連休に入ってだらけまくってました……(苦)
今回からは後書きで別sideの物語も書いていきますので、よろしくお願いします
坂本は慎哉と茜以外のクラスメイトの気持ちが1つになったのを見るや、吉井に声をかけた。
「明久、Dクラスに宣戦布告してこい。」
「やだよ。だって下位勢力の使者って大抵酷い目に遭うよね?」
「大丈夫だ。そんなもんはマンガや映画の中だけだ。嘘だと思うなら行ってみろ。」
吉井は坂本の指令に嫌な顔をして拒否の意を示すが、坂本は真顔でそんなことはないと吉井を説得する。
その説得に最初は嫌な顔をしていた吉井も徐々にその表情を緩めていき、最終的には渋々だがDクラスへの使者を引き受けた。
そして吉井が宣戦布告をするためにDクラスへと向かうと、坂本は部隊編成をするためにそのまま前に立ち、話し始めた。
そこで慎哉と茜は話が終わったと見たようで、慎哉はカメラを仕舞い教室から出て行き、茜は鞄の中から音楽プレーヤーを取り出しイヤホンをつける。
「吉井、ちょっと待て。」
「えっと……。どうしたの、篠崎君?」
慎哉は教室から出ると吉井の肩を軽く叩き、呼び止める。
「Dクラスに宣戦布告しに行くんだろ?ついてってやる。」
吉井が不思議そうに慎哉を見つめると、慎哉は宣戦布告について行くことを告げる。
「いやいや、僕だけで十分だよ?篠崎君は教室に居ていいよ。」
「……はぁ。」
しかし吉井はその必要はないと告げるが、それを聞いて慎哉はため息をつく。
「吉井、良いから行くぞ。」
「う、うん。」
そして慎哉がそんな吉井を追い抜いて先に進むと、吉井は躊躇いながらもそれについて行く。
最初とは逆の構図になってしまったが、吉井と慎哉は宣戦布告するためにDクラスへと向かう。
「Dクラスの代表はいるか?」
2人がDクラスの前につくと、吉井はどういう風に入ろうか悩み、入れずにいた。だが慎哉はそんな吉井を置いて、普通にDクラスの教室へと入っていく。
そんな慎哉を見て吉井は慌てるも、慎哉は吉井を気にすることなくDクラスの代表を呼ぶ。
Dクラスの面々は突然の訪問者にいい顔をしなかった。
「僕が代表の平賀だけど、何の用だい。」
Dクラスの代表である平賀もそれは同様で、平賀は嫌な顔をしながら2人の前に出てきた。
「吉井。」
「う、うん。僕たちFクラスは君たちDクラスに試召戦争を申し込む。」
慎哉に即され吉井が宣戦布告をすると、Dクラスの面々の表情は一気に険しくなる。
「そうか。時間は今日の午後からでいいかい?」
「あぁ、それで構わない。」
「分かった。なら午後からだ。」
慎哉は平賀の了承を得ると、Dクラスに背を向けて立ち去ろうとする。
それに倣い吉井も立ち去ろうとするが、そこにDクラスの男子が声をかけ、2人を呼び止める。
「おい、Fクラスが宣戦布告しといてタダで帰れると思ってんのか?」
その声に吉井が振り返ると、そこには苛立った面立ちで2人に迫りよるDクラスの男子が数名いた。
「や、やっぱり何もなしで帰れないじゃないか!?」
それを見て吉井はここで初めて坂本に騙されていたことに気づき、大声をあげる。
それを聞いてDクラスの男子は笑いながら2人に近寄っていく。
「……はぁ。何処にでも馬鹿はいるんだな。」
慎哉はそんな吉井たちなど気にすることなく、ため息をついて振り返る。
「んだと!?」
「……はぁ。殴るなら殴れば?だけどさ、自分たちが上のクラスに試召戦争を申し込むときに使者が殴られてもアンタらは文句言わないんだろ?」
慎哉の発言を聞いて今にも殴りかかろうとする男子に、慎哉は焦ることなくそう告げた。
