やはり俺の夢の世界は間違っている。   作:コウT

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こうして夢の世界へ来た比企谷八幡だったが
そこは予想外の現実だった・・・








というわけでまえがきで初めて挨拶します。
Pixivだけだったんですがユーザーさんからこっちでも
書いてくださいと希望あったので書くことにしました。
慣れてない部分やお見苦しいとこありますが
よろしくです。


こうして夢の世界はスタートしてしまう

さて夢の世界に向かうにあたって色々と準備が必要なため

すぐにいくというわけにはいかない。

 

 

まずどこでこれを使うかだ。

 

 

 

家で使うとしたら

万が一起きなかった場合すぐに誰かが気づく。

最も安全面を考慮するならば一番家が安心する。

 

ホテルの場合誰にも邪魔はされないが

これはおすすめができない、お金もかかる上に

起きない場合事件に繋がりかねない。

 

 

うーんまあ..家だよな、どう考えても。

 

 

次に書置きだ。

万が一俺が起きれない場合

今回の件について俺が知っていることをまとめておく。

俺はB4サイズのノートを1枚破り

そこに知っていることを書き残すことにした。

書き忘れがないように何度も何度も見直し

俺は机の上においた。

 

さて次の問題は俺の体の問題である。

 

 

 

ここで先ほどの薬の注意事項をもう一度振り返る。

 

 

 

 

注意事項

 

1、 この商品はお客様を夢の世界へと疑似体験させるための薬です。

実際に睡眠状態に入って頂く必要があるので

手順通りに行い正しい使い方で使用してください。

 

2、 本製品では薬を一度に多用した場合睡眠状態から目覚めない場合等の恐れが

ありますので薬は必ず決まった分量で行ってください。

 

3、 万が一夢の世界から抜け出す場合は必ず手順通りに行ってください。

強制的に抜けようとすると脳に影響をもたらし死の危険性もありますので

ご注意ください。

 

 

 

すでにここまでの説明でかなり怖い。

いやもうドラック以上にやばいでしょ、これ。

一体こんなもの使えって由比ヶ浜はどういうことなんだ。

ていうかこれを由比ヶ浜も使ってるとしたら・・

そう考えたら益々急がなければならなくなるがここは冷静に。

 

そして最後の注意事項を読む。

 

 

 

他人の夢に干渉することだけは絶対にやめてください。万が一干渉してしまうと

あなた自身が他人の夢の世界から出れなくなってしまいます。

絶対におやめください。

 

 

 

他人の夢の干渉。

これが最大のキーワードになると俺は感じていた。

もし雪ノ下が夢の世界にいるとしたら

由比ヶ浜はそれに気づき雪ノ下を助けにあいつの夢の中にいったとすれば

強引な形だがつじつまが合ってくる。

だとすれば今、由比ヶ浜は雪ノ下の夢の世界から出れなくなっているはず。

 

 

ここでまたしても問題が浮かぶ。

雪ノ下の夢に行きあいつらを助けに行く。

が行くのは簡単だ、これを使えばいい。

問題は帰りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今あいつらは夢の世界から帰れなくなって起きることがない状態だとすれば

俺が助けにいってもそれは変わらない。

つまり何もすることができない・・

 

これが恐らくだが雪ノ下さんのいってた被害ということだろう。

確かにこれじゃ助けるどころか自分も帰れなくなり問題が増えるだけだ。

ただ唯一疑問なのはそれを知っていてあの雪ノ下さんが

ただ夢の世界に行くとは思えない。

つまりあの人は何か解決策を知った上で夢の世界へ行こうとしている。

そういうことではないのか。

 

 

 

しかしまあなんだ。これ以上俺が考えてもしょうがない。

俺はベッドに横たわり手順通りに進めることにした。

 

 

 

手順の紙、紙..

なんか色々紙があるんだが..

とりあえず手順方法と書いてあるのがこれで

他は夢の中の説明と端末と薬の詳しい説明書...

