ペドーさんの活躍は、少な目?
誤字報告、お気に入り、皆さんいつもありがとうございます。
「みんな……来てくれたのか……」
DEM社の内部、ペドーの目の前に3人の幼女たちが立つ。
四糸乃が珍しく鋭い顔をして、震えながらもよしのん、と小さくつぶやいた。
萌える。
くるみが、不安とわくわくが混ざったような顔をしている。
かわいい。
シェリが油断なく、周囲の様子を探っている。
3人は
「あの、ご迷惑、かけました……ごめんなさい……」
今にも泣きそうな顔をした四糸乃をペドーが優しく抱き留めた。
「許さない。絶対に許さ許さないからな?
お家に帰ってお菓子を食べながら反省会だ。いいね?」
「はい、ペドーさん……」
小さくぐずりながら、四糸乃が頷く。
「ごめいわくをかけたぶんは、はたらきますわ
さ、ここからは『わたくし』のじょうほうをつかいますわよ」
くるみが何かを考えるようにして、ペドーに抱き着く。
「シェリちゃん?ここ、空いてるよ?」
2人が抱きついた、小さなスペースをペドーが指さした。
「な!い、行くわけないだろ!?」
「えー、シェリちゃんのお日様の匂いがする、首筋クンカクンカしたいのに……」
「ゼッタイに行かないからな!!」
ペドーに向かってシェリが舌を出す。
「ま、なんにせよ、いつものメンバーがそろったな!!
危険だから帰れ、なんて言えない……みんな、俺の為に一緒に戦ってくれ!!
これだけいれば100人力だ!」
ペドーが腕をまくって見せる。
3人が静かに頷いて見せる。
ペドーはこの3人と一緒に居ると無敵に成った気がした。
4人が一斉に走り出した。
「なんか、しずかですわね」
DEM社の廊下を走るくるみが言う。
確かにさっきのウィザード以外にバンダースナッチすら出てこない。
「ああ、ウィザードの戦力を軒並み外に回しているんだろうね」
シェリが冷静に分析しながら言った。
フラクシナスで送ってもらった時、外で大量のウィザードが戦う様子を見たらしい。
「ま、そんなのもう関係ありませんわ」
「上機嫌だな?」
「それはそうですよ、ぺどーさんをたすけられるし、『わたくし』もがんばっていましたわ。
わたしもがんばらないといけませんわね」
時崎 狂三彼女は自身の時間を使い分身を作る、その分身の一体であるくるみにも当然他の狂三の集めた情報は共有されるらしい。
絶望的な状況を覆すべく集まった戦力、一筋の光明にペドーは頬を緩ませた。
「ああ、そうだな……俺たちが今まで積み上げた物は全部無駄じゃなかった。
これからも俺たちが立ち止まらない限り道は続く――」
その時、ペドーが視界の端にウィザードを見つける!!
彼らは銃を構え、その狙いを油断していたくるみに向け――
パン!!パン!パァン!!
反射的にペドーがくるみを抱きしめる!!
「ぺどーさん!?何をしているんですの!?ぺどーさん!!」
「ぐぅああああ!!!」
叫び声と共に、ペドーが
「くっ!?」
「撤退だ」
その攻撃に怯んだのか、ウィザード達はそのまま逃げていった。
「なんだ、結構当たるんじゃないか……」
ウィザード達に撃たれたまま、くるみの無事を確認するとペドーは立ち上がった。
余りの衝撃的な光景に、くるみも四糸乃の言葉を失っていた。
「そうだ……いままで俺たちが積み上げたモンは全部無駄じゃなかった……」
ゆっくりゆっくりと、ペドーが歩き出す。
「俺が止まんねぇ限り道は続く……俺は止まんねぇからよ!!
お前たちが止まんねぇ限り、その先に俺は居る――ぐぇ!?」
歩くペドーに思いっきりシェリがドロップキックを食らわせた!!
その衝撃で、ペドーが再度転ぶ!!
「ちょっと!?鼻打ったよ!?すごい痛いんだけど!!
