どうすればいいんだ……
無題だと、味気ないし……
『まさかののタイミングで
インカムから琴里の焦った声が聞こえてくる。
「天使ぃ!?確かにこの目の前に
能天気な声で、士道が琴里に言い返した。
「違うわよ!!天使ってのは精霊の武器みたいなもんよ!!十香の時も見たでしょ!!ってか良くこんな状況で余裕の態度で居られるわね!!」
士道の目の前では、ずんぐりした巨大なパペットに手を突っ込んだ天使が、口から白い息を吐き、此方をその双峰で睨んでいた。
「ぐぅうううううぉおおおおおおおおお!!!!」
天使が咆哮すると、窓を突き破って雨がフロア内に入ってくる!!
水柱となり、近くにあった棚を破壊する!!
プテラ、トリケラ、ティラノ!!といったソフビが飛んでくる、もしあれが棚本体だったとしたら、と考えるとゾッとする。
更に水は凍結して士道、十香両名の足元が凍っていく!!
周囲の気温が一気に下がる!!
「ま、不味いんじゃないか……?」
流石の士道も自体を理解し始め、冷や汗をかき始める。
バギィン!!
十香の持っていた、パペットを拾い上げ、よしのんが窓から逃げていく。
「折紙決めろー!!」
「は・ず・せー!は・ず・せー!」
丁度その頃、ASTはハーミットが出て来るまでの暇つぶしに始めたゲートボールが佳境を迎えていた。
世紀末チームと花も恥じらう乙女チームに分かれ、偶然近くにあった老人会の残したゲートボールをやってみた所、思った以上に白熱してしまったのだ。
「決める」
折紙がスティックでボールを打つと、旗の部分まで向かって――
カチン……!
小さく、金属とボールの触れる音がした。
「わぁああ!!やったわ!!乙女チームの勝ちよ!!!!」
「ヒャハ!!負けちまったゼ!!しかたねー、今夜のファミレスの祝賀費用は俺たちもちだー!!」
女性隊員が歓声を上げ、一部男性隊員から悲鳴が上がった。
ASTは意外と和気あいあいとした職場です。
「あ、精霊だ」
「うてうてうて!!」
よしのんの存在に気が付いた、ASTが近くにあったミサイル兵器や、ビーム兵器、さらにゲートボールのボールを投げる!!
「ひゃぅ!?」
爆風をあげて、一瞬だけ精霊がひるんだ。
追撃しようとした瞬間、精霊の反応が消える。
「消失した様だな……」
「帰る――前にもう1試合しない?」
「良いわね!!」
ASTのメンバーは再びゲートボールを始めた。
「しまった!!さっきボール投げちまったんだ!!」
「探して来る」
折紙が手早く、さっきの精霊の消失した場所にボールを探しに行った。
翌日。
「さて、買い物でも行くか」
昨日のからずっと十香を見ていない士道、本来ならもっと何かすべきなのだろうが残念なことに、別に十香はどうでもいい士道は買い物に行くことにした。
因みに昨夜は、ブログの更新で忙しかったので十香の分を夕食をうっかりワザと作り忘れてしまった。
士道はこれから、交渉に有利だと思われる黄な粉をかいに行くつもりなのだ。
雨だというのに何処か士道は楽しそうだった。
「幼女~幼女♪幼女♪幼女る~る~る~る~るーるるー♪」
鼻歌を歌いながら、士道が道を歩いていく。
そのとき、士道の幼女センサーに幼女の反応が!!
「近いぞ!!――――――アレは!!」
緑のフードにうさ耳風のパーツを付けた幼女、よしのんがふらふらと街中を歩いていた。
咄嗟に、携帯で家にいる琴里に電話をかける。
ぴろろろろろろろろ!ぴろろろろろろろろろ!ブチ!!