注意事項は読んだし手順通り。

 

説明書はあとで読むか。

 

書いてあった手順は

まず端末についているイヤホンをつけ端末についているボタンをオンにする。

オンにすると音楽が流れるため30分間その音楽を聞いている。

この時点でイヤホンを外してはいけないとのことだ。

何でもイヤホンを通して夢の世界を読み取るとのこと。

ただのイヤホンにしか見えないが今は疑うことを控えることに。

次に音楽が鳴り終えたらそのままイヤホンを外さずに

注射器を取り出し白いケースの中に薬が入っているビンがあるので

それを注射器に注入し左右どちらの腕でも構わないので注射する。

ここで重要なのは注射する前に薬を入れるのだが薬の分量がきちんと

決まっておりこれを間違えると先ほどの注意事項にあった通り

決まった分量で行うことが重要だ。

注射すればあとはただ眠るだけ。

次に目覚めた時そこは夢の世界が広がっている・・とのことだ。

 

 

 

とりあえず音楽を聞きぼーっとしていることに。

何にせよ今家に誰もいないのは好都合なのと今日は土曜日だ。

万が一今日中に起きなくても明日までに起きることができれば

公にはならない。

 

ここで俺は単純な疑問を思ってしまう。

夢の世界に行くというか俺は雪ノ下の夢の世界に行くことばかり考えていて

実際にどう行けばいいかわからない。

それにまず今夢を読み取られているということは最初に行くのは自分自身の夢の中だ。

俺の夢....専業主夫だよな...

そりゃあ将来の夢は専業主夫だからそんな感じの夢を見せてくれればいいけど..

いやてか俺が専業主夫の夢とか楽しいかそれ?ただ家で家事をやっているだけだぞ..

あ、でももしそうなら俺誰かと結婚してるのか。それはまあ見てみたいかもしれん。

 

 

とここで音楽が鳴り終えた。

さていよいよだ。ここで実は驚きなのが比企谷八幡が特に注射が嫌いじゃないことだ。

別にちょっと痛いがすぐ終わる、そう考えてるうちにいつの間にか終わってたのだから

 

まあしかし・・自分でやるとなるとなかなかの緊張だ。

ひとまず気を付けて薬を入れて・・よし、分量通りだ。

 

 

 

さてそれじゃあ・・

俺は部屋の中をきょろきょろする。

時刻は午後1時。家には誰もいない、小町は友達と遊びに行くと言って

おそらく夜まで帰ってこない。

却って好都合だ。

 

現時点でははっきりいって不安要素しかない。

帰ってこられる保証もないし二人を助け出す手段もわからない。

しかし何もせず待つことなんてできやしない。

いつだって誰かから褒められるやり方をしてきた覚えはない。

俺のやり方はいつも誰かから非難され自分を傷つける。

今回だって恐らくそうなる。

そのやり方を彼女達は嫌い俺はそのやり方を変えようとしていた。

 

けど今回は彼女達を救うためにやるのだ。

周りからどう思われようと俺の本心が彼女達を救いたいと思っている。

俺自身が・・比企谷八幡が彼女達がいない世界を否定している。

 

だから助けに行く。

自分がどうなろうと知ったことではない、誰かが悲しむかもしれないが

そんなことは知らない。

それでも俺は・・・彼女達を助けて・・きちんと向き合いたい。

 

 

俺は覚悟を決め注射器を腕に刺した。薬が注入されてくのが実感できるが

多少の痛みもある。

薬は全て注入し終わり俺は注射器を机の上において横になる。

 

 

さてと・・・それじゃあ行きますかね。

 

 

由比ヶ浜結衣と雪ノ下雪乃。

彼女達を助けに行く比企谷八幡の冒険が今、始まる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すごいかっこいい感じになってるけど

帰れないかもしれないんだよなあ・・・

 

 

意識がどんどん薄れていく・・・

 

 

 

 

