るし★ふぁーの置き土産   作:仲人

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前回までのあらすじ

遂に明らかとなったアルベドの所在。
果たして、アインズらナザリックの面々は恐怖公に打ち勝てるのか!?


〜恐怖公?いいえ、アルベドです〜

《伝言》を飛ばしたアインズは急ぎ宝物殿へと向っていた。少しでも戦力の増強をと考え、パンドラズ・アクターを呼びに来たのである。

 

「パンドラズ・アクター!私と共に第八階層へ向かう・・・ぞ?」

 

普段であれば一つしかない人型が今は二つもある。しかも、片方は何故ここに居るのかと疑問に思う者。

向かい合う様に椅子に腰掛けて居るのは、アインズの創造した宝物殿の番人パンドラズ・アクター。そしてもう一人はナザリックの役職最悪こと、ニューロニスト・ペインキル。

 

「おぉ、我が造物主たるアインズ様!如何なされましたかな?」

 

「あらん、アインズ様ん。そんなに慌てて何事かしらん?」

 

芝居がかった所作と共に立ち上がり敬礼するニューロニスト、オネエ口調でクネクネと蠢くパンドラ。アインズは暫くパトランプの如く発光と消灯を繰り返していた。

 

数分間の点滅の後に未だ燻る心境の中、どうにか事情を説明できる程に回復したアインズは二人に向かい合う。

 

「実はだな、赫々然々でこれから第八階層に向かわねばならんのだ。」

 

「なるほど、確かにそれならば私の・・・いえ、今はニューロニスト殿が私の体でしたな。その能力は必要かと存じます。」

 

「やだん、私がアインズ様にん?いやぁーん!」

 

一々動作の大きいパンドラの姿に光りそうになるのをグッと堪える。そして、パンドラにはアインズに変化後囮になる様司令を下す。

これで第一段階は完了、次は強欲と無欲を装備して第八階層へと赴く。

 

 

 

 

 

 

第八階層───通称荒野。

その地は果てしなく終わりなど無いのではないか、と疑いたくなる程に広い。其処に突如として黒い斑点が現れる。それは次第に点から黒い大波へと変貌してゆく。

よく見ればそれは黒い虫、所謂ゴキブリであった。その津波が向かう先には。

 

───深紅の鎧に身を包んだ吸血鬼の少女。

 

───四本の腕に様々な武器を持つ巨大な蟲人。

 

───強大な狼の様な魔獣を従えた闇妖精の少年と杖を持ち不敵な笑みを浮かべる闇妖精の少女。

 

───凡百油断を棄てた研ぎ澄まされた表情の悪魔

 

───純白のドレスを身に纏い眼前に迫る虫を見下ろす淫魔

 

それら異形の者達が護るように立ち塞がり、その後ろに君臨するは金と紫で縁取られた漆黒の法衣を着た骸骨。

 

「守護者達よ、行くが良い。」

 

そう骸骨から発せられた言葉を皮切りに、目にも留まらぬ速度で六人の異形は走り出す。

 

 

 

 

吸血鬼の少女が持つ奇妙な形状の槍は、一撃で虫を灰燼と化す。

 

蟲人の腕が動いたかと思えば、無数の斬撃が放たれ地面を穿ち虫が千切れ飛ぶ。

 

狼の魔獣はただ駆けるだけで虫達を踏み潰し、闇妖精の少女が杖を震えば地が裂け虫を呑み込む。

 

悪魔が何かしら唱えれば、大地から火柱が立ち上る。

 

淫魔の手にした武器からは、無数の光弾が放たれ虫達を尽く粉砕する。

 

 

 

 

 

この光景を王国最強と謳われる蒼の薔薇が、法国最強戦力の漆黒聖典が、帝国の重鎮たるフールーダ・パラダインが、もしも一堂に会し見たとしたら。皆一様にこう言うだろう。

 

『世界が滅んでも釣りが来る』

 

 

 

 

 

 

数十分にも及ぶ恐怖公の眷属殲滅だったが、遂に恐怖公(inアルベド)の眷属召喚回数が尽きた為、守護者達は今白銀のゴキブリゴーレムを相手取っていた。

 

「だーもう!《清浄投擲槍》」

 

「ス、《スマイト・フロストバーン》」

 

シャルティアとコキュートスの能力向上状態での全力攻撃にも耐えうる防御力。

 

「ぬぅ、フェンリルが弄ばれている。アウラ殿の吐息もゴーレムの為効きませんな。」

 

「私も《トワイン・プラント》を発動しているのですが、どうにも速すぎて追いつけませんね。」

 

狼の魔獣の足元を掻い潜り、魔法発動すらも躱す速度。

 

「集団戦だと、私とアルベドは手が出せない。済まぬが少しでも削ってくれ。」

 

「«真なる無»も使えんせんえ、どうすればいいでありんすか!」

 

更には、敵の手数を減らさせる狡猾さ。

 

アルベドの操るシルバーゴーレム・コックローチは今やほぼ無敵の存在となっていた。殲滅戦で多少なりともチームワークが強化されてはいるが、それでもまだ足りない部分はあるのだ。

 

(もう少し後からの方が良いのかも知れないけど、流石にゴキブリにやられる姿は見たくないからな。)

 

眼下で繰り広げられる守護者達の戦いにまずまずの手応えを感じつつ、予想よりも最小限の被害に抑えられたのは不幸中の幸いだろう。

《完全不可視化》を解くと背中にヴィクティムを乗せた本当のアインズが現れる。腕には白と黒のガントレットが嵌められている。

 

「《星に願いを》守護者達を元に戻せ!」

 

突如現れたアインズに気を取られてシルバーゴーレム・コックローチが動きを止め、そこへ守護者達の全力攻撃が叩き込まれる。破壊こそされないが足止めは必要だ。

発動した超位魔法──必要な経験値はゴキブリで稼いだ──により流星が降り注ぎ、守護者達の体が発光し始める。暫くして流星が消えると、互いに顔を見合わせる守護者達。

その瞬間、皆一斉に歓喜の声を上げた。アインズの超位魔法を見れた感動、シルバーゴーレム・コックローチの討伐の達成感、そして自分の体に戻れた喜び。それらが綯い交ぜになり互いに抱き合って喜ぶ。

そんな姿を見ながら、無事に事が済んだと一人頷くアインズであった。

 

 

 

 

「・・・で、終われば良かったんだがなぁ。」

 

今アインズは玉座に腰掛けたままどうしたものかと悩んでいた。頭の上にはイワトビペンギンの様なモンスター。

 

「アインズ様ぁアインズ様ぁ、くふー♪」

 

あの後結局他の守護者達は元に戻れたのだが、何故かアルベドだけはエクレアと入れ替わってしまっていた。因みにアルベド(inエクレア)は設定とはいえ謀反の可能性がある為、ニグレドと同居中である。南無三。

 

(はぁー、貞操の危機は去ったけどコレからまた大変だなぁ。)

 

アインズの苦悩は続く。




以上で終了となります。
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