デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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今回は作中で不快に思える表現が出てきます。
食欲を失っても、一切の責任は負いませんのでご注意ください。
食事の前後の方は、十分に注意してください。



ペドの奇妙な冒険~ガチロリコンは砕けない~

ホワイトボードに、ペドーがマジックを手に取り『まんが描くよ!』の文字を走らせる。

 

「おっしゃ、集まってくれたなみんな!

今日の作戦は漫画を描く事だ。

本条先生攻略の為にも、べらぼうに面白い漫画を描くんじゃい!!」

ペドーがばしん!と無意味にホワイトボードを叩く。

その衝撃でボードの表裏が回転し、ペドーの右腕が挟まった。

 

「いでぇ!?」

 

「「「「「……………」」」」」

皆の、無言の呆れた視線がペドーを射抜く。

 

「えっと……はじめます……」

恥ずかしそうに挟んだ右手を隠しながらペドーがつぶやいた。

 

 

 

此処は〈フラクシナス〉の用意した、マンションの一室。

椅子で入れるタイプのこたつと、ストーブで温められた部屋の中に、数人の少女とロリコンが集まってる。

罰ゲームで未だに水着エプロンから脱出出来ていない琴里、いまだに右腕を押えるペドーを見る四糸乃、退屈そうに欠伸をするシェリ、興味深そうに漫画の道具を見ているのはくるみだ、七罪は痛がるペドーになんと声を掛けようか、おろおろとしている。

 

「さっそくだけど、みんなの画力を見せて欲しいわ。

内容をおろそかにする訳じゃないけど、絵柄の上手さは売上に直結する。

一番最初に、メインで作画をする人を決めるわ」

琴里が、ペドーの代わりに言葉を紡いだ。

 

「道具は自由に使って良いから、題材はええと……ペドーよ」

一瞬迷った末、ペドーを指さし皆がうなづく。

それぞれが思い思いの、場所に座りペンを走らせ始める。

 

 

 

「できましたわ!」

最初に声を上げたのはくるみ。

その手には小学生にしては上手い程度の絵が握られている。

残念だが、漫画としては使えない。

 

「え、コレ、俺?

嬉しい……一生の宝物にするからな!!」

お手本の様な親ばかムーブでペドーがくるみの絵を抱きしめる。

 

「シェリちゃんは?」

 

「ほい」

ペドーに向けて、シェリが自身の紙を差し出す。

 

「……次行こか?」

ペドーが視線をそらした。

 

「なんか言えよ!!上手くないのは、分かってるけど!

せめて何か言えよ!!」

 

「絵なんて出来なくても良い!

シェリちゃんは元気が一番だぞ!!」

 

「わー。体よく誤魔化した」

シェリが不服そうに口を尖らせた。

 

「四糸乃とよしのんはどうだ?

実の事いうと、よしのんには特に期待してるんだよね。

大体のこと、やっちゃうイメージあるし?」

机に突っ伏すよしのんが顔(体全体)を上げる。

 

『その期待、添えない訳ないじゃな~い?』

四糸乃が持ち上げたのは、非常に完成度の高い一枚絵だった。

立っているだけのペドーに、なぜか何処となく『オーラ』の様な物さえ感じてしまう。

 

「おお!こりゃスゴイ!作画のメインは決まったかな?」

 

『うふふ、そうでしょペドー君。

よしのんの超画力能力を見て、おどろい――』

 

「ぴぃ!」

その時、四糸乃が小さく悲鳴を上げる。

マンガを描く際、よしのんは全身を使う。

全身を使うという事は、体の前面がインクの垂れた紙の上を動くという事で――

 

「あ、よしのん、まっくろ!」

 

「ぴぇえええええええええ!!!」

四糸乃の鳴き声と共に、部屋が凍りついた。

約30分後、ようやく人間の活動出来る様な温度に成るまで作業は一時中断された。

※よしのんは洗濯&乾燥済。

 

 

 

 

 

「ふっふっふっふっふ……みんなまだまだだなぁ?