 

まあ・・・

 

最後に唯一小町の笑顔を見れなかったのが残念だが・・

 

 

 

 

 

 

それは帰ってきてからにしよう。

 

 

 

 

 

よしここで一つ・・

 

 

 

 

 

 

 

俺、この眠りから覚めたら小町と結婚するんだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・いやもうそんな死亡フラグ立ててもねえ・・

 

 

 

 

どこかで小町がそんなことを言ってるような気がしながら

俺は完全に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん・・

 

 

「・・て」

 

 

 

どこかで誰かが叫んでいる声が聞こえる。

うーんまだ眠ってからそんなに時間経ってないが

もしかしてもう小町に見つかった?

 

 

「・・・・きて!・・ちゃん」

 

 

あーなんか本格的に小町の声が聞こえてきた。

うん、完全に夢の世界に入れなかったやつだな、これ。

 

 

「起きて!お兄ちゃん!!」

 

 

俺の予想通り

俺の目の前に俺を起こそうとする比企谷小町がいた。

相変わらずの可愛さ・・てかもう総武高校の制服着るようになってからは

お兄ちゃん心配だよ、だってうちの学校で戸塚と同レベルの可愛い子が

現れたんだぜ。そりゃあ大騒ぎにも・・・・・まあ俺だけがなってるな、うん。

 

てかこの子よく見たら総武高校じゃなくて中学校の制服じゃん。

そのセーラー服はもう懐かしく思えてきた。

小町が無事に総武高校に合格してからそのセーラー服を見る機会もない。

まあ中3って受験終わると卒業式まで暇だし・・てか俺も今年受験だから

終わったら暇になるのか・・てか学校こなくていいのね、よし。

 

とまあ少し路線ずれたけど何でこの子セーラー服着てるの?え?

 

 

「えーと・・小町ちゃん?一つ質問していい?」

 

「・・少なくともまず布団から出たら考える」

 

俺はすぐさまベッドから飛び起きるかのように逃げる。

さよなら、布団よ・・・

いやまてまて。まずは

 

「えーと・・どうして中学の制服着てるの?着なきゃいけないのは高校の制服だよ?」

 

「はあ?・・お兄ちゃん・・まだ寝ぼけてるの?」

 

 

ん?寝ぼけてる?

てかこいつ俺が薬を使ったこと普通に怒ってなさそうだし

もしかして気づいてない?

 

「小町が総武高校の制服着るの4月からだよ?何いってるの?

てか今日が小町の卒業式なんだからいちいち起こしにこさせないでよね」

 

と言って小町はつかつかと歩き部屋を出て行ってしまった。

いやまあ朝だから少しイライラするよね・・よくわかる。

俺も朝はイラつくから朝人と話すと不思議と敵意もった言葉を

言っちゃう時ある。

まあ主に材木座とかに。

 

 

ん?ちょっとまて。

もう一度振り返ろう。

さっき小町はこう言っていた。

 

小町が総武高校の制服着るの4月からだよ?何いってるの?

てか今日が小町の卒業式なんだからいちいち起こしにこさせないでよね

 

 

4月からだよ?てか今日が小町の卒業式?

 

 

 

 

俺はとりあえずベットの下で充電ケーブルに突き刺さっているスマホを見る。

そこには確かにちゃんと映ってましたよ、ええ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月15日と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず部屋を色々探索していくつかわかったことがある。

 

まず今日が3月15日。

つまりまだ俺は3年生になっていないし小町も総武高校には入学していない。

ましてや小町は今日が卒業式だ、つまり中学最後の日だ。

そーいえば確かこの日は友達と卒業式の打ち上げとかで

俺の夕飯がなかった記憶がある。

 

次に3月15日は俺達総武高校の終業式だ。

総武高校は終業式が他の学校と比べて少し早い。

まあ卒業式も早かったしそんなもんか、うん。

 

 

