デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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この前、再びランキングに乗りました。
やっぱりお気に入り数がグン!と、増えますね。

惜しむべきは、私が親や友人に「この作品俺が書いたんだぜ!!」
といえない事ですね。その後の相手の態度を考えるともうね……

けど、皆さんのおかげでここまで来れました。
お気に入り、感想、評価、誤字指摘、そして読んでくれるだけでもうれしいです。
皆さん、本当にありがとうございます。


逃げる心

「ふむ……作業効率を考えて、あと――」

DEM社の社員の一人、マードックがディスプレイに現れる報告を見る。

 

「ミスター……一体なにを?」

同じ役員の一人がおずおずと、声をかける。

その声は、人間を見るとは思えないような恐怖を含んでいた。

いや、その男だけではない。

この会議室には、先日ウェスコットに反旗を翻そうとしてエレンに腕を切り落とされた役員たちが集まって会議をしている最中だ。

 

「いや、なに。気にする事は無いよ。ただの暗殺の準備さ――

聞き分けの無い赤ん坊に社長の座を譲ってもらおうとしているだけだ」

 

ざわ――!

 

一瞬で会議室がざわめきだす。

それもそうだ、ここに居るほぼ全員が先日のウェスコットの『制裁』を受けている。

リアライザのおかげで腕はくっついたが、心は皆砕けたままだ。

 

それなのに、相手を暗殺?なにを考えているのか。

 

「大気圏外に、我がDEM社の使用していない、人工衛星が多数あります。

使用していないだけで、使用できない訳ではないんですよ。

まぁ、今回の使い方はそれを集めて地上に――」

 

「落下させようというのかね!?」

マードックの意思を読み取った男が、立ち上がった。

 

「ご名答。哀れにも赤ちゃんプレイ野郎は、お星さまになってしまうのですよ」

 

「一体、どれだけの――」

今度はアイザックが相手の言葉を先読みした。

 

「被害が出るのかって?まぁまぁまぁ、仕方ないですよ。

けどね?わがままな赤ちゃんがこの世から消えるんですよ?

それで十分じゃないですか」

再びざわざわと、会議室にざわめきが広がる。

 

「それに、こんなチャンス滅多にないですよ?」

アイザックがパワーポインターで、会議室の壁に一枚の設計図を映し出す。

役員たちが、一瞬止まりその設計図に書かれたサインを見て騒めく。

 

「こ、これは!?」「まさか!!」

 

「そう、これはかつてDEM社と提携していた軍事開発組織の担当が開発し、危険性から封印した禁断の兵器です。

本人はすべてのデータを捨て去ったと言いましたが、実はデータは残っていたんですよ。

彼の研究室に保管された、真珠に偽装されたオブジェの中にね!!」

それは禁忌とされる兵器の設計図。

あまたの武器を生み出した製作者さえ、己の良心の呵責に耐えられず秘匿した悪魔の兵器。

それが今、マードックという狂った男の手の中にあった。

 

 

 

 

 

「それで、何か申し開きは?」

部屋の中、ペドーを床に正座させた琴里が司令の椅子に座り、苛立たしそうにチュッパチャップスをかみ砕いた。

 

「ふぅ、楽しかったぜ!」

一仕事終えた企業戦士のような顔で、ペドーが自身の額に浮いた汗をぬぐう。

その姿を見て、琴里の怒りのヴォルテージは上がっていく!!

 

「あんたの楽しみの為にやったんじゃないのよ!!

分かる?私、これはチャンスって言ったわよね?