謝ってね!!今すぐ『なんでもするから許してください』って言って謝ってね!!」
鼻を抑え、涙目のペドーがこちらを向く。
「何させる気だ!!そんな事より、なんでそんな芝居をしたんだ?」
シェリの言葉に、残りの二人が驚いた様な顔をする。
「あ、バレちゃった?」
確かに撃たれたハズなのに、なんともなかったかのようにペドーが立ち上がった。
「あーあ、服は破れちゃったか……」
ペドーの纏う服の下。
そこに、何かきらりと光る物があった。
それは――
「氷……ですか?」
「そ!流石四糸乃!せーかい」
よしよし~と頭を撫でるペドーが服の下から、砕けた氷の塊を取り出した。
それが合図だったかのように、無数の氷の破片がシャツから零れ落ちた。
「〈ザドキエル〉で召喚した氷をとっさに纏って、鎧にしたのさ。
全部防げた訳ではないけど、多少おったダメージは琴理の〈カマエル〉で、ね?」
ネタ晴らしと言わんばかりに、ペドーが舌を出して見せた。
「ま、血の出方がおかしいから、ボクはすぐにピンと来たけどね」
シェリが片眼をつぶって得意げに語った。
「なんで、こんな事、するんですか!」
「すごくふあんでしたのよ!?」
シェリが得意げに語る、横でさっきまで本当に信じていた二人はぷんすかと怒りをあらわにした。
「ああ、ごめん、やばかったのは本当だったけど……
ちょっと流行ってるっぽかったから、流行に乗ってみただけなんだよ。
なんでもするから許してね!!」
ごめんごめんと謝って、泣かしてしまった二人を優しく抱きしめた。
美九の卑怯な手によって奪われた、3人の幼女たちとの時間、あともうすぐでその大切な時間が戻ってくると思ったペドーは最後の仕上げとばかりに大きく息まいた。
「みんな。ここは俺たちのコンビネーションの見せ場だ。
はやく、『第二の幼女』見つけて、帰ろうぜ!!」
ペドーの言葉に、3人は微笑み合って頷いた。
「おち、おちろおろろおおおおっろおろろろろろ!!!堕ちろ!!」
魔力処理のなされたジェシカの、纏うスカーレットリコリスから大量のミサイルがばらまかれる。
それらすべてが、一撃必殺の高威力を誇る。
「切り裂いてやりわぁああああああ!!」
両手にレーザーブレードを構え、爆炎の中に飛び込みブレードで引き裂く!!
確かにそこに居たハズの敵――だが、斬った手ごたえが無い!!
正に煙のように消えてしまっていた!!
即座に体温を察知するサーモグラフを発動するが、ある反応は自分のモノだけだった。
「どこどこどこ!?」
『俺はここに居るぞ!!』
「ヒャハ!?シーズ!!自分の居場所を教えるバカが居るか!!」
「なんですってぇぇええええ!?」
その声の位置から、ジェシカが驚きの声を上げた。
それはジェシカの真下、僅かに出来たスカーレットリコリスの地面との間に限界まで、距離を縮めた4GXに身を包んだ、スズモトが居た。
「ふ――ザケないデ!!」
ジェシカがブレードを振り下ろしたが、そこにすでにターゲットはいなかった。
「今、私をコロセたでしォ?なんで、しないの!!」
「ヒャハ、ミサイルコンテナで誘爆するのはごめんだからだぜ!!」
明らかに外す距離ではないのに、そんな事を言って4GXが再度移動する。
龍の様に地をすれすれで飛び、鋭いクローをポキポキと爪の様に鳴らした。
『スズモト――見られているぞ!!俺が有名だからだな!!』
「ちげーよ、どうやら飼い主様の『GO』が漸く出たらしいゼ!!」
4GXのクローが背中に向かって発されたレーザーをシールドを発生させ防御する。
「どーも!エレンママ!お邪魔してマース!!ひゃははははは!!」
スズモトが声をかけるビルの尖塔――その先に、女神のようなボディスーツに身を包んでいるのはエレンメイザース通称エレンママその人。
「コレ以上アイクの城を土足で踏み荒らさせはしません!」
優雅な動きでブレードを引き抜き、エレンが空中を蹴った。
ブレードの残光が、ラインを残し素早くスズモトの首へと吸い込まれる様に向かっていく。
それと同時に、ジェシカの発したミサイルがスズモトを囲むように発射される。
ブレードによる近接攻撃、そしてその一瞬後に遅れてくる多量のミサイルの歓迎。
エレンに処置のなされたジェシカと、DEM社の悪夢のコラボ攻撃!!