そして今日が終業式なら奉仕部の集まりがある。

今日は2年生最後の集まりだ。

記憶が正しければここで由比ヶ浜がパーティーやろうよ!と言いだす。

 

 

 

 

そして最後にわかったこと。

 

 

 

 

 

それは机の上においた書置きもないし部屋を探しても注射器や端末がない。

となると俺は本当に夢の世界に入ったことになる・・・のか。

正直現実とあんまり変わらなくて実感がわかないけど。

いや正直夢なのか現実なのかわからないくらい。

五感情報全てが完全に夢の世界に入ったとしたらもうあの薬正規の発明品だろ・・

いやまあでもあれだな、SAOの世界ってこんな感じなんだな。

こりゃあの茅場晶彦もびっくりだ。

 

 

 

にしても

最初のスタート地点がここってどういうことなんだ。

この3月15日に何かあったっけ。

雪ノ下と由比ヶ浜といつも通り話したぐらいの記憶しかない。

このあとだって春休みはずっと予備校だし・・

 

 

「お兄ちゃん!いい加減早く起きて朝ごはん食べて!」

 

下から小町の怒鳴り声が聞こえてくる。

そういえば現実の3月15日もこうして怒られた気がする。

そして下にいくとお袋と親父がすでに学校に向かってて

小町も俺がテーブルに着いたのを確認したら大急ぎで学校に

向かって行ったな。

 

 

とりあえず今はもう一度3月15日行うとしよう。

もしかしたらこの夢の世界が色々わかってくるかもしれない。

 

 

 

 

「じゃあ・・・は・・よろ・・します」

 

ん?なんか聞こえるぞ。

小町が誰かと話してるのか。

今家には俺とカマクラぐらいしかいないはずなんだが

もしかして中学の同級生とかか。

確かあいつの同級生というと・・・・

 

 

 

だめだ・・えーと川なんとかさん・・の弟。

 

そうだ!思い出した。

川なんとか大志。ずうずうしく奉仕部に入ろうとして

俺が止めたのに雪ノ下が許可したから帰り道に俺が小町と

二人きりで帰れなくなった原因のあの野郎。

 

 

 

 

 

え、まじでいるの。

それならいますぐ八つ裂きにするか火破りにするしかない。

 

俺は部屋から出てリビングに向かう。

 

 

「じゃあお兄ちゃん行ってくるから!」

 

 

といってバタンと玄関のドアが閉まる音が聞こえる。

相変わらずどたばたしてるな、高校になったら少しは落ち着いて

行動しなさいと教えてあげないと。

 

 

 

「あら、あなたも落ち着いて行動できない時があるから

そこは変わらないわよ、慌て谷君」

 

「おいまて。冷静さがないやつみたいにいうな。俺みたいに

クールで・・」

 

いつものように返すがちょっと待て。

いや待ってくれ。

とりあえず目を一回擦ろう、ごしごし。

 

「どうしたの?まだ寝ぼけてるなら顔洗ってきなさい」

 

 

俺は夢でも見ているのか・・

いやまあ夢の世界来てるんだからもちろん夢なのかもしれないけど。

俺の目の前にはキッチンでエプロン姿で小さな笑みでこっちに微笑んでる

雪ノ下雪乃がいた。

 

 

 

 

 

 

 

「えーと・・雪ノ下?」

 

 

「・・雪乃」

 

 

「え?」

 

 

「なんで前と同じ呼び方になってるの?雪乃って呼んでくれるって約束したじゃない」

と満面の笑みで微笑み始めた雪ノ下。

てかようやく会えた。

3月の部活以来もう2ヶ月近くになる。

なのに数年も会ってないような久しぶりな感じがする。

 

「雪ノ下...無事だったのか...」

 

「えーと...だから雪乃と呼んでほしいのだけれども...」

 

雪ノ下は何が起こってるかわからず不思議そうな顔でこちらを見ている。

...あれ?雪ノ下だよな?

