なかなか本編が進まない……
はぁ、早くほかの幼女精霊とキャッキャ、ウフフしたい……
世界の終わりって言うのは結構あっけなくやってくるみたいだ。
例えばそう、流行りの芸能人のちょっとしたトークショーをみた後、部屋で友人たちとくだらない談笑をしている時とか……
「くくく、下等な人間よ。我と寝所を共にする栄誉をその心に刻むと良い。
偉大なる我が名、八舞 耶倶矢の名と共にな!!」
扉が開き、その瞬間どんよりとした感覚が部屋を覆った。
思考がマヒして、体がゆっくりとしか動かなくなる。
「はぁ、また中二タイプか……」
「正直この間の転校生で、お腹いっぱいなんだよねー」
「あっちは絡んで来ないから、楽なんだけど……
ぐいぐい来られるタイプは……」
亜衣、麻衣、美衣の三人がため息をつく。
今回の修学旅行へ来ない&速攻不登校となったアンタッチャブル中二こと、時崎 狂三とは違う中二タイプに、辟易とした顔を浮かべる三人。
「あ、あんまり歓迎されてない……」
あんまりな態度に、耶倶矢が落ち込むがそこに希望の光が一筋。
「うむ。仲良くするぞ、よろしくだ!」
十香が耶倶矢に親し気に話しかけた。
「あ、十香ちゃん!」
「優しくすると、勝手に友達と思って付きまとう様になっちゃうよ?」
「優しいのは良い事さ。けどそれは何の意味もない生き方でもあるのよ?」
亜衣、麻衣、美衣の3人の適格すぎるアドヴァイスが飛ぶ!!
「なんで、こんなに厳しいの!?」
耶倶矢はもはや涙目!!
此処に泊めてくれと、令音に頼まれてきたのは良い。
しかし、ファーストコンタクトを大きく間違った!!
不幸なことに耶倶矢は知らなかったのだ……
学校、特に女子のグループ分けとは、一種の戦場!!
グループにハブられれば、一人寂しくスクールライフを送ることに成り、いじめっ子の友達になればその被害に巻き込まれる事もある!!
いかにして上位のグループに入り込み、そこで馬鹿にされない中間で目を付けられない場所にいるか、ソレこそが重要だというのに、ものの見事に失敗した!!
「ふ、ふふふ……我らが出でしは天の頂にして、冥府の底!!幽世の最果てにして現世の傍ら、貴様らの思考の範疇では想像もつかぬ場所よ!そう、我がおぬしらと相まみえる訳などーー」
「おお!耶倶矢は難しい言葉をいっぱい知っていてすごいな!」
「うは、やっ、そ、そうであろう?其方を我眷属にしてやろう。
我闇の加護を受け取るがいい!!」
素直な十香の褒める言葉に、耶倶矢が感動したようにまくし立てる。
その顔には、喜びからかわずかに涙が浮かんでいた。
「む?お主、ペドーと一緒に居た、十香とか言うやつではないか?」
「そうだ。ペドーの知り合いか?」
「なら、丁度いい。少し聞きたいことが有る。
その……ペドーについて」
「いいぞ!なんでも聞いてくれ」
耶倶矢の言葉に、十香が大きく頷いた。
「請願。今晩お世話になります。八舞 夕弦です。よろしくお願いします」
部屋を開けた時、夕弦が頭を下げた。
「いいえ、そんなにかしこまらないでください」
眼鏡をかけた少女が案じてくれる。
このグループは学校内でも大人しい女子の集まったグループだ。
夕弦の対応は正しいように見える。一見は……
「質問。実は、一つお聞きしたいことが有るのですが」
「ん、なに?なんでも聞いてくれて良いよ?」
リーダー格なのか、眼鏡をかけた子が読んでいた本から顔を上げる。
「請願。男性の気をひく方法を教えてほしいのですが、理性のクサビを解き放ってケダモノにしてしまいたいのですが」
「「……」」
あんまりな質問に、眼鏡の子以外の時が止まった。
二人して、本に目を落としパラパラとページをめくり始める。
「男の子の気をひく……ね?」
一通り本を見終わったのか、その子がパタンと本を閉じた。
「私、思うのよね。
男は男と仲良くするべきだと!!というか男同士の世界に女とか不用でしょ?
