なぜか皆さん、「胸部デブ」のフレーズがお気に入りの様で……
コト……コト……
まるで、処刑台に上がる死刑囚の様な気持ちで士道が教室への階段を上がる。
この先に、士道の目的の相手『精霊』がいる。
突如、謎の組織に懇願された美少女の攻略。
ガゴーン!!グシャーン!!
見慣れた学校から非常にSFチックな効果音が響く。
「あ~、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!!
まだ俺にはやりたい事が沢山ある!!
25メートルプールいっぱいにスク水小学生を溜めて、そこに飛び込みたいし、少しッ背伸びした幼女に、大人な下着で『もう子供じゃないもん!!』って言って誘惑されたい!!」
『アンタの欲望最低ね……』
思わず漏れた士道の欲望に、インカムから聞こえる琴里の声が空しく響く。
遂に、目的地の扉の前に立つ。
「はぁ……はぁ……すぅー……はぁー」
深呼吸を済ませ、勢いよく扉を開く!!
「あ――」
士道は、目の前の光景に息を飲んだ。
不思議な輝きを放つ鎧を着た黒髪の少女が、何時も使っている士道の机の上で片膝を立てて座っていた。
(やべぇ……確かあの中って、俺のお気に入りの本条先生のロリ凌辱系本入りっぱなしだったわ……)
密かに士道が焦る、言葉の通りあの机の中には18禁本のエロ漫画が一冊入っていた。
士道の好む作者なのだが、なぜか5年ほど前から新刊を出しておらず、しかも人気は高まるばかりなので入手が非常に難しいのだ。
それが、あの危険な精霊の下に!!
救出せねば!!という心が士道の中に沸き起こる!!
そんなことを考えていてたら、相手の方が先に動き出した。
「む?」
「は、ハロー――」
ヒュン!!
士道の挨拶が終る前に、士道のすぐ横を何かがすさまじいスピードで駆け抜けていった!!
チラリと見ると、入って来た扉が跡形もなく破壊されてた。
「……は……はは……」
渇いた笑みが、士道からこぼれた。
「……………チィ……」
少女の手に、黒い輝きを持つ光弾が生成される!!
そしてゆっくりと、此方に腕をむけてくる。
「ちょ、ちょっとまっ乳首――じゃななかった。待ってくれ!!」
どうどうと手を上げ、敵意が無い事をアピールする。
「お前は、何者だ?」
「お、俺は――」
『士道待ちなさい!!』
口を開いた士道をインカムから聞こえる琴里の声が静する。
場所は変わり、フラクシナス艦。
スクリーンに、目の前の精霊と周囲に好感度などのメーターが表示されている。
更にギャルゲの様に、二人の会話がテキストとして出力されている。
『お前は、何者だ?』
精霊の言葉と同時にアラームが鳴り、画面に選択肢が表示されていく。
フラクシナスのよくわからんがすごいらしいコンピューターがはじき出した選択肢で正解を選べば相手に取り入れるらしい。仕組みは全くわからんが……
示された選択肢は以下に。
①「俺は五河 士道。君を救いに来た」
②「通りすがりの一般人だ。よーく覚えておけ!変身!!」『KAMEN・RIDE!!』
③「人に名を尋ねる時は自分から名乗れ」
④「これも全部、乾巧って奴の仕業なんだ」
「総員選択!!五秒以な――選択肢、一部おかしくない?」
琴里が、途中で言葉を止める。
「たぶん、ゴルゴムの仕業でしょう……」
「ユグドラシルぜってーゆるせねぇ!!」
ざわざわと乗組員が選択肢を選んでいる。
結果最も多いのは③だった。
④とか選ばれても困るし……
「人に名を尋ねる時は自分から名乗れ!!」
琴里からの指示で、士道が精霊に向かって選択肢どおりのセリフを放つ。
「不愉快だ!!」
士道の足元に、精霊の攻撃で穴が開く!!
2階下の教室まで貫通する大穴がひらく。
「まてまてまて!!お前って、この前の10日にこの町来たよな!?」
「ん?なんのことだ?……確かに前に来たが……
何が狙いだ?私を安心させ後ろから襲う気か?」
訝し気に精霊が、話す。
「俺は幼女以外襲わない!!」
堂々と、士道が精霊に言い放つ!!
え?お回りさんの前で同じこと言えるかって?無理だよ。
捕まるもん。
「では一体何が目的なんだ?」
カタカタとコンピューターが士道に話すべき、言葉を選んでいく。
「き、きみと愛し合うタメダヨー」
頬が引きつり、棒読みに成っていく。
士道にとって冗談でも言いたくない言葉だった。
精霊をハゲたデブの臭いオッサンに置き換えると、読者諸君にも士道君の味わう不快感が理解できるだろう。
その瞬間外から騒がしい喧騒が聞こえる!!
その音を聞いた瞬間精霊が露骨に機嫌を悪くした。
「チィ!!何時もの奴らか!!貴様!!!謀ったな!?」
びゅんびゅんと飛ぶ機械を着込んだ少女たちが舞う。
「い、いや……そんな訳では……あ!!クラスメイトの折紙だ!!オーイ!!」
空飛ぶ少女の中に自身のクラスメイトを見つけ、士道が手をふる。
フルフル……あ、返してくれた。
「お、お前絶対アイツらと繋がってるだろ!?やっぱり、お前も私を殺しに来たんだな?」
目の前の少女が、此方に剣を向ける。
瓦礫の廃墟の群れと成った町に立ち、空にはおかしなスーツを着込んだ別の少女たちが忙しく飛び回っている。
さらに、明らかな違法改造されたバイクまで乗りつけられ、刺の付いた肩パッドをしたモヒカンの半裸の男たちが武器を構える。
「ヒャッハー!!ASTだー!!ここは通さねぇぜ?」
「もう我慢出来ねぇ!!精霊は消毒だー!!」
隣の男が火炎放射器を空に向けて打つ。
実に特殊な光景だった。
(やっべ……話題そらさないと……)
「なぁ、お前。名前はなんて言うんだ?」
少年、五河 士道が目の前の美しい少女に尋ねる。
一瞬考えた様子を見せ、再び少女が口を開いた。
「そんなものは無い!!」
「ないのか~。じゃ、攻略は無理だな~、琴里ー!!回収よろ!!」
自身の耳につけている、インカムに向かって話すと同時に妹の怒鳴り声が聞こえる!!
