ペドーは理性を保てるのか!?
たぶん無理。
「ふひっ……ふひひひ……あはは……あはははは!!」
自身の部屋で琴里が渇いた笑いを零す。
度重なる士道の変態行為に精神が遂に耐えきれなくなったのではない。
士道の部屋から、彼が昔書いたであろうポエムノートを発見したのだ。
「これをインターネットのサイトにアップして……
あの変態に逆襲してやるわ!!あははっはは!!!」
眼が完全に逝ってるが気にしない!!まだ心が壊れてないからノープロブレム!!
「士道!!これを見なさい!!このURLにはあなたの力作が書かれたサイトへのジャンプが――」
「何やってんだ。早く食えよ?朝食さめるだろ?」
平和な朝食時間に琴里が、携帯電話の画面を士道に見せつける。
一瞬十香と士道は驚いたような顔をするが、すぐにまた食事に戻る。
「ペドー!!この、赤いのはなんだ!?」
「ハムエッグ。十香のはハムを増やしてやったからな?」
「本当か!?流石ペドーだ!!」
朝食を食べながら、仲良く二人が話すしをする。
完璧の琴里のテンションが空回りしている形になっている。
「……アナタのポエムが世界中にアップされるのよ!?もう少し慌てなさいよ!!」
「えーと『色褪せた世界と、色彩放つ幼子』シリーズのほうか?
それとも、『ろりろりぱんぱん。ようじょをいっぱいぺ~ろぺ~ろ』の方?」
思い当たる作品のタイトルをペドーが上げていく。
「両方よ!!両方がアップされるのよ!!さっそく昨日から数人が見てくれて、感想をくれてるわよ!!アンタの友達の殿町にもみられてるわよ!!!
あははっははは!!」
自棄気味な琴里が、士道を指さして派手に笑い転げた。
その様子を士道は可愛そうな物を見る様な眼で眺めていた。
「あー、琴里?お楽しみ中悪いけど、俺自分の作品は全部ブログにアップしてるから……」
申し訳なさそうに士道が話した。
「はぁ!?士道あんた……ブログなんてやってたの!?」
「ほい、俺のブログ」
士道が手早く、携帯を操作してブログ画面を見せる。
そこにはピンクの髪をした、やたらファンシーな顔をしたかわいいのになぜか不健全な匂いのするキャラクターが描かれていた。
『ころりんの日記。~アナタと綴る思いで~』
ユーザーネーム
ころりん。
少しおませな女の子。好奇心旺盛でなんにでも興味を示すよ!
やさしいお兄ちゃんとお友達に成りたいな!
趣味は甘いオヤツを食べる事、お散歩する事、お昼寝する事だよ!
ころりん親衛隊
親衛隊ナンバー0000001
ぺどー。
子供好きな、優しいお兄さん。料理が得意だよ!
勿論ころりんのことも大好きだよ!
まずここまで見て、琴里が頭が痛くなるのを感じた。
そして、それ以上に本能が叫んだ「見るな!!もう戻れなくなる!!」
しかし好奇心に動かされた指が、画面をスライドさせていく……
『ころりんぽえむ!』
そこをタップするとさっきUPした士道の作品が大量に乗っていた。
発見してない作品も多く乗っていた。
他にも……
『ころりんのオヤツ』
だの
『ころりん、ひ・み・つ・のお写真』
などが乗っていた。
「ナニコレ……」
「だから、俺が趣味でやってるブログだよ。
ころりんっていう架空のキャラが、ブログをやってるテイで、俺が運営してる。
結構人気有るんだぞ?ほら」
下の方を見ると、人気ブログサイトの98位にランクインしていた。
他には『萌えキャラ虐待ブログ』や『ピンポンダッシュ列伝』『無銭飲食万歳!!』など様々な、サイトへのURLが載っていた。
「もういい……返す……」
ナニカを諦めた様子で琴里が携帯を士道に返した。
さっきまでの熱はすっかり冷めてしまっている。
「え?もういいのか?ころりんのオヤツとか最高だぞ?
