デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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うわぁぁぁぁぁぁぁ!!
気が付いたら、40話突破していました!!
なんだコレ?主人公が幼女にセクハラし続ける作品だけで40話超え!!

どうなてるんだろう……


不・穏・茶・会!!

「さ、ゆっくりくつろいでくださいね?」

 

「は、はい……」

美九が笑顔で話し、士織の返事を聞いてから台所へと行く。

窓の外をみると、そこはまさに別世界。

 

竜胆寺女学院から、5分と経たない近場に美九の家はあった。

高級住宅を思わせる豪奢な門と、華が咲き乱れる優雅な庭。

まるでそこだけ、安っぽい小説に出てくるような、無駄に豪華な「私、お嬢様です」という露骨なアピールに凝り固まった家だった。

 

『まさか、こんなトントン拍子に事が進むなんてね。

ハンカチを返すって作戦は、予想以上の効果ね』

インカムから、琴理の自信に満ちた声が聞こえてくる。

どうやら小さな司令官様はご満悦の様だ。

だが、ペドーには小さな疑問が残る。

 

「なぁ、あの豚って男嫌いなんだろ?

封印した後、性別バレたらどうするんだ?」

 

『あ……』

インカムから、琴理の気まずそうな声が聞こえてくる。

恐ろしい事に、その後については全く考えていないようだ。

そのことを責め立ててやろうと思ったが、タイミング良く(悪く?)美九がお茶をトレイに戻ってくる。

 

「どうかしましたかー?」

 

「あ、いや。窓の外に幼女が居たから……」

 

「そうなんですかぁ?」

テーブルにトレイを置き、ごく自然な動作でペドーの隣に座る。

そして手慣れた動作で、紅茶をカップに注ぐ。

 

「なんか悪いな。何かなら何まで……」

 

「良いんですよぉ。いい茶葉が入ったし、士織さん一緒にお茶が出来るだけで十分ですから」

そう言って、ティーカップを差し出してくる。

一口飲むと、喉に紅茶の香りが広がる。

 

「うふ、ベルガモットの香りがするでしょ?

本当はミルクティーでも良いんですけどぉ、今日はレモンティーにしました」

 

「へぇ、詳しいんだな」

ペドーが再び口を付けるが、内心は穏やかではなかった。

 

(カップがぬるい、紅茶の茶葉の適正温度は92度か、91度。

最適な温度で淹れないと、香が出にくいのに――

コイツ、「優雅に紅茶を飲んでる自分」に酔ってるタイプか……)

ソレから数時間、お互いの心を探り合うかのような会話が続いた。

 

美九の話題にペドーが乗り、ペドーの言葉に美九が大げさに頷く。

そんな様子は何処かの心理学の本に書かれていた「相手を引き付ける話し方」によく似ていた。

 

しばらくして、不意に時計を見るとすでに時間は午後8時。

 

(なんてこった!!こんな豚の世話に、3時間だと!?

3時間っていたら、幼女相手ならナンパから仲良しになるまで十分な時間じゃねーか!?)

人生の貴重な時間を、自意識過剰デブに使われたと思ったペドーが愕然とする。

 

「あら、もうこんな時間ですかー」

 

「ずいぶん話し込んじゃったみたいだな」

 

「良いんですよー、私はたのしかったですしぃ。

それに……」

美九がペドーの前に立ちマジマジとその顔を見る。

 

「うん、やっぱり良いですね。

()()()()()()()

 

「?」

美九の言葉に可笑しな含みを感じ、ペドーの脳裏に疑問符が浮かぶ。

 

「士織さん。明日から竜胆寺に通ってください」

 

「は?」

美九の言葉が理解できずに、呆けた顔をペドーが晒す。

 

「竜胆寺女学院に転校して下さい」

さっきと同じ言葉を繰り返す。

 

『おかしな反応はないわ。

彼女、本気で言ってるみたいね』

琴理がインカム越しにそう教えるが、目の前の美九を見ると冗談を言ってる訳ではないのはペドーにも分かっていた。

 

「ああ、勿論学力やお金のことは気にしないでくださいねぇ。

私が『お願い』しておきますからぁ。

住所と採寸教えてくれますかぁ?今日中に作って遅らせますからぁ」

 

「ちょ、ちょっと待て、そんなすぐ――」

その時不意に、美九がペドーの耳元に口を近づけ――

 

()()()

 

「!?」

美九の声がペドーの耳に聞こえた瞬間、脳裏に幸福感に似た酩酊状況に成る。

アニメを見て、声優の声を聴き「耳が幸せ」なんて言葉を聞くがなるほど、今がそんな状況なのだろう。

 

思わず、その言葉に頷きそうになるが……

 

(BBAに屈する訳がねぇ!!)

