デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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ずいぶん久しぶりな気がする今回。
実際少し時間が空いてしまいました。



学・祭・開・会!!

『いえぇええええええええ!!!!これより、第25回バトルロワイヤル――じゃなかった。

天宮市高等学校、合同文化祭――天央祭を始めます』

一瞬だけ、テンションが抑えられなかった、運営の男子の声が会場中に張り巡らされたスピーカーから聞こえる。

要所要所にある大型スクリーンには、たった今宣誓した生徒の顔も写っている事だろう。

ともかく、この宣誓をもって開会の宣言だ。

実際に、ペドーが近くにあるスクリーンをみると、来賓の挨拶が続いている様だ。

 

「はぁ、まだ続くのか……」

若干げんなりしながら、半分聞き逃しながら話を聞いていく。

 

ざわッ!!

 

瞬間、周囲が一斉にざわめきだす!!

何事かと、ペドーがスクリーンに目をやると同じくギョッとする。

 

『天宮市の高等学校の生徒諸君!!お初にお目に掛かる。

私はここより遥か東方に存在する高校、志余束高校の理事長だ。

今回はお招き感謝する』

威厳のある声で話す男、男と呼ぶべきなのだろうが……

その姿は先がとがった真っ赤なローブを着ていて顔が一切見えないのだ。

まるで、ひと昔前の秘密組織の首領のような姿だ。

 

『我が、志余束の生徒の多くも体験として参加している。

お互いの学校に実に有益な体験ができる事を祈っているぞ』

そう言ってスクリーンに映る首領っぽい人は消えた。

 

「ペドー、今の者はなんだ!?」

 

「知らないよ、本人曰くどっかの学校の理事らしいけど……」

十香の疑問にペドーが珍しく、困ったように答える。

ペドーは必死になって「何処かの秘密結社の首領」という言葉を飲み干した。

 

「士織ちゃーん、そんな事より客引きが始まるからね!」

亜衣がポンと、肩に手を置く。

そう客引き――それもペドーがだ。

 

チラリと、横に飾られている鏡を見る。

そこに写るペドーが、長いフリルのついたエプロンドレスにカチューシャ。

その姿はまさにメイドさんだった。

 

「今回のポイントはいかに、メイド()()()を出しつつもマンネリな没個性的に成らないかですね。

以前私の読んだ同人――ゲフンゲフン!!本には、ナース服とチャイナ服を高次元で融合さてたものがありましたが、そのようなタイプを求め、ステレオタイプなメイドと偽物っぽいメイドをざっと30近く用意し、それぞれを何度も組み合わせて研究しました。

ラフ画での試作はおよそ50枚!!締め切り直前前夜レベルで頑張りました」

普段は大人しいクラスメイトの伊草が饒舌に話している。

どうやら、このメイド服相当の力が入ったものらしい。

 

カチッ!

 

ペドーが自身の心のスイッチを入れ替える。

 

(俺、いや――私は、五河 士織……この店のメイドさんよ!!)

 

「さぁ、みんな!お嬢様、ご主人様たちが帰ってくるわ。

いい?お客様じゃないわよ?ご主人様なの。

みんなの中には『所詮ごっこ』という考えが有るかもしれない。

けどそんな心の隙は相手に如実に伝わるわ!!

スキが出来た瞬間から、終わりよ!!緊張の糸をしっかりしめなさい!!」

 

「「「「かしこまりましたメイド長!!」」」」

士織メイド長の言葉に、他のメイドさんたちが一同に礼をした。

 

「え、なにこれ……いろいろ付いてけないんけど……」

 

「同意。いろいろと自体が飲み込めません……」

他のクラスメイトの様に、メイドに扮した耶倶矢、夕弦のコンビが呆然とする。

ペドーがメイドをやっていると、笑いに来たのだがそこにいるのは、女装した男子ではなく、異様な女子力の高さを見せるメイド長で――

 

「なんか、女として、負けた気分……」

 

「同意、全く持ってぐうの音も出ません……」

ナルシスト双子が、頭を垂れた。

 

 

 

「あー、はいはい。士織ちゃんたちは表で客寄せお願い」

 

「ホールスタッフはマイン君たちがやってくれてるからさ」

 

「長身系弱気娘に、天真爛漫娘、さらにタイプ別双子、コレだけいれば釣れない男は同性愛者か熟女好きか位なモンでしょ」

亜衣麻衣美衣の3人が口々に話す。

 

「ふぅん……あんまり興味ないわ」

そう呟くペドー!!同性愛者でも熟女好きでもないが興味の無い奴がここに居た!!

