デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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皆さん、新年おめでとうございます。
さて、今年も頑張って行きましょう。


積極的な彼女

「まさかこんな事が……」

ASTの頓所、そこの責任者である日下部 遼子が戦慄の余り声を漏らす。

他の解析官も同じ様な苦い顔だ。

 

「まさか、精霊が学校に転校してくるなんて……」

計測器の画面に写るその少女の名は、時崎 狂三。

昨日折紙のいる学校に転校してくるなり、いきなり自身を精霊と呼び周囲から早速距離を置かれているかまってちゃんだ。

だが、折紙がふざけて面白半分で計測した結果精霊であるとの結果が出た。

 

過去の精霊データと照合した結果データが出て来た。

 

「【ナイトメア】……遂に来やがりましたね……」

横からそのデータを見ていた真那が忌々し気に自身の親指の爪を噛む。

 

「知っているの?」

 

「私が追って来た精霊でやがります。

正真正銘の最悪の精霊と言えやがります。

分かってるだけで1万人以上の被害者が、明るみに出てないモノも含めるともっと――

コイツは一万人以上の人間を貪ってやがる、私の倒すべき精霊!!」

それだけ話すと踵を返し、訓練室へと向かっていった。

怒りを発散する方法がそれしか思い浮かばなかったのだろう。

 

 

 

 

 

心を無にするのだ――

 

自身を取り巻く人間関係、社会のルール、悩みや憂い。

 

そう言った感情は全て自身を縛り付ける楔でしかない……

 

心を無に――自分という個人を捨てるのだ――

 

自分は世界の一部――大いなるシステムの一部なのだ……

 

自己を薄く透過して、世界との境目を溶かしていく……

 

さぁ、今こそ帰ろう――この世界の中に――……

 

「ん!?ペドー、何をしているのだ?」

 

「おおわっと!?」

突然十香に揺り動かされ、士道が夢想の世界から呼び戻される。

時刻は最早3時過ぎ、帰りのホームルームの前だ。

 

「ペドー、お主急に動かなくなって、何をしておったのだ?」

 

「ん、いや。心を無にすれば大気中に有る幼女成分を感じれるのではないかと思ってだな……」

 

「ペドーは偶によくわからん事をするな」

全く理解できないと言った感じで十香が話す。

まぁ、人類の9割型が理解不能な事なのだろうが……

 

「はぁい、皆さん。帰りのホームルームが始まりますよぉ」

チャイムと共にタマちゃん教諭(消費期限切れ)が入ってくるてきぱきと連絡事項を済ませプリントなどを配っていく。

 

「――はい、コレで配布物は以上です。

あ!それと最近近隣で失踪事件が多発している様です。

皆さんなるべく大勢で帰ってくださいね、怪しい骨の戦闘員さんについて行ったちゃダメですよ。

他にも、小学生の女の子の靴下が盗まれる事件が起きてます、皆さん気を付けてくださいね」

先生の言葉にペドーがビクッと反応した。

 

「(どうしたペドー?寒いのか?)」

ヒソヒソと十香が耳打ちする。

 

「違う、違うぞ十香。俺は幼女を狙った犯行に腹を立てているんだ。

無垢な幼女から、その柔らかい足を包む靴下を盗むなんてなんて非道なんだ!!

しかも、ちょっと大人びた赤いバラのワンポイントが入ってて、その子お気に入りの靴下を盗むなんて外道でしかない!!」

 

「お、おう……そうだな……」

なぜか異様に事件に詳しいペドーの言葉に十香が小さく汗をかく。

ペドーの机の中に、小学生位の子が履く靴下が見えた様な気がするがきっと見間違いだ。

 

「おっと!?」

突然成りだした携帯電話を取り出し、ペドーが耳にあてる。

相手は琴里だった。

 

『ペドー、聞きなさい!!令音が観測した結果その転校生は本当に精霊みたいよ。

攻略まで行かなくても、接点くらいは作って――』

 

「あの、ペドーさんでよろしかったですか?」

琴里の電話の途中で、件の転校生が近付いてくる。

咄嗟に琴里は『チャンスよ!』と声を漏らす。

 