『殺った』
両者の熟練の勘が、この勝負の終了を告げる。
スズモトはただの死体となり、黒焦げの首なし死体が地面を転がる――ハズだった。
「相棒――」
『もちろんだ』
瞬時に、4GXの姿が
攻撃のあった位置を抜け、ブレードをすり抜け、ミサイルの雨を最低限の攻撃で避けきる。
「なんですってぇえええ?」
「?」
『俺は戦闘用AI!!こんな素直な攻撃、学習済みだ!!』
「ひゃは、効率を重視しすぎて、機械と攻撃パターンが近くなりすぎたのさ。
こっちには100%マシンが居るんだ。そんなのデータで想定済みだぜ!!」
どちらの攻撃も全く同じ、要領で躱し両人の間を自由自在に通り抜ける。
「ちっ……まさかここまで練度の高い、AIが存在――ッ!?」
爆風を跳ねのけ、4GXがエレンに肉薄する。
あろうことか、道に生えていた標識を引き抜き武器として使用してジェシカに一瞬の隙を作り、熱によって白熱したクローをエレンに振り下ろす瞬間――!
「漸く、隙を見せた」
「アナタは――!?」
エレンの背後、そこに立っていたのは折紙。
ホワイトリコリスの負荷、それを押してでのバンダースナッチとの連戦。
真那に守られた、その弱り切った姿により、エレンの脳内で『終わった存在』として脳裏から姿を消していた。
「ヒャハ!!良いね、それでこそ折紙だぁ!!」
「こぉんのぉ――!!」
エレンが回避を選択できないと、一瞬で理解して防御を選択する。
久方ぶりにかかるエレンへのダメージ。
胸に刻まれた3本の線、背中に切り込まれた1本の線。
ガードに利用した、ブレードと役目を果たせなくなったアーマーの一部が崩れ落ちた。
浅くはない。だがリアライザで充分傷の止血は可能。
ギリリとエレンが歯ぎしりをする。
「私に傷をつけたのは、久方ぶりです……
褒めておきましょうか。しかし!あなた達に明日は無い!!」
エレンが指を鳴らすと、目の前にスカーレットリコリスが飛び込んできた。
「お、およ、およびですかぁかかかっかあか!!?」
「《
それが合図だったのだろう。
ジェシカの、中から完全にジェシカという人格が消えた。
嘗ての4Gの様に、人間の脳を戦闘マシンのパーツとして『消費』する、殺戮だけを目的とした機能が発動した。
「あ、あああああああ!!」
人格を失い、目の焦点がズレ、口から血の混じった泡を吐きながら二人に向かう。
その姿は恐ろしさよりも、哀れさ痛ましさの方がずっと強かった。
「あがぁあああああ!!!わ、私が!!ワタ、しが、なんバーワンなんんんんよォンん!!!」
心の底に残った最後の願い。それを口にしながらジェシカを取り込んだ殺戮兵器はビルをバックに、全身から火花を散らし痛いほどの願いをまき散らして跳んだ。
「シーズ……」
『了解!!俺のハイクオリティライフル起動!!』
パーツの一部が合体して、4GXの両手と胴体と一体化したライフルへと変形する。
「ああああああ!!あああああああ!!!!」
ジェシカが迫る!!ソードを、銃器を纏わせ10メートル!!
『バスター接続!!エネルギー回路問題無し!!
充填スタート!!!』
「あああああ!!あああ、あああああ、ああああああ!!!」
悲痛な叫びに喉が壊れたのか、声が枯れていくのが分かる。
その距離5メートル。
『ロック完了だ!!いつでも発射可能だ!!』
「ひゃは……了解だぁ」
覗き込むスコープの中、ジェシカの額にピッタリと照準を合わせる。
「あああ……あああ!!ああああ!!たす……け……て……」
「ああ、救ってやるよ」
スズモトがトリガーに指をかける。
ジェシカの血走った目から、一筋の涙が流れた。
距離僅か1メートル。
パァン!!
ジェシカの体が、一発のエネルギー弾で跳ねる。
「じゃあな、クズ鉄」
スズモトの目の前、ジェシカのほぼ真後ろにあるスカーレットリコリスのメインコンピューターをエネルギー弾と壁を跳弾させた実弾が綺麗に破壊してた。
スカーレットリコリスが機能を失い、ジェシカを解放する様にばらけた。
「今回は、一人だけ救えたな……あー!正義のヒーローみたいにいかないか!!」
『だが、この女に怪我はない。ぎりぎりだが生存しているぞ!!
