デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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スピードがなかなかでない作者です。
うーん、寒くてキーを叩く指が動かない……

何とかモチベーションを取り戻したい作者です。


幼・女・協・演!!

「♪~!!♪、~!~!!~、♪!!」

ステージの上、一人の歌姫が手を振るう。

人魚姫をイメージさせたような深いブルーの服に、貝殻のワンポイントアクセ。

徐々に明かるくなるステージをスッポットライトが照らす!!

 

『みなさーん!今日は私のステージを楽しんでいってくださいねぇ!!!』

 

「ぶひぃいいいい!!」「おねー様ー!!素敵ー」「美九ちゃん最高!!」「美九!!俺だ!!結婚してくれ!!」

美九の声に、ステージからファンが答えていく。

圧倒的美声、圧倒的ダンス、圧倒的求心力(カリスマ)

まるでそのステージすべてが美九の為だけに存在しているかのようにすら錯覚してしまう様な――

 

「すごい……です……」

ペドーの隣、じっと見ていた四糸乃が小さく声を漏らした。

四糸乃だけではない、シェリもくるみのそのステージの巨大さに圧倒されていた。

まぐれもなく誘宵 美九はアイドルだったのだが――

 

ブッツン!!

 

ステージの照明が消える。

音楽が止まる、おそらくは琴理の行ったのであろう妨害。

しかし――美九は止まらない。

 

「――〈神威霊装・九番(シャダイ・エル・カイ)〉!!」

一瞬の間を作り、すぐにステージの中央が輝く。

瞬時に美九が展開するのは、霊装。

その姿は武器というよりも、巨大なパイプオルガンだった。

美九の姿が青い光に包まれる。

そして、美九がパイプオルガンに指を這わせた瞬間――!

 

飲まれた――ステージが、観客が一瞬にして彼女という存在をたたえる信者へと変わる。

琴理のトラブルすらも、自身を輝かせる演出へと変化させたのだ。

 

琴理の妨害を難なく跳ねのけ、そんなことは些末な事と言わんばかりにステージの演出に取り込んでしまった。

突然のトラブルに瞬時に対応するなど、かなりの能力がある。

美九という精霊は様々な意味でアイドルとなるべく存在なのだろう。

 

 

 

「おおー、すごい歌だな!!」

十香が美九の歌を聞き、自身には関係ないと言わんばかりにのんびりとした口調で話している。

その言葉にすっかり見入っていたペドーが、現実に帰ってくる。

 

「まずいな……」

自身の右に座る四糸乃を見るとすっかり飲まれてしまっている。

左側に座るシェリは同じくすっかり取り込まれている様だった。

どちらもすっかり、美九という歌いなれた相手にすっかり引いてしまっているのだ。

かく言うペドーも、同じく圧倒されているのだが……

 

「ッ!」

ステージの上、美九がこっちに気が付き小さく口を歪める。

明らかな挑発、明らかな奢り、だがその態度を裏付ける実力をたった今嫌というほど見せつけられたばかりだ。

 

 

 

ザザーッ

 

「くっそ……どうすっかな……」

駆けこんだトイレの中、ペドーが顔を水でぬらす。

冷たい水を使い、気分を変えようとするがそう上手くは成らなかった。

自分は勿論、他の3人もだ。

 

「こんなの、勝てるモンも勝てなくなるよな……」

最後にもう一度、顔を水で流し顔を上げる。

だが、今更後には引けない。一度出した手を引っ込める訳にはいかないのだ。

 

「よぅしやるぞ!!

あ、殿町ハンカチありがとな?」

 

「なんで男子トイレ使ってるの君ぃいいいいい!???」

錯乱する殿町を置いて、ペドーがステージに向かった。

 

 

 

 

 

時刻14時55分。

 

「あと、5分で作戦開始ね――みんな準備は良い?」

 

『イェスマム!!』

天央祭の開かれている近く、ジェシカを始め数人のDEM社の派遣魔術師(ウィザード)が準備をする。

ジェシカ達、外人部隊(因みに日本のASTのメンバーには腹痛部隊とか言われて馬鹿にされている)が武器を構える。

部隊の人数は最新鋭の武器を持たされた10名、さらに〈バンダースナッチ〉が20機。

ターゲットである人間一人を捕獲するにはいささか大仰な装備ではあるが、備え有れば憂いなしという位だ、これ位で良いのかもしれない。

 

『隊長!暇なんでピザとか頼みません?』

 

「絶対にダメよ!!お腹壊したらどうするの!?」

メンバーの一人を叱りつけるジェシカ。

日本人たちの「おんやぁ、またトイレですかぁ?今度の会議の場所、トイレに変更した方が良いですかねぇ~?」なんて嫌味な顔が頭にこびりついている!!

