俺の名は横島忠夫。年齢=17才・性別=男・髪の色=黒・職業=高校生、兼………
それはある日、父親のナルニア転勤に端を発した。
―◇◆◇―
「俺は嫌だぞ!! ナルニアなんぞに行くのは御免じゃ!!」
「そんなに嫌かい?」
「当然じゃろが!!」
「なら、条件次第なら日本に残ってもいいよ」
「ホンマか!?」
俺の母親、横島百合子はほくそ笑みながら息子である俺にその条件を伝える。
だが俺はその時、母親のその笑みの意味に気付かなかった。もし、気付いていれば……
「まず一つ目は高町さんの所にお世話になる事。一人暮らしなんて認めないよ。そして二つ目は」
「二つ目は…何だよ?」
「それについてはせのが説明するっす~。あ、せのの名前は瀬乃せらのっす」
そんな風に話かけて来たのは何時の間にか家の中に入って来たのかテーブルに着いてお茶を飲んでいる小学校低学年位の体格の子供だった。
その傍らには一人の女性が居り、俺は何時ものナンパ癖が出る所だったが母親である百合子の足元にある何やら再生しつつある人間みたいな物体を見るとすぐさま思い止まる。
おそらく何時もの癖であの女性を口説いて、お袋にズタボロにされたという所だろう。
――俺はこの父親の血を受け継いでいるんだよな。
そう思いながらようやく人と判別できる位には再生した父親「横島大樹」を見降ろす。
「で、その条件とは?」
「お兄ちゃんにはせのと契約して魔法少女になってほしいっす~」
「………すまん、良く聞こえなかった。もう一度いいか?」
「だからお兄ちゃんには魔法少女になってもらって世界の調和を乱す“ノイズ”と闘ってほしいんすよ」
俺はキラキラと期待に満ちた目で自分を見つめる子供から目を逸らし、母親の百合子に向き直る。
「お袋、何なんだこれは?」
「まだ説明は終わってないよ。最後まで聞きな」
「続きは私から説明しましょう。あ、私の名前は
「だから何でその魔法少女に俺がならねばならんのじゃ」
「気付いてないかもしれないっすけどお兄ちゃんはかなりの魔力を持ってるんす。そこでお兄ちゃんには「瀬乃」が新しく研究をしている“チューニング・チューナー”の実験を手伝ってほしいんす」
「“チューニング・チューナー”?なんじゃそれは」
「それはですね……
―◇◆◇―
それから数カ月後、ナルニアへと転勤していった両親との約束を守る為に横島は高町家に居候する事となり、そして。
「さあ、タダたん変身だ!!“意味在る言葉”を」
「やればいいんじゃろが、やれば!!『昼と夜とを紡ぐ朱(あか)』!!」
俺の名は横島忠夫。年齢=17才・性別=男・髪の色=黒・職業=高校生、兼………魔法少女。
今日も彼は魔法少女として日夜闘い続けているのだ。(笑)
「(笑)じゃなーーーーーいっ!!」
「タダたん、地の文につっこんじゃいけないよ」
―◇◆◇―
学校も終わり、海沿いの道を二人の男が歩いていた。
一人は言わずと知れた横島忠夫、もう一人は高町家の長男、高町恭也である。
「はあ、何が悲しゅーてお前みたいなむさい男と一緒に帰らんといかんのじゃ」
「それはこっちのセリフだ。母さんに店の手伝いを頼まれてるんだから仕方ないだろうが」
横島と恭也は、高町家が経営する店を手伝う為に学校から直接その店、洋菓子喫茶「翠屋」へと足を進めているのだった。
「ただいまっス」
「ただいま」
横島忠夫と高町恭也はそう言って洋菓子喫茶「翠屋」の扉を開く。
「あら恭也、忠夫君、お帰りなさい。ちょうど良かったわ、忙しくなってきた所なの。さっそくお店に入ってくれる?」
「了解っス」
「了解」
横島と恭也は店主の桃子にそう応え、店の奥に行き制服を脱いでエプロンを身につけて接客を始める。そんな彼等の元に一人の少女がやって来た。
彼女の名前は高町なのは、高町家の末娘の小学3年生の女の子である。
店などで忙しい両親、剣の修行であまり構ってくれない兄と姉のせいで寂しい想いをしていたが近所に住んでいた横島が遊んでくれたりするので横島にはかなり懐いている。
だが彼女には家族に内緒にしている秘密があった。
なのははある日、異世界ミッドチルダからやって来たユーノ・スクライアと出会い、彼が誤ってこの世界に撒き散らせてしまったロストロギア『ジュエルシード』を回収するのを手伝う為に魔法少女として日夜戦い続けているのだ。
ちなみにユーノは普段はフェレットの姿をしているが本来の姿は人間であるという事は彼女はまだ知らない。
「あっ!忠夫お兄ちゃん恭也お兄ちゃん帰って来たんだ、お帰りなさーい♪」