此処は、あ!此処はぁ!ペドーさんの超絶スキルを見せてやりますかねぇ!!」

キメ顔をしたペドーが、テーブルの中央に置かれた漫画用のペン――通称Gペンを手にする。

くるりと手の中で、一回転させてすさまじい勢いで紙に向かう。

 

「――どうだぁ!!」

ペドーが皆にたった今書き終わったイラストを見せる。

 

「上手いじゃない……けど、なんか……()()()()()()がするわ」

渋面を見せる琴里が、つぶやく。

具体的な特徴を上げるのは難しいが、ともかく可愛いハズのイラストなのだが、兎に角不健全な香りが拭えない。

だが、今もっともイラストが上手いのは現状で、ペドーだ。

悔しい事に……

 

「はぁ……仕方ないわ……これで行くわよ。

何枚か、他の角度とキャラクターも書いてくれる?」

琴里の言葉に、ペドーがうなづきペンをクルクル回す。

 

「こんなのちょちょいの――あ……」

紙にペンを走らせた瞬間、ペドーの動きが止まる。

 

「ん?どうしたんだよ?」

シェリの言葉に賛同する様に、周囲の皆も動きの止まったペドーを不思議そうに見る。

 

「腕痛い……捻ったっぽい?

数枚は行けるけど、本一冊分は無理かな?」

全員の脳裏にさっき、ペドーが無意味に叩いたホワイトボードの事を思い出す。

 

「オマエ、自爆してんじゃねーよ!!」

 

「シェリちゃん、ごめんなさーい!!」

ペンを投げ捨てて、ペドーがその場に土下座をする。

 

「どーすんだよ、オマエ!!」

 

「こ、こんなことも有ろうかと、助っ人を呼んであるのさ!

連絡したから、そろそろつく頃……」

 

ピンポーン!

 

「ほら、来たぁ!」

呼び鈴を聴き、起き上がったペドーが、部屋を出て誰かを迎えに行く。

明らかに自分のミスを誤魔化す様な動きに皆がため息を着く。

 

『このタイミングでペドー君が泣きつく相手は基本一人だよね』

 

「ああ、アイツか」

よしのんの言葉に七罪が声を漏らす。

 

「こまったときは、いつもあのひとですわ」

皆が皆、同じ人物を想像する。

そして――

 

「じゃんじゃじゃーん!スペシャルゲストの折紙先生だ!」

ペドーが連れて来たのは凡その予想通り、鳶一 折紙その人だった。

 

「ペドーのピンチに駆け付けた」

 

「折紙イラスト、イケるか?」

 

「無論」

ペドーからペンを受けとると、一瞬だけ舐めてから机に向かう。

カリカリとすさまじいスピードで、イラストが出来上がっていく。

 

「完成」

およそ5分程度だろうか?

折紙が完成した、イラストをペドーに渡す。

 

「うまい!うまいけど……」

ペドーに渡されたイラストは、写実的(リアル)に書かれてたペドーのイラスト。

しかし、なぜか全裸になっており、同じく全裸の折紙と情熱的な()()()をしていた。

 

「ペドーと思いを遂げた私。

その初夜をイメージした」

 

「うーん、いいけど、今回はノーエロスの方面なので……

けど、個人的にはこの画力欲しい。

出来れば、ロリ系の子との絡みも――」

 

「直ぐに描く。題材としては幼い私に鬼畜調教を行い、愛と性欲の狭間を曖昧にされ壊される私を愉しむペドー」

 

「折紙先生最高!!」

スケベェェェェ!な効果音が付きそうな、幼女たちには決して見せてはいけないイラストが目の前で完成していく。

 

「よっしゃこのまま――ハッ!?」

ペドーが皆の、冷たい視線に気が付き正気を取り戻す。

 

「い、今はやめとこうか?

な、普通のイラストも描けるよな?」

 

「……やってみる」

一瞬の躊躇いを見せて、折紙が再度ペンを走らせるが……

 

「……なんで、服着てないの?なんで肌色面積デカいの?」

 

「なぜか、露出が増えてしまう」

二人の中に、再度沈黙が満ちる。

 

「あれ?コレ、詰んだんじゃね?」

熱いくらいの部屋の温度だが、ペドーが冷や汗をかく。

啖呵切ったは良いが、こんな所で終わってしまうのだろうか?

