デート・ア・ペドー   作:ホワイト・ラム

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よし、よし、9月2度目の投稿です……
間に合った……


帰還Ⅱ:休息

地球を滅ぼす程の幼女への欲望を持つ男ペドー!

そのガチロリコンが本の封印から遂に解き放たれた!

果てしない変態性癖を操るペドーの前に、幼女精霊たちが立ちふさがる!!

 

 

 

 

 

『それ』は『いつ』の事だったか?

正確に覚えてはいない。

自身の年齢と今の西暦を比べれば算出する事は十分容易だが、そうする事に特段、意味など在りはしない。

 

『自分』という物の中の最も古い記憶は、白い壁に踊る名も知らぬキャラクターと、自らと同じような立ち位置に居る者たち。

無為に流れる一日、無為すぎる今日。

 

友とも家族とも呼べぬ者たちと、同じ場所で過ごす日々。

その時の自分が何を考えて居たかなどもう覚えてはいない。

 

ここは家族を持たぬ者たちの家。

 

何となく、この世には『家族』なる存在を持つ人間達がいると、酷く他人事の様に覚えていた。

父親も母親も、自分には無い。

自分だけではない、この家は皆が家族を持たない。

失ったという自覚は無かった。最初から持っていなかったと考えるのが普通だった。

 

今日も起きて、話し、遊び、食べ、眠る。

そんな、無味無感傷なモノトーンの日々が過ぎて行く――

 

ハズだった。

 

「こんにちは。あなたは今日から私の家族よ」

一人の女性が話す。

 

施設の職員が、自分を引き取りたいという人が現れたという。

何か、難しい事を言っていた気がするがその時の記憶はすっぽり抜け落ちてしまっている。

 

後に母となる女性の声と言葉を理解した瞬間、この世界に『色』が付いた。

母が出来た。父が出来た。己がきょうだいとなる女の子も一人いるらしい。

自分を愛してくれる存在が初めて、出来た。

 

その瞬間――

 

空の青さを知った、草の緑の香りを知った、花の色の鮮やかさを始めて美しいと思った。

 

この日、『愛』を知り――ようやく、自分の世界は動き出したと理解した。

 

 

 

 

 

カツ、カツ、カツ――

 

苛立たし気なヒールの音を鳴らし、真っ白い廊下の中をエレン・メイザースが走っていく。

ここは医療用の現場。

精密機械も、重症患者も、慌ただしく動きまわる医師もいる場所。

本来なら、彼女の行為は許されはしない物だが、相手はあの世界最強魔術師(ウィザード)だ。

注意をすることが可能な人間など、この世に右の手の指の数ほどもいない。

 

「アイク!!」

 

「やぁ、エレン」

叩き割る様な勢いで扉を開け、その部屋の中の人物の名を呼ぶ。

一目で見れば、ミイラ男。

腕も足も腰も胸も頭ですら全身に包帯が巻かれ、ベッドで両手両足がギプスに固定されていた。

前もって、彼の事情を知らせて貰っていなかったら、目の前のミイラ男がDEM社の社長だとは分かりはしなかっただろう。

 

「私を置いて、エリオットに会いに行ったと聞いています」

ジロリと責める様な声と視線を投げる。

 

「しかも、フラクシナスの拠点の一つを襲撃したとも」

戦いは自分の領分、という矜持を持つエレンは置いて行かれたという事、そのせいでみすみすウェすちゃまに怪我を負わせてしまったという納得の行かなさを感じている。

 

「私がそうしたかったんだから、別にいいだろう?

君が気に病む事など、初めから有りはしないのさ」

ミイラ男が小さく笑うのが聞こえた。

 

「まったく、戦闘が得意でないのに、出張っていけばこのザマさ」

 

「ウェすちゃま様、医療用リアライザの準備が整いました」

横の医者が静か告げる。

エレンが息を飲むのが分かる。

 

(ウェすちゃま、様?)

違和感がカレンの脳裏をよぎる。

 

「言ったろ?君が気に病む事は無い。

全身打撲と頭を数針、縫う事になっただけさ。

我が社の技術なら、後遺症もなく回復するさ。

その後、君にはまだまだ働いて貰うからね、今のうちに英気を養っておいてくれたまえ」

ミイラ男と化したウェすちゃまの回りに、医者が集まてくる。

 

「では、ウェすちゃま様、リアライザを使う為に服を脱がさせていただきます」

 

(こっちもウェすちゃま、様?)

 

「ああ、服を脱ぎ……脱ぎ、脱ぎ……?

う、うぉあああああ!!!!うわぁあああああああ!!!!!!

はぁう!!!はぁうああああああああああああああ!!!!!!

い、いやだぁ!!わ、私のノーマルなんだ!!!

年下ママにやさしくお世話されたいんだ!!!!!

ああああああ!!!!!!!あああああああああ!!!!

