デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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すいません。
投稿遅れました。

べ、別にポケモンムーンをやりまくってるせいではないハズ……


守るられるべき者

僅かに機械音のする暗い部屋、そこに複数の気配がある。

何人くらいかはわからないが、確実に10人以上いる事が分かる。

 

中央にあるテーブルの椅子が引かれ一人の男が腰かける。

そしてゆっくりと口を開いた。

 

「さて、諸君。定例会議を始めようか……」

 

「おいおい!まだ全員集まってないじゃないか?」

別の男が口を開く。

落ち着いた最初の男とは違い幾分粗暴で乱暴な口調で話す。

 

「ごッメーン!!遅れちゃたー!!」

反対側の椅子が引かれ、別の人員が座った。

 

「ちッ……時間を守れない餓鬼はこれだから困る」

 

「へぇ?僕以外にもまだ来てない人もいるのに?」

 

「……………………」ボソ……

 

「「!?!?」」

いきなり現れた男に、両人の注意が一気に向いた。

まるで最初から居たように、悠然とその男は座っていた。

 

「待っていたよ。

ふむ……空席がまだ目立つが――まぁ、5人も居れば十分だ」

 

「5人?俺と、アンタと、餓鬼とソイツ、それ以外に居るのか?」

机に誰かが手を付く。

 

「あっれぇ……ふぅ~あ……寝てたんだけど……もう、始まってる?」

 

「ケッ!碌なメンバーが居ないじゃねーか!!」

 

「むむぅ!?僕じゃ不安なのかい?」

 

「あー……早く済ませて帰っていい?眠いんだよねぇ……」

 

「落ち着き給えよ。我々は同じ目的の元に集まった同士だ。

同じモノを望む同士、助け合うべきだ。

それに――――――」

男が口を開いた時、壁の扉が開いて一人の少女が顔を覗かせた。

 

「「「「「あ」」」」」

5人が同時に気まずそうな声を出す。

 

「何してるのよ!?精霊はどうしたのよ!!」

その少女、琴里は眉を吊り上げ男達を一括する!!

 

「いや、ペドーさんが頑張ってるし、その間に休憩を――」

神無月が慌てて、答える。

他のメンバーも大まかには同じだ。

 

「一体なにをやってたの?」

 

「悪の組織の会議ごっこです!!」

 

「結構盛り上がるよな!!」

 

「あ~ん、私、ショタキャラやっちゃった」

笑い合うメンバーを見て、琴里がプルプルと震える。

 

「さっさと、ペドーの支援に向かいなさいよ!!」

その一言と共に暗かった艦内はいつもの姿を取り戻した。

 

「全く!!」

ドカッと椅子に座って、琴里がイライラしながらモニターを目にする。

そこでは士道が楽しそうに精霊とお話してたのだ。

 

ことの始まりは僅か数分。

休日を楽しんでいたら、士道が精霊を家に連れて来た。

まるで友達を呼ぶようなフランクさに、琴里の方が一瞬事態を読み込めなかった。

そして、フラクシナス艦に連絡を取った所、士道がが町で精霊を見つけた事、精霊の無くしたパペットを探している事、空腹になったので家に連れ込んだ事が分かった。

因みに誰一人として琴里にメッセージを入れてはいなかった。

 

「さて、体制を立て直していくわよ!!

……あのロリコン変な事してないわよね?」

若干心配になった、琴里がメンバーに尋ねてみる。

 

「「「「「………………………………」」」」」

メンバーが思い出すのは数は数分前の、ペドーの全裸ブリッジ。

全裸で、ブリッジで、精霊に近寄るペドー……

 

「はい!!問題は有りません!!」

結果オーライだよね!!