冷ややかな絶望が、静かに満ち初めていた。

 

「ん……」

その時、ペドーに一枚の原稿が渡される。

非常に良く出来た絵で、漫画にするにはもってこいだった。

そのイラストの製作者は――

 

「ナッツミン!!」

 

「いや、その……一応描ける程度だから、そんな期待は……」

七罪が自信なさげに、自分の頬を指先で掻く。

 

「いや、最高!!決定!メイン作画決定!!」

ペドーが七罪の原稿を、聖遺物の様に掲げる。

ポケットには、折紙の書いた原稿を大切そうにしまった。

折紙以外の皆の視線は、さっきの部屋の温度より冷たかった。

 

 

 

漫画の作画は決まった。

だが、本当の地獄はここからだった。

まずは問題のストーリー。

ロリコンの奇行を、如何に魅力的なキャラに変えるという不可能に近い挑戦。

だが、意外にもというか、やはりというか折紙の最早、盲目的あるいは狂信的ともいえるペドーへの過剰すぎる美化がストーリーを()()()()()()することに成功した。

作画のMVPが七罪ならば、ストーリー面のMVPは間違いなく折紙だった。

 

 

 

カリカリ……カリカリ……

 

七罪が原稿を始める。

漫画の骨芯であるネーム、下書き、そして表紙の制作、そのほぼ全ての作業が七罪にのしかかってくる。

 

「七罪、俺も多少は手伝えるから、ちょっと休め」

右腕に湿布を貼ったペドーが作画を続ける七罪に声を掛けるが、首を振るだけで手を休めはしない。

一日以上ぶっ続けで作業を進めている。

心配にならない訳が無かった。

 

「……倒れるなよ?お前が、俺達の最後の希望なんだからな」

冷蔵庫から、カフェイン多めのコーラを持ちだし、ストローを刺して七罪に差し出す。

冗談の一つでも言いたかったが、今はそんな事は出来そうにない。

限界へのチキンレースをしているのは、七罪だけではない。

神経を削る作業をしているのは、他の皆もまた同じだった。

 

「あー!もー!またズレた!!」

 

「…………」

 

『…………』

 

「修正をする」

シェリが癇癪を起し、四糸乃の視線が泳ぎ、よしのんさえも無言で作業を続け、折紙がその補助に回ってくれている。

そしてくるみは……

 

「すー……すー」

疲れたのか端で毛布を掛けられて眠っていた。

 

「なんだかんだ言って、コレが一番癒される気がする」

ペドーがくるみを眺めて、ほっと一息つく。

 

ピンポーン!

 

「来客か?」

インターフォンの音と共に、琴里が姿を見せた。

 

「みんなー、差し入れ持って来たわよー」

 

「さしいれ、ですの?」

琴里の声にくるみが目を覚ます。

他のメンバーも同じく、顔を上げ精気が戻ってくる。

重く暑苦しい空気が少しだけ、風が吹いた気がした。

 

「隣のキッチンで休憩にしましょ?」

琴里の言葉に、皆がゾンビの様にもたついた緩慢な動きで歩き出す。

 

「俺も、休憩にするかな」

隣の部屋へと皆が去った後、ペドーがこたつの布団を持ちあげる。

そして――

 

「か、完成だ!!『幼女まん』の完成だ!!」

ペドーが取り出したのは、こたつの中で蒸された肉まんとあんまん。

この部屋は気温が暑めにされている!

ストーブに、こたつに長時間の作業!

当然だが、こたつの中は幼女たちの足から発される汗で密閉され蒸れに蒸れている!!

 

「う、うまい……肉まんのジューシーさにみんなのほのかな香りが染み付いている……

そ、そうか、これは一種の温泉饅頭に近いのか……!

