投稿ですかね?
来年もよろしくお願いします。
地球を滅ぼす程の幼女への欲望を持つ男ペドー!
そのガチロリコンが本の封印から遂に解き放たれた!
果てしない変態性癖を操るペドーの前に、幼女精霊たちが立ちふさがる!!
「幼女精霊一行と痴じょ――折紙、及び十香の回収を完了しました」
「では、作戦の邪魔にならない様に撤収、精霊たちをお願いいたします。
彼女たちの機嫌アラートは常に確認してください」
作業員の言葉に、神無月が応対し次の指示を飛ばす。
メインモニターで六喰の好感度の上昇を見ていた琴里が小さくつぶやく。
「以前から、少し気になっていたけど〈マリア〉の選択肢って最低1つは明らかにおかしいのが混じってるわよね」
〈フラクシナス〉の中で、琴理が小さく疑問を漏らす。
チュッパチョップスを咥え、メインモニターに映るペドーと六喰の様子を再度見る。
「基本的なアルゴリズムとして、本命とそれに対する対抗、そして大穴という形の選択肢なんだろうね」
令音もぼんやりとした目で画面を見ながら説明する。
「それにしては、おかしな選択肢の出る割合が多くない?」
『それは、ペドー君の思考をある程度ですが模倣して、彼が取りやすい動きを選出しているからですね』
電子音声〈マリア〉が説明する。
「……解析、出来たの?」
『出来ませんでしたね、ちっとも』
皆が心の中で、だろうなぁと思った。
致命的な問題も起きず、順当に進む六喰の攻略を見て皆がうまく行っていると思っていた。
少なくともこの時点では――
この地球に住まうロリコンの中でも特に異質な男、ペドー。
彼が日々、寝食を繰り返す家のリビングに精霊とこの家の住人が一人。
さっきまでいた幼女精霊+痴女は空気を読み、既に家の中から退出済だ。
この家の中に居るのは彼ら2人という事になる。
「んじゃ、お客さん。今日はどのように致しましょうか?」
床屋か美容師の様なセリフで、六喰の背後に立つ。
「とりあえず、動きやすくしてくれんかの?」
椅子に座りながらチラリと視線でペドーを見上げる。
「切るのはダメだから、えーと……とりあえず結ぶか?」
「ふむ、それが良いの」
小さく六喰が頷くのを見て、ペドーが団子状に固められていた髪を解いていく。
とさりと、結構な重量が床に落ちる。
よく、床に付きそうななんて表現があるが『付く』どころか、地面に擦れてしまうほどの長さだ。
記憶を探しても、ここまで長い髪は見たことが無い。
まるで、童話のラプンツェルの様だった。
「すごい量だな」
「むくの自慢の髪じゃ」
ペドーが思わず感想をもらせば、六喰は小さく鼻を自慢げに鳴らして見せる。
それがなんだか、自分の小さな妹の様にすら感じて、ペドーが上がりそうになる口角を意図して抑えた。
「んじゃ、髪とかして、団子にして……」
ヘアブラシを取り出し、手の中でクルリと回転させ六喰の髪に落とした。
流して梳いて、整える。その次にさっきの様に髪を纏めていく。
結果的には同じ髪形に戻って来る。
しかしなんだかんだ言って彼女の髪形はこの形が似合っている気がする。
「おお、いいの!」
ペドーの手で纏められていく、自身の髪を見て小さく声を漏らす。
フンスフンスと鼻息が僅かに荒くなる。
「まだ、長いなぁ……よぉし!三つ編みも追加だ!」
覚悟を決めて、大量の髪をさらに結っていく。
「ほほぉ?」
手早く美しく、髪を結うペドーの手際にさらに声を漏らす六喰。
『六喰の好感度が上昇しています』
インカムから声が聞こえてくる。
内心、ペドーが髪を大切にしているのは本当なんだな。と思う。
だがそれも一瞬、ペドーは目の前の髪の毛に再度意識を戻す。
「ペドー君、手先が器用なのはしってたけど、髪の毛まで結べるんですね」
モニターを見た神無月の言葉に、琴理がジロリと視線を投げる。
「当たり前よ、何回髪を結んだと思ってるのよ?」
琴里のツインテールが揺れた。
「シンはどうやら、琴里の髪で慣れているみたいだね」
「指令が髪を触らせるなんて、ちょっと意外かも……」
令音やメンバーの中から感想が漏れる。
「アイツはどうしようも無い変態よ。
変態だけど、髪を結うのは上手いのよ」
琴理が深いため息を吐いた後、画面に視線を戻しながら話を戻す。
「へぇ、兄妹の美しい家族愛ですね」
「そこが、恐ろしいのよ!!