頑なな七罪の心を解きほぐして――なによ、そのムッカツク顔は!?」

 

「いや、位置的に琴里のパンツが見えて……うん、スプライトか」

 

「ストライプよ!!」

ペドーの顔面に蹴りを叩き込みながら、琴里が怒気を荒くする。

 

「まぁまて、琴里。さっきの行為は完全に無駄という意味ではなかった様だ。

データ上では七罪は確実に少しづつだが、心を開いてきている。

自身の『変身』について驚きはあったが、決して嫌悪感があったわけではない様だ」

令音が手に持った媒体を触りながら、データを読み上げる。

 

「ほらぁ~やっぱあれで良かったんじゃん!」

 

「いや、最後の行為で確実に数値は下がった。

理想を述べるなら、最後の正体バラしはいらなかったね」

ペドーの言葉にぴしゃりと令音が釘を刺した。

 

「ほらぁ~やっぱりだめじゃない!」

今度は琴里がペドーに言い放った。

 

「……さて、兄妹のじゃれ合いはそこまでにして……今回の出来事はかなりデータ上有用だったことを報告しておこうか」

令音の言葉に、ペドーと琴里の二人が同時に頭上にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「さっきも言ったように、最後のシンの行為で好感度が下がったのなら、逆に上がった部分もあるという事さ。

それは、ずばり精霊たちに服を選んでもらった直後。そして、その服をほめてもらった時。このことから予想されるのは、彼女は褒められることに飢えている」

 

「ふぅ~ん?やっぱり俺たちの変身に意味はあったし、褒められるのは好きって事か。

問題は本来の姿で褒められる事で自信を持たせる必要があるな」

ペドーが床に座ったまま、考えをまとめる。

 

「よぉし!次の一手が決まったぞ!」

ペドーが手を叩いて、立ち上がった。

 

 

 

 

 

「な、なんなのよ……今度は……」

七罪はジャズの響く雰囲気の良い喫茶店の様な場所にいた。

店員が目の前にオレンジジュースとショートケーキを置いてくれたが、どうにも最近人間不信気味になっている七罪は、それに手を付けようとは思えなかった。

急にここまで連れてこられて以来、ずっと放置のままだ。

 

「今度は何を考えているのよ……」

小さく悪態をついて、気分の悪さを押し流そうとオレンジジュースに手を伸ばそうとしてやめる。

何が入っているか分かりはしない。

 

「お、おおっ?これは?」

 

「な、なに?」

うつむく七罪の顔を覗きながら、サングラスに肩掛けカーディガンを羽織った長身の男が近づいてくる。

あまりに怪しい姿に七罪が、露骨にひく。

 

「い――やぁ!君すごくかわいいねぇ!!とってもグットだよ!!

あっと、私こういう者です」

そう言って怪しい男が、一枚の名刺を差し出してくる。

 

「……ラタトスクプロダクション、チーフプロデューサ、神無月 恭平?」

 

「そう!座右の銘は『世界中の幼女にI LOVE YOU』」

キランと、男が輝く歯を見せた。

 

 

 

「神無月さん……!

頑張ってくれ!!」

別室でモニターを見ながらペドーが手に汗握る。

このカフェの様な空間は、フラクシナスが制作した部屋で店員はもちろん、その辺にいる客人、老人から若いカップルまで全員がフラクシナスのメンバーだというのだ。

 

「あんただけが頼りなんだ……!」

神無月は七罪に面識があまりないと理由で選ばれた。

四糸乃やくるみは顔が割れてしまっている為、七罪に怪しまれるという理由から神無月がチョイスされた。

余談だが、最初は殿町に白羽の矢が立ったのだが……

 

『へっへっへ……殿町ぃ……かわいい女の子、紹介してやるよぉ』

 

『い、いやだ……俺はエレンさ――じゃない!と、年上が好きなんだ!!』

 

『安心しろよぉ……すぐにそんな考えなくなるぜぇ……?』

 

『うわぁああああああああ!!!幼女以外愛せない体にされるぅううううううう!!』

といった風に、学校の3階の窓からガラスを突き破って外に逃げた為、今回のチョイスに変わったのだ。

そんなことを思い出してる中、神無月は気が付かぬまま、エスカレートしていた。

 

 

 

「いえいえ!!成長だなんてとんでもない!!今の、今のちっちゃい、幼い、未成熟な貴方が素敵なんです!!

