死神様がサボる理由【完結】   作:船長は活動停止

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四話目にしてまさかのお気に入りが10件も……ありがとうございます!


さて、今回は慧音せんせーです。


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ではではどうぞ。



第四話

 

 ――――何故産まれた?

 

 ……人として生きるため

 

 

 ――――何故産まれた?

 

 ……人に愛されるため

 

 

 ――――何故産まれた?

 

 ……人を愛するため

 

 

 ――――何故産まれた?

 

 ……何故だろう

 

 

 ――――御前は妖怪として産まれた

 

 ……違う

 

 

 ――――事実、そのせいで御前の親は死んだじゃないか

 

 ……それは

 

 

 ――――それに人でなくとも愛せるというのに?

 

 ……違う。人でありながら人を愛したい

 

 

 ――――それこそ違う。人でなくとも妖怪なら人を愛して喰えるじゃないか

 

 ……やめろ

 

 

 ――――認メロ、御前ハ妖怪ダ

 

 ……やめろやめろやめろ……!

 

 

 ―――認メロ認メロ認メロ認メロ認メロ認メロ御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ妖怪御前ハ

 

 ……やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろヤメロォォォォォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 布団をはね除けて身体を起き上がらせる。

 

「ハァッ、ハァッ…………」

 

 少女は荒くなっている息を整えながら辺りを見渡した。

 その時戸が急に開かれた。

 

「おい、どうした!?」

 

 里の守護者が慌てた様子で少女の家へと入ってきた。

 すると少女の動悸が激しくなる。慧音の登場と同時にだ。

 

―――コロセ

 

 頭の中に自分の声と似た声が響く。

 

「ッ!?」

 

―――肉ダ

 

「ッ!うあ……!」

「お、おい。どうかしたのか!?」

 

 慧音が駆け寄るとさらに動悸が酷くなる。脂汗が頬を伝い、必死に抑え込む。それでも破壊衝動に似たものは収まるところを知らずに激しさを増す。

 

「いや………。慧音さん……逃げ…………」

「おい!?」

 

 瞬間慧音の首が華奢な少女の腕に掴まれて床に叩き付けられた。

 

「ッ……!?」

「グ……ガ……アァァ……!」

「まさか……妖怪化したのか!?馬鹿な、いくらなんでも早すぎる……!」

 

 しかしいくら現実逃避したところで現実は変わらない。

 

「とりあえず放せ……!」

 

 腕を掴んで首から放させると逆に頭を掴んで床に組み抑える。

 

「……!」

「くそ、殺るしかないのか……!」

「ガアアアァァァァ!」

「ッ!?」

 

 慧音の腹を蹴り飛ばした。里を護るために極稀にだが妖怪と戦っている。だが少女の一撃は何より重かった。

 

「な、ん……!」

 

 吹き飛んで家の壁に背を打ち付けた。

 

「ぐ………ッ!?」

 

 顔をあげた瞬間横に跳ぶ。刹那慧音を狙った拳が壁に激突して吹き飛ばした。

 

「なんて威力だ……」

「ァ……ア……アァァ!!」

 

 瞳を爛々と熙らせて追撃とばかりに抜き手で慧音の脇腹を貫いた。

 

「カハ………ッ!?」

「アハ……血だ♪」

 

 手を抜いて慧音の血がついた手を舐める。その様子に恐怖を覚えた。自分自身が食われるということではなくこの子に里が全滅させられてしまうと考えてしまったからである。

 

「マズい……このままじゃ」

「おーい、遊びに来た……ってなんだいこれ」

「ッ!」

 

 玄関から顔を覗かせたはいつかの死神。

 

「なんでこんな時に……!」

 

 悪態をつき、一瞬だけそちらに気が向く。その隙に少女が接近して再び拳を振り上げていた。

 

「しま―――――」

「やめないかい!!」

 

 二人の間に一瞬で割って入った小町は少女の拳を受け止める。

 

「………ッ!」

「……これはいくらなんでもやり過ぎだろ」

「馬鹿、死神!」

 

 慧音が叫ぶと同時に身体の横から強い衝撃が奔り、小町を吹き飛ばす。

 

「ッ一体何だって言うんだい守護者!」

「……あの子が妖怪化した………」

「成り立てだろ!?……なのに中々強いじゃないか……!」

「そんなこと言ってる場合か!早く止めるぞ!」

「止めるって言ったって……」

「………妖怪になった以上仕方無い」

 

 自身に言い聞かせるように慧音は呟くと少女に駆け出す。

 

「まさか………!やめな!」

 

 能力を駆使してまたしても間に割り込むと慧音の腕を止めて、投げ飛ばす。

 

「何をする死神!」

「それはこっちの台詞だよ。……まさか妖怪化しただけって理由でこの子を殺すつもりかい?だとしたらいくらあんたでも容赦しないよ」

 

 虚空から鎌を取り出して構える。

 

「今はそんなこと言ってる場合か!下手すれば里壊滅の危機なんだぞ!」

「分からず屋!そうなる前に止めるって言ってるんだよ!」

「ッアアアァァァァ!」

「ッ!?」

 

 小町のすぐ背後から雄叫びが聞こえた。その声の主は見ずとも分かる。

 

「あんたももう少しは落ち着きな!」

 

 振り上げた少女の抜き手は、しかし小町を通り過ぎる。

 

「え―――――」

 

真っ直ぐ慧音を狙っていた。

 

「………ッ!」

(しまった……!)

 

 恐らく普通に受け止めようと思ったなら時すでに遅しだろう。なんせ少女の身体は小町を通り過ぎていたのだから。

 

「あいや待ちな―――――!」

 

 能力を使って少女と自身の位置を入れ替える。それと同時に小町に抜き手が貫く。

 

「カ……!」

「何しているんだ死神!?」

「死神……?」

 

 慧音の言葉に少女の瞳が開かれる。そして爛々と熙らせていた瞳が元の色へと戻っていく。

 

「死神……………さん………?」

「ッ!あんた意識が……!」

「死神さん………私………」

「良かった………正気に戻って……」

 

 安堵したように小町が少女を抱き締める。

 少女がふと手の感覚に違和感を感じたのか手を見る。しかし小町に抱き締められているため何も分からない。

 

「あ、あの……死神さん……。私の手がもの凄く気持ち悪い……」

「…………今はそんなこと気にしなくていいよ……あんたが元に戻って良かった……」

「死神さん………私……一体………何が……」

 

 より一層強く抱き締めると少女はふと気を失った。

 妖怪化したことでその体力が尽きたのだろう。寝かせる頭を撫でる。

 

「………死神」

 

 慧音が暗い声で小町を呼ぶ。それだけで言いたいことは伝わった。

 

「……………あぁ、そうだね」

 

 身体に風穴が空くなんざ久し振りで足下がフラついたが歩けないほどではない。それに人外なので人間よりはるかに回復力は高い。ほっておけばいつか治るだろう。

 

「………ここではなんだ、私の家で話そう」

 

 顎で小町を促すと小さく頷いた。

 

「悪いがお前の能力を使ってもらってもいいか?こんな様子を誰かに見られたもんじゃない」

「はいよ」

 

 慧音の肩に手を置くとその場から消えた。

 

 

 

 

 




忌み子ちゃんの妖怪化。かなり怖いっす。

感想、評価お待ちしております。

では次回までバイバイです。
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