どうしよう、こっちにも出せないかな?
けど、あんまり大きく原作からはなれるのもな~と思う作者です。
熱い、体が熱い……
スズモト・ユウキは日常は会社勤めの商社マンである。
その精神は真面目で堅実、同僚とたまに酒を嗜み上司の理不尽な指示に対しての憤りを同僚とこぼし合う。
一人の時は、健康に悪いがたばこに手を伸ばす。
ASTに入っている以外なんのおかしなところの無い普通の男――――だった。そう、ついさっきまでは。
ASTの隊員のしてのスズモトには同じく同僚がいる。
その中の一人、折紙を特に気にかけていた。
なんというか、似ているのだ。目が自分に。
スズモトは過去に空間震で母親を亡くしている。
その後しばらくは、ひどく荒んだ生活をしていた。
気に入らないことが有れば、すぐに暴力に出た。
喧嘩をして、相手を殴るときだけが心の中のモヤモヤを忘れることが出来た。
酒にも、たばこにも逃げることが出来ない未成年の彼にできた唯一の逃避が喧嘩だった。
折紙もそのころの自分に似た目をしている。
彼女は聡明だ、自分の様に喧嘩に逃げたのではなく、復讐を選んだのだろう。
いまでも思い出す、母と恋人の事。
もう何年も前の事になるのに、未だにあの二人が死んだことを受け入れることが出来ない。
なんで死んだ?不幸な事故?違う。精霊だ。精霊が自分を愛してくれた者達を奪ったのだ。
そして今、自分と同じ方向へと向かっている。
復讐だ。バカなと多くの者は思うだろう。
無くなった人は喜ばないとも、忘れろとも。
だができない、出来る訳がないのだ。
復讐は自分がケリをつけるために、そして忘れて穏やかに生きることは自分が許しはしないと!!
数日前、折紙が過去の精霊出現データを見ているのを偶然しった。
別におかしい事ではない、傾向と対策。それを練ることで精霊に対する戦闘の質を向上させることが出来るからだ。
だが、折紙は映像を見て小さくつぶやいた「イツカ コトリ」と。
そしてそれに対してひどくショックを受けた顔を珍しくしていた。
この瞬間、スズモトの中に何かが動き出した。
過去のデータ、恋人が死んだ時期に一致する精霊。
そして、前回発見された精霊(ナイトメア)が、人間に擬態するという事実。
嫌な予感を抑え、スズモトは折紙の見ていたデータと、不意に漏らした「イツカ コトリ」を調べた。
そして見つけてしまったのだ。
彼女のクラスメイトの妹が、精霊だという事を――
「ACCESS――第1~8リアクターブースト」
『OK』
「GGGG……Gaia―guard―glory―gospel!!
臨界駆動だぁ!!ひゃは!!加減はいらねーゼ!!!
全部!全部!!全部!!!ぶっ壊しちまえ!!」
Gaia―guard―glory―gospel……通称4Gシステム。
意訳すれば「大地守る栄光の福音」
聞くだけなら、なんともないネーミングだが、装備内容を聞くと皮肉にしか聞こえなくなる。
DEM社が以前ホワイトリコリスより前に、設計段階でのみ製作した所謂プロトタイプだ。
時期でいうと、狭域殲滅兵装Mi―zi―giと同時期開発された装備で、あちらが罠を仕掛けその範囲に入った敵を確実に殲滅するなら、こちらは圧倒的なまでの火力を使用し続け正面から突破するという物である。
言い方は非常にシンプルだが、絶対的な精霊を殲滅するための装備である為その装備は肥大化し、複雑化し、異質化している。
要約すると、人間には使えない装備だ。
だが、ある学者はこう考えた。
「人に、武器を持たせるから弱いのだ。半自動で動く殲滅兵器に人間の脳の柔軟性を持たせれば良い」
精霊を殺す。その一点を狂気的に勤め上げた結果、4Gシステムは『人間の脳を自身のパーツとして使い潰す』人間の為ではなく、兵器の為に人間を搭載する武装となった。
風の噂では計六機作られ、内一基は性能実験で暴走を起こし破壊され。
内一基は使用途中に使用者が死に、使用者不在のまま動いたという曰くが付き、不気味がられ処分。
内三基は当時戦力が不足していた部隊に所属され、武器をはぎ取られて戦力の一部にされた。
そして最後の一基は行方不明らしい。
スズモトの持つ機体は、そのうちの3基が辿った道の一つだ。
兵器庫に、ほぼ全ての装備がはぎ取られ置かれていたのを拝借してきた。
勿論、その際基地に有ったほかの武器をありったけ積んでくるのも忘れていない。
折紙を気絶させ、女性隊員の持つ頭脳へのダメージを軽減する装備を使っている。
「ヒャハァ!!これは……つれーぜ!!」
スラスターを噴出して、目的地へと飛んでいく。
通常なら、ステルスを掛けるのだがそんな余裕は今のスズモトには無い。
今、この一瞬にも削られていく自分の命を糧にして、自らの仇を討たんと跳躍する。
「ひゃは……この日を……この日だけを待っていたぜ精霊さんよォ!!!」
プールサイドで、まるで自分が何をしたか覚えていないような、のほほんとした顔をした自らの仇――イフリート。
「挨拶変わりだぁ!!」
両肩後ろのミサイルポットから大量のミサイルを、プールサイドの赤髪の少女へ発射する。
もう、後には引けない。
スズモトは自身が死に向かっている事を実感しながら、乾いた笑みを浮かべた。
「琴理ぃ!!みんな、無事か!?」
少し離れた所にいた、ペドーが走って爆発音のした方へと走る。
そこはコンクリの床が抉れ、黒煙が舞いさっきまでの平和な部分はまるっきり消失してしまっていた。
『シン、黒煙に紛れて十香、四糸乃、くるみの3人は回収した。
とっさに、琴理が教えてくれたんだ。自らを囮にしてね……』
インカムから、令音の声が響いてくる。
どうやら小さな司令官様は、自分を犠牲にしてまで精霊を守った様だ。
「私は此処よ!!どうしたの!!」
建物の影から、琴理の声が聞こえる。
未だに自分を囮にしているのだ。
「ひゃははははは!!killtime!!」
ペドーの目に入ってきたのは、怪物だった。
なんといえば正確に表現できるのだろうか?
