デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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皆さん、新年おめでとうございます。

さて、お待たせしましたこの作品。
今年もこんな感じでやっていくのでお願いします。


「私がもっとも忌むべき力。私がもっとも呪った力」

「はぁ、はぁ……我慢、我慢、我慢だ……!!」

必死になって尿意をこらえるペドーの前。

4人の幼女がひどく真剣な面持ちをしていた。

 

「恨みっこなしだからな?」

 

「わ、わかって……ます」

 

「なんでこんな事に成ってるのよ……」

 

「いや、ですわ……」

シェリの言葉に皆うなづく。そして『最初はグー』の掛け声で一斉に手を引っ込めた。

四糸乃は怯え、七罪は困惑して、くるみは今にも泣き出しそうな顔をしている。

これは選別。あるいは試練。

 

「早くしないとペドーさん漏っちゃうよ~~!!」

ガタガタを椅子を鳴らし、ペドーが拘束されたまま暴れる!!

 

このペドーはもはや限界!!

しかしそれでも拘束は解かなくてはいけない!!

だが、十中八九、いやほぼ確実にペドーが紐を解いている間に漏らしてしまうだろう。

そうなれば当然ペドーの拘束を解いている者も無事ではいられない!!

決してやりたくない状況!!だが誰かが汚れ役を受けなくてはいけない!!

ならば――こういう時に後腐れなく出来る、決定方法は一つしかない!!

 

「あぁあぁぁああああ~~~~~!!!」

こうしている間にも、決着がついた様だった。

 

興奮した様子で、お互いに喜びを分かち合う四糸乃とくるみ。なんとかやりきった顔をするシェリ。

そして――絶望的な表情で、自らのチョキを見る七罪。

 

「ね、ねぇ、3回勝負に――」

 

「しないからな」

 

「いや、です」

 

「いやですわ!」

3人が即座に、七罪の提案を蹴る。

 

「うっぐ……なんで、なんで私が……」

 

「ナッツミン早く、早くぅ!!ペドーさんね、ペドーさんの膀胱もう限界なんだよぉ!!」

ガタガタとペドーが暴れる。

 

「う、うう……なんで、私が知り合って、ひと月も経たないけど、ちょっと良いかな~って思った奴のトイレの世話をしなくちゃダメなのよ……

もう、マジでいや……

うわぁ、ロープ固いしぃ……」

震えながら、ペドーのロープに手をかけるが、そこは流石の信頼と実績の折紙クオリティ。

堅結びした後に、接着材でガチガチに固めている、超強力ロックプレイである。

 

「も、もうだめ……ぺドーさん、膀胱もうらめぇ!!

うえっへっへっへ……俺、俺今日で人権にさよならするんだ……

今日から幼女の前で、おもらししたペドーさんとして生きていくんだ……」

 

「ちょ、ちょっと待て!?もうちょっとだけで良いから、ちょっと待て!!」

遂にペドーが諦めモードに入る!!

七罪が必死になって手を動かすが――

 

「も、もうだめぇ~~~!!!」

 

「ち、ちくしょぉおおおおおお!!」

ペドーの声と、七罪の怒号が重なった。

その時!!

 

ピカァ!!

 

部屋が一瞬にして、光に包まれた。

七罪が目を開けるとそこには……

 

「へ、ナニコレ……」

 

じょろろろろろろろろろろろろろろ……

 

白い少年の石膏の像が、水を局部から出していた。

有名な作品の『小便小僧』だ。

一分の一サイズとなった『小便ペドー』が水を出す。

 

「ぺどーさんが、どうぞうになりましたわ!!」

事態の読めない一同の心の声を代弁するように、くるみが声を上げる。

 

「なんで、ですか?」

 

「これって、精霊の力だよな?」

四糸乃シェリが続き、今になってようやく七罪も事態が読み込めた様だ。

 

「私の力よね?一時的に力が逆流した……?」

七罪が自身の両手を見ながら、未だに信じられないと言いたげにつぶやいた。

 

「ま、まぁ、最悪の事態は回避したと言えるわよね?」

七罪が、確認する様に皆に話す。

水は尿では無い様だが、いろいろと判定に困る現状に変わりはない。

だが、だが辛うじてアウトではないと言えないことは無いかもしれない、と思う。多分。

 

「……ところでこれ、どうやってもどすんですの?」

 

「あ”」

皆が再度同じ声を出した。

小便小僧となったペドーは、尚も水をこぼし続けていた。

 

 

 

 

 

「う、う~ん?」

十香が全身の訴える痛みに反応して、目を開ける。

一瞬なぜ、こんな所で眠っているのか分からなかったが――

 

