デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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さて、更新です。
今回は前回で出たあの子が活躍します。



邂逅のS/ペドーは彼女を我慢できない

「修学旅行の行き先が変わった?」

フラクシナス艦内で、琴理が令音に話す。

 

「そうだ、本来泊まる予定だった旅館が地盤沈下でつぶれ、そこに偶々別の旅行会社の無料旅行チケットが学校に届いたらしい」

 

「……何よそれ、出来すぎでしょ?怪しいわね、その旅行会社調べて――」

 

「あるよ。親会社がDEMだった。どうする?」

令音の言葉に琴理が小さく舌打ちをする。

余りに出来すぎたタイミング、怪しくないといえば嘘になるが……

 

「ま、ほかの学生が多い中で手は出してこないでしょ。

念のため、フラクシナスは同行させましょうか」

 

「それが良いね、因みに旅行の日は『円卓会議()ラウンズ』と重なっているようだね」

 

「あー、そうなのよ。そこだけが心配……休んで行っちゃいましょうかね?」

 

「はぁ、君は――兄が心配なのはわかるが大切な会議だ。

そんな理由で休んではいけないよ?」

母親の様な令音の説得に、琴理がため息をつく。

 

「分かってるわよ。ちゃんとわかってる」

 

「……それならいい。まったく次から次へと問題が絶えなくて困るよ」

今度は令音がため息をついて見せた。

 

「ん?何か他に問題が有るの?」

 

「シンさ、修学旅行の間、『くるみや四糸乃に会えない』と言っていてね」

 

「はぁ?あのロリコンそこまで――」

頭に手を当て、やれやれと息を吐く。

 

「カバンに入れて持っていこうとしているんだよ」

 

ポチッ

 

令音が艦のボタンを押した瞬間画面が表示される。

 

『よぉ~し、まずはくるみだ。くすくす笑う幼女の笑いがないと生きていけないからな』

大きなリュックを前にして、くるみが顔を出している。

 

『ぺどーさんくるしいですわ……もうわんさいずおおきなかばんをよういしてくださらない?』

 

『リュックに入った幼女って見てると、拉致監禁の最中みたいで興奮するな!!』

くるみをカバンから出して、腕を組んで何かを考える。

 

『ペドー君!よしのんなら余裕で入るよ?』

よしのんが自分のパペットを外してカバンに入れる。

その言葉通り、かなり余裕がある。というかサイズ的にポケットに入れて持っていくことも可能なのだが……

 

「ああー、だめだぁ……幼女をカバンにしまえない!!」

 

「しまうんじゃないわよ!!」

フラクシナスから下りた琴理がうなだれるペドーの後頭部に蹴りを叩き込む!!!

 

「うう……なんだ、琴理か。

大丈夫だ。おまえもちゃんとカバンに――」

 

「入れなくていいわよ!!っていうか絶対空港で捕まるわ!!

二人とも、家に置いておきなさい!!」

琴理の言葉に、ペドーが絶望する!!

 

「そんな無茶な!!幼女は俺にとって必要な成分なんだよ?

魚は水の中でしか生きられない、鳥は空でしか生きられない、俺は幼女の隣でしか生きられないんだ!!!」

 

「なら死ね!!とっとと幼女不足で死ね!!」

言い切るペドー!!却下する琴理!!

波乱の準備が過ぎていく!!

 

 

 

 

 

7月17日修学旅行

飛行機内にて――

「見てペドー、雲がきれい」

 

「ぺ、ペドー!飛行機内の内装もきれいだぞ?」

折紙、十香の二人がペドーを挟むようににして、騒ぐ。

早朝出発という事もあり、ペドーが非常に眠いのだが両人に挟まれてなかなか眠れないのだ。

 

「うるせぇよ……」

行きの飛行機だというのに、すごく疲れるペドー。

そんな時は、むねポケットにこっそり持ってきた四糸乃の写真(ローアングルからの見下し)で心に潤いをもたらす。

そしてもう一枚、今度は唇を尖らせ拗ねたような顔をしたくるみの写真を取り出す。

そして――

 