食べ物を写真でとって、食べてる最中の口の中を写真で取るんだよ。
とろろご飯が変に人気出て――」
「キモイのよ!!不快なのよ!!圧倒的に!!」
琴里がそう言い放ち、バタバタと部屋から出て行った。
「ペドー……コトリは……」
「大丈夫だ。十香、思春期って奴さ、なんにでも噛みつきたくなる年頃なんだよ。
何時かきっとわかってくれるはずだよ?」
まるで優しい兄の様に、ペドーが十香に話しかけた。
原因はコイツなのに……
そして時は進み……
「ペドー昼餉だ!!」
「私も。」
ガゴン!!とすさまじい衝撃を受けて士道が、寝ぼけかけていた目を覚ます。
気が付くと時間はお昼時間、脳内で幼女とキャッキャウフフイチャネチョしていたらすっかり時間が過ぎてしまった様だ。
目の前で右に十香、左に折紙が机をたたき合わさせていた。
士道の机に小さくヒビが入っているがまぁ、見なかったことにしよう。
「ぬ?またお前か、ペドーは私と昼餉を食うのだ」
「違う。私と」
二人の間に静かに火花が散っている気がするが、当の士道はと言うと……
「あー、ごめん。俺、親友の殿町と一緒に食う約束が――」
「士道。殿町は、朝のホームルームが終ったあと病院にいった。
だから、一緒に食事をとるのは不可能」
横から来た、折紙の言葉に士道がその事をすっかり失念していたのを思い出す。
「あー、そうだった。殿町に俺のブログを見せたらなぜか、教室の窓から飛び降りたんだよな。
どうしたんだろ?心配だよな」
「士道、そのブログの事を詳しく――」
折紙が食い下がろうとした時、何処からかサイレンが聞こえてきた。
『うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆うー☆』
*士道にはこう聞こえています。
水を打ったかのように静まる教室――空間震警報だった。
「みんな避難を!!」
「シェルターへ行くぞ!!」
もう何度目かのことなのでみんな落ち着いたものだ。
「十香、みんなについて言ってシェルターに避難してくれ」
その言葉を話した瞬間、士道の瞳に宿るものが変わった気がした。
何時もの様な、何処か気だるげな瞳とも違う。
幼女を見て興奮する、獣じみた光を宿す瞳とも違う。
まるで死地に赴く様な、それでいて己のサダメを受け入れ自らの天命に従うかのような潔さが有った。
この瞳だ。この瞳を見て十香は自らがこの男を信じようと決意したのを覚えている。
そんな瞳で見られたら十香はどんなに不安でも、静かに頷く事しか出来なくなった。
「ああ、私の事は大丈夫だ」
十香と別れ、士道がみなと違う方へと走り出す。
向かうのだ、彼の戦争へと……!
「よく来たわね、士道」
一瞬の浮遊感の後、目を開けると其処はフラクシナスの内部に立っていた。
「精霊が出たのか?」
「今から出る所よ、さて、何が来るか……!」
琴里がメインモニターを指さすと、画面が歪んだ――否、正確には画面に映る景色が歪んだのだ。
カッ――!!
まばゆい光が過ぎ去った後には、街中に大きな穴が開いていた。
まるで、スプーンでそこだけをくりぬいたかのように、すり鉢状の地面が見えた。
十香と出会った時もこんな感じだったな、と妙に冷静な部分の有る頭で士道はぼんやりと思っていた。
「精霊周波数、過去のデータと一致!!あっ……識別コード【ハーミット】!!」
ざわっ――!
観測官のセリフに小さく、フラクシナスメンバーがざわつく。
「何時か……何時か、こんな日が来るんじゃないかって思ってた……
ええ、データ上は
飴を口に含んでいるというのに琴里は非常に苦々しい顔をする。
そんな中でも、容赦なく時と共に画面の土埃は晴れていく。
そしてポタリポタリと雨が降り始める。
クレーターの真ん中、緑のフードに左手のパペット。
蒼い髪にサファイアを思わせる瞳。
そして、13~14位の
「士道ー!!今回は――ハッ!!」
「
無駄にいい笑顔で士道が手を叩く。
その場に居た全員が今回の作戦に疑問を持った。
飢えたケダモノをオリから放っていいのか?