ベーコンとレタスが仲良くしてればいいのよ!!」
瞬時にその子の眼鏡が荒い鼻息で曇った!!
興奮げに掲げる本の表紙には、やたら服が乱れた男たちがベットで気怠そうにしていた!!
「恐怖。何か、あなたからは危険な物を感じます」
弓弦がその女子から、距離を取った!!
「う腐腐腐……大丈夫よ?こっちの世界にこればこれが快感に変わるわ!!
怪しくないわよ?ただの男の子たちの友情物語――」
一瞬眼鏡女子の背中に、四つ足の白い生き物が現れた様に見えた!
だが――
「うるさい」
「貴腐人!?」
後ろから現れた折紙の手刀の一撃でその眼鏡は倒れてしまった。
「こんなもの、生産性の欠片もないただの妄想。
男を手に入れる事をあきらめた、草食になるしかなかった敗者の結果」
異様に厳しい目で、折紙がその子を見下ろした。
「請願。ただ物ではありませんね。ご教授をお願いします」
「まず大事なのは――」
折紙がゆっくりと語り始めた。
「じゃーねー、シェリちゃーん!」
「うるさい!」
着替えを終わったシェリが、新しい浴衣で帰っていく。
小さなボヤかと思われた、機械の誤作動という事で収まった様だ。
「はーあ、結局ペットボトルは手に入れられなかったか……
ま、お風呂も一緒に入れたし、濡れ透け浴衣も見れたし良いか!」
ポジティブな気分で、シェリを見送るペドー。
その時、耳につけていたインカムから通信が入った。
『シン、すまないがすぐにこっちに来てくれないか?』
令音の指示にペドーが頷いた。
「まぁ、掛けてくれたまえ。
お茶を切らしてるんでね、水分補給用のスポーツドリンクで我慢してくれ」
令音が湯呑にスポーツドリンクを注ぐ。
なんというか、ついさっきこれと同じような色の液体を手に入れようとしたペドーにとっては、不思議な気分になった。
「フラクシナスとの通信は回復しました?」
「いいや、まだだね。だが、非常用のパソコンを持ち出しておいてよかったよ。
コレを見てくれるかな?」
令音が机のノートパソコンを手に取り、一つのビデオを再生する。
「コレ、あの二人ですかね?」
そこに写っていたのは、竜巻の中激しくぶつかり合う二人の女。
遠すぎて顔は分からないが、こんな存在2人しかいない。
「恐らくはね。実の事をいうと彼女たちは有名人なんだ。
識別コード〈ベルセルク〉……
風の中で、何度も戦う姿をみせその度に――」
「今日の昼みたいな天気を?」
ペドーがなおも風の強く吹く、外を指さす。
「ああ、そうだ。といっても今回はかなり控えめな方だ。
記録によると、森一つを吹き飛ばしたことも有るらしい。
分かるかな?彼女たちのじゃれ合いはその余波で、世界を十分壊せる物なんだ。
ちょっとしたニュースなのだが、太平洋沖で大きな台風が有ったらしい、おそらくその二人が原因だろうね、ここまで飛んで来たって事さ」
令音の言葉に、ペドーが慄く。
控えめに見ても惨状と呼べる、この天気。
じゃれ合っているだけで二人が、こんな事を簡単に起こしてしまえる存在――精霊だと再認識した。
「彼女たちにとってこの世界は、砂で出来たみたいに脆いんだろうね」
令音がパソコンを閉じながら言った。
「さてと――前置きは此処までにして、これはチャンスだよ?」
「チャンス?せっかくの修学旅行に精霊と出会ったことが?」
「そう棘を出さないでくれたまえ。
〈ベルセルク〉はコミニュニケーションが難しい精霊なんだ。
見つかっても追いつけず、さらに勝手に何処かへ行ってしまう」
「ゲームで言うと、出会ってもすぐ消える『レアキャラ』って事か……」
「だが、今回はチャンスだ。相手は君の気を引こうとしている。
これはまたとないチャンスなんだよ。
さぁ、このレアキャラを攻略しようか」
令音がペドーを見ながらそう言った。
「さて、うれしい事に彼女たちは君を攻略しようと画策している。
実は、ペドーを魅了するのに協力すると言って、二人の援助をすることに成ったんだ。
相手の手の内が、私の中にあるんだ。かなりの行幸だろ?」
悪い言い方をすればマッチポンプだが……
そんな事でひるむほど、令音もペドーも善人ではなかった!!