そう、成長してダルダルになった体に興味なんて一切ありません!!

さぁ、おじさんの事務所で……七罪ちゃんの一瞬の輝きをビデオに一生保存しようね?

一瞬の姿を永遠にしようね?

おじさんのカメラで、世界の人気者にしてあげるからね?今日のテーマは……」

非常に、非常にキモイ顔で神無月が迫る!!

 

「わ、私がかわいいなんて――ハッ!?」

その時、七罪の脳裏に走るひらめき!!

 

未成熟な君が好き→その姿を永遠にしようね→お前の体に防腐処理をして、俺の玩具にしてやるぜ!!

 

「ひ、人ごろしぃいいいいいいい!!!いやぁあああああああ!!!」

最悪の想像をしてしまい、七罪が悲鳴を上げて逃げる。

 

 

 

「いやー、失敗してしまいましたね……」

頬に真っ赤な紅葉を付けながら、神無月が力なく笑った。

 

「いーなー、いーなー!幼女との肉体的接触いーなー!」

隣でペドーがうらやましそうに、神無月をみる。

 

「あんた、本当に見境ないわね……

んで、次の作戦だけど、褒める事はいったん諦めて、普通の会話が出来る所からスタートしましょう」

 

「具体的には?」

琴里の言葉に、ペドーが疑問を投げかける。

 

「普通に買い物……ハンバーガーショップとかで……?」

自分で言っていてなんだか、簡単すぎる様に思えてきたのか、だんだん琴里の声が小さくなっていく。

なんだか作戦も適当になってきたなーと、考えながらペドーがうなづいた。

 

 

 

「ご一緒にポテトはいかがでしょうか?」

店員が営業スマイルで七罪の注文を聞いていく。

 

「あ、あっと、えっと……お、おねがいします……」

 

「今の時間ですと、100円多く払っていただければポテトの塩の量を倍に出来るサービスがありますが?」

 

「じゃ、じゃあ、それも……」

店員の進める商品をつぎからつぎへと足していく七罪。

コミュ障気味の七罪は『断る』という事が出来ない様だ。

 

「ジュースを3杯以上頼まれるなら、カップを一つにまとめて3つの値段で5個分のジュースが入ったメガジュースがおすすめですが……」

 

「そ、それも、おねがい……します」

七罪が消え入りそうな声で、更にうなづく。

 

「ではお会計が――」

店員がレジを叩きながら、値段を読み上げる。

 

(お金足りるかしら……)

一瞬だけ不安が七罪の胸をよぎった。

その時再度、七罪のネガティブな妄想が脳裏をよぎる!!

 

 

 

「――以上お会計が100万になります」

 

「え、そんなに……お金、ない……」

七罪の言葉を聞いた店員の笑みが消えた。

 

「ああん!?お客さん、金がねーなら、体で払ってもらおうか!!」

一瞬で恐ろしくなった店員が、七罪を無理やりカンターへと連れていく。

無理やり制服を着せられ、カウンターの隣に並ばされる。

そこへやってくるのは、見知った影。

 

「店員さん、犯バーガー一つ下さい」

やってきたのは、例のペド野郎!!

 

「はい、犯バーガーと一緒に、食い逃げ幼女はいかかですか?」

店員が七罪をペド野郎へと勧める。

体で返せとは、そう言う意味だったのだ!!

 

「ぐっへっへっへ!良いな、んじゃ。その幼女も一つ」

好色な笑みを浮かべたペド野郎は七罪を買ってしまった。

あまりに出来すぎたタイミング、おそらくこの店員のペド野郎は結託した仲間なのであろう。

 

「この幼女は、こちらで(性的に)お召し上がりですか?」

 

「はい。この、買い物帰りの主婦や、帰宅途中でたくさんの学生が見ている公衆の面前で(性的に)食べていきます!!」

最悪な宣言をして、ペドーが自身の服に手をかける!!

そして――!!

 

 

 

「騙されてたまるかぁああああああ!!