あの、〈フラクシナス〉のパソコンですら解析不能の化け物が、すぐ後ろで自分の髪を触っていて本当は怖いはずなのに、不思議と心が安らぐの。
その事実に気が付いた時、あれほどの恐怖は無かったわ……」
恐怖感が無いことが一番の恐怖だと、琴理が小さく震えて語る。
そんな事を話しているうちにも、画面の向こうのペドーは髪を結び終える。
「よぉし!完成だ!ちょっと待ってろ」
手鏡を持ってきて六喰に渡す。
「ほほぉ!これは見事な!」
ペドーに結って貰った髪を確認して、六喰が感嘆の声を漏らす。
「お気に召したかな?」
お団子、三つ編みでもまだ長かった髪をマフラーの様にクルリと六喰に巻く。
咄嗟の思い付きだが、その様に六喰の眼がキラリと光った気がした。
「主様は手が器用じゃのぉ。
渡された手鏡で自らの髪を様々な方向から確認する。
「さぁ、お姫様。デートの準備をしましょうか?」
「主様、おかしなしゃべり方をするの?」
「のじゃロリに言われるとは、思っても無かったぜ!」
六喰の言葉に、ペドーが自身の額にペシンと掌を叩きつける。
「????」
「あー、いや、気にしないで。
大丈夫、大丈夫」
良く分からないという顔をする六喰にペドーが誤魔化す。
なんというか、ふざけたノリをしたら急にシラフで返されたかのような冷たさ。
この冷めたノリが続くのはデートでは最悪だ。
「とりま、デートを再開させようぜ」
「ふむ、では出かけるかの」
六喰が立ち上がり、その手に〈封解主〉を呼び出す。
「待て待て待て!!」
「なんじゃ?」
空間に穴を開けようとしていた六喰をペドーが引き留める。
「その恰好じゃ、目立つだろ?
とりあえず着替えるぞ」
「着替えとな?」
たった今、整えられた頭を傾げる。
今の六喰の服は、星座の文様が浮かんだ、薄桃色の中華風の服。
さっきまでいた駅前で『コスプレ』とまで呼ばれてしまった『個性的』な服だ。
「まぁ、無用な騒ぎを起こす必要はないだろ?」
「ふむ、そうじゃの。
して、その着替えのアテは?」
ペドーの言葉に一理あると思ったのか、六喰が頷く。
「もちろんサ!ちょっと待ってろよ」
良い笑顔を浮かべて、ペドーがその場を後にする。
「え、あ、ちょっと待って!?待ちなさいよ!!」
画面を見ていた琴里の顔が一気に曇る。
インカムに繋がるマイクに向かって叫ぶ。
ペドーが自然な動作で向かった場所は、琴里の部屋。
『いやぁ、女の子向けの服とか俺が持ってる訳ないだろ?』
必死の静止を止めるも、ペドーは琴里の部屋に入り込むと無遠慮に、服を仕舞っているタンスを開ける。
自らの妹の服を漁るという常人なら気後れする行為だが――
『いやー、六喰の為だもんね、精霊を救う為なら仕方ないよね』
うんうんと頷きながら、タンスの中を漁る。
『おっ!かわいいパンツ、新しく買ったのかな?
しかぁし!幼女が履いていないパンツはパンツに非ず!
琴里に使われて、立派なパンツになって戻って来るんだぞ?』
三角の布をペドーが摘み上げ、しばらく眺めた後、丁寧に畳んで元の場所に戻す。
その目は未成熟な生き物を野生に返してやる慈悲深い猟師の様にすら見えた。
「殺せぇ!!!あのロリコンを殺すのよ!!!それが出来ないなら、私を殺して!!」
琴理が両手で顔を隠し、その場でゴロゴロと床を転がる。
『よし、こんなモンか』
義妹が床の上で全身を使ってスタンピングしている様を知ってか知らずか、タンスを物色していたペドーが頷き、部屋を後にする。
「おっまたー、六喰ー、適当に見繕ってきたぜー」
ペドーがいくつかの服を持って、六喰の待つ部屋に戻って来る。
「良い服はあったのか?」
「コレとか、どうだ!?」
ペドーが掌に乗った服を差し出し、六喰がそれを受け取る。
「主様……これは、服……ではなく、紐じゃぞ?」
困惑する六喰の指先で、つまむのは金色の紐と僅かに布面積がある水着。
いわゆる、紐ビキニ(金)と呼ばれる物だった。
『指令、大胆……』
『あんなのを、下着として使ってるのか……』
『ほら、ペドー君とは兄妹だからある意味、近しい存在だから……』
『ち、ちがう!!違うわ!!あの、ロリコンが勝手に持ってきたのよ!!