お尻は、お尻はいやだぁああ!!!!!!裂けちゃう!!!垂れ流しになっちゃあああうううう!!!

順番待ち!?順番待ちしないでくれぇえええ!!!いやぁあああああ!!!!」

突如ウェすちゃまが暴れだし、ベットがギシギシと歪み始める。

意味不明に、お尻ヤダと暴れ回る。

 

「くっそ!!また、発作が起きたぞ!!

一体どうなってるんだ!?」

 

「鎮静剤を投与します!!」

 

「見つかった時、全身ヌメヌメでズボンが脱げかけていた事が何か関係有るのでしょう?」

医師たちが慌てて、ウェすちゃまに駆け寄る。

その様を見て、エレンは絶句する。

 

「わ、私に、出来る、事は有りません……」

エレンはプルプルと震えながら、病室を後にする。

そして、扉が閉まった瞬間――

 

「ぷぷぷ……くふふ、あーはっはっは!!!

あーはっはっは!!!!!く、くふぅ、くふぅ!!」

大爆笑しながら、病院の壁を叩き始めた。

しばらくツボに入り、過呼吸で倒れフォースが助けに来るまで、エレンはそこで笑っていた。

 

 

 

現在――

 

「のうのう、主様よ。

早く、むくとデートとやらに出かけようでは無いかぁ?

むくを主様、無しでは居られぬドスケベ肉奴隷幼女に調教するのであろう?

早う、早う、むくを主様だけの肉奴隷にしてくれんかのぅ?」

 

ペドーの使うフラクシナスの用意した病室で、六喰がベタベタとペドーにじゃれついて居る。

その声色は正に猫撫で声呼ぶにふさわしい、媚を含んだ声だ。

 

「……どうやら、六喰の心を開くのには成功した様ね」

琴里が頭にて手を当てながら話す。

コピーしたミカエルを突き刺して、封印された心を開くという作戦自体、成功したか失敗したかすら分かってはいなかったがどうやら、心配は不要だったようだ。

堅く閉じられていた六喰の心は見事に開かれ――

 

「ずいぶん、懐かれた様ね」

琴里がジロリと、ペドーに声を投げかける。

 

「心を開くだけじゃなくて洗脳でもした?」

ベタベタと甘え、媚びる様な声を上げ、露骨なまでの好感度の高さを見せている。

急遽、インカムでデータを取ってもらったが六喰の一切上がらなかった好感度は、上昇を見せている。

 

「いや、いや、いや、あの一瞬じゃコピーミカエル使うので精いっぱいだったんだけど?」

 

「ふむん?主様ぁ、いつまでむくをまたせるのじゃあ?」

ベットで寝転ぶペドーに六喰がその身を絡み着かせる。

 

「んっん!始めましてよね、六喰」

ワザとらしく咳払いをし、琴里が六喰に話しける。

 

「ん?おぬしは誰じゃ?今、むくは主様と話すのに忙しいのじゃ」

ペドーと違いぴしゃりと冷たく態度を翻す。

 

「あー、六喰。コイツ俺の妹の琴里。

一見、無邪気なんだけど、隠しきれない計算高さがスグ周りにバレるから、結果的に友達いないんだよね。

良かったら、六喰が友達に成ってくれない?」

 

「ふむ、嫌じゃ」

 

「あちゃ~、イヤかぁ!仕方ないな……

琴里、お前がどれだけスレていても俺はお前の味方だからな?

頑張って、生きろよ?」

 

「…………」

琴里は拳を握ってプルプルと震えていた。

 

「と、兎に角、今、ペドーの身体はボロボロなのよ。

回復の時間を考えて、デートはまた後日にしてくれないかしら?」

 

「主様、そうなのか?」

琴里の言葉を反芻し、ベット寝転ぶペドーに尋ねる。

 

「まぁ、ちょっと失敗して、紐無しバンジージャンプを大気圏からキメる事に成ったし……」

レーザーや隕石や、破片で攻撃を受けまくったし、という言葉は辛うじて口を噤んだ。

だが、上記の言葉を放った瞬間、体中が一気に不調をアラームを鳴らしてきた。

肉体面も精神面も確かに疲れている。

宇宙と地球を隔てての超遠距離告白をしたのだ、無理もないだろうと今更ながら自ら納得する。

 

「ふむん、そうか。主様がそういうのならば、明日までならむくも待つかの」

うんうんと頷くと〈封解主〉を呼び出し、空間に穴を開けそこに入って消えていった。

 

「わぁーお、本当にワープしちゃったよ……すっげーな」

六喰がすっかり消えうせた空間をペドーが眺める。

人一人入る穴が現れて消えた、事実が目の前で起きたのに未だに信じられない。

 

「さて、ゆっくりしている暇は無いわよ?