あんたたちの玩具にされてたまるもんですかぁあああ!!」

現実に戻ってきた七罪は、お金をレジに叩きつけると一目散に逃げていった。

 

「あ!七罪が逃げる!!捕まえた拍子に胸とかお尻とか触っちゃっても、この際事故だよね!!おをおおおおおお!!!胸とか尻を触らせろぉおおお!!!」

 

「ペドー!?やめなさい!!公衆の面前よ!!

買い物帰りの主婦や、帰宅途中でたくさんの学生が見ているのよ!!」

欲望を迸らせながら、ペドーが七罪を追いかける。

 

 

 

 

 

「ぐすッ……ぐす……アイツら……っていうかアイツ(ペドー)は何なのよ!!」

戻された部屋、七罪がベッドの上で布団をかぶってしくしくと泣いていた。

正しい表現かどうかは分からないが心のキャパシティを超えて、自身の感情が自分でも理解できていないのだ。

 

「なんで、アイツら私にやさしいのよ……」

優しい。それは七罪のとって『特別な存在』であることの証明だった。

贋造魔女(ハニエル)〉を使って自身を美人のお姉さんに化けさせた時は、誰しも皆優しかった。

男はデレデレとしながら寄ってくるし、女は羨望と嫉妬のまなざしを向けてくる。

いずれにせよ七罪は偽りの容姿で、皆から『特別』扱いされていた。

だが、あのメンバー(ロリコンの印象が強すぎて、他人の印象はいまいち)は七罪にひどく優しかった。

暴言を投げる事も、暴力を加える事もなかった。

 

「こっちの姿でも優しいなんて、ゼッタイおかしいわよ……

贋造魔女(ハニエル)〉……」

小さな声で、自身の『天使』を呼び出す七罪。

胸の傷は痛むが、能力の行使ができないほどではない。

 

手のひらサイズの鏡の様な天使をベッドへ向け、『普通のマットレス』を『人の入れるくらいの穴の開いたベッド』へ変えて――

 

「やぁ、ナッツみん!!奇遇だね!!」

ベッドの下から、ひょこッとペドーが顔を見せた。

 

「もう、このネタ何度目だぁああああああああ!!!」

ベッドの下から顔を出したペドーに七罪が大声を上げる!!

 

「いや、初めてだよ?一回目はマットレスの中、二回目は普通にベッドイン、今回はベッドの下。

ほら、パターン違うでしょ?」

 

「もう、いい……疲れた……」

度重なるペドーの奇行を見た七罪の脳裏には、ペドー=制御不能の法則が出来上がっていた。

敗北の法則は決まった!!

 

「まったくー、そこまで信じられないなら、実際聞きに行けば良いのに……

ハイ、オープン!」

ペドーがリモコンの様な物を扉に向けてスイッチを押すと、扉のロックが外れる音がした。

 

「は?」

突拍子もない行動に、七罪の口から間の抜けた声が出た。

 

「さっきー、天使使ったじゃん?

そこの扉から出て、本音聞いてくればいいじゃん?

多分みんな、霊力を封印して~位しか言わないと思うよ?」

 

「…………本当に出て行っていいの?」

扉から出ようとする七罪が、ペドーの方へと振り返る。

 

「出来れば30分後位には戻ってきてほしい。

見張りが七罪がいないのに気が付くと、俺が怒られるから。

あ!天使で俺の姿を七罪に変えるなら、OKよ?むしろして!!

時間稼げるし!おかしなことはしないからさ!!」

嫌な笑みを浮かべながら、自身の胸を触りだすペドー。

どうやら変身後に、おかしなことをする事以外考えていないらしい。

 

これが無ければ、もう少しこいつを信じても良いのに。と思いながら七罪はドアを開けた。

 

 




前書きを読んで、『え?オチ無いの?』と思った人。
すいません!!オチは無いんです……

けど、そう思った人はだいぶ私に毒されているかもしれませんね……
という事で、ロリコン小説書こ?ね?(下水ピエロ風に)
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