やはり俺の能力のおかげだな!!』
スズモトとシーズが二人に別れ、シーズがジェシカの無事を確認する。
「みんなを救えるヒーローに成るのは、無理かもな」
『人間の人口はおよそ77億!!それを計算して、今回のかかった時間を入れると――』
「あーあーあー!!うっせぇ!!わかってら。
んで、コイツは連れてくぞ。ウチに使える人材かも知んねー」
『了解だ!!』
シーズがジェシカを抱きかかえると、丁度戦闘を終わらせた折紙と真那の方を向いた。
「ヒャハ!『DEM』に『フラクシナス』か、お互い商売敵になっちまったな!!
シーズのエネルギーがやばいから俺はトンズラするぜ!!じゃあな!
逃げたエレンママは任せたぜ!!ヒャッハ!!」
その時スズモトは音もなく、姿が消えた。
何処か、別のナニカがステルスで彼らを隠したのかもしれない。
「元気そうでよかった」
「すっかり見せ場奪っていきやがりましたね……」
二人は、懐かしくて衝撃的な再会を静かに喜んだ。
ドスン、ドスン、ドスン!!
DEM社のとあるフロアの一角で、何か大きなものが跳ねるような音がしていた。
「ん、なんの音だ?」
とある休憩室で、淹れたてコーヒーを飲んでいた残業終わりの二人が談笑していた。
「さぁ?また研究科のマッドな頭したドクター共がマッドいマッドい研究結果でもしてるんだろ?」
「あー、前回のチワワを強化するのはやばかったな……」
「ああ、しゃべるチワワは存外きもかった。
あー、にしてもコーヒーのアイスってなんで常備してないんだよ?」
「仕方ないだろ?冷蔵庫、昨日から壊れてるんだし――あれ、なんか寒く無いか?」
「いや、今夏だ――さむ!?」
突如、自身の吐く息が白く成りだしたことに驚きの声を上げるが――
ドスン!!バギィン!!
休憩室のドアが突如破壊される!!
「お!結構偉そうな人発見!!」
それは少年と数人の幼女だった。
巨大なぬいぐるみに跨った少女が、両手をぬいぐるみに突っ込み。
その後ろから少年が、こっちを見ている。
「ぺどーさん、ここはけっこうじゅうようなしせつですから、このひとたちならかーどきーをもっているかもしれないですわ」
「なにぃ!?良し!!四糸乃!!や~っておしまい!!」
『あらほらさっさ~!』
ぬいぐるみが話すと同時に、口から洩れた白銀の吐息が、二人の足を凍結させる。
そして、最後の幼女が虫眼鏡を持って近づいてきた。
「この施設の重要な部屋に入るカードキーを出せ」
ニコッと笑うと同時に、虫眼鏡からレーザー照射されネクタイだけが焼け焦げて地面に落ちる。
「高い出力を出せばこうなる。さて、次は――」
褐色肌の幼女が、目の前に虫眼鏡を近づける。
「虫眼鏡で太陽みるとどうなるんだけ?」
少しずつ、少しずつ虫眼鏡に光がたまり――
「お、おれのポケットの中です!!ど、どうか持って行ってください!」
あっさり陥没して、ポケットからカードキーを出して渡す。
「ちぇ、詰まんないの」
何処か退屈したような顔をして、褐色肌の少女が唇を尖らせた。
「さっすがシェリちゃん!!俺に出来ない事を簡単にやってのける!!
そこにしびれる!!憧れる!!割れる!!砕ける!!流れ出る!!
抱いて!!」
「うっせぇ!!抱くか!!」
シェリに蹴飛ばされたペドーが、幸せそうな笑みを浮かべた。
「カードキーを手にしたか、くくく、良いよ。来るがいいさ。
わざわざ精霊を届けてくれるなんて、なんていい少年何だろうね?」
モニターを見ながら、自分でオムツを変えた赤ちゃん野郎が不敵に笑みをこぼした。
どうしよう、今回はリアルにヒャッハーさん回でした。
使い捨てる気だったのに、此処まで成長うれしいですね。
あと数話で、次の章ですかね?