なんで久しぶりに会ったのにこんなに違和感感じるんだ?

 

 

 

 

え、待って。

まず状況が色々追いついてない。

とりあえずなんですか、その満面の笑みの雪ノ下さん・・

まあはっきりいってめっちゃ可愛いんですけど・・

 

 

「えーと・・とりあえずだ雪ノ下」

 

 

「雪乃」

 

 

「えーと・・・雪乃。ひとまず聞きたいことがある。

なんでお前家にいるんだ?」

 

 

すると首を小さくかしげながら

「えーと・・なんでって昨日八幡が明日は小町さんの卒業式で

バタバタして恐らく朝ごはん作れないから代わりに作ってきてくれって・・」

 

 

え、なにそれ。俺そんなこと雪ノ下にお願いしてたの。

いや最悪だな俺。朝飯ぐらい自分で作れるし。

てかよく雪ノ下もきてくれたな、普通なら「何で私が朝からあなたのために

動かなきゃならないのかしら?私に何のメリットがあって?」

と言いそうなぐらいだし。

 

 

 

 

 

 

ん?また少し外れたけど

こいつ今俺の事を八幡って呼んだよな・・

俺の周りで八幡って呼ぶの戸塚と・・・・・誰だっけあと。

 

 

 

 

 

「えーと雪乃さん?・・ちょっとお伺いしてもいいですか?」

 

 

「何?八幡?」

 

 

いやそんな笑顔でこっち見ないでくれ。

普段の雪ノ下からは考えられないほどの笑顔。

ていうかなんでエプロン姿なんだよ、前々から少し思ったけど

似合うんだよ、ちくしょう。

 

 

 

「えーと・・俺とお前って・・・どういう関係?」

 

 

「・・・本当に寝ぼけてるのかそれともわざといってるの?」

 

 

あ、やべ。笑顔が消えた。

そしてこの寒い感覚には覚えがあるぞ。雪ノ下の目は氷山の一角を削り落としたかのように鋭く、目を合わせるだけで冷気に満ちたような目をしていて・・

 

 

 

なんだこの説明わかりにくい。

そんでもっていきなり腕を組み始めた。

あ、この感じはあれだわ。雪ノ下マジキレモードですわ。

 

「・・もしわざとなら今すぐこの場で自害してもらうけれど」

 

「いや待ってくれ。すまん、ちょっとさっき頭を打って記憶がな」

 

なんてわかりやすい嘘なんだろう。

もう少し考えてから

「え!?八幡大丈夫なの?けがしてない?」

 

えぇ・・・

雪ノ下は俺のもとに来て心配そうな顔で見る。

その上目使いやめて!身長的に君が上を見るとそんな感じになるのは

わかってたけど雪ノ下が上目使いするとか考えたこともない。

いや・・ほんとうに・・あの・・

 

 

 

「ま、まあそういうことだからすまないが教えてくれるか?」

 

 

「そういうことなら仕方ないわね・・」

 

ほっ。

ようやく上目使いをやめてくれた。

ふー

 

 

「私と八幡は1か月前から付き合い始めた恋人関係よ」

 

 

俺はめまいと頭痛が同時にきて

その場にしゃがみこんでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡!大丈夫?」

 

 

 

俺の顔を覗くように見てくる雪ノ下。

いや顔近いっていうか・・

 

 

「えーと・・雪乃さん?いったい何の冗談なんだ?

俺と・・付き合っている?」

 

「・・本当に忘れてしまったの?