一人の人間の両肩に、横長の大型コンテナを左右に鳥の羽の様につけ、カヌーの様なボードに下半身を埋め込み、そのカヌーの下から空中に浮かぶ鉛筆を左右6本ずつ浮かべ、コンテナのしたからそれぞれ3本の剣を鳥類の爪の様につけ、カヌーの後ろが棍棒を接続長いワイヤーに成っている。
「ひゃはぁ……こんなかわいこちゃんが……俺の家族の仇かぁ!!
もっと下種な男なら、良かったのによォ!!」
ASTの男の最期の迷いを消すかのように、サメか肉食恐竜を思わせるマスクが顔を覆う。
「おい!?何やって――――ゴブ!?」
「邪魔だぁ!!」
カヌーの先端、ワイヤー付き棍棒がペドーの腹にぶち当たりプールの方まで投げ飛ばした!!水切りの様に水面を4、5回跳ねて、レーンを分けるコーンに引っかかって沈んだ。
「ペドーぉ!!」
その一撃は、さんざんペドーによって精神が不安定となっていた琴理の封印を解くのに十分だった。
そう、十分すぎたのだ。
「あんた何やってんのよォ!!」
琴理に霊装が出現した。着物の様な鬼の様な和服。
「てめぇを殺しに来たぜぜぜぜぜぜ!!」
「やってみなさいよ!!」
ミサイルが、空に向けて放たれた。
その攻撃は、ランダムに加速、減速、右折、左折、直進を繰り返し完全にタイミングの読めない攻撃と化す。
上を向いてミサイルを『見て』なら回避は余裕だ。
だが、その場合目の前の機械の悪魔に無防備な喉仏を晒すことになる。
それを見越したかの様に、スズモトがコンテナ下のブレードを琴理に伸ばす!!
このブレード付きアームは、ブレードによる切断とアームのよる握りつぶしを目的にした多目的ウェポン!!
だが、琴理には余裕だ。
「焦がせ!!カマエル!!」
炎を纏った様な棍棒を同じく振り回し、ミサイルを空中で誘爆させる!!
そして振り下ろすと同時に、スズモトに叩きつける!!
「そうするしかねぇよな!!ひゃ!!」
左右のアーム、それを使ってカマエルをキャッチする!!
両方のアームから警告音が鳴るが、そんなこと今のスズモトには関係ない。
相手の武器を取ったのだ、その事実に一瞬のスキが出来る。
此方もワイヤー付き棍棒を伸ばし、精霊の胴体に巻き付ける!!
「な――」
「プールだったのは、予想外の幸運だぜ!!」
琴理を巻いたワイヤーはそのまま地面の琴理を叩きつけ、その反動で180度回転する。
そしてワイヤーに巻き付かれた琴理をプールに沈める!!
炎の精霊だ、水中では少しでも能力は下がる筈だ。
「ひゃは!?熱源!?」
ワイヤーの先端、そこが熱を感知する。
なるほど、蒸発か。炎は水で消せる、だが、その炎の温度があまりに高い時はその当たり前は覆される。
プールの一部が、ぼこぼこと泡を立てる。
「だが――」
ミサイルを再び上空へ、今度はぶつける為ではない!!
屋内プールの天井、それを破壊し無数の塊を精霊の居る場所へ落とす!!
水中では威力の落ちるミサイル。スズモトは質量で押し切ることを選択した。
「そこだぁ!!」
そして、マスクを後ろのカヌー部分を合体させ、高出力レーザーで打ち抜く!!
その刹那!!
横から飛んで来たレーザーが、右コンテナを打ち抜く!!
「がぁああああ!!なんだ!?一体!?」
スズモトの視界の先、折紙がホワイトリコリスを装備してスラスターを展開していた。
「やめて……それ以上は危険、今すぐ離脱を――」
頭痛に必死に耐え、折紙がホワイトリコリスを纏い飛ぶ!!
「邪魔するな……俺の、俺の命はこうやって『使う』んだ!!」
「させない、あなたは、ここでは死んではいけない人!!」
4Gとホワイトリコリスが、プールサイドで絡み合う!!
不幸な子ほど幸せにしたくなりますよね。
不幸なBBA?いや、まぁ、大人だし頑張れるよね?