僕は、口裂け女の咲希さんと付き合うこととなった。正直、結果としてはたぶん良いかたちにおさまったと思うが、その過程は最悪だ。
だけど、ここ何回か恋人らしくデートしてみてまだ、付き合い始めてすぐということもあるが、良好だ。 咲希さんの口も見慣れた。いつも口裂け女らしくマスクで隠しているものだと思っていたが、聞いてみると、そういった時もあるらしいが、出歩く時はメイクで整えているらしい。
今回もデートをするため咲希さんを待っている。今までは、定番の映画館やら、買い物デートと言ったものだったが、今回は何と咲希さんの家にお邪魔するというのだ。
「ヤッホー。」
おっ、噂をすればなんとやらだ。今日は、マスクでの登場だ。
「こんにちわ。」
「待たせてしまったわね。」
「大丈夫です。今来たところなので。」
「ありきたりな言葉ね。本当のところ何分待ったの。」
「さ、30分です。」
「あら、いつもより15分長いわね。それだけ期待しているのかしら。」
「期待していないというと嘘になりますね。」
「家に来るだけなんだから、あまり期待しないでね。それじゃ行きましょうか。」
ついにおじゃますることになる。前の彼女は、入れてくれなかったからなー。失礼の無いようにせねば。あー緊張する。あっ、道順も覚えねば。
「あと数分歩いたら
ん?私たちということは、他にも居るということ。つまり、独り暮らしではない。可能性としては、ご家族ということがありうる。ヤバい。ご両親に顔を見せるなんて緊張する。誰か変わってほしい。ダレカタスケテー。
「あのー、私たちということは、どなたがおられるんですか。」
「アレ?言ってなかったかしら、私は、友人3人と共同生活しているのよ。ちなみに、3人とも怪異だけど人間には友好的だし、私たちのことも理解してくれているから安心して。」
「もっと、早く言ってほしかったです。」
いやはや、ご両親とかじゃなくてよかった。でも、どんなかただろう。怪異というと有名な奴だと、ヒキコさんとかテケテケとかかな。スプラッタ系でないことを祈ろう。個人的にスプラッタ系は、見ていてつらいからね。
すると、咲希さんが家に着いたという事で足を止めた。僕も、足を止めそこでようやくその家を認識した。
外見はどこにでもあるような今風の二階建ての家だ。庭もあり、しっかりと手入れが行き届いており見ていて気持ちの良い感じだ。
だが、なぜか、家の存在自体が不思議なほどにぼやけている。例えるなら、『黒子のバ○ケ』の主人公のような、多くのガラス玉のなかにに1つだけ小さな水晶玉が混ざっているような、影が薄くパッと見ただけでははっきりと認識できないそんな家だ。
「海斗が感じたであろう違和感は、私たち怪異が、暮らしていることによるものだから気にしないで。」
いやいや、気になりますって。
モヤモヤしている僕を他所に咲希さんは、玄関のドアを開けて入るように促した。
僕は、促されるままに入ってみると、そこは常識では考えられないようなオーラがあることもなく、普通の内装だった。
もっと、非日常を感じられるのかと期待していたがその期待があっさりと消え去ってしまった。
なんか、……悲しい…。
「何で落ち込んでいるのよ。まっ、いいわ。みんなはたぶんリビングに居るから。」
そういって、、リビングの扉を開けて入っていった。僕も覚悟を決めて、一歩を踏み出した。
入ってみると、髪の長い女性と、車イスの女性、イケメンの男性が、テーブルを囲うかたちでソファーに座っていた。
「いらっしゃい。」
そういって、髪の長い女性は、僕を歓迎してくれた。
「お、お邪魔します。」
「初めまして。私は、二口女の福ですわ。一応、この家の家長的ポジションですわ。正直、咲希が彼氏をつくって、しかもそれが人間だなんて今でも、信じられませんわ。まぁ、それはそれとして、そこの車イスの子は、テケテケの零子ですわ。零子は、株とかをやってて、やり手なんですよ。」
「宜しくっす。」
「宜しくです。あのー、テケテケなんですよね。」
「そうっすけど。あ~、この下半身のことっすか。これは、作り物なんっすよ。それにうちがのっているだけ。
だって、いっつも手で動き回るなんて汚いですし、外出なんて出来ないじゃないっすか。だから、車イスなんっすよ。」
「それで、あそこのイケメン君は、のっぺらぼうの野辺ですわ。野辺はメイクアップアーティストで、自分だけでなく、咲希の口元の整えかたも考えたんですよ。」
「宜しく。お互い戸惑ったりするかもやけど、気楽にいこうや。」
「僕は、空井です。気軽に海斗と呼んで下さい。これから迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします。」
僕の日常となる非日常が幕を開ける。
これからは、一、二話完結の話を書いていこうと思います。
感想や、アドバイスをよろしくです。