 

「断る!」

必死の抵抗で、美九の頼みを断る。

 

「あ、え?」

ペドーの言葉に、美九が驚いた顔をする。

その表情からはまさか断られると思っていなかったという感情が見え隠れしている。

 

「士織さーん、【()()()()()()()()()】」

 

「絶対にノウ!!」

今度は完全に誘惑される事無く、美九の誘いを断った!!

 

「あなたもしかして――――――精霊さんです?」

 

「なに?」

美九の言葉、その言葉は今までのどんな言葉よりペドーを震わせた。

 

「な、なんのことだ?ゲームかアニメの……」

 

「あはは、とぼけなくていいんですよ?普通の人間が私の『お願い』を断れるハズありませんからねぇ。

あなたは精霊?それとも、ASTのウィザードさんです?」

体を近づけペドーの逃げ道をふさいでいく。

 

『誤魔化すのは無理そうね……』

インカムから聞こえてくる琴理の声に、ペドーが遂にあきらめる。

 

「俺は精霊でも、魔術師でもない。

タダの人間だ。だけど――霊力を封印する力を持ってる」

 

「霊力を封印?一体――」

 

「それは――」

ペドーが美九に対して説明を始める。

自身に精霊を封印する力がある事、封印さえすればASTに狙われることが無くなる事、そしてもうすでに数人の精霊が霊力を封印され普通の生活を送っている事。

 

美九はペドーの説明を静かにじっと聞いていた。

 

「――そうですかぁ、わかりましたぁ。

私に会ったのは作為的だったのは少し残念でしたけど……

ソレも私を慮っての事ですよね。

うれしですぅー。

他の精霊さんにも会えるんです?」

 

「ああ、みんな仲良くしてくれるさ」

 

『これは行幸ね。思ったよりうまく行きそうだわ』

インカムの中から、琴理の言葉が飛ぶ。

 

(あ、なんかコレ、フラグっぽいぞ?)

 

「けど、封印は結構ですぅ。私は霊力を宿した今でも十分幸せに暮らしています。

ワザワザこの力を差し出す必要はありませんよねぇ?」

これは今までにないパターン。

そう、自らの力を捨てる気も捨てる必要も無い、精霊。

 

「それは……」

一瞬言い淀むペドー。

だが、忘れてはいけない。美九は4日前空間震を起こしている。

それだけでは無い。その時ASTと顔を合わせている。

つまり、ASTに顔を知られた、観測から刺客が送られているまでは秒読み段階といえる。

 

「4日前――空間震を起こしたろ?このままじゃ、その力で大切なものまで――」

 

「ああ、あれですかー。

気にしないでくださいー、あれは()()()()()()モノですからぁ」

 

「!?」

今度はペドーが驚く番だ。

 

「あの近くって、天宮アリーナがありましたよねぇ?

私、天宮アリーナで歌ったことないなーっと思いましてぇ。

歌いたくなっちゃったんですよ~」

 

「そんな理由で――?」

 

「あは、そんななんて酷いですよぉ。

だってぇ、()()()()()()()()んですよぉ?」

ペドーの首筋のぞっとした寒気が這いまわる。

 

「と、友達が死ぬかもしれないのに……?」

 

「それは……困りますねー。

また新しいお気に入りを探す手間が掛かっちゃいますねぇ」

言葉通り、本当にお気に入りの店がつぶれた、少し困るがまあいいか。程度の労力だろう。

彼女には、ないのだ。『かけがえのない友人』というのがいない。

いくらでも変えの効く存在でしかないのだろう。

その考えは明らかに異物。そう、まさに人でない何かが人に「擬態」している様な違和感。

 

「けど、みんな私の事好きですよねぇ?

なら私の力で死ねるなら本望ですよねぇ?

みんな私のいう事を聞いてくれますしねー」

誰が死んでも構わない。そんな言葉にペドーが拳を握る。

 

『ペドー!!止めなさい!!短気を起こすんじゃ――』

 

「俺はお前の事――嫌いだけどな?」

 

「あら――?」

ペドーの言葉に、美九が渇いた笑みを浮かべる。

 

「正直な話、俺は誰が死のうと気にしない。

お前の友達が全員死に絶えようと毛ほども、心が痛まない。

けどなぁ!!間違って幼女が巻き込まれたらどうすんだ!?