「あ、切られた……」
一言も話す事なく切られた事に、微妙にショックを受けながらしかたなく神無月に電話をかける。
「どうしました、ペドー君?」
「神無月さん、昨日の幼女を見つけました。
今とりあえずストーキングしてます、因みに琴里は出れないみたいです」
「解りました、不肖この神無月がサポートします!!」
「流石、神無月さん!!頼りになります!!」
今ここに!!ガチ小児性愛者ロリコンとドMの変態マゾ男の(悪)夢のタッグが結成された!!
超進化変態と超進化変態同士二人による作戦が幕を開けた!!
え?嫌な予感しかしない?知らんな、それは私の管轄外だ。
フラクシナスのメインモニターに、精霊のバストアップ写真が映し出されている。
「さて、ファーストコンタクトは重要です。人は第一印象から、決まりますからね」
そんな事を言っているうちに、フラクシナスコンピュータが3つの選択肢を導き出した。
①肥をかけると同時に仰向けに転がり腹を見せ、敵意の無い事のアピール
②すぐさまぎゅっとハグして此方の愛を伝える
③こちらが丸腰である事を示す為、全裸で声をかける
ざわざわと、メンバーたちが騒ぎ出す。
「肥をかける?肥って、畑の近くにある肥だよな……ちょうどいい肥ってあるか?」
「いや、普通に声の誤変換だろ?」
「トリマ脱ごうか?そこからデショ?」
「愛を伝えるのはハグでしょ?」
騒めくメンバー、神無月と士道は同じ答えにたどり着いていた。
インカムを取る神無月。
『ペドー君、此処は――』
「ええ、解ってますよ。此処は――」
『「全部だ!!」』
そう、どれか一つに絞るから、困るのだ。
いっその事試せることは全て試すべきなのだ!!
「始めるか……」
真剣な面持ちで、士道が服を脱いでいく。これで丸腰であることが分かるハズだ。
次に、腹を見せる様な体制、つまりはブリッジをする。
少し前の映画のシーンでこの状況で階段を下りるシーンが有るがイメージはそれに近い。これで敵意の無い事が分かってもらえるはずだ。
最後にぎゅっとハグをする、コレが一番難しい。
だが、士道いや、ペドーに妥協はない。
「神無月さん、みんな、俺、行ってくるよ。
うぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉ!!!」
全裸のペドーが、ブリッジをしたままよしのんに向かっていく!!
ハグをして、愛を伝える為、全速前進する!!
「はぁああああああああ!!!」
「ひぐぅ!?」
ペドーの姿を見た、精霊が驚きの声を上げる!!
此方に向かう謎の生命体!!
全裸で!!ブリッジで!!そしてこちらに向かってくる!!
雨降る昼さがり!!すさまじい笑顔と共にこちらに突撃してくる!!
気弱な精霊が悲鳴をあげないハズも無かった!!
というか、近くにいた普通の人も涙目になっている、たぶん小学生くらいの子には一生もののトラウマだろう!!
「あっ……いて!」
ブリッジに不慣れなペドー、石に躓いて倒れてしまう。
「………………」
「………………」
恐怖によって涙目になる精霊と、痛みによって涙目になる小児性愛者の視線が雨の中交差する。
「どうしたんだい?小さなレディ?こんな雨の中、傘もささずに」
ダンディなセリフを言うペドー(全裸)。
『うまい!!渋くてダンディなセリフでごまかした!!』
フラクシナスメンバーが、ペドーに機転に歓声を上げる。
主人公がなぜか異様にヨイショされるのは良く有る事。
「…………」
しかし精霊は何も答えない。
「おや?その手、パペットが無い……探しているのか?」
さらに観察眼を見せ、頼れる男アピールをする。
「!!…………」
精霊がコクコクと何度も頷く。
どうやら、なくしたパペットを探している様だった。
「そうか、少し待ってな?」
立ち上がり服を着始めるペドー、最後にズボンのチャックを開ける。