「四糸乃さん!!くるみさん!!幼女の力!お借りします!!」

カッコよく写真を持ってポーズを決めたが――

 

「ッ!――敵襲だ!!」

突如十香がペドーをかばうようにして、覆いかぶさる。

その瞬間カシャっと音がしてフラッシュが炊かれる。

 

「あ?」

 

「あ、すいません。私がガイドのエレンメイザースです。

余りにもほほえましかったので、写真を撮ってしまいました」

北欧系のブロンド美人がカメラを手にして笑った。

さっきのは、この女のカメラだったようだ。

 

「おお、突如でびっくりしたではないか」

 

「うふふ、ごめんなさいね?けど滅多に見たことない位の仲良しさんだったので――」

 

「エレンママ」

 

「うぃ!?」

折紙がぼそりとその言葉を口にした瞬間、エレンが固まった。

まさか――と、エレンが勘繰るが――

 

「大変ですね」

折紙が非常に同情した視線を送ってきた。

その顔には何かを察してあえて深く突っ込でこなかった気使いが有った。

 

「え、ええ……」

なんだかいたたまれない気分になって、エレンがそこを後にした。

 

 

 

 

 

同時刻空港の見えるホテルにて――

 

「ふむ、なんだか天気が怪しいゲド。

まるで雲が見えない手でかき回されている様な……」

やせ型で長身の男が、ホテルの窓から遠くを目を細めて声を漏らす。

 

「雨……いや、もっと荒れるかもしれないゲドね。

はぁ、ムジカを連れ戻すべき……いや!

此処はあえてスルーゲド!!」

上質な黒いシャツをはためかせ、その男は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

「やっべぇ……すっかりみんなとはぐれちまった……」

空港で可愛い幼女が、海辺で遊んでいたのを見つけたペドー。

そっちの方で幼女を見守っていた結果、すっかりみんなとはぐれてしまったのだ。

 

「令音さん、今は――」

 

『資料館だよ。早くこっちに来たまえ』

インカムをセットすると、令音が助け船を出してくれる。

いろんな意味でフラクシナス様様だ。

 

「ん?ペドー、空がおかしいぞ」

突如一緒に居た十香が空を指さす。

 

「な、んだコレ?」

その方向にペドーが目を向けるが、変化はすぐに分かった。

荒れているのだ。海が、空が、風がすべてがすさまじい勢いで荒れ狂っていくのだ!!!

 

「おいおいおい、天気予報じゃ晴れのハズだ――いや、ゲリラ豪雨ってレベルじゃないぞ。

ゲリラ嵐だな――うをッと!?」

目のまえを鉄のごみ箱が飛んできて、とっさにペドーが躱す。

 

「ぴぎゃぴ!?」

しかし後ろにいた十香の顔面にクリティカルヒットして十香が倒れた。

 

「うわぁ……痛そう……」

ゴミが顔に張り付いた十香をみてペドーが気の毒そうに話す。

その時ペドーの視界に、二人の人物が目に入った。

それは驚くべきことに、竜巻の中でぶつかり合いをしている様に見えた。

 

通常なら「あり得ない」と切り捨てるだろう。

そう、偶然ゴミが他の物の形に見えただけ、なんてありそうな理由を並べる。

だが、ペドーは知っている。

この世に、空を飛べる人型がいるのを知っている。

 

一つはASTのウィザード。

もう一つは――

 

「精霊……なのか?」

ペドーの目の前で、再び大きく人影がお互いを打ち付け合った。

 

「ん……ペドーここは――」

余りの風の衝撃に、十香が目を覚ました。

キョロキョロと辺りを見回す。

 

「十香、良かった。目が覚めたんだな」

ペドーが安心して、ため息を漏らす。

そして視界の端、こちらに向かってくるバケツを見て、十香を反射的に盾にした。

 

「ガードベント!!」

 

「む、何を――いぎゃ!?」

再び、十香の後頭部に吸い込まれる様にバケツがぶつかり、十香は意識を失った。

 