おおっ!?年増のお遊戯で幼女消してんじゃねーよ!!

カラオケ引きこもって、一人歌ってろやぁあああ!!!ブース!!」

美九に対してえ、最大の暴言を中指を立てつつ投げつける!!

 

「ふ、ふぅん……そうですかぁ……

そんな事言われたら、なおのこと欲しくなっちゃいますねぇ……

貴女の事、ボロボロにして泣きながら『あなたの事が大好きです!!』って言わせたくなりますー。

何時までそんな生意気なことが言えますかねぇ?」

一瞬の驚きの後、美九が歪んだ笑みを浮かべペドーにそう言い放った。

 

「うっせぇブース!!」

 

「このッ……!

けど、貴女は私の事を封印したいんですよね?

けれど、私は霊力を手放すつもりはありません。

このまま行っても話は平行線ですよね?なら、勝負をしませんか?」

 

「勝負?」

美九に啖呵を切った以上ペドーは発砲ふさがりになる筈だが、美九の言葉で一筋の光明が見えた。

 

「内容は?」

 

「今度の天央祭、一日目のステージで来禅が優勝したら、私の力を封印させてあげます。

けど、もし勝てなかったら、貴女ともども精霊の子達は私の物に成ってもらいますよ?」

 

「なにぃ!?」

ペドーの脳裏に、精霊たちの顔が浮かぶ。

四糸乃、琴理、くるみ、シェリ…………あと、黄な粉好きなアイツと、えっと……あ、十香!!

それと……あの、ほら、えーっと、ナルシスト双子!!

 

「一日目は、歌のステージがありますねぇ」

 

「おい、それって――」

 

「はぁい、私が出ます。

本当は人前に出たくないんですが、仕方ないですねぇ」

この条件、ペドーは受けざるを得なかった。

此処で相手に引かれたら、美九を封印する術は無くなる。

だが、それは明らかに相手が有利すぎる条件だ。

 

「3人までなら、やっても良いんだがなぁ……」

幼女でない精霊は、必要無いためほぼメリットナシで出せるのだが――

しぶしぶと言った顔で、ペドーがその条件を飲んだ。

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっちまったぜ!!」

フラクシナス艦のブリッジで士織ちゃんモードのペドーが座る。

 

「やっちまったじゃないわよ!!」

司令官様は非常におこの様で、さっきから激を飛ばしている。

 

「いやー、すまん!」

 

「好感度上げようって相手に、なんて事言うのよ!?

一気にご機嫌斜めなんだけど!?」

 

「あー、舞台のある一日目に美九を拉致監禁すれば良くない?」

 

「なんて事言うのよ!?ああもう!!

勝つしかないわよね……、確か一日目はバンドで、交渉はするとして……

ペドーギター確かひけたわよね?」

 

「あれ?なんで知って――」

琴理が無言で、艦橋の画面のスイッチを入れる。

そこには、古い映像で――

 

『♪~♪……違う、こうじゃないな……』

ギターを弾きながら、創意工夫を凝らすペドーが!!

 

「お、懐かしい!この頃、小学生バンドから歌を教えてくださいってお願いが何時か来るんじゃないかと思って、練習してたんだよな!!

作詞と作曲もしたよ……」

懐かしい映像に、ペドーが思い出を語る。

 

「え、そんな理由で?」

 

「同じような理由で、バスケも教えれるよ?」

しれっとした顔で、ペドーがエアバスケをして見せる。

 

「あんたって、なんでそんな無駄な事に才能を使うのよ……

けど、その頃の画像も――」

 

再び、画面が変わり――

 

『一緒にお茶が出来るだけで十分です』

 

『お願い』

そこには、士織と美九が近づいて話してる画像が流れる!!

なんというか、バックに百合の花が咲きそうな距離と会話だ。

 

「うわー、不快!!」

ペドーが顔をそむけるが――

 

「キマシタワー!!」

 

「しばらく、コレでお楽しみだな!!」

 

「男とか要らんのや!!」

一部のメンバーが酷く興奮した様子でそれを見る。

 

「なによ!!相手はペドーじゃない!!男よ、男!!」

琴理が怒声を流すが止まりはしない。

怪しげな言葉と異様な盛り上がりを見せる!!

 

「あーもう!!なんで、誰一人まともなヤツが居ないのよ!」

琴理の声がむなしく、ブリッジに響いた。




作中で美九はボロボロに言われていますが、別に作者は美九が嫌いとか、アンチ創作がしたわけではありません。
そうです。

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