「痛っ!?たぁ~~……!!」

耳に届くのは耶倶矢の声。

耶倶矢、夕弦、美九、帰り道、折紙、戦い……

それにより、十香は連鎖的に今までの事を思い出した。

 

「み、みんなは!?」

急いで跳び起きた時、自身のすぐ横に美九が倒れこんできた。

服はボロボロに裂け、体の至るところから血が滲んでいる。

 

「美九……?」

十香が声をかけるより先に、瓦礫が蹴飛ばされる音がした。

そして――

 

「うわぁあああ!!」

 

「ぐ、くぅうう!!」

折紙のレーザーブレードが、八舞の二人をなぎ倒した。

二人の体が舞い、斬られた体からは血が飛び散っている。

 

「…………」

瓦礫の上に倒れる二人。

折紙は何も言わず、夕弦に近づきレーザーブレードを突き立てる様に逆手に持ち変える。

そして、何の感慨も持たず、少なくとも十香から見て決して仲の悪くなかったハズの夕弦にブレードを振り下ろそうとした。

 

「鳶一、折紙ぃいいいいいいい!!!」

その瞬間、十香が走っていく。

 

なぜ、折紙がこんな事をしたのか?なぜ、仲の良かったハズの夕弦すら殺そうとするのか?、そしてなぜ、今になってこんな嫌な戦いをしているのか?

そんな疑問が次々湧いたが、十香はそれを黙らせる。

今、自分が折紙を止めなくてはいけない気がした。

今、自分が折紙を止めなければ、きっと折紙の大切な何かが、壊れてしまう気ががした。

だから、走った。夕弦を救う為、自分たちの日常を守る為、そして折紙に超えてはいけない一線を越えさせない為――

 

一歩、進むごとに自分の中に在った封印が外れていく。

一歩、歩むごとに自分の中のナニカが形を持っていく。

一歩、跳ぶごとに自分の中の眠らせたハズの力が帰ってくる!!

 

「折紙!!!」

 

「それは――」

折紙が驚愕に目を見開く。

そこに居たのは、十香――いや、十香が『十香』になる前の姿。

黒髪、水晶の瞳。身に纏う鎧は紫紺、翻すスカートは不思議な光を放ち、そして手にする大剣は全てをなぎ倒す力の象徴!!

 

「精霊……〈プリンセス〉……」

 

「折紙、私は、私はお前の事が嫌いだ。

だが、今のお前はもっと嫌いだ。だから、だから私はお前を、前の嫌いだったお前に戻す!!

――死ぬなよ?折紙」

嘗て、この世界を襲った形を持つ災厄。

一人の少年と組織によって封印され、この世から消失したハズの精霊〈プリンセス〉が戻って来た!!

 

「――そう、それならそれで良い。今の私は精霊を殺せる。

いや――()()()()()()()()()

問題は――ない!!」

多くのASTが震え、決して一対一では戦おうとしなかった相手。

その相手に向かって折紙はレーザーブレードを振るう!!

 

「はぁあああ!!」

 

「狭域テリトリー展開」

十香サンダルフォンをテリトリーで無理やり、いなしつつ接近する。

相手の武器は巨大な剣。対して折紙のブレードは多少小さいが問題は無い。

武器の大きさが戦力の大きさという訳ではない。

 

滑る様に折紙が近づき十香の胸元を狙う!!

 

「させん!!」

だが十香はバックステップを行い、サンダルフォンを自身の前で振りかぶる。

踏み込むとしていた折紙より、更に後ろへ下がったのだ。

そして、振り上げたサンダルフォンを折紙に向ける。

 

回避か、鍔迫り合いか、一瞬だけ二つの選択肢に折紙が頭を悩ませるが結果として彼女が選んだのは鍔迫り合いだった。

距離を開ければ開けるだけ不利になると判断した。

今は、他の精霊が倒れている間に確実に〈プリンセス〉を仕留めたかった。

今の装備ならば、勝ち目は十分にあると折紙は踏んでいた。

 

「なに!?」

そしてその、予想は当たっていた。

折紙はテリトリーと出力を増大させたブレードによってサンダルフォンを見事に受け止めたのだ。

絶対の武器、サンダルフォン。それを受け止められた十香は驚きの感情を見せた。

その隙を折紙は決して逃しはしなかった。

 

「ファイア」

 

「ぐぁあああ!!」

折紙の言葉と共に、レーザーブレードから光弾が発射される。

このブレードは可変式の武器であり、モードを変えることで光弾を放つ銃撃用の武器としても使用できるのだ。

 

「折紙ぃ……!!」

煙の中、僅かにダメージを負った〈プリンセス〉が姿を見せる。

 

(勝てる)

 

折紙の中で、その確信が存在感を増す。

 

(勝てる。精霊に――勝てる!)

