ONEPIECE NOVEL SKY DRAGON   作:夢現之巻

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第一話 “艦娘”

『とある海域』

 

 其処は偉大なる航路に位置する海域。

 天候は生憎の大しけ。

陽の光を遮る暗雲が空を覆い尽くし、けたたましく降り注ぐ豪雨と共に暴風が吹く。

 

 そんな状況下、三隻の海賊船の後を追うように五隻の海軍の軍艦が並列して進行していた。

三隻の海賊船の旗にはそれぞれ別の髑髏を掲げていることから大方、利害の一致で団結した海賊連合であることが予想できる。

しかし、何れも世間的にも十把一絡げに過ぎない海賊団であり、船長クラスでも平均して懸賞金5000万ベリー前後。

 

 対する五隻の軍艦には本部より遣わされた選りすぐりの海軍将校と海兵が揃っている。

船の数、戦力差、それは火を見るよりも明らかであり海軍側が敗戦する道理など一切無かった。

 

 だが、それは相手が真っ向から勝負に応じた場合の話。

現状、海賊側は全速力で船を進ませ、砲撃戦を展開しつつ軍艦との距離を離そうとしていた。

 

「モモンガ中将! 一向に距離を離されるばかりで埒が明きません!」

 

「接近がダメなら撃ち落とせ!!」

 

「ダメです! 悪天候の上、この距離からではとても……」

 

 取るに足らない相手なだけに此処で逃せば、海軍本部中将としての威信にも関わる。

そんな焦りを持ちつつも指揮官として冷静な姿勢は崩さず、モモンガは奥の手を打つ。

 

 

 「――――仕方あるまい。“彼女ら”を出撃させろ」

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 一方で、三隻の海賊船は着々と軍艦との距離を離していた。

遠く小さく映る軍艦を眺めながら、海賊たちは一様に勝ち誇ったかのように歓喜に浸っていた。

もはや逃げ切れるのも時間の問題かに見えた、が――。

 

 船内に響き渡る爆音。

 同時に船体を揺さぶる大きな衝撃。

 

 それらは彼らの歓喜に水を差すように現れた。

 

 「なッ……なんなんだァ!? 今のは!?」

 

 騒然とする船内。

先程の衝撃は、まさに砲撃が被弾したことによるものに間違いない。

だが、軍艦は遠くに位置している。あそこから砲弾が届くとも思えない。

 

 ならば、一体何なのか――――。

 

 海賊たちが、それを理解したのは間もなくのことだ。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 「砲撃戦よーいっ!」

 

 その一声を合図に“彼女たち”は構え出す。

砲門・魚雷を携えた艤装を背負った少女たちは荒れ狂う海を疾走する。

距離を詰めながら一斉にその砲口を向け、標準を先ずは端の一隻の海賊船に定める。

 

 「 っ て ぇ ! ! 」

 

 高らかな掛け声と共に一斉に砲門が火を噴いた。

黒煙を巻き上げて飛ばされた砲弾は船体の側面、マスト、船首へと着弾。

木造の船体は着弾箇所から瞬く間に炎上し、浸水。

そして、ゆっくりと速度を落とし、やがては海面へと沈み始める。

 

 モモンガ中将率いる五隻の軍艦に加えて海上戦力として今作戦に投入された“艦娘”

あの一隻目を撃墜したのは特型駆逐艦“暁”“響”“雷”“電”の名を持つ四人の艦娘であった。

 

 「先ずは一隻、ね!」

 

 「でも、なんだか可愛そう気もするのです……」

 

 「命を奪わないだけマシさ」

 

 「この調子で残りもちゃちゃっといくわよ!」

 

 彼女たちは同型の姉妹艦ということもあり連携はお手の物。

息の合った動きで単縦陣を組み、続けて二隻目、三隻目と砲雷撃戦を展開した。

 

 「おいおい……! 先を急ぐなって、お前ら!!」

 

 そして、実はもう一人。

今作戦に喜々として自ら名乗り出た艦娘がいるという。

 

 「調子に乗るのはいいけどなっ! オレの見せ場まで奪うのは勘弁してくれよ……!」

 

やれやれと言わんばかりに軽く嘆息を吐けば、彼女もまた暁たちに続き海面を駆け抜けていった。

 

 その独眼の少女の名は天龍。

曲者揃いの艦娘たちの中でも血気盛んな性分の持ち主である。

 

 そして何より彼女には大きな目標があるようで――。

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 一方で、そんな彼女たちの活躍を遠くより興味げに見据える海兵たち。

 

 「あれが噂の艦娘……」

 

 「見掛けは……女子(おなご)だが決して侮ってはならない」

 

 「あれは“兵器”だ。それもこの軍艦やパシフィスタに次ぐ、な」

 

 モモンガは語る。

 艦娘、それは海軍の天才科学者Dr.ベガパンクが生み出した新兵器。

センゴクからサカズキへと元帥の座が移ったのを機に、海軍はより強力な正義の軍隊を築き上げるために強固な新体制を確立させた。

その一つが彼女たち艦娘の存在であり、予て世界政府より推進されていた人間兵器の一つでもあった。

 

 「我々とは決して相容れない存在だ」

 

 たとえ、人の形をしていようとも。

 たとえ、心を、意思を宿していようとも。

 

 絶対的正義の名の下に、彼女たちは「兵器」に過ぎない――――。

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