「けど、令音さん。この場合どうすればいいんですかね?
相手は二人ですよ?片方を選んだら……」
そう、今までと違う点は相手が二人という部分。
「二人同時にキスさせればいいんじゃないか?」
令音の言葉に、ペドーがぽかんとする。
二つが選べないなら両方!実にシンプルな理由だが……
「あの、ソレやばくないですか?いろいろと……」
倫理的な物が邪魔をするペドー。
しかし、二人が幼女なら速攻で手のひらを反すであろうペドー。
そしてもう一つ――
「令音さん、シェリはどうします?」
「ああ、準精霊の子か……
準精霊の情報が乏しすぎてね、下手に手出しできないんだ。
何が起こるか分からないんだよ。最悪封印した瞬間消える可能性もある。
いずれにせよ、フラクシナスの機器で精密検査をしてからさ。
兎に角今は〈ベルセルク〉の方が優先かな?」
「そうですか……」
令音の言葉を聞いて、露骨にペドーが残念がった。
「はぁ……シェリちゃん攻略したか――――えっきぃしょん!?」
急に出てきたくしゃみを令音に飛ばしてしまう。
「……風邪かい?」
顔面にぬらぬらした、微妙に白濁した粘度のある液体を掛けられた令音がつぶやいた。
運悪く、顔に派手にかかってしまったらしい。
「ですかね?さっきのぼせた幼女を全裸で介抱しましたから……
体中をしっかり拭いて、下着を含めて着せて、ドライヤーで髪を乾かすまでをずっと全裸でやってましたから」
シェリを介抱したことを思い出し、ペドーがにやにやと気持ち悪く笑い出す。
「……何をやっているんだ君は……?」
「あ、因みにシェリちゃん、下の毛は生えて――」
「それ以上はいけない!!」
何かを察した令音が急いでペドーの口を塞いだ。
正直言って気道も塞ぎたかったが、そういう訳には行かなかった!!
「大事になると、いけないから早く帰って休み――いや」
さっさとこの厄介者を帰らせようとするが、とある策を思いつきペドーを呼び止めた。
「私に良い考えが有る」
「うわー、そのセリフすっごく嫌な感じのフラグが立った気がする!!」
自らに走る悪寒を必死にシェリのカラダを思い出して、現実逃避ぎみに拭おうとした。
キャラ紹介。
眼鏡をかけた少し腐った子。
ふつうは同じ、ような仲間と一緒に居るがその正体は若干11歳でロボット工学及び、プログラミングの博士号を取得した天才児。
解くに計算に優れ、非常に高い能力を持つが反面人の心の機微には疎い。
表情筋の動きで相手の心情を読み取っている。
例を挙げると、本の内容は理解できるが作中のキャラの心の動きが「なぜそうなるか」全く分からない。
だが、欲に密接に関係した本(ウ・ス=異本)ならわかる。
詳しくは伏せられているが、フラクシナスのメインコンピューター人格『アリス』及びその同時期に開発された『ベリー』『チャーリー』の生みの親でも有る。
しかしDEM社が犯人と目される、サイバー攻撃事件通称『ABC』事件よりAIの製作からは手を引いている。
久しぶりに出た、モブに無駄に凝ったキャラ付けをしてみようシリーズ。
次回『悪夢のB/熟女には向かないアプローチ』
コレで決まりだ!!