と言わんばかりにメンバーが笑いかけ始める。

琴里の命令によって、フラクシナスメンバー達が、キリリとした視線を向けた。

嫌に返事だけは良い、メンバーを琴里は不安そうな目で見ていた。

 

 

 

 

 

「頼んだものが来るまで、私と話をしてくれないか?」

十香と出かけた街中、買い物前に食事でもと十香を誘った令音。

ファミレスで注文を済ませた後の十香に、成るべく波風を立てない様に聞く。

 

「何のことだ?」

 

「君がいらだっている事さ、もっと踏み込むなら……

ペドーについてだね」

令音の言葉に、十香が固まる。

せっかく、食事でごまかそうとしていたのに再び胸の中に嫌な感覚が戻ってくる。

途端に十香が少し不機嫌になった。

 

「ペドーは、関係が――」

 

「ないか?本当に、関係ないか?」

一瞬だけ引いた十香に、令音が言葉のナイフで入りこんで来る。

僅かに出来た隙を、この女は適格に突いて来た。

 

「ペドーが他の女に会っていたのが気に食わないのか?」

 

「……ああ、そうだ。なんだか嫌な感じがした。

私が咎める事はない、そのハズだが、胸が痛いのだ。

何度忘れようとしても!!胸が、苦しいのだ……」

一瞬だけ、十香の見せた激情に令音が静かに対応する。

 

「大丈夫だ。彼は君を見捨てはしない。

彼の一番は君だ、間違いはない」

令音が一言発する度に、十香の心が静まっていく。

簡単な話だ、十香は確証が欲しいのだ。

理由なんていらない、誰かに「君の事を思っている」と言われたいのだ。

 

極端な話、安心が欲しかっただけなのだ。

 

(もっとも、彼女は気が付いていない様だが……)

テーブルの水を飲み、冷水と共に自身の嘘を胸の奥に流し込んだ。

だが十香はそんな事を知らない。

令音の言葉通りすっかり気を良くして安心してしまった。

 

「おや、注文した料理が来たようだ。食べ終わったら、ペドーの元へ向かうのだろう?」

 

「なんだ、すっかりお見通しではないか。

すまない、買い物はまた今度だ。

腹を膨らませ次第、ペドーに謝らないとな」

笑顔に戻った、十香が運ばれて来た食事に手を付ける。

 

「そう、それでいいんだ。ペドーは君の笑顔が好きなハズだよ」

得てして笑みを浮かべ、令音は再び嘘を重ねた。

 

 

 

 

 

その頃……

「さぁ~て、お料理の時間だ。

幼女の胃袋を捉えるために必死で磨いた料理スキル、今こそ見せる時!!

えーと、ごはん、卵、鶏肉……親子丼……ケチャップもあるしオムライスも出来るな……

どうする……?」

四糸乃を見ながら、ペドーが試案する。

仮にオムライスを作ったとしよう、ケチャップライスにふわふわタマゴ、小さい子には人気の料理だ。ケチャップで控えめに『LOVE』とか書いてしまうのも悪くない……

 

ハッ――!?

 

瞬間ペドーの脳裏に電撃が走った!!

 

「ホワイト、ソース……」

クリームを使った白い、ソースをオムライスにかければ――――

口元を白いベタ付く液体で濡らした幼女が見れる!!

 

「オムライスに決定――ああ!?ホワイトソースの材料がない!?

ばかなぁ!?天は俺を見放したのか!?」

酷く絶望に打ちひしがれたペドー、ガクッと膝を両手をフローリングの床に付く。

 

「なんて、なんて、俺は無力なんだ…………

何がペドーだ、何がロリコンだ、幼女の口を白く粘つく液体で汚す事すらできないじゃないか!!」

 

「げん、き……出し、て、ください」

近寄ってきた四糸乃が優しくペドーの頭を撫でた。

優しさやいたわる気持ちが、触れられた部分からじんわりと染み込んでくる気がする。

 

「四糸乃……お前は優しいな……

よぅし、張り切って親子丼を作るか!!」

幼女の為に磨いた料理スキルをここぞと言わんばかりに見せつけ、数分後には金色に輝く親子丼が、テーブルに並んだ。

 

「箸、よりスプーンの方がいいよな」

士道が四糸乃に対してスプーンを渡した。

それを受け取った四糸乃は不安そうにしながらも、一口スプーンですくって口に含んだ。

 

その瞬間、カッと四糸乃が目を見開いた。

そしてバタバタとテーブルを手で叩く。

 

「おい、しい……です……」

親指をグット立ててペドーにサインを送る。

 

