さてと、あの子の名前が本格登場です。
「…………」
折紙が空港近くの資料館で、歯がゆげに外を見る。
今外は見たことも無い位の雨と風が吹きつけている。
チラリと、ほかの生徒たちに視線を向ける。
居ない――自身の愛するペドーが居ない。
少し前、空港を降りた時ペドーが波打ち際の幼女をひどく興奮した様子で視かn――もとい見守ていたのを知っている。
彼はいつも小さな女の子の事を第一に考える困っt――もとい素敵なお兄さんだ。
邪魔してはいけないと少し遠慮したのが運の尽き、雨と風に降られすっかりはぐれてしまった。
いけない。このままではいけない。
ペドーは十中八九あの幼女を助けているだろう。
ソコまでは良い。子供思いのナイスガイだ。
だが……
……
…………
………………
……………………
…………………………
「ハァハァ……雨に濡れて服がびしょびしょだねぇ……
風をひくといけないから、脱ぎ脱ぎしようねぇ……」
酷く興奮した様子で、幼女が濡れたペドーを壁際に追いつめる。
「い、いあやぁ……
服が無いとか風ひいちゃうよぉ……」
怯えるペドー、しかし女の子は容赦しない。
「ぐふ、ぐふふふ!!大丈夫だよ!!!
激しい、激しい運動をすればすぐに温かくなるよ?」
女の子の瞳に、怪しい光が宿る。
「いやぁ!!何するの!!」
ペドーを力ずくで、壁に押し付ける!!
この嵐だ、近くにペドーを助けてくれる人はいない!
「お兄ちゃん……おかーさんに言われなかったのかな?
怪しい幼女についていっちゃダメなんだよ?
お兄ちゃんみたいな素敵な、ロリコンは幼女に食べられちゃうんだよ!!」
「いやぁあああああん!!!」
…………………………
……………………
………………
…………
……
「いけない!!ペドーの貞操が幼女に!!」
肉食系幼女に襲われている可能性を考慮した折紙の血の気が引く!!
丁度周囲のメンバーが、雨が弱くなったことを伝えていたので、いてもたっても居られず資料館から飛び出した!!
「あ」
しかしそんな折紙の心配は杞憂に終わった。
目の前に居るのは――
「よう、折紙。どうした?トイレか?」
背中に胸部デブ(十香)を背負い、胸に
「放せ!!ボクをどうする気だ!?
ボクを攫ったって、ゲドーからは身代金は取れないぞ!!」
ペドー好みに日焼けした幼女。
ボクっ子口調で、健康的に日に焼け、ペドーの周囲に居ないタイプの元気な幼女だった。
ソコまではいい。胸部デブはほっておいて、抱いてる幼女は現地幼な妻だろう。
問題は――
「どうだペドー。夕弦などより我の方が魅力的であろ?
我を選んだのなら、我の体の好きな部分に契約の口付けをさせてやろう」
「罰ゲームじゃん」
「誘惑、夕弦を選んでください。いいことをしてあげます。もうすんごです。耶倶矢なんて目じゃあません」
「消えてくれると嬉しい」
華麗に誘惑する二人組をスルーしながらペドーが帰って来た。
時間は約10分前に戻る。
「どっか怪我はないか!?スパッツの中とか、胸とか大丈夫か!?」
「ヤメロ!!なにする気だ!?ヘンタイやろー!!」
歪んだ心配を見せるペドーと、突如現れたロリコンにシェリが必死に対抗する。
そんな二人の様子を見る精霊が二人――耶倶矢と夕弦だ。
「真の精霊・颶風の神子・八舞にはありとあらゆる力が必要だとは思わぬか?
むろん腕力や知力は勿論、神羅万象を魅了し虜にする美貌もな」
「要約。魅力で勝負しようと?」
「くくく、その通り。今までは第三者のない戦いばかりだったからな――
おい!お前、名は何という!!」
耶倶矢が、ペドーに話しかけるが――
「うわ、エッロ!シャツの袖の部分ちょっとめくると日焼けでの色の違いエッロ!!
ねぇ、ぺろぺろしていい?肌の色によって違いが無いかぺろぺろして確認しても良い!?」
完全無視!!完全にシェリの日焼け跡に夢中だ!!