とっさの起点で時間を作ったけど、それでも猶予は一晩程度。

今から、全身全力で回復して貰うわ」

 

「全身全力で回復って、なんか言葉の響き的に矛盾してる気しない?」

ペドーが苦笑する。

 

「ちょうど、新しい施設が出来たから、使ってくると良いわ」

 

「新しい施設?」

頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。

 

「もう、準備させてるから、使っちゃいましょ?」

琴里がペドーが引きつれて部屋を出て行く。

 

「…………」

六喰が来る前から、ずっと縛られている折紙が何かを決心した眼をしていた。

 

 

 

 

 

「ほっほー……これは、すごい……!」

ペドーが感嘆の声を上げる。

目の前には巨大な乳白色の風呂。

風呂と言っても、四角い湯舟の簡素な物ではなく石を集めて露天風呂風にした巨大な物だった。

 

「あ、入る前に……」

今すぐ飛び込みたい気持ちを押えて、洗い場で体を洗う。

シャンプーを手に取り、周囲を見回す。

 

「……居ないな」

頭にを洗いながら、手探りでシャワーを捻る。

泡立った頭が流されていき、周囲を再度見回す。

 

「……居ないな」

今度はタオルにボディーソープを塗り付ける。

そして、身体を洗い始める瞬間――

 

「シェリちゃーん?居ないの?

四糸乃ー?よしのーん?

琴里ー?お約束まだー?

ナッツミン?お風呂、お風呂ペドーさんと一緒に入らないの?」

虚空に声が消えていく。

 

「っだよ!!こねぇーのかよ!!!なんだよぉおおおおお!!!

おま、おま、おま!?お風呂やぞ!!合法的全裸フィールドやぞ!?

なのに、なんで男一人で淡々と風呂入らなきゃいかんのやぁ!!

きゃっきゃふふふで身体洗いっこしないかい!!マットの上でヌルヌル、ボディーソープで洗わないんかい!!

なんでお風呂場に幼女が居ないんだよ、教えはどうしたんだよ、教えは!?」

血涙を流しペドーが叫ぶ。

しかし、誰も返事は帰してくれない。

 

「…………」

ペドーは一人寂しく身体を洗い、湯舟に浸かる。

 

「ふぅ……」

手の平に救いあげた乳白色の湯は、僅かに粘度を帯びていた。

どうやらこの粘度がリアライザの回復効果を付与している様だった。

温かい湯舟の中にじんわりと、疲れが溶けだしてゆくのが分かる。

 

「お、なんだアレ?」

壁にエアコンのリモコンを簡素にしたような装置がついて居る。

興味を持ち、壁から外しスイッチを入れる。

その瞬間、風呂場の壁が森林の中へ変わる。

何処かにスピーカーが有るのか、風のざわめき、動物たちの鳴き声、草の揺れる音が聞こえてくる。

 

「おお、森林の露天風呂みたいになるんか!!」

そうなるのと、気に成るのは他のボタン。

 

「おー、オーシャンビュー!」

海の音とカモメの鳴き声が聞こえる、海の景色。

どうやら、野外に作る事が出来ない為に、こうして映像と音で疑似的な露天風呂を再現している様だった。

 

「他は?他は?」

他のボタンを押すと今度は朽ちた白い石柱の並ぶローマのコロッセオ風。

また、別のボタンを押すと今度は高いビルの屋上に居る様な景色。

さらに、別のボタンを押すと今度は逆に、下町の銭湯風の景色。

 

「あー、豪華じゃなくて逆に、こういうのも有りか」

頭にタオルを乗せたおっさんが顔を洗う。

子連れの親子が仲良く、数を数えている。

あやしい、瞳で折紙がこちらを見ている。

 

「あれ、最後の、おかしくない?」

 

「ペドー、身体を洗いに来た」

全裸の身体を隠すことなく、折紙が隣に立っていた。

 

「あー、身体もう洗ちゃったんだよね……」

 

「まだ、洗えてない気がする。

もう一回洗うべき」

折紙が指さす先、洗い場の中央にマットが敷かれている。

ペドーからリモコン受け取ると、スイッチを押す。

その瞬間、下町的な銭湯の景色は消えてる。

代わりに現れたのは、ムーディな音楽とピンクやハートで彩られた派手な内装。

まぁ、言ってしまえば大人なホテルの内装だ。

 

「大丈夫、ペドーは何もしなくて良い。

私がスッキリさせて、満足させる」

 

「こ、このお風呂、なにか、変?」

ペドーが一人冷や汗をかく。

 

「あ、因みに、コレどのボタン!?

ひょっとしたら、四糸乃やシェリちゃんや琴里や七罪とかと使うかもしれないし!」

 

「これは、隠しコマンド。

この前、見つけた」

全裸の折紙とペドーがリモコンのスイッチを熱心に触っていた。




折紙さんを書いてるのは楽しいなぁ。
ブレーキが利きにくくなるのが、恐ろしいですねぇ……
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