この作戦は失敗する訳にはいかないのだ。

 

「さて……時間まで――アッツ!?建物の屋根アッツ!?フライパンみたいな温度!?」

 

『隊長大丈夫ですか!?アッツ!!ほんとだ、屋根すげー熱い!!』

 

『えー?マジで?マジで?アッツ!!やばい、マジ熱いわ!!』

人間とは退屈を嫌う者である。

既に1時間以上待機してるメンバーたちの中に露骨にヒマを持て余す者達が出てきた。

何人も屋根に触れては「アッツ!アッツ!!」と騒いでいる。

因みにこの声は通信で他のメンバーにも聞こえており……

 

「何やってんだろこのバカ外人ども……」

外で待機してた、日下部がバカにしたようにつぶやいた。

そんな中、通信の中に別のタイプの悲鳴が混じる。

 

『な、お前ハ!?――うわぁああ!?』

 

「へぇ……始まったんだ」

日下部は満足したように通信の電源を切った。

 

 

 

 

 

『うわぁああああ!!』

爆発音と共に一人の通信が切れる。

 

「何があっタノ!?」

『通信が切れる』それは何でもない事の様な気もするが、世界の中でもここのウィザード達の中では()()()()()のだ。

唯一有るとすれば、ウィザードを倒せる存在に邪魔された場合のみ。

つまり通信が切れたのと、自身を自分たちを倒せる存在が出たのはイコールに成っている。

 

「精霊が来た――」

 

「違う」

 

「!?」

自身の頭上。一機のマシンを駆る女をみて、ジェシカはポカンと口を開けた。

そのマシンはDEM社でも有名だった。

理論上精霊を個人で殺せる武装と呼ばれているソレは、作られたはいいがテスト段階でテストプレイヤーを30分で廃人に追い込んだらしい。

DEM社の科学力と、人間の脳の力が追いつけない事の皮肉った話になって有名になっている。

基本は置いておくだけしか意味のないオブジェと化していたが、今目の前で現実に動いているのを見ても未だに信じられない。

 

「なゼ?なぜ、ホワイトリコリスを動かせているノ!?」

 

「知らない――!」

折紙がホワイトリコリスを駆り、ジェシカ達に踊りかかる!!

 

「く!バンダースナッ――!?」

 

ゴォン!!

 

ジェシカの目の前、数体のバンダースナッチがまとめて鉄くずへと化した。

 

「ペドーに、ペドーに手はださせない」

ホワイトリコリスのミサイルポットが火を噴く!!

白い煙を上げて、広がるミサイルはまるで白い彼岸花の様に――

 

 

 

 

 

「いいか、自身の手に『幼女』ってかいて、10回飲み込むんだ。

明確に幼女をイメージして……

ほら、ちっちゃい爪のついた()()()が俺の舌に迎えられて、幼女ちゃんは足裏に感じるくすぐったさに一瞬身を震わせるんだ。

そして喉の奥に包まれる様に入っていって、舌のベットの上で少しだけ怖さに怯えるんだ……

だけど、喉の奥の温かさにお母さんの胸の中に似た体温を感じて、身を任せるんだ。

そして歯に体が当たらない様にすぅって喉の奥から胃に落ちてそれから――」

 

『キモイのよ!?何してるの!!』

インカムから琴理の怒声が聞こえる。

 

「なにって、手のひらに『幼女』ってかいて飲むと緊張しなくなるおまじないだよ?」

 

『そこは「人」でしょ!?』

って言うかイメージが無駄にリアルなのよ!!」

 

「そんな事言ってもな?」

ペドーがステージの袖で、自身の直前に出るメンバーたちの種目を見ている。

なんでも他校からのゲストで、バンドを組んだようであり、数人の男たちが演奏をしている。

 

「あ!この前みた、幼女連れてたやつだ!!」

バンドのメンバーの一人、この前の人形の幼女を連れていた男の姿を見る。

と言うかその幼女も一緒に参加している。

 

「うえぇーい!!ありがとうございました!!」

リーダーらしき肩に青いカラーひよこを乗せた男が、皆の前でお辞儀をする。

男の後ろにうっすらと青い着物を着た女が立っている気がするが恐らく見間違いだろう。

 

「さ、次は俺たちの番だよ?」

ペドーが3人を見るが……

 

「すーはーすーは……」

 

「で、できますわよ……」

 

「ゲドーに出来るんだから……」

明らかに動揺している3人。

精霊として人間に関わること自体少ないのだ、いきなりこの人数に緊張しない方が無理だろうなので――

 

「よし!!緊張をほぐすおまじないだ!!」

 

「え――きゃ!?」

ペドーがメイド服を着た四糸乃の服に手を突っ込む!!