「其方の名前を――」
「良い訳ないだろ!?た、助けて!!ボク、ヘンタイの慰み物にされちゃう!!」
「違う!!純粋な愛だよ。ピュアラブだよ!!」
後ずさりするシェリをペドーがジリジリと追いつめていく!!
「私、無視って人として最低だと思うんだけどな!?」
ペドーに縋りつき、耶倶矢が耳元で叫んだ。
芝居がかった口調はもはや消え失せている。
「あん?なんだよ……何か用か?」
めんどくさそうにペドーが耶倶矢の声にこたえる。
「お、お主の名前は――」
「幼女大好き、幼女丸です」
ペドーがサラッと、偽名をいう。
「ほう、幼女大好き――偽名じゃない!?
本名言いなさいよ!!本名!!」
当然、明らかのおかしい事に気が付いた耶倶矢が食って掛かる!!
「あー、五河 士道。これでいいか?」
「し、し?ぺ、ペドーか。くくく、貧弱な名前よの!」
再び戻った芝居がかった口調にペドーがキャラ作りって大変だなーと、一人思う。
「キサマを今から裁定役に任命する。
光栄に思うがいい」
「補足。二人の八舞のうちより美しい方を選ぶのです。
その選ばれた方が、今回の勝負の勝利者に――」
「年増に興味無し!!!よって両者敗北!!
んじゃーねー」
速攻で決着を決めたペドーが、シェリを抱きかかえ資料館へと向かっていく。
「ま、待ちなさいよ!!」
「制止。もっとしっかり、見て下さい。これでは到底納得できません」
二人は慌てて裁定役のペドーを追いかけた。
ざわざわ――ざわざわ――
資料館では、小さな騒ぎが起きていた。
居なくなったはずのペドーが3人の女の子を連れて戻ってきたのだ。
しかも、そのうち二人はペドーを誘惑しているという異常事態。
「オォオー!ペドー殿はモテモテですーな!
うらやましいでーす!」
マインがそういうが、いつも亜衣、麻衣、美衣を侍らせているお前が言うなと無言の視線が突き刺さった。
「ああ、待っていたよ。転入生の八舞の二人だね」
令音が眠たそうな顔をして、したり顔で周囲に説明する。
ペドーはこうなる事態をあらかじめ読んでおり、前もって令音にインカムを使って連絡と、八舞の二人に十香がしたように、制服を目視情報で作ってもらったのだ。
「ふぅ、前くるみに制服を着せてコスプレしたのが役に立ったぜ」
胸ポケットから、ぶかぶかの制服を着た初々しいくるみの写真をペドーが取り出す。
顔合わせはしないくせに、修学旅行に来る。この前狂三、さらには十香が転校してきたのに、再びこのクラスに配属など、明らかにおかしいトコロまみれなのだが、みんな割と簡単の受け入れていた。
ひょっとしたら気が付いていてあえて、気が付かないフリをしてるだけの可能性もあるが……
「助かりましたよ」
「いいや、かまわないさ」
資料館の奥の事務室。その中で、令音とペドーが話し合う。
気絶していた十香を介抱するという名目でここまで連れてきたのだ。
問題は――
「さぁ、ペドー我を選ぶがいい、この八舞耶倶矢に忠誠を誓い、身も心もささげて――」
「否定。ペドー私を選ぶべきです。耶倶矢のような残念ボディに興味はないハズです」
横からペドーにピッタリくっつく二人組の精霊。
「大変な事に成っているね……」
気の毒そうに令音が話す。
「いえ、ソレよりも……スパッツの感触がすげー……」
ペドーが目の前の、膝に置いたシェリのスパッツを撫でる。
「うひぃ!?触んな!!キモイ!!」
「萌の世界で、女子の運動着は基本ブルマだ。
スポコン物でも、ブルマが多いのは言うまでもない!!
しかし、俺はあえてこう言おう!!『これからはスパッツの時代だと!!』
分かるか!?ブルマの特異性は形が下着に近い『疑似下着』にあると思うんですよ!!
大胆の露出した太もも!!パンツとほぼ同じ部位しか隠せない隠密性!!
確かにブルマはレジェンド!しかし伝説は塗り替えるもの!!