「ただいま、なのはちゃん」
「ぶー、なのはって呼び捨てでいいって何度も言ってるのに」
「ははは、また今度な」
横島は笑いながら頭を撫でてやると、なのはは頬を膨らませながらも顔を赤くしながら照れている。
そんななのはを見て面白くないのが彼女の兄、高町恭也である。
重症を負い、一戦を退いた父に変わって妹の美由希に「御神流」の剣術を教え込む為になのはにはあまり構ってやれずにいた。
横島家と高町家は母親同士が友人の為交流があり、なのはも良く遊んでくれる横島に懐いていた。
そんな事もあり、横島が高町家で居候する事になって一番喜んだのはなのはであった。
そして、なのはがお兄ちゃんが二人ではややこしいと言って横島をお兄ちゃん、恭也をお兄さんと呼び分けようとしたらお兄さんと呼ばれた恭也がマジ泣きした経緯がある。
なので今はそれぞれ名前の後にお兄ちゃんをつけて呼ぶようにしている。
カランカランッ
「こーんにちわーーっ!!」
「あら、砂沙美ちゃんいらっしゃい」
其処に元気そうな一人の女の子が入って来た。
彼女の名前は河合砂沙美、小学4年生の女の子で近所に住んでいる。
実家はCDショップ『CD-Vision』を経営しており、母親と父親、そして兄との四人家族。
母親は元演歌歌手でマネージャーとの結婚後、CDショップを始めるも自分が気に入った演歌しか置かない為あまり繁盛はしていないらしい。
実質、河合家は砂沙美が中心となっている。
彼女もまた周りには明かせない秘密がある。
女王の代替わりの時期を迎えていた魔法の国・ジュライヘルム。
その次期女王最終候補に残った女性「
拒否権を与えられなかった砂沙美はパートナーでもある魎皇鬼と共に魔法少女として日夜闘い続けているのだ。
横島は兄である天地の幼馴染で砂沙美も幼い頃から一緒に遊んでもらっており、淡い恋心を寄せている。
「毎度どうも、ご注文のCDを持って来ました」
「ありがとう砂沙美ちゃん。恭也、BGMのCDこれと入れ替えて来てくれる」
「了解」
「砂沙美ちゃんも御苦労さま。ジュース御馳走するから飲んで行きなさい」
「ありがとうございます、桃子さん」
高町家の長男、高町恭也は桃子からCDを受け取ると店の奥に入って行き、砂沙美が店の奥に目をやると兄の姿を見つける。
砂沙美の兄、河合天地。何処にでもいる様な平凡な高校生の様だが持って生まれた不幸体質の所為か色々と苦労を重ねる生活をしている。
魎呼や阿重霞といった美女達から想いを寄せられているが彼女達が巻き起こす騒動に精神をすり減らす毎日である。
今も何処かで天地の彼女の座をかけて対決をしているだろう。
「天地兄ちゃんズルイ!! 砂沙美はお店の手伝いをしてるのに天地兄ちゃんだけ寄り道して」
「ははは…ごめんよ砂沙美」
カランカラン
店のBGMが変わった時、店に新しい客が入って来た。
「こんにちは」
「あら、さくらちゃん。いらっしゃい」
桃子は店に入って来た女の子に笑顔で挨拶をし、その女の子に砂沙美、なのは、そして横島も同じように笑顔を向け、挨拶をする。
「さくらちゃんだ」
「さくらちゃん、いらっしゃい」
「いらっしゃい、さくらちゃん」
「うん、ありがとう砂沙美ちゃん、なのはちゃん、た…忠夫さん」
さくらと呼ばれた女の子は砂沙美となのはには普通に返事をするが横島の時には少し頬を染め、俯き加減で返事をした。
そんなさくらを見て二人は少し面白くなさげに頬を膨らませる。
そこに店の奥から一人の男が声をかけて来た。
「何だ、また甘い物でも食いに来たのか?それ以上太ると家の床を踏み向いちまうぞ、怪獣」
「ぶうーーっ!さくら怪獣じゃないもんっ、お兄ちゃんのイジワル!」
さくらは熱り立ちながらからかって来た兄、
その迫力からはズーン、ズーンと足音が聞こえてくるようだ。
「おいおい、ゆっくり歩かないと店が壊れちまうぞ」
「だからさくらは太ってなんかないもんっ!」
真っ赤な顔で今にも桃矢に掴みかかりそうなさくらの頭に横島は優しく手を乗せゆっくりと撫でてやる。
「大丈夫、さくらちゃんは太ってんか無いから。そんなに剝れると可愛い顔が台無しだぞ」
「ほえ…ほ、ほえぇ~~~っ!」
この娘は木之本桜。小学四年生の女の子である。
ふとした事から様々な力を秘めたクロウカードを解放してしまい、街中にばらまいてしまったカードを再び集める為にカードの封印獣・ケルベロス(通称ケロちゃん)と共にカードキャプターとして日夜闘い続けているのだ。
ケルベロス曰く、並外れた魔力の持ち主との事。