 

「さぁ……お腹をなでなでしてあげようね!!

四糸乃ってすこし冷え性なのかな?すべすべして気持ちいいね!!」

 

「お、おおお腹を撫でないでください!!」

 

『よしのんロケット!!』

四糸乃がペドーをよしのんを装備した方の手で殴る!!

 

「くるみ……くるみも緊張しているんだろ?

集中力を上げるために、背中に指で言葉を書いて当てっこするゲームをしようねぇ!!

さぁ!!脱いで!!脱いで!!」

 

「こんなときになにをかんがえてますの!?」

くるみの蹴りがペドーを蹴飛ばし!!

 

「シェリちゃんは、足裏に有るリラックスするツボを押してあげようね!!

さぁ!!俺が横に成るから!!顔面に向けて足を!!さぁ!!足を!!」

 

「ドMじゃないか!?」

最後の最後にシェリに踏まれてご満悦なペドー!!

 

「ふっふっふ……どうだい?みんな、緊張がほぐれただろう?」

立ち上がりキメ顔でニヒルな笑みをペドーが浮かべるが……

 

『いやぁ、ペドー君は自分のしたい事をやっただけじゃない?』

よしのんの言葉に四糸乃が無言で頷き――

 

「ほんっとうにゆだんできないひとですわ!

こしたんたんとねらっていたんですのね?」

くるみが頬を膨らませ――

 

「なんかボクの時だけジャンルが少し違わない?」

シェリが靴下を履きなおしている。

 

「べ、別にそんな訳じゃ……

す、ステージ始まるよ!!!」

 

「あ!逃げた!!」

ステージに向かって走り出すペドー。

最後に振り返って――

 

「楽しまなきゃ勿体ないぜ!!

今日はフェスティバルなんだからさ!!」

3人の中に同じ感情が芽生える。

 

(あ……この顔……)

 

(わたくしは、わたくしたちはこのえがおが……)

 

(この笑顔に引っ張られて、今ここに居るんだよな!!)

 

「なら、楽しむだけだよな!!」

 

「「「わかってる!!」」」

4人は楽器を手にステージに向かって走る。

 

 

 

『さーて、次の演奏は来禅高校による有志のバンドです!!

バンド名は――』

 

「どーも皆さん!!即興幼女系バンド『LO(ラブ)×LO(ロリ)』です!!

幼女と幼女が大好きなメンバーで構成されています!!」

ペドーが円満の笑みで後ろを振り返る。

 

四糸乃がベースを手に顔を赤くしている。

よしのんは何時でも歯ギター出来る状態だ。

 

くるみが真剣な顔をしている。

10指はすでにキーボードに置かれ、今か今かと出番を待っている。

 

シェリが苦笑いを浮かべているが、その様子はうずうずして、早くドラムを叩きたくて仕方がないと云った風だ。

 

「一曲目!!行ってみますか!!」

ペドーの合図と共にライブが始まる!!

練習通りに指は動き、四糸乃がくるみがシェリがその後に続く!!!

ペドーのシャウトに寄り添う四糸乃のメロディ!!

曲調を軽やかに滑るくるみの鍵盤!!

響く音は、音楽に迫力を与えるシェリのドラム!!

 

楽しい――!!楽しい――!!!楽しい――!!!!

 

狂ったように感情が暴れだす!!

流れる汗が心地よい、会場を振るわす音が気持ちいい、後ろに3人が居るというだけでどんどん心臓が高鳴る!!

 

それは後ろの3人も同じ!!!

目の前に居る(ロリコン)の事は良く知っている。

どんな時も幼女の為ならどんな困難すら可能にしてきたハイスペックロリコンだ!!

そのペドーが前に居る!!ならば何も恐れるモノはない!!

そしてペドーに必要とされ、同じ舞台で共に立っている!!

ならば何も迷う事は無かった!!

 

 

 

わぁああああああ!!

 

会場いっぱいの溢れるばかりの歓声が4人を包む。

気がつけば演奏は終わっていた。

4人とも全員、プールに入ったかのような汗だらけだ。

 

「濡れ透け幼女興奮するわぁ……」

小さくペドーがつぶやいて、演奏はあっという間に終わった。

出し切るモノはすべて出し切った――

 

ペドーは満足気に息を吐いた。




個人的学祭の思い出。

ロシアンルーレット寿司。
参加者の一人がわさびの入った寿司を食べるという物。
4~5人の参加者で一個だけのあたりを見事に引きました。

上手くリアクション出来ない上に、実はわさびが苦手な私(回転ずしでは基本玉子とコーン)わさびの味を消すために、皿に合ったしょうゆを一気飲みしました。
そっちの方がびっくりされましたね。
危険らしいんでマネしないでね?

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