内容よりも幼女カイロの方が反響あるってどうなの……
皆寒さに震えてるだけだよね?そうだよね?
3人の男女が、机を挟んで向き合う。
活発そうな表情の少女が、見た目に違わず元気な声を上げる。
「初めまして!にーさまの妹の崇宮 真那と申します!!」
初めて会った相手に妹と言われる不思議な体験。
しかし、ペドーの場合は真那を「妹ではない」と言い切ることは出来ない事情がある。
それは、ペドーが五河家に連れてこられた養子であるという事。
産みの親は別におり、その二人がまた新たに子供を授かっている、と言っても不思議ではない。
つまり、可能性的な面だけで言ってしまうと彼女が妹である事は
「兄さ――ン、ぺ、ペドーが、ッあ!
ペドーが兄さん……ねぇ?アッ!」
ペドーの膝の上に座る琴里が、小さく声を漏らす。
「妹か、覚えていないけど……
なぁ、真那。俺の生みの親って――」
「すいません、残念ながら覚えてねーんです。
昔の記憶がスポッと、抜け落ちいやがりまして……」
気まずそうに真那が話す。
そうか、と少しだけ残念そうにペドーが声を漏らした。
今の両親は良い親だ。しかしやはり自身のルーツという物にどうしても興味がある様だった。
「すまねーです……」
「ちょ、ちょっと。昔の記憶が――ンぁ、無いなら何でペドーが、ぁ、兄なんてわかるのよ?」
「兄妹の絆と、写真ですね」
そう言って服の内側にあったロケットを取り出して中を見せる。
その中には、幼い真那と同じく幼いペドーが居た。
ずいぶんと汚れて、くたびれた写真で何度も濡れたのか微妙に変色している。
「ペドーよね……」
ロケットの写真を見ると、ペドーに非常によく似ていた。
しかしおかしい、この年齢の時すでにペドーが五河家にいた。
写真のペドーとは年齢が合わないのだ。
だが、他人というには似すぎている。
「にしても、ずいぶん汚れてるな……」
ペドーの言葉に、真那が反応する。
「コレは、使う用の写真でやがりますから……
焼き増ししたのが家にまだ有りやがりますよ?
けど、良かったです。
この家の人たちは、兄さまに良くしてくれて……
妹との仲も問題ねー様です」
そう言って、ロケットを戻した。
真那の視界の前にはペドーの膝に座らされ、お腹に手を回され撫でられている琴里が居る。
うん、兄妹のスキンシップだ。問題ない。
「ふーん、因みに俺は実妹派だ。やっぱり背徳感が違うぜ!!
けど、琴里の方が容姿的に好きだ」
うん、仲良しだ。そう、仲良し(白目)
「ってか、お前家はどうしてるんだ?」
記憶も無い、家族もいない。そうなると今、真那の置かれている状況が気になった。
「あ、えーと……全寮制の職場で働いてる……的な?」
露骨に目を逸らし、下手な口笛でごまかす。
「ヤケに言葉を濁すな――ハッ!?まさか……
うわさに聞いていた、水商売の専門学校か!?
中学生の時から、会話術、客層から見る酒の選び方、場を盛り上げるゲーム、更にしつこい客の対応等々、様々な事を教えられるというあそこか?
俺も、行きたかったんだけど試験落ちたんだよなー」
「いや、ちげーますよ!?ってか、そんな学校有るんですかい!?」
「あるよ?」
「ま、まぁ、今日は此処までです、ちょいと用事があるので失礼しやす」
そう言って、逃げる様に走って行った。
「何だったんだ?アレ……」
「そんな事より……よくもさんざん私の体を触りまくってくれたわね?
覚悟はいいかしら?」
全身の怒りのオーラをにじませ、琴里がペドーの膝の上から立ち上がる。
今の今までずっと、真那の前でネコをかぶっていた様だ。
「顔を、顔を踏んでくれ!!なるべく強く!」
そんな琴里を見たペドーが、琴里の足元に仰向けに成って寝転ぶ!!
はぁはぁと、荒く息をたぎらせ尚も「顔を踏んで!!」とにじり寄ってくる!!
「うわぁ……ナニコレぇ……不快、っていうか。
どうしよう、私の語彙力では、この不快感は言い表せない!!」
まだ幼い琴里の語彙力ではペドーの持つ不快感を表現する事は出来なかった!!