私、あんなの持ってないわ!!第一、着る訳ないじゃない!!』
インカムの向こうから激しく言い合う声が聞こえる。
「ほかの服はないのかの?
それじゃ、それにしよう!」
六喰がペドーの持つもう一つの服を指さす。
「じゃ、着て――」
ペドーが服を差し出した瞬間、六喰の身に纏う服が光の粒子になって消えた。
ブルるん!と勢いよく、胸肉が揺れる。
「うっぷ……吐きそう……」
「ぬ、主さま!?」
一瞬で顔を青くして、ペドーがそっぽを向く。
「は、早く、服きて……」
「なんとおぼこ、いや、紳士じゃのぉ……」
間違った解釈をして六喰が、いそいそと服を着始める。
(うう……見たくもない脂肪の塊を見てしまった……)
思い出すと気分が悪くなるのをペドーが必死に抑える。
「主様、主様、これはダメじゃ」
「ダメ?」
六喰の言葉に、ペドーが視線を投げる。
「この服、入らんのじゃ……胸が、きつい……破れてしまう……他は、入るんじゃがのぉ」
見てみると六喰の身に着ける服は確かに、全てぴったり。
彼女の言葉通り、胸を除いて。
『ああ……』
『負けて、しまったんですね』
『違うわよ!!!負けてないわよ!!第一、胸のサイズ何が比較出来るのよ!!
良い!?この胸はそれがベストなの!!これ以上は不要なのよ!!』
顔を真っ赤に敷いて琴理が怒鳴る。
床を転がる、暴れる、顔を赤くするetc……今日も小さな指令は元気な様だ。
「くっ……!六喰とは胸部装甲のレベルが違いすぎるか……!
船を擬人化させた大陸産の、エッチなゲームレベルまで成長していたらワンちゃん有ったに……
残念だ……本当に、残念だ」
「主様、霊力をこの服の形にすれば、着れるハズじゃぞ」
そういうや否や、六喰の服が先ほどの琴理の服に似せた別サイズの服へと変わる。
「ふむ、良い塩梅じゃの」
クルリと回るとスカートが翻る。
彼女の言葉通り、ぴったりだ。
「これなら、問題は無いであろう?」
改めてペドーに向き直り、六喰が尋ねる。
「ああ!ばっちりだぜ!早速街に来りだすぜ!!カワバンガ!!」
「主様、かわばんがとは一体なんじゃ?」
「知らん」
2人は街に向かって出かけて行った。
その後、2人のデートは平穏に進んでいった。
露店でちょっとした小物を買ったり、用意してもらった小洒落たカフェでランチを取ったり、六喰の好みに合わせて美術館で芸術を鑑賞したりもした。
行ってしまえば、非常にオーソドックス。
あえて取り上げる事もない、至って
(他の精霊たちと比べると、驚くほどスムーズだぞ?)
定期手にインカムから聞こえてくる『好感度、上昇しています』のフレーズ。
気が付けば、時はもう夕方と成って居た。
「主様、この街は良い街じゃの。
むくが宇宙に居たままなれば、知ることも触れることも無かった事ばかりじゃ」
「ああ、良い風が吹くだろ?この街は」
夕焼けに照らされ、風を浴びて六喰がペドーに振り返る。
「主様はむくの事が好きなのであろう?」
六喰が何でもない事の様に、まるで、今日の日付を尋ねるかのように言葉を紡ぐ。
「――――ああ、好きだぜ」
封印の為とは言え、嘘を含んだ言葉にペドーの胸がチクりと痛んだ。
「ふふ、ふふふ、そうであろう?」
六喰がぱぁっと花が咲く様な笑みを浮かべた。
「うれしいのぉ、うれしいのぉ……!