 

(あ、けど全部に幼女って付くと萌える……!)

体の大きな弱気幼女、天真爛漫な幼女、そして性格が違う双子の幼女!!

どれも萌る!!どれも素晴らしい!!

 

「いい……そんな子が、メイド服なんて来たら――そりゃもう……」

妄想の中にトリップしようとしていたペドーが急に現実へ戻される。

気が付くと、目の前にはお客さんの列。

そう、すでに決戦は始まっていたのだ。

 

「さ、みんな。こっからが勝負だ」

 

「「「かしこまりましたメイド長!!」」」

ペドーの言葉に、メイドさんたちが一斉にお辞儀をした。

 

 

 

人人人の人の群れ。

天央祭に来るのは、高校生だけではない。

生徒の家族、さらには近隣の大学生、そして高校を決めようとしている中学生の子達も居る。

それに気が付くとほぼ同時に客引きの大きな声が聞こえ始まる。

ペドーも出遅れる訳にはいかない。

 

「おっ!」

ペドーの前を、小柄な少女が通り過ぎる。

肩まである髪に、片方だけ目の隠れた顔。

そして夏場なのに長袖という一見ミスマッチな、線の細い儚げな少女が通りかかる。

 

(か、かわええ……多分中学だよな。

ちっちゃいから小学生にも見える……)

 

「そこのお嬢様!!どうです、ウチの店で一休みしていきませんかぁ?」

なるべく、親し気な声をかけるペドー。

そうだ、平常なら小さな子に声をかけると事案が起きるが、今は客引きの真っ最中!!

つまりどんな小さな子に声をかけても大丈夫なのだ!!

 

「…………私?」

その子は小さな声で、ペドーに反応していた。

 

「そうですよ?私は小さい子にはたっぷりサービスしてあげ――」

 

「小さい!?…………どこが?」

ペドーの言葉を聞いた瞬間、その子の瞳孔がキュッと狭まった様に見えた。

 

キチ……キチ、キチ……!

 

その子が手を突っ込んだスカートから、何か小さな音がする。

例えるなら、まるでカッターナイフの刃をゆっくりスライドさせて刃を伸ばしている様な――

 

「いい度胸…………!」

口角が怪しく吊り上がり、狂気の垣間見える目をして――

 

「ユウカちゃんストップ!!ストップ!!!」

その子が手をスカートから引き抜こうとした瞬間後ろから来た、見慣れない高校の制服を着た男に抑えられる。

 

「……タカミネ離して……!!」

じたばたと暴れる幼女、それを後ろから抑える高校生。

ぱっと見幼女を高校生が後ろから襲っている様にも見えて――

 

「あ、ユウカちゃん、ラーメン有るよ!!ラーメン!!

食べに行こうね!!俺奢るから!!」

 

「チッ……!」

半場無理やり幼女は高校生に連れていかれ、ペドーは小さく息をついた。

 

「あちゃー、今の子ヤバかったわ」

 

「同意です。完全に目がイッてました」

耶倶矢、夕弦の二人がひそひそと話す。

しかしペドーが気になったのは、男の方だった。

 

「はぁー、今の子、可愛かったな……

けど、彼氏持ちか」

残念そうにペドーが語る。

なぜ兄妹でも、親戚でもなく恋人と判断したかと言うと――

 

「あの人、俺と同じ(同族の)匂いがする。

近しいモノを感じる……」

その感覚を相手も感じたのか、ふっと去っていったハズの男がこちらを振り返った。

数舜の沈黙、絡み合う視線同士の無言の会話。

だが、どちらともなく視線を外し二人は人込みの中に消えていった。

 

「ずいぶん盛況の様だね」

そんな呆けたペドーを、良く知る声が現実に引き戻した。

 

「令音さん」

店の前、いつの間に来たのか令音が眠たそうな目をしながら立っていた。

それと同時に――

 

「あはははははははは、マジ?ペドー?そんな、なんでそんなカッコ!!

やば、お腹痛い、息できない!!あははっははっはっは!!あははあははは!!」

 

「ペドーさん、似合ってますよ?」

 

「ぺどーさんそんなしゅみが……?」

そこに連なる三つの影!!