「ん、えっと……」

 

「お主、マインではない方の転校生だな?確か名前は――」

 

「あれだろ?来崎 時子」

名前を憶えているアピールをペドーがかます。

 

「違いますわ!!時崎!!時崎 狂三ですわ!!」

しかし間違った名前なのか、時子改め狂三が訂正する。

 

「ああ、はいはい。狂三さんね。

で?俺になんか用?」

ペドーが聞き返すと、抑揚を戻す様に小さく狂三が咳払いをする。

 

「あの、実は学校の案内をしてほし――」

 

「お・こ・と・わ・り」

 

『やれよぉぉぉぉ!!!なんでこんなイベント無視するのよ!!

行きなさいよ!!コレで行かないとか、どうなってんの!?』

携帯から漏れる大音量を予測して、ペドーが携帯を耳から離す。

 

「はぁ、行くか……仕方ない、適当に付いてこーい」

怠そうににて、ペドーが狂三の案内を始める。

 

「あら、嬉しい。まずは何処から案内してくれますの?」

嬉しそうな顔をして狂三がペドーの後を付いていく。

 

 

 

 

そこから空中1500メートル上空。

空中戦艦フラクシナスが浮遊していた。

艦長の座る座席に琴里が軍服を肩にかけ、狂三のバストアップ写真がメインコンピューターに映し出されていた。

 

「好感度45、5%変化ありません」

 

「精神状態オールグリーン。問題ありません」

 

「精霊周波数150、誤差015。誤差の範囲内です」

 

「クソ!コイツもすながくれかよ。さめはだガバイト全然でない」

各人が報告を上げて、琴里がそれを聞いていく。

 

『あら、嬉しい。まずは何処から案内してくれますの?』

狂三の言葉に反応して、フラクシナスのメインコンピューターが画面に何処に行くのかという候補を出す。

 

①屋上

②保健室

③食堂・購買

④いつもの採掘場

 

「総員、5秒以内に選択!!」

琴里の声に反応して、フラクシナスのメンバーが次々に票を入れていく。

一番人気は屋上だった。

 

「やっぱり王道かしらね」

 

「しかし、入れるのですか?私の学校は危険だからと言って侵入禁止だったのですか……」

 

「私の所は入れましたよ?不良の溜まり場でしたけど……」

不安そうなメンバーを琴里が咳払いして止める。

 

「大丈夫、すでに工作員は送り込んであるわ。

鍵を開けるのも、不良を蹴散らすのも余裕よ」

珍しく有能な琴里にメンバー達の中からちいさく安堵の声が漏れる。

 

「待ってくださいよ!!保健室は保健室はどうなんですか!!

合法的に置かれたベット、視界を遮るカーテン、コレはもう――」

 

「うっせ!いつも通りエロアニメでも見てろ!!

第一ペドーさんがそんな事する訳ないだろ!!」

 

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!メグロコの差し押さえがウザすぎるんだよ!!」

3人のメンバー達がほぼ同時にブチ切れ、乱闘を始める!!

琴里はそれでも冷静だった。

 

「令音は何に入れたの?」

 

「私は3番だ、保健室は手を回すのが時間が掛かるのと、屋上は夕日がきれいに見える時間までまだ空白がある。

そこで時間潰しを兼ねて、食堂という訳だ」

令音が短く説明すると、他のメンバーも納得したのか小さく頷いた。

 

 

 

「よーし、購買行こう。しまってるけど、必要になるよな」

 

「ええ、お願いしますわ。

さ、参りましょ?」

 

「……うわぁ」

ピタリと狂三がペドーの隣に並び購買まで歩いていく。

何というか、パーソナルスペースを容赦なく犯す狂三の距離に小さくペドーがたじろいだ。

 

『ペドー、女の子と歩いているのよ?何か気を利かせて話しなさいよ』

再度小さく琴里はから指示が入る。

特に逆らう必要もないので、此処は大人しく従っておく。

 

「なぁ、狂三――おおぅ……」

 