主様、もう一度、言うのじゃ」
「六喰が好きだ」
再度ペドーが答える。
「良いのぉ、良いのぉ。
こんなに心がときめくのじゃな、好いた相手が居ると言うものは」
自分の暴れだす鼓動を押える様に、胸に手を当てる。
「では、好き同士なら、他の
朝、見かけた彼奴らとは金輪際会わぬと誓うのじゃ」
「はいは――え?」
軽い感じの口調から放たれる凄まじく重い独占欲にペドーが言葉を失う。
「主様にはむくが
主様は浮気者では無かろう?」
気が付けば六喰の眼にはジトっとした、どんよりとした暗いモノが宿って居る。
今まで何度も精霊たちとのデートで起きた、『非常に困った事が起きる』そんな確信染みた嫌な予感。
「あ、ニーソ、じゃなかった兄さま!」
「ん?」
突如、後ろから掛かった覚えの有る声にペドーが振り返る。
「真那」
背後に居たのは、ペドーの実妹。
「偶然で、ありやがりますね。
こんな所で――あ」
六喰の姿を見た真那が状況を理解し気まずそうな顔をする。
「あ、六喰?さっきの事なんだけど――」
「今日はここまでじゃの。
次に会える時を楽しみにしておるぞ」
「え?」
六喰のさっきまで身に纏っていた重い空気は霧散していた。
彼女は一歩後ろに、ペドーと距離を置く。
気が付いた時には既に、彼女の手には〈封解主〉が握られていた。
「あ、六喰――」
ペドーが何かを言う前に、六喰が〈封解主〉の作り出した『穴』に滑り込んでいた。
手を伸ばし、触れるその瞬間、音も無く六喰の開けた『穴』は閉じた。
『六喰の反応、
流石に今は追えないわ。今日は作戦終了よ』
インカムから琴里の此方を気負わせない為か、意図して感情を消した声が聞こえた。
「そうか、残念だな……」
力なく話すペドー。
その心中は軽やかな物ではない。
さっきの六喰の言葉が鉛の様に、鈍く重く胸の中で渦巻いてる。
「ふむ、ここは静かじゃの」
宇宙空間、具体的な座標の名など無いが六喰が便宜上『寝室』と呼んでいる場所に戻って来る。
無重力に体を預け、何もない場所に手足を伸ばして背筋を伸ばす。
「主様……つい先ほど、別れたばかりだというのに、もう恋しくなってきておる……」
彼が結ってくれた自らの髪を指先で弄びながら、眼下に広がる巨大な青い惑星を眺める。
そのどこかに居る自らの心を焦がす男の事を夢想する。
むずがゆい様な、くすぐったい様な、胸を焦がす甘い感情――
チクり
「む?」
六喰の胸に僅かな痛み。
「なんじゃ、これは――」
六喰はこの痛みに記憶が有った。
痛みだけではない、先ほどまでペドーに感じていた甘い感情も自分は知っている。
『あなたの髪は本当にきれいね』
「!?」
優し気な声がフラッシュバックする。
六喰が自分自身に鍵をかけて封印していた記憶。
だが、その鍵は開かれてしまった。
自分を生んだ両親の顔はもう覚えていない。
覚えているのは同じく両親の居ない子供たちと施設の職員たち。
だが、ある日自分にも家族が出来た。
優しい両親に世話焼きな姉。
彼らは血の繋がった家族ではないが絆はどんな家族にも負けないと感じていた。
眼を覚ませば温かい朝食を作り両親が待っている。
その前に姉が櫛を持って自身の髪の毛を解かして、結んでくれる。
姉が自分の髪を美しく整えていく様を見て、ひそかに姉は魔法使いなのだと思った物だ。
六喰は家族が大好きだ。だがその中でも姉が一等大好きだ。
きっかけは覚えていない。
確か姉が友達と、遊びに行くか、買い物に行くか、とりあえず外出するという用事。
具体的に覚えてはいない。それほどに小さな内容。
だが、その結果が大いに問題有りだった。
姉が自分よりも
誰にも人間関係はある、それは姉にも当然。
友人も居れば親戚だって、ひょっとしたらボーイフレンドだっているかもしれない。
そんな当たり前の事。
「嫌、じゃな……」
六喰はそんな当たり前が決して許せなかった。
愛されるという事を初めて知った彼女は、この時同じく初めて知ったのだ。
愛する者が自分から離れていく、その『恐怖』を――
「〈
恐怖を孕み、焦燥を孕み、不安を孕み、宇宙の闇よりも暗い闇をその瞳に宿して。
六喰はその手に自らの〈天使〉を呼び出した。
――ガチャリ
その時、世界から何かが閉め出される音がした。
ヤンデレは少し、旬が過ぎた気がしたが良いものだ……