シェリがペドーを指さし大笑いし、四糸乃がオズオズとしながらフォローを入れ、くるみが引いたように令音の影に身を隠す。

 

「はう!?お、お嬢様たち……」

此処に来てペドーの心臓が大きく脈動した。

女装、本来それは他人に知られてはいけない趣味のハズ。

他人にバレたら、即座に変態の烙印が押されてもおかしくない危険な趣味。

しかし!!目の前の3人(年増は除外)にしっかり見られてしまった。

シェリはこちらを馬鹿にしているし、四糸乃はあえて気使ってくれているし、くるみは嫌悪感すら抱いている!!

逃げる事の出来ないペドー!!しかし!!しかし!!

 

「みんな、ペドーはすべき必要があってこのような恰好をしているんだ。

到底信じられないだろうが、これは彼が自らの趣味を楽しんでいる訳では――」

 

「もっと!もっと女装する私を観てぇ!!」

危ない快感にペドーが興奮する!!

そう、それは危険な快楽!!コウノトリを信じてる幼女に無修正ポルノを見せるがごとき、背徳にして禁忌の快楽!!

その叫びは、令音のフォローを容赦なく一蹴する言葉!!

最早後戻りなどできない!!

 

「なんだよ、コレ……」

 

『うわぁ……』

 

「ペドーさん……」

 

「なにがおきてますの?」

動揺を見せる3人(+パペット)!!

しかしペドーは止まらない!!

 

「さぁ、お嬢さまたち……是非とも、私の働きぶりを見てくださいねぇ!!」

怯える幼女3人に対して、ペドーがゆっくりとにじり寄っていく。

その手にはいつの間にか、3人にピッタリ合うサイズのメイド服が!!

 

「昨日の晩作ったんだよぉ!!因みに実費ィ!!」

さっきの子よりも目が危ないペドー!!

 

 

 

「あら、ずいぶんご盛況の様ですわね」

人込みをかき分ける様に、紺色のセーラー服をきた少女。

この勝負の相手の精霊、誘宵 美九だった。

人込みのある様に、彼女の周りには多くの女生徒、さらにはTVカメラを持ったクルーまでいる。

その様は否応なく彼女が「アイドル」だという事を現し、改めて自身がこういった人気を集める事に特化した相手と敵対している事を意識させられた。

させられたのだが……

 

「さぁ、シェリちゃんから着ようね……はぁはぁ……

野生児気味の元気ボーイッシュが、使用人の服なんて……もう、俺はもう!!」

 

「あ、あの……士織さん?」

シェリを前に興奮して、こちらを無視する士織に再度声をかける。

 

「さぁ!四糸乃も着ようね。よしのんの分まで用意してあるからね!!

お揃いですっごくかわいいからね!!」

 

「士織さーん?私が来ましたよ?」

 

「くるみも着ようねー?ごっこ遊びをしているみたいで可愛い――」

 

「士織さん?いい加減こっちを――」

 

「うっせぇブス!!幼女の後に話せや!!」

美九を押しとどめ再度、幼女たちに向き直る。

周囲の萌え豚共が、その言葉にざわめく!!

 

「お、おねー様になんて口を……!」

 

「たとえおねー様のお気に入りでも、容赦はしません!!」

 

「ぶひぃいいい(憤慨)!!ぷぎぃいいいいい(憤り)!!」

今にも暴動の起きそうな空気の中で――

 

「皆さん、止めてください。

これ位気にしませんから」

美九の言葉を聞いた瞬間、まるで水を打った様に周囲からざわめきが消えた。

 

「んで?なんのようだ?客か?」

 

「うふふ、違いますよぉ。

ねぇ、士織さん少しデートしませんか?」

美九がペドーをさそう。

今は店の前、当然だが美九はワザワザ引き連れてきたファンを操る力がある。

その気に成ればペドーたちのメイド喫茶など――

 

「ふぅ、わかったよ。少し回ろうか」

非常に、非常に重い腰を上げペドーが美九の誘いに乗った。

3人の幼女たちはまるで救いの女神が来たかのような顔で、美九を見ていた。




メイド服。それは記号化された萌。
どんなタイプの女の子もメイド服さえあれば、すべて萌えキャラ。
ある意味メイド服は、やりつくされた感じがあります。
しかし、イイモノはテンプレに成る。テンプレに成っているという事はやはりメイド服は人気なのでしょう。
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