その発言にDクラスの殆どの面々は訳がわからないという顔をする。
「だからさ、自分たちが試召戦争をするときに、使者が上のクラスの奴らに殴られても文句言わないんだろ?」
「そんな訳ないだろ!!」
慎哉がもう1度同じことを言うと、慎哉が言いたいことが分かったようで、次々に文句が出てくる。
「ふぅ~ん。自分たちがやられたら文句言うのに、自分たちより下のクラスには平気でやるんだ。」
慎哉はDクラスの全員に聞こえるように、大きな声でゆっくりと言う。
Dクラスのうち数人が苦虫を潰したような顔をする。その中にはもちろん代表の平賀もいた。
彼らは慎哉が言わんとしていることが分かったみたいだが、それでもクラスの大半は理解してないようで余計に怒りを募らす。
「まぁいいや。殴るならさっさと殴れよ。」
それを見て慎哉はこれ以上言っても無駄だと感じたようで、吉井を後ろに下げ、自分が前にでる。
それを見て数人が慎哉に殴りかかろうとする。
「止めなよ。」
しかし慎哉の前に1人の男子生徒が現れ、男子たちを止める。
「なんで止めんだよ、芳野!?」
「何でじゃないよ。」
芳野と呼ばれた男子生徒に殴りかかろうとしていた男子生徒たちは文句を言うが、芳野はそれに取り合うことはなかった。
「とりあえず僕らは君たちに手を出しはしないよ。だから教室に戻っていいよ。」
芳野が文句を言う男子を無視しながらそう言うと、慎哉は静かにその場を立ち去った。
「ほら、吉井君も早く行かないと。そっちの代表に何時から始まるのか伝えないと。」
吉井は何が起こったのかよく分からず固まっていたが、芳野に声をかけられると急いで追いかけていった。
「吉井、これで俺が何が言いたかったか分かったか?」
先を歩いていた慎哉は吉井が自分に追いついたのをみて、唐突に話しかける。
しかし吉井は慎哉が何を言ってるか分からずに首を傾げる。
これには慎哉も何も言えず、ため息をつくしかなかった。
「まぁいい。そのうち自分で気づくだろ。」
慎哉は何が言いたかったのかを教えることなく、そのまま歩いていく。
「吉井、1つ言い忘れてた。俺のことは"慎哉"でいいぞ。"篠崎"だと"茜"とかぶるだろ?」
慎哉はそれだけを言うとさっさとFクラスの教室へと入っていった。
慎哉と吉井が出て行った後、Dクラスの中は荒れていた。
"何故2人を無事に返したのか"
殆ど生徒はそれが理解出来ずに、2人を返した芳野と、それを止めなかった平賀に文句を言っていく。
それを平賀と数人の生徒がなんとか納めると、直ぐ様部隊編成を決めるべく数人の生徒を自分の周りに集めた。
「まぁFクラス相手なら力押しで勝てるだろうね。」
平賀のその一言に集められた数人の生徒は同意し、大した作戦も立てることなく、会議は終了されようとした。
「相手を甘く見てると痛い目にあうよ。」
しかしそれを芳野が止める。
「さっきの吉井君と一緒に来てた彼。彼を見てもまだそんなことを言うならほぼ確実に負けると思うよ。」
「それはどういうことだい?」
芳野の発言に平賀を含め、その場にいた生徒全員が眉をひそめる。
「今の発言で分からないなら話にならないよ、平賀君。」
芳野はそれだけを言うと静かに立ち上がり、自分の席に戻って行く。
(あれが"篠崎慎哉"君かな?もしそうなら彼の言う通り厄介な人だね。)
芳野は自分の席につくと携帯を取り出し、どこかへと電話をかける。
「もしもし、――君?君が言ってた"篠崎慎哉"君だっけ?今さっき、うちのクラスにきたよ。」
『そうか。で?』
「凄く面白そうな人だったよ。」
芳野は電話の向こうの人物に笑いながらそう告げると、静かに呟いた。
「戦うのが楽しみだ。」