というよりも、出来る人間の方が珍しいのかもしれないが……
「それよりも……あの、女は何者なの?」
一人考える琴里と尚も、その足元で「早く踏んでくれよぉぉおお!!」と叫ぶ変態がいた。
今日の教訓。
変態は相手をしないのが効率的な場合もある。
きーんコーンカーンコーン……
学校のチャイムが鳴る。
もうすでに登校時間だというのに、ペドーの近くの席は空っぽのままだ。
「あれ、どうしたんだろ?休みか?」
後ろの席は、ペドーの友人の殿町の席だ。
以前お仕置きと称して、琴里がペドーの力作のロリポエムを読ませた当たりから学校に来なくなっていた。
自分の部屋にこもって、ずっと「幼女……おぱんちゅ、ランドセル……スク水……リコーダー……ふひひ……」と暗い目をして虚空を見つめたままに成っているらしい。
まぁ、幼女好きに悪い人は居ないだろうからペドーは心配していない。
問題は逆側の席だ。
昨日絡んできた、時崎 狂三の席も同じく空っぽだった。
「こない、彼女はもう、来ない」
ペドーの言葉を聞きつけて、折紙がそう言った。
「殺ったのか!?まさか、秘密裏に!?」
恐ろしい事を場合によっては平然とやりそうな折紙にペドーが戦々恐々としている。
きっと、昨日帰ったたあと折紙は公園で、狂三と『お話』したんだろう。
「女子って怖いな……」
「遅れましたわ」
その時、扉を開いて現れたのは件の彼女、狂三。
息を切らせ、自身の椅子に座った。
「なんだ、来たんじゃないか。メンタル強えーな」
「うそだ。ありえない」
狂三を見て呆然とつぶやく折紙。
一体どんな脅しをしたんだよ。と思わずペドーが突っ込みそうになるが、そんな事を聞いたら大変な事に成りそうなので止めておいた。
「はぁい、連絡事項は終わりです。では皆さん、がんばって勉強してくださいね~」
ひらひらと手を振ってタマちゃん教諭(消費期限切れ)が教室を後にする。
それとほぼ同じ、タイミングでペドーの机から電話の着信音がなる。
『おにいちゃん……おまたがむずむずするの~、私病気? おにいちゃん……おまたがむずむ――』
ピッ!
「おう、どうした琴里?あと少し早ければアウトだったぞ?」
*違う意味でもうアウト。
『ペドー、よく聞きなさい。大変な事が起きたわ』
「ん?学校で漏らしたか?替えのパンツを今から持っていけばいいんだな!?」
『違うわよ!!真剣に聞きなさいよ!!』
ペドーの言葉に、琴里が大声を上げる。
どうやら相当切羽つまっている様だ。
「あら、ペドーさん。教室で携帯は禁止ですわよ?」
「んだよ、くっつくな!!」
鬱陶しそうに、ペドーが狂三を避ける。
『ちょっと、今、誰と話してたのよ?』
携帯の向こう。琴里が何かに気が付いたのか、ペドーに尋ねてくる。
「いや、普通に狂三だけど?」
『え?――ペドー、昼休み、物理準備室に行ってくれる?見せたいものが有るの』
「パンツ?」
『違う!!』
そう言って、琴里は電話をきってしまった。
どうやらご機嫌ナナメらしい、乙女心は複雑な様だ。
時刻は昼の12時半、十香が弁当を包みを持って歩いてくる。
「ペドー、昼餉にしよう!」
「ん、そうだな――っと、あー、ワリィ今日は先に食べててくれ。
やらなくちゃいけない事が有るんだよ」
小さく謝るとペドーが、席を立った。
「む、仕方ないか……」
残念そうにする、十香を後にしてペドーは物理準備室へ向かった。
「やぁ、よく来てくれたねシン」
待った居たのは、解析官であり、同時にペドーのクラスの教師の一人でもある女性、村雨 令音だった。
「令音さん、一体何を?」
「見て貰った方が早いね」
そう言って、カチカチをパソコンのキーボードをたたき始める。
そして浮かびあがるのは、何処かの監視カメラの映像。
「AST……」
そこに映し出されたのは、機械鎧を纏う女たちと、世紀末ファッションに身を包んだ数名の男達。
アンチ・スピリット・チーム。通称ASTその名の通り精霊の殲滅を目的としたチームだ。
といっても、戦績をまともに上げているところを見たことが無いのでペドーの中では、かませ犬または、遊んでばっかりのコスプレ集団というイメージしかない。
「ん?」
画面のなかで、昨日見た姿が有った。
白いワンピース姿の少女、昨日ペドーに妹と名乗った真那だった。
そして次の瞬間、真那の姿が青い色のワイヤリングスーツに包まれる。
そう、彼女もまたASTの一人だったのだ。
「此処からだ」
令音の言葉を聞き、更に画面を注目する。
因みに腹が減ってきたので、持っていた弁当の蓋も開ける。
「ふふみはぁ?(狂三か?)」
鮭を突きながら、画面の奥に佇む少女を見る。
ドン――
「あ……」
今起こった行動をみて、ペドーが箸を取り落とす。
狂三が黒と赤のドレス――霊装を纏った。別にここまでは良い。
確かに驚きはしたが、本当に精霊だったのかという驚きが有るだけだ。
問題は、この後だった。
真那の構えたブレードが狂三の腹をえぐった!!