「さ、俺がパペットになってやるよ。ほら、此処に手を入れるんだ」
チャック全開にペドーが精霊に近寄ってくる。
精霊を救う方法、それは俺自身がパペットになる事だ。と言わんばかりに近づいていく。
『さっすがペドーさん(ry』
主人公がなぜか異(ry
「違う……」
精霊がフルフルと頭を横に振る、どうやらペドーではパペットに成れないらしい。
「仕方ない。なら、一緒に探してやるよ。
お前の願いを言え、どんな願いも叶えてやる。お前の払う代償はたった一つだけだ」
「昨日、なくした……よしのんを探してください……」
今にも泣きそうな声で、精霊が縋りついてくる。
それほどまでにペドーの言葉は願っても無いものだったのだろう。
「よしのん?よしのんは君の名前じゃないのか?」
「よしのんは……わたしの……ともだち、です。
私は四糸乃……」
「そうか、改めてよろしくな。四糸乃!!」
「は、い……」
差し出された手を四糸乃が握った。
「神無月さん、フラクシナスで四糸乃のパペットを探せませんかね?」
『もうやってますよ、ペドー君。
落下する映像は見つけたので、燃えて消失という事はないでしょうが――』
こそこそとインカムで神無月と話すペドー、正直いってこれをかなりアテにしていただけその情報はペドーを大きく落胆させた。
「まぁいい。昨日のとこでまた探すか」
「は、い……」
ちゃっかり四糸乃と手を繋いで昨日のデパートの付近を探し出す。
ガラクタにまみれた一部、まだ崩壊した建物の残骸が転がり雨がペドーの体温を奪っていく。
「くっそ……どこに行ったんだ?」
視界の端に、ペドーの持たせた傘を持ちながら瓦礫をどかす。
手袋をしておらず瓦礫を触っているので、ペドーの手はボロボロだ、あちこち擦りむけホコリで汚れ、雨で汚く濡れている。
(大切な物、なんだよな……きっと)
態度を見ればあのパペットが、四糸乃にとってどれだけ大切かはなんとなくわかる。
それを、事情を知らないとはいえこちらの世界のASTが無くさせてしまったのだ。
余りいい気はしないだろう、こっちの世界に嫌な印象を持ってほしくない。それがペドーの正直な心中だった。
「さて、もうひと踏ん張り!」
雨で濡れる、額をぬぐって痛みを訴えだした腰を伸ばす。
ぐぅぅぅぅぅ――
小さく、ナニカの音がした。
「あ、あ、う……」
恥ずかしそうに、四糸乃が顔を赤らめる。
どうやらお腹が空いた様だった。
「少し、休憩しようか?」
フルフルと四糸乃が首を振って、反対する。
一刻も早くよしのんを見つけたいんだろう。
「急がば回れ、さ。お腹が空いたら力が出ないだろう?
一旦お腹を膨らませて、それからまた探せばいいんだ」
四糸乃を撫でようとして、手が汚れている事に気が付いた士道が止める。
しばらく、考えたあと四糸乃が小さく頷いた。
「よし、じゃあ、近いし家に来なよ?」
コクコクと頷いて、四糸乃がペドーについて行った。
「はぁ、ロリコンが居ないと静かでいいわね~」
テレビを見ながら、琴里がつぶやく。
今日は令音が十香の、ご機嫌を取るために一緒に出掛けていて正直言って暇なのだ。
友達を呼ばない時点で、察しなのだが兎に角琴里は暇だった。
ガチャ――
玄関の開く音がする。どうやらあの変態が帰ってきた様だ。
小さくため息を付く琴里。
「おかえりー」
リビングに入って来た影に向かって声を掛けた。
「よう、琴里!ただいま。
あ、四糸乃、コイツ俺の妹に琴里、変にプライド有るし、態度がころころ変わるから友達がいないんだ、もしよかったら友達になってくれる?」
「……い、や……です……」
「なら仕方ない、琴里?いつもみたいにぬいぐるみと仲良くお話しててねー」
非常に失礼な、言葉をほざきながらペドーが四糸乃を部屋へと連れ込んだ!!
琴里はすっかりフリーズ。
「はぁああああ!?」
やっと状況を読み込んだ琴里が大きな声を上げる!!
「おにーちゃんが幼女を家に連れ込んだ!!」