今の最優先はとにかく脱出!!必死で琴里に呼びかける!!
「バァカァヤロォオオオオオ!!!名前が無いくらいで諦めんな!!さっさと攻略しろぉおおおお!!」
士道の妹は大層お怒りの様だ!!
「えー?だってぇ、第一好みじゃないしー、俺巨乳とか見てると吐き気が……」
「うるさい!!例の約束守ってほしければ、落としなさい!!」
『約束』その一言で士道の態度が一気に変わる!!
「そうだよな……俺には約束が有るもんな。じゃぁ、俺の
にやりと、士道が笑いかけた。
非常に乾いた笑いだったが……
『士道!!早く会話を続けなさい!!どうやらSATは運よく様子見を選んでくれたみたい!!侵入される前に、攻略するのよ!!』
慌てる士道の琴里の激が飛んでくる。
「な、なぁ?俺の名前は、五河 士道って言うんだ……敵じゃない。
コレ本当、信じてくれないか?」
カチャ、カチャ……
士道が、自身のベルトに手を掛けながら優しくほほ笑みかけた。
「なぜ脱ぐ!?」
『何で脱いでるのよ!?』
精霊と琴里、両方からほぼ同時に、同じツッコミが入る。
「い、いや、ほら、武装解除的な?武器は有りませんよアピール?」
脱ぎッ!!脱ッ!!
廃墟で行われるキャストオフ!!
遂に士道は、自身に残されたシャツを脱ぎ捨てる!!
これで、士道の服は靴下とパンツオンリー!!
「さて……」
「解った!!わかったからもう脱ぐな!!」
パンツに手を掛けた瞬間精霊が必死になって止めに入る!!
チラリと窓を覗くと、折紙がカメラを向けていた。
グッ!!……サムズアップして帰っていった。
「本当か?」
士道が精霊に聞く。
「ほ、本当だ!!」
たじろぐ精霊が答える。
「本当に本当?」
「ほ、本当に本当だ!!」
「本当に本当なんだな!?よし、脱ぐのはやめてやろう、良いか?少しでも敵意を見せたら……即!!脱ぐからな?」
「わ、解った……」
士道の言葉に、精霊が頬を赤らめながら剣を下ろす。
「えっと……たしか……貴様、ペドーとか言ったか?このままでは不便だ。
私に名をくれ、お前は私を何と呼びたい?」
「胸部デブ」
反射体的の答えた瞬間!!
フラクシナスに大量の警告音が鳴り響く!!!
「し、指令!!大変です!!精霊の好感度が下がってます!!
現在の好感度は――――5です!!」
「好感度5!?カスめ!!総員、急いで名前の候補を送りなさい!!
一刻も早く!!」
琴里がそう叫んだ時、すでに何人かが名前の案を提出していた。
「ええと……川越!!美佐子って別かれた奥さんの名前じゃない!!」
「振られるのは僕じゃない……僕が振ったんだ……」
トラウマが再発したのか、川越はお気に入りの帽子を触りながら美容師様のハサミを触っている。
「……ったく、他は……未来来?ミクの誤字かしら?」
「
「あなたは生涯子供を持つことを禁止するわ!!」
「一番上の子がもうすぐ、小学一年生です!!3兄弟です!!」
「……ちなみに名前は?」
「
「遠くの森にでも引っ越しなさい!!」
「なぜか分からないが、馬鹿にされた気がした……」
精霊がどことなく落ち込んで、士道を見る。
「あー、じゃあ……10日……十香はどうだ?」
「ぬ?とーか?まぁ、さっきよりはマシだろう……ちなみにどういう字を書くんだ?」
「ほい、十香」
士道が、近くにあった黒板に名前を書く。
「ほう……コレが私の名……はじめて見た……」
「10は栄光のナンバーだ」
士道の言葉を無視して指で字を真似しながら十香が黒板を削る。
その時突如、校舎が爆音とともに揺れる!!
「な、なんだ!?」
『外からの攻撃ね……ASTが強硬策に出て来たか!!』
琴里の歯噛みする声が聞こえる。
「ペドー!!ここから逃げろ!!私と一緒に居ては、同胞に撃たれることになるぞ!!」
十香が、流れ弾を腕で払いながら言葉を発するが……
「ま、まぁ待て……此処は二人でお話しないか?……っていうか、逃げた所で誤射されて死ぬ未来以外見えんし……」
「仕方のない奴だな……こっちに来い」
ヒョイヒョイっと十香がこちらに手招きする。
(あ、コイツ、チョロインだわ……)
そんなことを考えながら、士道がほくそ笑む。
チューン!!
士道の目の前で、士道の机がハチの巣にされる!!
「あ……」
机が吹き飛び、中から出てきた本が紙クズに変わってゆく……
それは当然、教科書だけでなく……
「ふぅぁああああああああ!!!!」
発狂しそうな、士道の声が教室いっぱいに響いた!!
内容が遅々として進まない……
ビックリするほど、進まない!!
どうしよう?