二度、三度とブレードが振るわれ、周囲の世紀末系ヒャッハーの振るう鉈で狂三の形がだんだんと失われていく。
「グッロ……」
最後に、真那がブレードを狂三の首に突き立て、頭と胴体が分かれる所でやっと攻撃をやめた。
その時真那がこちらを見る。
その眼には、何の感情も無い。
戦いの余韻による興奮も、精霊を倒した達成感も、死を乗り越えた驚きも、何の、何の感情も無い空っぽの空虚な何もない空洞の感情。
「分かったかな?この映像を見る限り、時崎 狂三は死んでいる。
少なくとも一回はね」
令音が冷静に分析をする。
その言葉通り、どう見ても狂三は生きているハズは無かった。
だが、さっき教室を見た時は――
「一体どうなってるんだ?何かの能力?」
「可能性は十分ある。精霊とはひどく理不尽な存在だからね。
だが、不死の生命体などこの世には居ないハズだ、この蘇生が後何度使えるか分からない」
『つまり、さっさとデートしてデレさせろってこと。
今度、学校の創立記念日で休みよね?デートに誘いなさい!!』
突如画面が変わって、琴里が映し出される。
どうやらパソコンを使ったテレビ電話の様だった。
「今度のやすみは、ラブキュアの映画見る予定が有るんだけどな?」
『はぁ?ラブキュア?あんた、それ、子供用映画でしょ!?男が――それも高校生が恥ずかしくないの!?』
「バッカだなぁ、俺は映画だけを見る訳じゃないのさ。
映画だって、怖いシーンや悲しいシーンが有るだろ?
俺はそれをみて、悲しんだりする幼女を見に行くのさ!!
そう、俺は映画を見に行く幼女を見に行くのさ!!」
余りに力説するペドー、琴里は何も言わずテレビ電話をきった。
「シン……実はこんなものが有ってね?」
その様子を見ていた令音が、パソコンをカチカチといじる。
その瞬間、画面が大きく変わり楽し気な音楽が流れ始めた。
『ヒロインたちが帰ってくる!!
よりかわいく、より過激に、そしてエンディングの向こうに!
新システム、デュアルルートシステム搭載!!
主人公の性格を2種類から選べるよ!
優男モード、やさいしい言葉で幼女たちを騙そう。
鬼畜モード、外道、非道なプレイはこのモード、調教、洗脳、精神破壊をもってあなただけの奴隷幼女を制作しよう!
さぁ、貴方は純愛?それとも……
恋してマイリトル、シドーEX!』
「じゅ、18禁版……だと!?」
モザイクのかかったCGをみてペドーが慄く!!
そこにはヒロインたちのあられな姿が!!
「攻略の暁には、これを?」
「違う、先払いだ。もっとも、コレは18歳以上が対象。
イイ子の君はやらないだろう?」
含み笑いを浮かべ、一枚のDISCを差し出す。
「へぇ、信用してますね。いいですよ、この仕事うけましょ」
ペドーは懐にDISCを大切そうにしまった。
DISC……?……うっ!頭が!!
「ペドープラチナ!!」
「うをぉおおお!!
ロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリコンで悪ィか!!」
このディスクは危険すぎる……
偶に、何やってんだ俺と成る不思議。