「……近くにいた、お前が悪い」

どこぞの悪役の様なセリフを言った後、ペドーがとあるものを発見して目を見開いた。

 

「あれは――!!」

 

 

 

「やるではないか。夕弦――さすが我が半身というだけある。

この我と25勝25敗49分けの実力はあるという訳か」

ペドーの目の前の竜巻の一つが、地面に降りてその中から少女が顔を出す。

オレンジの髪に、体に纏うのはマゾヒストが好むような拘束具。

気の強そうな瞳に、快活な印象を与える。

 

「反論。100戦目の覇者は耶倶矢ではなく、夕弦です」

此方は髪を三つ編みにした、少女で同じようなだが要所要所で違う拘束衣。

眠そうな顔が印象的だ。

 

「ふふふ、言いよるわ。だが我先読みの魔眼にて、其方の体が『颶風司りし漆黒の魔槍』に貫かれるのが見えておるわ!!」

 

「嘲笑。うわ、痛ってぇ」

 

「ば、馬鹿にするなー!!」

お互いが武器を持ち、ぶつかる瞬間――

 

「ハイ邪魔!!どいたどいた!!」

両人の間をペドーが走り抜けていった!!

 

「なに!?人間だと――?うわっぷ!?」

 

「驚愕。人間が我らの近くに来れるとは思えませ――が!?」

服を脱ぎ、精霊と思わしき少女にぶつける。

そして二人を無視してペドーが近くの荒れ狂う海に飛び込む!!

 

「一瞬だけど、確かにいた――確かに――見つけた!!」

ペドーが海面の漂う小さな手をつかみ、陸まで引き上げ始めた。

そう、突然の嵐だ。誰かが溺れていたとしても不思議ではない。

 

「はぁ――ハァ――……大丈夫か?」

 

「か……う…………」

ペドーが助けた子は、まだ幼い少女だった。

何処となくブラジル系を思わせる日に焼けた体。

口からは八重歯が覗き、ピンクのシャツとスパッツというラフな南国ファッションだ。

 

「まずいな。水を飲んだか――

だが!万が一の為に覚えておいてよかったぜ!!」

そう言うと躊躇なくペドーは目の前の幼女に自身の唇を押し当てた!!

先日琴理とプールに行く時、万が一億が一の可能性を考慮してペドーは人口呼吸を習得していた!!

 

「スー、はー、すーはー」

 

「ゲッホ!がっは――」

ペドーの尽力によって、その子が水を吐く。

呼吸を開始したので、もう大丈夫だろう。

 

「けど、念のためもう一度!!」

そして再びペドーが、その子に唇を付けた瞬間!!

件の子が目を覚ます!!

 

「!!?ンん~~~~~~!!」

そして、ペドーを思いっきり突き飛ばす!!

 

「ななな、なにしてるの!?いきなりボクに――ボ、ボクに!!

げ、ゲドーから聞いたぞ!お前ヘンタイだな!?ボクの始めてを奪ってどうする気だ!!」

唇を抑えつつ、その少女がペドーを責め立てる様に声を荒げる。

 

「いてて……唇八重歯で切ったか……

大丈夫。お兄さんは怪しい人じゃないよ?

君みたいな小さな女の子を見ると異様に興奮して、ムラムラハァハァしちゃうだけの普通のお兄さんだよ!!

だいじょうぶー、こわくないよ~むふふふふふ……」

やけにいい笑顔をして、ペドーがキメ顔をした。

唇から垂れる血をペロッと舐めて、不気味に笑う。

 

「や、やっぱりオマエ!ヘンタイだろー!?」

今まで見たことも無い人種に、少女――シェリ・ムジーカは久しぶりに声を荒げた。




今回、耶倶矢の名前を出すのに地味に苦労しました。
なかなか出てこない漢字ってつらいですね。
そして、個人的ドストライク幼女が出ました。
漢字ではなく、なるべくカタカナを使うとそれっぽくなります。多分!!

次回『Pが止まらない/奴の名は?』

コレで決まりだ!
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