横島に頭を撫でられているさくらは茹で上がった様に顔を真っ赤にし、全身から湯気を出しながら指を絡ませて照れている。
時たまチラチラと横島を見ると自分に向けてくれる笑顔に照れてまたすぐに俯いてしまう。
横島家は元々木之本家の隣に住んでおり、さくらも幼い時から横島に懐いていてその気持ちが恋心に変わるのにあまり時間はかからなかった。
そんなさくらを見て面白くないのが兄の桃矢。
さくらをからかい、怒らせてばかりだがこれは彼のねじ曲がった愛情表現。
桃矢のシスコンぶりは有名なのだ、その事に気付いてないのは桃矢本人と妹のさくらぐらいである。
「ぐ、ぐぎぎぎ…ぐががが」
「まったく、そんなに悔しがるくらいなら素直になればいいのに」
コーヒーカップを握り潰さんとする位に憤っている桃矢を笑いながら諭そうとしているのは
桃矢の親友の一人であり、彼にはさくらに関係した隠された秘密がある。
もっとも彼自身はその事は知らず桃矢はそんな彼を影ながら護っている。
「あらあら、憧れの男性に頭を撫でられて照れているさくらちゃん。レア映像ゲットですわ♪」
「と、ともよちゃんっ!一体何処から!?」
いきなりビデオカメラ片手に現れた少女の名は
さくらのクラスメイトで彼女の一番の親友で、資産家の大道寺家の一人娘。
さくらに惚れ込んで
「可愛いさくらちゃんの姿を撮る為でしたら私は何処にでも現れますわ」
「ともよちゃん!そ、そんな事言ったら…恥ずかしいよ」
「まあまあ、更に赤くなるさくらちゃん。「さくらちゃんメモリアル」に新しい一ページが追加ですわ♪」
「と、ともよちゃん。「さくらちゃんメモリアル」って何?」
「今はまだ秘密ですわ」
「ぶ~~、イジワルしないで教えてよ~」
「剝れるさくらちゃんの映像もゲットですわ」
「まあ、その内見せてくれるだろうから楽しみにしてな」
「は、はい」
横島がそう言いながらまた頭を撫でてくれるとさくらも再び赤くなって大人しくなる。
そんなさくらを見て桃矢が憤っていると恭也が空になったコーヒーカップにコーヒーを注ぎ直しながら桃矢の肩を叩く。
(気持ちは解るぞ)(解ってくれるか)
漢達は声を出さずに目だけで会話をする。
そんな二人を見て天地と雪兎はあははと乾いた笑みを浮かべるのだった。
「忠夫お兄ちゃん、手が止まってるよ。なのはも一生懸命お仕事してるんだからね」
「ははは、ごめんごめん」
横島は頬を膨らませながら詰め寄って来るなのはの頭を笑いながら撫でてやるとなのはは途端に照れながらも笑顔になる。
「あらあら、良かったわねなのは」
「えへへ」
パリンッ
照れて、はにかむなのはの気配を背中で感じた恭也は取り変えようとしていた雪兎のコップを握り潰してしまう。
「だ、大丈夫かい恭也?」
「ああ……問題無い…」
そう言いながらも力なく俯いている恭也の肩を今度は桃矢が叩いてやる。
(解る、その悔しさ、嫌というほど解るぞ)(ああ、ありがとう)
再び漢達は目だけで会話する。
「ねえ、忠夫兄ちゃん。砂沙美もお店のお手伝い頑張ってるんだよ」
砂沙美も少し脹れっ面でさりげなく頭を横島に向けながらそう言う。
「もちろん、砂沙美ちゃんも偉いぞ」
「えへへ、ありがと忠夫兄ちゃん」
砂沙美も横島に頭を撫でられてはにかみながら照れている。
そんな砂沙美を天地は……
「ははは、砂沙美の奴しょうがないなあ」
ごく普通に微笑ましそうに見ている。
すると恭也と桃矢は天地の肩を握り潰さんとする勢いで掴み赤く染まった瞳で睨みつける。
「な、何するんだよ二人共。い、痛いじゃないか、それに何でそんな怖い目で睨むんだよ?」
「天地、貴様…」
「何を考えている?」
「な、何って?」
「兄が何故妹より先に生まれて来ると思っている?」
「「それは
「よ、よこしまなって……」
「「この、兄の恥さらしめ!!」」
「ゆ、雪兎、何とかしてくれよ」
「二人が素直にならない限りはどうしようもないね」
そんな彼等を離れた場所から見ている横島達、特になのはとさくらは何時もとちょっと違う兄達の姿に少し引き気味だ。
「なあ、あいつ等何してるんだ?」
「「「さ、さあ…?」」」
平穏な日常を紡ぐ海鳴市、だが未だかつてない危機がこの街に迫って来ている事に気付く者は今は誰も居なかった。
何時かは後編に続くカナ?。
(`・ω・)勢いで書いてしまった、後悔はしていない。
今回の忠夫は「どうでショー」の「タダオキュート」とは違い、男の娘ではなくちゃんとした男で変身後はTSして魔法少女になるという設定。
( ;ω;)何時書くんだなんてツッコミしたらイヤン。