精霊を救うためこんな男を使っていいのか?
倫理、良心の呵責、そして助けた後の不安……
だが、肝心の士道は――
「ぐひ……ロリコンの体は止まらない……ロリコンの心は止められない!!
ロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリ!!」
よだれを垂らし到底まともとは思えない顔をした士道がドロリと嗤う。
「と、ともかく!!私たちの
「さぁ!!俺と!!幼女の!!
宣誓した、士道がフラクシナスのワープ装置に飛び乗った!!
ハーミットは攻撃に来たASTを躱すかのように、屋内のデパートに侵入していった。
フラクシナスはその近くに士道を下ろし、インカムで指示を出す計画に出た。
「琴里、今回はどう思う?」
令音が琴里に尋ねる。いつもならサポートに徹する彼女が、このタイミングで話すのは珍しい事だった。
それだけ不安要素が多いということだろう。
「ASTが十香の時のように建物を破壊する心配は有る。けど、今回は大型のデパートよ?学校の校舎よりはるかに大きい。その心配はうすいわね、一番の心配は――
あのロリコンが暴走しないかよ!!
アイツならいきなり全裸で跳びかかってもおかしくないわ!!」
『おいおい、さんざんな言いぐさだな?少しは、俺を信用してもいいんじゃないか?』
インカムから士道の声が聞こえてきた。
「いま、何処にいるの?精霊との接触は?」
『まだだ、今、子供服売り場に居る――スク水はまだ売ってないか……』
インカムから、すさまじく残念そうな声が聞こえてくる!!
「まてまてまて!!アンタ何してるのよ!!精霊は!?精霊はどうしたのよ!!」
『なあ、琴里。ハロウィンってイベント有るじゃないか?かぼちゃを切ってランタンにするヤツ……小さい子のパンツってかぼちゃパンツって――』
「死ね!!氏ねでも、シネでもなくただ死ね!!腹きって死になさい!!」
琴里が怒鳴りつけて、インカムのマイクを地面に叩きつけた!!
そしてそこに何度も蹴りを叩きこむ!!
「ああもう!!なんでこいつは、こんなに頭がおかしいのよ!!ウジでも湧いてるの!?それとも幼女の力を凝縮したメダルでも入れられたの!?」
「指令がご乱心だ!!押さえろ!!」
数人のクルーが琴里を押さえに掛かる!!
神無月は、琴里の足元に自身を滑り込ませて恍惚の表情をする!!
「はぁー……はぁー……ごめんみんな、自分を抑えきれなかったわ……」
肩で息をしながら、琴里が謝罪をする。
「我々は指令を補佐する為に居るんです、こんな事気にしませんよ」
神無月が、胸を張って琴里に話すが――
「アンタ、蹴られてただけだろ!!」
「そうだ、そうだ!!」
他のクルーをごまかすことは出来なかった!!
「さて、士道はどうなったかしら?早く指示を送らなきゃ」
「琴里、言いにくいのだが……君がさっき蹴とばしたマイクがお釈迦に成った。
向こうの言葉は、聞こえるのだが――
此方の指示が出せない……」
「え」
「あ」
「くっ」
「ああ……」
数人のクルーが絶望の声を上げる。
それはつまり――野獣を止める最後の鎖が外れた事を意味していたからだ。
『――君もよしのんをいじめに来たのかなぁ?
ダメだよぉ?よしのんがあんまりにも優しいからって、おイタしちゃ。
ってんん?だれかと思ったら、ラッキースケベのおにぃさんじゃない?』
「やぁ、おぜうさん――」
バッ!!
士道が勢いよく制服を脱ぐ!!
その下から出てきたのは、仕立ての良い白いおしゃれな服!!
口に咥えるは真っ赤なバラ!!
「シャル・ウィー・デート?」
その言葉と共に、士道がバラを投げた。
カラン
琴里が床に、自身のキャンディを落とす。
「ナニコレ……」
皆の心を代弁するかのように、琴里が小さくつぶやいた。
氷系能力って結構好きなんですよ。
美しさもあるし、儚さもあるし、怖さもある……
基本氷系のキャラクターは好きです。
某死神漫画の天才(笑)は除きますが……