「コレクッテモイイぜ!」

更に作っておいた味噌汁を四糸乃に渡す。

ペドーに見ている前で、コクコクと味噌汁を飲んでいく四糸乃。

 

「あったまるだろ?女の子が体を冷やすのは良くないからな」

嬉しそうにスプーンを動かし続ける四糸乃をペドーは、今まで感じたことの無いくらいの幸福感に包まれてみて居た。

 

「ご機嫌な様で何よりだ」

食べ終わった四糸乃に対して、ペドーが質問を投げかけた。

 

「四糸乃、よしのんって何だ?お前にとって、よしのんは何だ?」

ペドーの言葉に、四糸乃が小さく話し始める。

 

「よしのん、はヒーロー、です。

わたしより、つよくて、なんでもできる、あこがれです」

ペドーに心を開き始めたのか、四糸乃の口調がだいぶほぐれて来た様だ。

長い言葉もしっかり話してくれるようになった。

 

「ふぅん、()()()()()

椅子に座りなおしながら、小さくペドーがつぶやく。

四糸乃とよしのんの性格の違い、よしのんを失った時の慌て様。

小さな破片はペドーの中にとある答えを導きだしかけていた。

 

「ヒーロー、ね」

その言葉を呟いて、ペドーは再び試案を始めようとした。

その時、四糸乃のほっぺに付いたご飯粒を見つける。

 

「おい、米ついてるぞ?」

 

「あ、はい……」

四糸乃が取ろうとする前に、ペドーが米粒を取り払う。

小さく四糸乃に笑いかけた。

 

「大丈夫だ、心配ない。よしのんは俺が必ず見つける。

それだけじゃない、この世界のすべての嫌な事からお前を守ってやるからな」

椅子から立ち上がり、四糸乃を優しく抱きしめる。

 

 

 

ガチャ――

 

 

扉の開く音がする、ペドーの視線の先には十香が呆然とした表情で立っていた。

最悪のタイミングでの登場である。

 

「なぜだ……?なぜお前がここに居る!!」

 

「ひッ!!」

十香と四糸乃の視線が絡まる。

刺すような殺気に震える四糸乃、小さくペドーの胸で震える。

 

「止めろ十香!!四糸乃が怖がっているじゃないか!!」

パペット、つまり自身を守るモノの無い四糸乃の不安をわかっているつもりのペドーが僅かに語気を荒げる。

四糸乃の物か、十香の物か分からないが、耳のインカムからすさまじい警告音がなり響いている。

 

「な、ぺ、ペドー!?ソイツの肩を持つのか?

もう、いい………もういいだろ!!

お前など――お前など知らん!!」

怒りの形相を浮かべた、十香が自身の部屋へと逃げ帰っていった。

 

「四糸乃?もう大丈夫――あれ?」

振り返った時、すでに四糸乃がその場に立っていなかった。

どうやら精霊の住む隣界へと、ロストした様だった。

 

「くそがぁああああ!!!」

一人きりになったリビングで士道が、壁を殴りつけた!!

家の中に、その衝撃が鳴り響く。

 

当然だが、士道はイライラしていた。

タイミングの悪い十香に、全くサポートの出来ていない司令官(笑)に。

そして、『守る』と約束してすぐに十香から守れなかった自分に。

 

『よしのん、はヒーロー、です。

わたしより、つよくて、なんでもできる、あこがれです』

四糸乃が語ってくれた言葉が、士道の中にリフレインする。

 

誰も彼もが自身を憎み銃を向ける世界。

 

その世界で、彼女――四糸乃は優しすぎたのだ。

ASTに攻撃されても反撃さえせずに、ひたすら悪意に、敵意に、害意に、殺意に耐え忍んだ四糸乃。そんな彼女が自身の心を守る為に、自身の憧れを形にしたものがよしのんだろう。

 

「そんなの、そんなのは可愛そうすぎる。

俺が、俺が守る!!次こそ絶対に!!!」

静かに、しかし確かに心を決めた士道がつぶやく。

ロリコンである彼は、幼女に悲しみを与えるものから四糸乃を守ると誓った。

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