「どうかしまして?」

狂三の方を向くと、その瞬間目が合う。

どうやらずっとペドーの方を向いていたらしい。

 

「えっと……前向かないと、危ないぞ?」

 

「あら、ペドーさんったら優しいんですのね。

思わず横顔に見惚れてしまっていたんですわ」

 

「うわぁ……」

まるでこちらを口説いている様な口調にペドーが露骨に嫌そうな顔をする。

相手が美少女だからうらやましいなんて言えるだろうが、コレがブスのキモイ自意識過剰系女だったらと考えるとペドーの気持ちが分かるだろう。

 

 

 

 

『まったく、見た事ないタイプの精霊よね。

人間界に溶け込んで、尚且つ向こうからアプローチしてくるなんて……』

そんな事を話していたら再び、メインモニターに選択肢が出て来た。

どうやら今度は質問が出て来たようで、情報の入手が目的の様だ。

 

①「朝言ってた精霊ってなんだ?」

②「狂三は今までどんな学校に居たんだ?」

③「はぁはぁ……ねぇ、君ぃ……はぁはぁ……今、どんなパンツ履いてるのかなぁ?」

 

「うわぁ……」

 

「なんだこれはぁ……」

 

「たまげたなぁ……」

メンバー全員が③の圧倒的な存在感に心打たれる。

と同時にこのメインコンピューター今更だが大丈夫なのかという心配が鎌首をもたげる。

 

「コレは③ですね。黒いストキング越のパンツには神が宿る。

丁度いいですから、しっかり見せてもらって――」

神無月が息を荒くして、興奮気に話す。

その様子を見て琴里が指を鳴らす。

 

「はッ――!?なんだね君たちは!!放したまえ!!」

後ろから屈強な男たちが、現れ神無月を連れていく!!

何処か遠い所で「ンアーッ!」とか聞こえたが気のせいだろう。

 

「さてと……改めて決めましょうか?一番多いのは①よね。

全く③なんて誰が――あ”」

小さく琴里が声を出す、偶然だが肘で③のスイッチを押してしまっていた。

つまりペドーには③が選択肢として聞こえた事になる。

 

 

 

「はぁはぁ……ねぇ、君ぃ……はぁはぁ……今、どんなパンツ履いてるのかなぁ?」

何を思ったのか、ペドーが馬鹿正直に狂三に聞く。

 

「まぁ……パンツですの?……私のパンツに興味がおありで?」

まさかの質問に、一瞬驚いたがすぐに表情を戻し、ビックリするほど妖艶な笑みを浮かべほほ笑んだ。

 

「ペドーさんも男の子ですものねぇ?そう言うのに興味があるのが普通ですわね。

今、何を穿いているの思います?白?黒?ひょっとしたら過激なデザインの赤かもしれませんわね?

もしかしたら……『履いていない』という可能性もありますわね?

……確かめてみます?」

 

「うげ!?」

階段の近く、少し物陰になる位置で狂三が自身のスカートに手を掛ける。

そしてゆっくりとたくし上げていく。

 

「さぁ、御開帳――」

 

「おえぇえええ!!」

舌なめずりをする狂三を前にして、ペドーがえづき始めた!!

正直もう限界だった!!

ただでさえ、早く帰って四糸乃とのイチャコラが待ってるこのタイミングで、興味のない賞味期限切れを相手にした時間ロス!!

そしてできればしたくなかった、卑猥な質問!!

そしてなぜか乗り気な、狂三!!

それらが圧倒的負荷をペドーのかけたのだ!!

 

「はぁ……うぇ!!」

トイレに駆け込んで、昼の弁当を全てリバースする。

 

『ぺ、ペドー大丈夫?』

インカムから、琴里の声が心配そうに聞こえてくる。

 

「はぁはぁ……やってやるよ……

あのふざけた、ですのー子を攻略すればいいんだよな!!

速攻で終わらせてやる!」

ペドーが何かを決心した目でそう言った。




積極的なブスを見て、コレで妥協するかは自由。
だけどそれって本当にいいの?自分を騙して本当にいいの?
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