デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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少々調子が悪くて遅れました。
うん、健康管理は大切ですね。


Mi-zu-gi!!

夢か現実かそれとも過去の記憶かもわからぬひどく曖昧な世界……

その世界に一つだけ確かな物が有った。

 

身を焦がすような、心を抉るような、魂を締め付けるような、確かな『怒り』

 

燃える、家が、道が、友が、恋人が、すべてが炎に飲まれ消える。

 

「――――!!――――――!!」

何を叫んだか、わからない。

だた無力なだけだと分かっている。

 

自分にこの惨状を止める術は無い。

鳥の様に逃げる翼も、困難を切り裂く剣も、絶望を打ち抜く銃も無い。

ただただ、無様に逃げまどい居もしない神に祈るだけ。

 

何をされても、ただそれを受け入れるだけ――

 

無様に、不格好に、醜く、祈る。

自分の幸せを壊したその精霊に――

そして――

 

 

 

 

 

「はぁ!!はぁ……ハァ、はぁ……」

病院のベットで、折紙が飛び起きた。

体が酸素を求め激しく息を吸う。

 

何だったか?何か夢を見た気がしたが覚えていない。

ただ、寝汗にまみれた自分の姿を見て、良くない夢だったのが分かった。

 

「ッ――!」

動こうとして体に痛みが走った。

気が付くと体中に包帯が巻かれている。

それを見た瞬間、連鎖すように記憶が蘇ってくる。

 

精霊時崎 狂三。倒れ伏す学校の生徒。霊装を展開する胸部デブ。狂三の無数の分身体。銃声。屋上で慟哭するペドー。崇宮 真那。

そこまで記憶が連鎖して、大切なことに気が付く。

 

「生きている」

自身が生きているという事だ。

狂三を前に、自分は破れた。ならば彼女の狙っていたペドーは?

胸の内にうすら寒い何かが走った。

 

「確認……しなくては――ッぅ!」

起き上がると同時に、体に痛みが走った。

医療用リアライザで治療されたようだが、痛みはまだ残っている。

だが、そんな事気にしている時間はない。

 

「ぺ、ペドーは……」

 

「呼んだ?」

病室の入り口で、今考えていた人物が事なさげに立っていた。

 

 

 

 

 

「私の為に、来てるくれるなんて感動。結婚しよう」

折紙が感動に打ち震えながら、ペドーに話す。

 

「いやー、真那のお見舞いに来たんだけど病室へ入れてもらえなくてな……」

 

「仕方ない。リアライザは秘匿技術。それを見せる訳にはいかない」

折紙の言葉を聞いて、そんな物かと勝手に納得するペドー。

そんな時折紙のお腹がコロコロとかわいく鳴った。

 

「空腹、ペドー。リンゴをむいてほしい」

折紙がお見舞い品の籠に入ったリンゴを指さす。

 

「ナースさんに頼んだらどうだ?俺よりうまいんじゃ――」

 

「そのリンゴは、ASTの見た目が幼い子の持ってきた物。

言い換えれば幼女のリンゴ――」

 

「よし剥こう!!すっごい剥こう!!」

折紙の言葉に反応したペドーがリンゴを手にして、怪しい一人事をつぶやく。

 

「ふひひ……お兄ちゃんが、優しくむきむきしてあげるからね~

怖くないよ~うふふふふふふふふ……」

数分後、きれいに皮の剥かれたリンゴが数個並んだ。

因みにうさぎと、カニの形に剥かれた無駄にハイクオリティな物がある。

 

「体温も測って欲しい」

もくもくとリンゴを食べながら、折紙がペドーに懇願する。

 

「ああ、いいぜ。なら温度計を――」

 

「あ。しまった。手が滑った」

ペドーが折紙から体温計を受け取ろうとした時、折紙が突如窓を開けて全力で体温計を外に投げ捨ててしまった。

 

「仕方ない。おでこをくっつけて測ろう」

うっかりワザと体温計を捨ててしまった折紙が、急遽ペドーに代案を持ちかける。

 

「いいや。その必要はない。

俺は幼女が倒れていた場合をシュミレーションして、触った物の温度が分かる特技が有るのさ!!」

可笑しなポーズを取り、右手の指をくいくい動かす。

 

「キモ――すごい特技」

一瞬自が出そうになったが、折紙は何とかこらえてペドーの手を取る。

そして、服をはだけさせ自身の腋に挟んだ。

 

「うーん……36,2!平熱!!」

 

「素晴らしい」

簡単に出来た結果に折紙が驚嘆の声を漏らした。

 

「んじゃ、折紙早く元気に成れよ?」

お見舞い。と言って最後にプリンを置いて帰っていった。

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「みんなに大事な話がある」

夕食の最中ペドーが厳かな顔で、皆を見回した。

ここで言う皆とは、ペドーの家族の琴理、遊びに来ていた四糸乃、最近影が薄い十香、最後にペドーがいつも連れているくるみだった。

 

「?」

一同が、全員ペドーの方に視線を向けた。

 

「今週の休みの日に『オーシャンズ・パーク』へ行こうと思っている。

けど、みんな水着って持ってないよな?だから明日俺と買いに行かないか?」

 

「ぬ?ペドー水着とはなんだ?」

 

「へぇ、私とのデートはそこなのね?」

 

「前、行きたいって言ってたろ?」

琴理の言葉に、ペドーが答えた。

 