スパッツの良さ!それは肌にぴっちりとくっつきラインを見せる『疑似全裸』に有る!!!ブルマとスパッツをそれぞれシルエットで見ると――
素晴らしい!!スパッツはまるで全裸じゃないか!?しかも上はそのままという非日常性!!下半身だけ露出するフェチズム!!そして、この手触り……
優しくなでても良いのよ?乱暴に破ってしまっても良いのよ?顔を押し付け高速でほおずりしても良い――」
「訳ないだろ!?無銘天使〈
遂に耐えきれなくなった、シェリが虫眼鏡を取り出す。
そして、それに一瞬だけ光が収束し、発射される!!
ジュン!!
とっさにペドーが首を横にずらし、回避したが座っていたソファには10円玉大の穴が開いている。
「天使か?」
ひょっとしたら大変な事に成っていたかもしれないというのに、ペドーは涼しい顔をしてシェリから虫眼鏡を取り上げた。
「ほう、それは――」
「驚嘆。まさか、そんな物が此処で見れるとは」
八舞の二人が、驚いている。
どうやら、心当たりがあるようだ。
「知ってるのか?」
「くくく、無論よ。我らは全知全能の精霊、八舞であろるぞ?」
再び芝居がかった口調で、耶倶矢が話す。
「説明。これは無銘天使です。そしてこれを持っている彼女は『準精霊』精霊です」
夕弦の言葉に、全員その中でもシェリがひときわ大きく反応した。
「『準精霊』ってなんだ?精霊じゃない、のか?」
ペドーの言葉に、今度は耶倶矢が説明を始めた。
「こ奴らは、臨界と呼ばれる所に住む、我らに近きそして遠き者達よ。
我らは精霊、しかし我らほどの力も無い非力な、
此方の世界に出てくる方法があるとは、我とて知らんがな」
一言一言ごとに、シェリの体温が低くなっていく気がする。
活発な様子はすっかり消えて、今は無言で小さく震えるだけに成っている。
「まったく、運命の女神はよくわからぬことを好む」
「ある意味では、我々八舞も準精霊に近いのかもしれません」
「なに?」
今度は、八舞の方を向いてペドーが怪訝そうな顔をする。
「我ら、八舞は本来の姿は二人で一人の精霊。
しかしある時、顕現した時体が二つに分かれたのだ」
そういわれて、見るまでもなく二人はよく似ていた。
そうだ。双子ではなく、本来一人が二人に分かれたのだろう。
順当に2つに力が分かれても、あの嵐。
改めて、精霊が無茶苦茶な存在だと、ペドーは思いなおした。
「準精霊……か」
思いだしてみれば、くるみもそれに近いのかもしれない。
時崎 狂三の過去の虚像が形を持った存在。ある意味で精霊のから離れたカケラだ。
「さて――、話を戻すぞ?我ら八舞は、自らの運命を知っている。
我は二人はいつか――」
「ちょっと、ここからは立ち入り禁止――」
「知らんゲド!!!」
ドン――
突如扉をけ破る様に、一人の男が現れた。
やせ型で、長身墨の様な黒い服装だ。
「ゲドー!!」
「おー、シェリ。迎えにきてやったゲドよ~?
変な奴に襲われなかったゲド?」
「襲われたよ!!ロリコン超怖い!!」
ペドーの膝から飛び降り、ゲドーの胸に抱き着く。
「ゲドド!空気が悪くなったところで、さらばゲド!
忘れたころに、また来てやるゲドよ~」
ゲドーがシェリを抱きかかえそのまま何処かへ消えていった。
「なんで、毎回私の話は邪魔されるかな!?」
耶倶矢が怒りの言葉を漏らしながら立ち上がる。
「落ち着けって、どうせ、二人の精霊は一人に戻るから、二つに分かれた人格は片方は消滅するから、生き残る人格を勝負で決めているだけだろ?」
「なんで知ってるのよ!?」
「夕弦から聞いた」
「むっきー!!!なんなのよ!?なんで、みんな私を馬鹿にするのよ!!」
ストレスがたまりまくった、耶倶矢は自分の頭を掻きむしった!!
作者は半ズボン派です。
次回『Pが止まらない/精霊or準精霊』
コレで決まりだ!!