打ち所が悪かったのかしら・・」

 

雪ノ下は不安そうにこちらを見つめる。

うーん・・いつもの雪ノ下なら考えられないことだ。

 

 

「いや・・なんつーか少し記憶が曖昧化してるんだ・・

だからあの・・その・・告白した経緯とか教えてくれると・・助かる」

 

 

 

はあと雪ノ下はため息をついた後、

「わかったわ。じゃあとりあえず朝ごはん食べながら話しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の目の前には味噌汁とご飯と漬物、それに焼き魚にサラダ

まあ一般的な朝ごはんだな、これは。

そんな中でいつもと違うのは俺の目の前に雪ノ下がいるということだ。

俺が食べている様子を楽しそうに見ている。

 

「えーと・・雪ノし・・雪乃は食べないのか?」

 

いけないいけない、気を抜くとつい言ってしまう。

 

「ああ、もう食べたわ。八幡が起きる前にね」

と言ってニコっと笑う。

 

いやもうなんなんですか、この雪乃さん。

可愛すぎでしょ。

 

「まあなんだ・・とりあえず教えてくれないか。その俺達が

・・えーと・・付き合った経緯」

 

「・・本当に覚えてないのね。

まあ仕方ない、ちゃんと教えてあげる」

 

雪ノ下は少し一呼吸つけてから語り始めた。

 

「事の始まりは由比ヶ浜さんと私とあなたの3人の水族館のデート。

あれで私達の中で今後どうしていくかを協議しなければならなくなった。

その中で先に動いたのは由比ヶ浜さんよ」

 

「先に動いた?」

 

「・・もしかしてそのことも覚えてないの?」

 

「えーとすまない・覚えてないんだ」

 

はあとため息つく雪ノ下。

どうやら呆れ始めたようだ。悪いね、何も覚えてなくて。

 

 

 

 

 

「・・・・・・由比ヶ浜さんがあなたに告白したのよ」

 

 

 

 

 

どうやら俺のHPが0になりかけている。

やめて!もう八幡のライフは0よ!

 

 

「由比ヶ浜さんはあなたに告白する前に

私に相談してきたのよ。

比企谷君と今後どうしたいかと。

そして私の本当の気持ちをちゃんと聞いてきた。

私はこの時逃げようとしていたのかもしれない。

けど由比ヶ浜さんは私を逃がそうとはしなかった。

ちゃんと私の気持ちを聞くまであなたに告白するのを

待ってくれた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下は微笑みながらどこか遠くを眺めていた。

その横顔は本当に素敵としかいいようがない。

 

 

 

 

「えーと・・」

 

 

「・・・さてと。とりあえずここから先は学校に行きながら話しましょう」

 

 

といって雪ノ下は椅子から立ち上がりソファーにおいてある鞄に手を伸ばした。

 

 

「八幡もはやくたべて、いくわよ」

 

 

「お、おう」

 

 

まあ恋人同士だから一緒にいくのは当然か。

 

 

 

 

 

ん?ちょっとまて。

一緒に学校に行くということは

他の奴らにそれが見られるということだ。

つまり俺と雪ノ下が付き合っているということが

バレてしまうかもしれん・・

 

んていうかどうなってるんだ、そこのとこ

 

 

 

「な、なあ雪乃」

 

 

「何?八幡」

 

 

「一緒に学校行ったら他の奴に付き合ってることが

バレるんじゃないのか?」

 

 

 

すると雪ノ下は不思議そうな顔しながら

「何言ってるの?

学校の直前までで生徒が多くなれば

別々に行くに決まってるじゃない。

そんなことも忘れてしまったの?」

 

 

あ、なるほど。そんな感じなのね。

まあ雪ノ下も自分から付き合ってるアピールなんてしないだろ

むしろそういうリア充みたいなことを

嫌ってるからな。

 

 

「それとあなた今日遅くなるから今日の夜は電話は控えたほうがいいわよね」

 

 

え、何。

夜に電話とかしてくれるのこの雪ノ下は。

いつもは早めに寝てそうだから電話しても・・・

いやまずその前に連絡先を知っているのか。

聞いても教えてくれなかったのに・・

まあそれは置いといて。

 

「えーと・・なんで電話がだめなんだ?」

 

するとまたもや雪ノ下から俺にとどめ刺す一撃が放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だって今日は由比ヶ浜さんとデートでしょ?」

 

 


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