「たくさんの水が有る所ですよね?」

 

『んん?よしのんのセクシー水着を見せる時が来たのかな~』

四糸乃とよしのんの二人もご機嫌だった。

 

「ぺどーさん、まさかまた、あのおみせに?」

 

「そうだよ?四糸乃とくるみの水着は俺が選んであげるからね~。

ぐふ、ぐふふふうふふふふふふふ……」

ペドーが邪悪な笑みを二人に対して向ける。

 

「なぁ!ペドー!!水着とは何なのだぁ~~!!」

十香の声がむなしく響き渡った。

 

 

 

 

 

翌日

 

「用意は出来てる」

朝一、自宅のドアを開けると折紙が立っていた。

ばっちりめかし込んで、今からデートですと言わんばかりの格好だ。

 

「な、ナンでここに……」

突然現れた、というか昨日の時点でボロボロだったのになぜか平然としている折紙にペドーが戦慄する。

 

盗聴器()の力」

 

「くッ!やはり昨日体温を測るときにつけられていたか!!」

一瞬にして、どこで情報が漏れたのか察したペドーは悔しそうに壁を叩く。

 

「まぁいい。せっかくだ、付いてこい」

 

「もちろん。墓の中だろうと、お風呂の中でも、トイレでもベットの中でも付いていく」

心なしかいつもより生き生きした顔をした、折紙をメンバーに加え駅前の店まで行くことになった。

留守番の琴理がどうにも心配そうに見ている。

 

「はぁ、幼女に踏まれながら『まさか、こんな小さな子に踏まれてきもちよくなってるの?』って言葉攻めされたいな~」

ポロリとペドーがこぼす。

その様子を見ていた、琴理が呆れながら話す。

 

「まさか我兄から、こんな情けない言葉を聞くことになろうとはね……

願ってるだけじゃ、実現はしないわ。もっともそんな――」

 

「ぺどーさん、それはきのうやってあげたじゃありませんの」

 

「あ!そうだった!」

 

「やったの!?」

くるみのとペドーの言葉に琴理が突っ込みを入れる!!

仲が良いと思っていたが、そんなことまで……!!

 

「ストレスのせいで体が凝ってさ~。

くるみの足踏みマッサージ、重さ的に丁度いいんだよ」

ニコニコとしながら、自身の肩をまわす。

 

「ほっ、そういう事ね」

いかがわしい内容だと思った琴理が内心ほっとする。

 

「見ろ四糸乃、くるみ。あれがむっつりスケベって奴だぞ」

そんな琴理をペドーが指さして笑う。

 

「違うわよ!!そんなんじゃないわ!!」

バカにされた琴理がむきに成って、反論する。

 

「はははっ、悪いな。じゃ、俺たちは出かけるからあと頼んだぞ?」

琴理をその場において、ペドーたちは家を後にした。

 

 

 

 

 

「なぁ、ぺドー?水着とはなんだ?」

おずおずと十香が、ペドーに再び尋ねる。

昨日からずっと聞いていたのだ。

 

「水着って言うのは――」

 

「Mi-zu-giそれは小範囲滅却専用兵器。

分子構造その物を超高速で振動させ、内部崩壊に持ち込む。

本来は電子レンジと同じ構造だが、温めて爆発させるのではなく内部から崩すのが目的」

いけしゃあしゃあと言ってのける折紙に、十香四糸乃、両名が目を見開く。

因みにくるみは怯えた表情で、ペドーの袖をつかんできた。かわいい。

 

「ぺ、ペドーはなぜそんな物を――」

 

「対精霊用装備は精霊に向けるもの。ペドーはあなたたちを倒すつもり」

 

「な、なぃ!?ペドーがそんな事するわけ無いであろうが!!」

憤る十香、震える四糸乃。

くるみはあきれたような顔をしている。

 

『ふははー、そうだ。俺はすきをついてお前たちを倒すつもりだったのだー』

似てない物まねで、折紙が言う。

 

「ほら、付いたぞ。おまえたちそろそろやめろよ?」

十香をからかい続けるペドーの前に、水着の店が現れた。

 

「さぁて!幼女ちゃんたち~、お兄さんが楽しいい水着を選んであげるからね~」

嫌に、いやにいい笑顔を浮かべ、ペドーがそう笑った。

 

 

 

 

 

「店長。水にぬれると溶ける水着ってない?」

 

「ああ、少年君か……うーん、濡れて溶ける水着、ね。

悪いけどウチには無いね、代わりにすごくクリアに透ける奴なら有るよ?」

着ていたら痴女100%な水着を勧めるオーナー!!

 

「それ欲しい。」

すぐさま折紙がそこに食らいつく。

 

「なぁ、ぺドー水着とはコレの事か?なんというかやけに布地が少ないのだが……」

不安そうに、十香が水着を指さす。

確かに今まで水着を知らない人間には、少々露出が高すぎるかもしれない。

 

「え?ぺどーさんがくれたぱんつのほうがぬのじがすくなかったですわよ?」

くるみの言葉に、周囲にいた全員がピタリと固まる。

 

「ペドー、一体どんな下着を渡したの?場合によっては犯罪になる」

 

「ペドーさん……さすがにそれは可哀そうです……」

 

「ぬぬ?ペドーは露出の高い服の方が好きなのか?」

3者に囲まれたペドーが、苦笑いを浮かべた。




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