 

自身の両親を奪った精霊。今、折紙は自らの手でその精霊の一体を消せる寸前まで来ている。

彼女を乗り越えれば、折紙は自身の目標に大きな一歩を踏み出せる事に成る。

あと一歩でたどり着ける、復讐の一区切りに折紙は笑みを浮かべそうになった。

逸る心を無理やり押さえつけ、冷静に、冷酷に、冷淡にこの精霊を『処理』しようとした瞬間――

 

「づぅ!?」

突然の痛みに折紙が、頭を押さえる。

ガンガン響く痛み、ドンドン大きくなる痛み!!

不意に熱くなった鼻からは、赤い液体がこぼれだした。

ホワイトリコリスの時も感じた。脳の酷使による疲労だ。

 

「折紙!?」

突然の行動に、十香が露骨に心配する。

そのあまりに普通な、敵対した人物に絶対しないであろう、『心配した姿』を見た折紙は自身の無力を悟った。

 

(私は――貴方の敵にすら成れていない……)

そう、折紙は自身の身を削っている事すら気が付かなかった。

訓練で身を削り、血反吐を吐いて努力し、覚悟を決めて、心を消して剣を振るってもなお、なお、()()()()()()()()

あまりにも残酷な真実が折紙に知らされた。

ながい、長い、永い、研鑽と努力の末、出された答えそれは決して、折紙が認めたくない物だった。

 

「わ、たし……は……」

 

【ねぇ、君。力が欲しくないかい?】

折紙の耳に、酷く歪な声が響いた。

男か?女か?それすらも分からない、強いて言うならノイズが掛ったような声が聞こえた。

 

【君はとっても力を欲しているようだね?

ならば、私があげよう。人間を超える力を、精霊を始末出来る力を君に】

痛みと悔しさの中、【ソレ】が差し出す。

 

「やめろ!!折紙!!それに手を――」

十香の言葉を最後まで聞く前に、折紙はそれに手を伸ばしていた。

 

ドクン――!

 

その瞬間、折紙の心臓が跳ね上がるのを感じた。

 

 

 

 

 

「いてて……夕弦、生きてる?」

 

「返、答。耶倶矢……こそ……」

 

「私はぁ……な、んと、か……」

耶倶矢、夕弦、そして美九の3人が声を出す。

その時、目の前に十香が降り立った。

 

「あれ、その恰好――」

 

「驚愕。霊装が……」

 

「皆、逃げてくれ。守りながらでは戦えない」

皆が一様に、その言葉の疑問を持った。

戦えない。まだ、戦いは続いているという事。

ならば、その相手は?

 

「来た!!くッ!!」

瞬時に十香はサンダルフォンを構え、3人の盾にする。

その瞬間、何かがそこを通り過ぎた。

 

「なに、今の?」

 

「光?けど、これは、リアライザなんかじゃなく――」

 

茫然とする皆の前にソレは降り立った。

日輪を背負うかのような、白い服装。

ウエディングドレスにも見える純白の、決してASTやDEM社が作り出さないであろう恰好をして『折紙』は降り立った。

 

「この力は……私がもっとも忌むべき力。私がもっとも呪った力。

けど、今はこの力を使おう。この世界のすべての精霊を消すために。

何時か、最後の一人である(精霊)を消すまで――」

そして折紙は『天使』の名を呼んだ。

 

「〈絶滅天使(メタトロン)〉」

 

「精霊?折紙が?……()()?」

耶倶矢が今見た、現実を受け入れられずにそう言った。

 

 

 

 

 

「どうします?ぺどーさんがどうぞう……せっこう?に、なってしまいましたわ!」

 

「時間が経てば、もどりませんか?」

 

「とりあえず持って帰って――」

 

「わ、私が悪いの?まさか、死……」

4人が話合う中で……

 

『ペドータイム!!』

 

「ん?」「え?」「あ?」「へ?」

何処かから聞こえるペドーの声。

そして――

 

「ろりーんライダー!ペドォ!!」

当人の掛け声と共に、銅像の表面が崩れる!!

そして中からはペドーが蘇る!!

 

「やぁみんな!!ペドーさんの復活だぜ!!

ふぅ!この解放感!!サイコー!!」

 

「いやぁあああああ!!」

 

「うわぁあああああ!!」

 

「いやだぁああああ!!」

 

「なんでだぁあああ!!」

銅像は全裸!!ならば、その中から出てくるペドーも当然全裸!!

不自然な光さん、今日もよろしくお願いします!!

 

「さぁ!折紙を止めに行こうぜ!!」

いろいろと最悪な復活をした、ペドーの言葉は幼女たちの悲鳴にかき消された。




戦闘は苦手ですね。
戦闘シーン頑張ったし、その分ペドーさんのシーンも頑張りました。
温度差?うん、酷いね。
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