つぎは、つぎはあんまんを――」

 

「ペドー何して……あー……」

歓喜に震えるペドーと、その手に持った肉まんでおおよその事を琴里が理解して、諦めに近いため息をこぼす。

 

「あれ?今日、水着じゃないの?」

 

「し、下着の代わりに付けてるわよ……」

ペドーの言葉に、さっきとは違う意味で諦めたように声を出す。

 

「はふ、はっふ、うめぇ……うめぇ……

妹オカズにして喰う肉まん……うめぇ……」

 

「……あんたたちが作業してる間に、二亜について調べて来たわ」

琴里の言葉にペドーが、その手を止める。

 

「一応資料も作ったけど、読んでる時間も無さそうだから、口頭で伝えるわ。

『本条 二亜』の人間、特に漫画家として経歴を調べたわ。

調べた相手は数人、みんな漫画家仲間というべき間柄よ。

気さくでフレンドリーな彼女にも友人は少なからずいたハズだけど、皆が皆、口をそろえて『ある日急に疎遠になった』って言ってたわ。

それと、漫画家になる以前の事は話したがらない、友人関係は露骨に口を濁したそうよ」

簡素にだが、琴里がペドーに情報を伝える。

 

「調べちゃったんだろうな……相手の事」

天井を向いてぽつりとペドーがつぶやく、再度あんまんを口にする。

 

「聖人じゃないんだから、誰しも人に見せられない汚い部分が存在するわよね……

どんなに信用した人間にも、どんなに高潔に見える人間にも『影』は絶対存在するわ。

絶対に裏切らない理想だけの存在。

そんな物、二次元にしな無いわよね……」

琴里が頭を抱える。

ふざけた二亜の態度とは裏腹に、彼女の抱えている物はずっと根が深いのかもしれなかった。

 

「けど、対話の場所に引きずり出さなきゃ、話も始まんないよな?

せっかく本条先生が復帰するのに、DEMとかに邪魔されちゃかなわないからな!

そこんトコロも含めて、攻略するしか無いよな?」

最期の一口を口に放りこんでペドーが掌の骨を鳴らす。

 

「描く、そんで勝って読んでもらう。

いろいろ考えるのは、その後だ」

それだけ言うと、ペドーは黙って席に戻った。

疲れの滲むその姿とは裏腹に、眼には強い決意が宿っていた。

 

 

 

カリカリカリカリ……

6つの筆が机の上を走る音がしていた。

やがて、それは5つになり、4つになり、長い間3つの音と小さな寝息たちがその部屋を包んでいた。

気が付けば、その音ももう2つ。

 

「で、き……」

小さなうめき声をあげて、七罪が原稿を完成させ意識を手放す。

数分の後残った最後の音も止まる。

 

「みんな、良く頑張ってくれた……」

ペドーが皆の机の上にある原稿回収して、携帯でフラクシナスに電話を入れる。

それが合図だったのか、何も話さない内に扉が開かれ数人のスタッフが入ってくる。

 

「印刷所まで、お願いします……」

かすれた声でペドーが歩く。

 

「ペドー君、もう休んでください。

何時倒れてもおかしくないレベルの疲労です。

締めきりまで、半日あります。

もう、休んで良いんですよ」

 

「たはは……幼女たちの汗のにおいで、無理やり覚醒させてたツケがそろそろ来るかな?

けど、俺が最期までやりたいんです。

みんなが手伝ってくれた作品、俺が印刷所まで待っていきます」

ペドーは車に乗せられ、フラクシナスが用意していた印刷所に、用意していた原稿を渡すとその場で倒れる様に眠りに就いた。

 

「ふっ……手怪我してるのに、なんでこんなに頑張ってるんだか」

琴里が眠るペドーを見てつぶやいた。

 

と、思ったが!!突如ペドーが目を覚ます!!

 

「――ハッ!?そう言えば、この後即売回じゃん?

当然売り子には琴里も参加するよな?

書いてない分、売って働くよな?

即売会の会場ってコスプレOKだよな?

つまり――!!

水着エプロンJCが売り子のお店来たんじゃね!?

ふ、ふぅおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!

ふぅおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!

寝てる暇なんてねーぜ!!!

いざゆかん!!俺達のエデンへ!!!!」

徹夜テンション&欲望全開でペドーが起き上がった!!

 

「寝ろ!!今すぐ、寝ろ!!そして目覚めんな!!」

 

「まそっぷ!?」

琴里のボディブローがペドーの意識を刈り取った。




今年コミケやるみたいやん?
無駄にタイムリーですね。
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