「た、大した事なかったな、七罪。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ」
「そうね。」
(ガクガクしているのに気付いてないのか)
お化け屋敷の近くのベンチでそんなやり取りをする。
「そういえば七罪、目的とやらは達成できたのか?」
震えが止まったあと、七罪に聞いた。
「いえ、全く。」
七罪は目的である、士道の中にある悪意を見抜くことが出来なかったのである。
「目。」
「?」
この少年は目が何だというのだ。
「目の色が変わったよ。
悲しみ、絶望、拒絶のような色から絶望が抜け落ちて
悲しみと拒絶の色が薄れて希望が少し混じった感じの
色になったよ。」
「……。」
この少年に何が分かるというのだ。
私の事なんて知らないくせに。
私の存在がどれだけ害悪か知らないくせに。
私の絶望がどれだけ深いか知らないくせに。
私が何を拒絶しているか知らないくせに。
私が何を求めているのか知らないくせに。
この少年は何を考えているのだ。
「俺は七罪を肯定するよ?世界がどれだけ否定しても。」
「ッ!?」
その言葉は七罪が最も欲していた言葉だった。
その言葉は求めても答えて貰えないものだと思っていた。それなのにこの少年は……。
しかし七罪の口からでた言葉は感謝ではなかった。
「だ、騙されないんだからね!」
七罪は繋いでいた手を振りほどき、1人で歩きだす。
数歩歩いて振り返る。
「また会いに来るから。」
七罪が士道に言ったセリフは、夕日に照らされていたのか、恥ずかしさで頬を染めていたのかはわからなかった。
「ああ、待ってるぞ、七罪!」
士道は七罪の後ろ姿をいつまでも見つめていたが、七罪は人混みに紛れた瞬間消えさった。
士道はそれを不思議に思うことはなくて。
「さて、俺も帰るか。」
士道は七罪との再会を果たすために、毎日お化け屋敷に足を運んだ。中には入っていないが。怖かったし。
8日後、いつも通りベンチに座ってパ○ドラをしていた。夢中になりすぎて気付かなかった。隣に七罪が座っていたことに。
「……、士道」
「(ドロップを動かす音)」
「士道」
「(コンボが重なる音)」
「士道!」
「(水の全体攻撃の音)」
「士道〜」
「(スキルを使う音)」
「士道!!」
ついにキレた七罪は耳元で叫んだ。
「うおっ!?な、七罪?」
「おはよう!」
御機嫌斜めのようだ。
「おはよう。なんでそんなに不機嫌なの?」
疑問に思った士道が自分のせいだとは思わずに聞く。
「あんたのせいよ!あんたの!!」
「お、俺の!?なんで?」
「何回も呼んでるのに無視するからでしょーが!!」
えっ
「申し訳ございませんでした。はい。」
「まぁいいわよ。それで、どこに行くの?」
「とりあえず家教えておく。」
いつ来るか分からないし。
「案内よろしく。」
士道は七罪の手を握り、立たせてから歩き出す。
家までの道を。
未来(これから)への道を。
そして、中学1年の夏。
士道は夜、七罪に呼び出された。
日頃の行いによって、簡単に家から抜け出せたものの、妹達の目が辛かった。
駅前には七罪が………?
「あの、七罪のお姉さんですか?」
そこにはモデル顔負けの七罪のお姉さん(?)がいた。
「いえ、本人よ?」
「?でも七罪はもっと小さくて可愛いよ?お姉さん綺麗だけど。」
士道の躊躇いない言いように、七罪(?)は赤くなる。
「わ、私、精霊なの。」
「お姉さん中二病?」
「違うわよ!今見せるわよ!ちょっとこっち来なさい!」
士道の手を引き、路地裏に入る。
そこで七罪(?)は淡い水色の光に包みこまれ。
次の瞬間にはいつもの七罪の姿が。
「どう?」
自慢げに問う。
「ほんとに精霊?なんだね。」
「そ、それで、なんだけど。こ、こっこれから家来ない?」
顔を真っ赤にしてモジモジしながら言う。
「行く。」
「こ、こっちよ」
早足で歩き出す。士道は横に並び、七罪の手を握り、ビクッとした七罪に微笑みかける。
着いた場所は。
「俺の家の近くかよ!駅まで行った意味は!?」
「ま、まぁいいじゃないの。」
「七罪のこと知れたからいい。」
言った本人も、七罪も赤くなっている。
「今の七罪の目、絶望も拒絶もない色だね。」
瞳が揺れる。お互いの瞳にお互いをうつしあう。
そして、七罪の方から顔が近づき……。
唇が一瞬触れ合った。
その儀式はお互い知っているはずもなく。
七罪の服が宙に溶け消えた。
「「ッ!?」」
七罪はとりあえず士道に抱きつく。
「見た?」
「み、見てない」
「鍵開いてる」
きっと、服か何かを取ってこいということなのだろう、と判断してドアに近づく。否、近づこうとした。
「このまま、電気はつけないで寝室まで。」
「お、おう。」
もちろん、間違いはなかったよ?キスはしたけど。
これで過去は終わりですね。
次回は七罪と学校行きます。