ」と微笑んでいた。
それからも色んな場所を探したり、妖たちに聞いて回ったが一向に見つからず、もうすぐゴールデンウィークに入る頃合いとなった。協力者を得て、見つかるかもと期待していた様子の春弥からもだんだん笑みが消えていった。
「もう、50年くらいずーっと探していたから、こんな短い間で見つかるわけがないって分かってたんだけどね……。なんだか少し、疲れてきちゃったなぁ……」
気落ちした様子で、わずかに口角を上げて笑う春弥に何も言うことができない。なまじ大勢で探したからか、見つかるのではと春弥の抱いた期待も大きいものだったのだろう。
初めて、春弥が「帰りたい」と俺たちに溢した。両手で顔を覆って涙を零す。どんな事情があったにせよ、万年桜の妖と春弥は夫婦として妖に知られるほどの、仲睦まじい(かは分からないが)夫婦だったのだろう。妖にとっては50年など瞬きの間に過ぎていく時なのかもしれない。けれど、かつては人間として生きていた春弥にとっては、50年という年月のなんて長いことか。簪を探すために住処を飛び出してはきた。今更見つからないまま帰るのも嫌だけれど……もう全てを諦めても夫に甘えたいと、そう思ってしまうのだという。
「意地になってたんだ。あの簪を諦めたくなかった。探しに出てきたら出てきたで、格好の悪い自分で帰りたくなかった」
あぁ、と彼は嘆息する。
――こんなことなら、初めから探しにこなければよかったかなぁー―
ぽつりぽつりと零れていく言葉が心に刺さる。
そうしてできた沈黙は、ヒノエの声で吹き飛ばされた。
「甘ったれたこと言ってんじゃないよ! アンタがどうしても簪を取り戻したいって言うから、夏目もアタシたちも駆けずり回って、泥んこに汚れても木々に腕や足を引っかけて傷つくっても、それでも探してきたんじゃないか! アンタが諦めたら、アンタがこれまで探してきた時間は、アタシたちが使った時間はどうなるんだい! 無駄になっちまうんだよ!!
それとも何だい? その格好悪くて自分勝手な自分のまま、旦那のところへ帰るのかい? それならそれで好きにおしよ! アタシゃ知らないね!」
とうとう手のひらから溢れだした涙がしとどに地を濡らす。しかし、静かに嗚咽を零しながらも涙を拭い顔を上げた春弥の目には諦観はなかった。
「絶対っ、諦めない。絶対見つけて、ちゃんとした自分であの人に会いたいんだ!」
強い決意を滲ませながら、そう言った。
読んでくださりありがとうございました。
本当に、お待たせいたしました。誤字脱字、意味が違う言葉がありましたら教えてください。
追記;自分で読み返して思ったけど、割と春弥くん身勝手というかなんというか……。でも今更直したところでモチベが更になくなるだけかなと。厳しいお言葉はおやめくださいませー(´・ω・`)でも感想は大歓迎ー。