拙い文章ですがよろしくお願いします。
新学期が始まった。学校の近くの公園の桜並木は桜の花が色鮮やかに咲き誇り、新たな1年の始まりを祝福しているかのようだった。
そんな外の状況とはうって変わり、文月学園のとある教室の前に一組の男女が立っていた。
片や190㎝を超える男子生徒。片や150㎝をギリギリ超えるくらいの女子生徒。実はこの2人、今年からこの学校に転校してきた生徒であった。
2人は朝早くに学校に登校してくると、この学校についての説明を受け、ついさっき担任の先生に連れ教室まできていた。
そんな2人は先生に呼ばれるまで教室の前で待っているように言われたのだが、教室の中から聞こえてくる声に、徐々に不安がつのってきていた。
まずこのクラスに支給されている設備が座布団と卓袱台。もうそこで2人は頭が痛くなってきていた。
さらにこの教室の環境が凄まじかった。床が畳、窓は一部が割れており、風が通り抜け放題。しかもその畳ですら、いくつかは腐っているんじゃないかというような感じだった。
普通に考えて、これは学習する環境として酷い。座布団と卓袱台はまだいいとしても、畳や窓の状態は酷かった。
「では自己紹介をしてもらう前に、まずは転校生を紹介しましょうか。2人とも、入ってきてください。」
2人がそんなこんなで不安をつのらせている中、設備についての説明が終わったのか、先生が2人を呼ぶ。
教室の中は先生の"転校生"と言う発言により、一気にボルテージが上がっていく。2人はそんな教室の空気を感じ、先ほどの不安が少し軽くなった。
「"篠崎慎哉"だ。趣味はマラソンと写真撮影だ。これから1年よろしくな。」
「"篠崎茜"だよ~。趣味は慎哉と同じでマラソンと、あとはギターだよ。これからよろしくね♪」
2人が教室に入り自己紹介をすると、さっきよりも教室内のボルテージが一気に上がった。
まぁその理由は至って単純で、このクラスはほとんどが男子であるために、茜の登場で一気に盛り上がった。
これには2人も苦笑いを浮かべるしかなく、先生に言われるがままに空いている席にそそくさと向かった。
そして2人が席についたのを見て、自己紹介が廊下側から始まった。
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる。言っておくが儂は男じゃからの。けして女ではないかの。」
(ふぅ~ん、弄りがいがありそうだな)
(あだ名は"ひで君"かな?)
「………………土屋康太。」
(無口だな…)
("つっちー"だね)
慎哉と茜は個性的なクラスメイトに驚きつつも、1人1人の自己紹介をきちんと聞いていく。
中には物騒なことを言ったり、ちょっと痛い発言をする生徒もおり、出来れば近づきたくないなと思ったのはご愛嬌だ。
そんな中、"姫路瑞希"と言う女子生徒が息をきらせながら教室に入ってき、教室は一気に静かになった。
「あの、何でここにいるんですか?」
姫路の自己紹介が終わると同時に、1人の男子生徒が手を挙げ、そのようなことを聞いた。
「ちょっ、お前、それは失礼じゃないか?」
「そうだよ。その言い方はないと思うよ。」
これには2人も流石に口を挟むが、姫路は"大丈夫です"と言って苦笑いを浮かべながら質問に答える。
その様子に慎哉と茜はどこか釈然としない様子で、そこからの自己紹介を聞き流していた。
このクラスでは上手くやっていける気がしない。先ほどのことで2人がそう思っていると、前に座っていた木下が2人に声をかけてきた。
「2人とも、さっきのことはあんまり気にせん方がいい。」
その声に2人が顔を上げると木下は苦笑いを浮かべて2人を見ていた。
「…………どういうことだよ。」
「お主らは転校してきたばかりで知らぬから仕方ないのじゃが、姫路は本来Fクラスにくるような生徒じゃないんじゃよ。」
慎哉があからさまに不機嫌オーラを出しながら木下に問いかけると、木下はそんな慎哉の様子を気にせずに答える。
「姫路は1年の頃から常に学年トップ5に入っている程の生徒なんじゃ。そんな生徒がこのクラスにきたんじゃ。みんな気になって仕方なかったんじゃよ。」
「ふぅ~ん。でもよ、言い方ってもんがあんだろ。」
「まぁそこは目を瞑ってくれんかの。」
さっきの理由は分かった。だが納得はできない。
慎哉はそんなことを隠そうとはせずに、堂々と態度で表す。これには隣にいた茜も苦笑いを浮かべるが、自分も似たようなものなので何も言わない。
ここで初めて3人の会話が途切れる。まぁ元々、会話と呼んで良いものなのかは分からないが、話すことがなくった。
「そういえばさ、先生はどこいったの?」
新学期始まって早々にこれはキツいと思い、茜が先生がいないことについて木下に問いかける。
流石に沈黙は辛かったのか、木下も助かったという風な感じで1度茜を見た後、再度口を開く。
「あぁ、先生なら教卓が壊れたから新しいのを取りに行ったんじゃよ。」
「おいおい、教卓って簡単には壊れないだろ……。」
予想外の返答に慎哉は呆れてしまうが、ちょうどいい具合に沈黙は消え、そこから3人は先生が戻ってくるまで、この教室について話していた。