アリアンロッド‐僕の冒険記‐   作:アルシェス

28 / 60
今回は何時もより長くなっております。


ただ単に、何処で切れば良いか分からなくなっただけですけどね。


そういえば、明久と雄二以外の視点で書くのは今回が初めてになります。



今までやる機会がありませんでした。




愛の花

 

姉さまが羨ましかった。

 

 

エルダナーン特有の、高い背と細い体系。

 

凛とした他人を魅了する美貌。

 

 

人望とそれを支える性格のよさ。

 

 

相手が王族だろうと我を貫く度胸。

 

 

何より………駆け出しの私じゃ影さえ踏めない強さ。

 

 

私が欲しくて止まなかった物を全て持っていた。

 

 

何時も私は姉さまの影でしかなかった。

 

 

あの時の姉の調査に着いてったのは、経験を積んで

 

少しでも差を埋めたかったから。

 

 

 

たとえ病で長生きできないと分かっていても

 

そうしなければ嫉妬で姉を殺しかねなかった。

 

 

 

そして…………偶然か、それとも神の導きか

 

 

私と姉さまは地下世界、[エガタニナ王国]に迷い込んだ。

 

 

他国と交流をしないことが祖法であるとされているこの国に

 

迷い込んだことで、私達姉妹は二度と地上には帰れなくなった。

 

 

理由は簡単、道が無いから

 

 

要するに地上に続く道なり縦穴なりが無いからだ。

 

どれだけ調べても見つからなかった。

 

 

それでも、私はさほど悲しまなかった。

 

 

家でも周りでも、全て劣っていた私は何時までも姉さまの影でしかない。

 

 

帰ったところで結果は同じだ。

 

 

 

誰も私を見てはくれない、そう諦めていた。

 

 

そんな時だ、彼と出会ったのは。

 

 

 

私も姉さま好きだった地下の花畑の近くで

 

二本の短剣を振るっていた、私より少しだけ年上の少年。

 

 

どこかやる気の無さそうな、何事にも興味の無さそうな顔をした少年。

 

 

 

そんな彼が、姉さまの持っていた魔導中(キャリバー)に興味を示した。

 

 

そして姉さまから手ほどきを受け、彼の腕前はメキメキと上がって行った。

 

 

 

彼もまた、私が欲しかった物

 

 

姉さまと並ぶ実力をつけた。

 

 

 

でも………彼は優しかった。

 

 

 

姉さまの弟子だからと冷たく当たった私に対して

 

 

「俺は師匠の妹じゃなくて、お前自身と話してるつもりだが」

 

 

そう、私を私として見てくれた。

 

 

姉さま以外で、始めて見てくれた。

 

 

 

そうして、私の中で彼はどんどん大きくなった。

 

 

少しでも一緒にいたい、その思いで

 

 

得意ではなかった家事を練習して、専属メイドになった。

 

 

 

ノックスにも係わらず、威張るようなこともせず

 

姉さまと比べて失望するようなこともしなかった。

 

 

 

そう、私は彼を愛していたのだ。

 

 

 

でも……………彼の心には、私だけじゃなく姉さまも居た

 

 

むしろ、姉さまの方が強かった。

 

 

 

姉さまも、態度で分かる、彼が好きだったに違いない。

 

 

そして、彼は姉さまに結婚を申し込んだ。

 

 

 

でも姉さまは断った、そして自分が余命僅かだと告白した。

 

 

 

そして、この後少しして姉さまは死んだ。

 

 

私は悲しかったけど、正直嬉しかった。

 

 

これで彼が姉さまの物になることは無い、これからも一緒に居られるのは私だ。

 

 

私は始めて、姉さまに勝った。

 

 

浅ましい喜びだったけど、それが偽り無い本心の一部だった。

 

 

 

でも、彼の心はやっぱり姉さまが強く残っていた。

 

 

 

しばらくした後、夜遅くに私の寝室を訪れた彼はこう告げた。

 

 

一緒に地上に来てくれないか?…と。

 

 

 

彼は何故か地上に行ける道があることを知っていた

 

そして、私が地上で頼りに出来るとわかっていた。

 

 

 

あの時の目は、姉さまじゃなく私を見てくれていた。

 

 

 

だけど彼が地上に行きたがっているのは姉さまに地上の話を聞いたからだと

 

知っていた私は激しく嫉妬した。

 

 

 

 

姉さま、貴方は……死んでまで私が何より欲しかった物を持っているのか!

 

 

 

私は駄々をこねる子供のように彼に当り散らした

 

そう、私は子供同然に幼すぎた。

 

 

 

そして次の日の晩、彼は当主に地上に行くことを告げた。

 

 

「何を言う!、お前は由緒正しきバーミリオン家の人間で

 

女王の騎士(クイーンナイト)になることが決まっているのだぞ!

 

 

汚らしい地上に行くなど絶対に許さん!」

 

 

この国の王女と幼馴染で、三男だが実力は随一

 

それに王族と結婚できる可能性はほぼ確実

 

 

そんな[騎士]を手放したくなかったのだろう

 

猛反対だった。

 

 

「ロキアード、考え直せ

 

最高の名誉を持って、バーミリオン家を大きくすることこそ

 

一番の幸福だ」

 

 

「それに行く行くは王族だ

 

これほどの未来を某に振るな」

 

 

兄二人も猛反対、でも………

 

 

私と同じで、誰も彼を[騎士]としか見ていなかった。

 

 

家族とは言っても、所詮は[血の繋がっただけの他人]

 

本人が家族と思わなければ家族にはならない。

 

 

だからなのか

 

 

「もう決めたことだ!!」

 

 

問答無用と、彼は黙らせた。

 

 

「確かにこのままで居れば、地位も名誉も最高の物が手に入る

 

必要な物だって全て与えられるだろう

 

 

だがそんなのは籠の鳥となんら変わらない!

 

俺はただ与えられた物を自分の物だと言い張るのはゴメンだ!」

 

 

そしてとうとう、彼は屋敷を飛び出した。

 

 

捕まったと言う話は聞かないから、地上に出られたのだろう。

 

 

この日のためにずっと準備してきたに違いない。

 

 

 

私は泣いて後悔した。

 

 

何故あの時彼に当り散らした!、何故駄々をこねた!

 

 

私……は一晩中泣き続けた。

 

 

 

 

 

後悔と罪悪感、そして抜け出す勇気が無かった私は

 

その後も屋敷でメイドを続けた。

 

 

ひょっとしたら帰ってきてくれるかもしれない

 

 

そんなありもしない期待で自分を支え

 

屋敷の掃除の最後に

 

 

帰る主を無くした部屋の掃除をし、残された僅かな衣類で

 

自分を慰める日々を繰り返した。

 

 

 

 

そして、アルセロン家の後継ぎが私を妾に欲しいと言ってきた。

 

 

この男は悪いうわさしか聞かず、それもほぼ事実の最低な男

 

 

でも、無理矢理でも言うことを聞かしだろう

 

 

私に拒否権は無かった。

 

 

 

 

 

 

その後、私はもしかしたら最後になるかもしれない、姉さまの墓参りに行った。

 

 

せめて、死んだらあの花畑が見える丘に埋めてもらおう。

 

 

そんな自傷感情で、丘に向かった私は

 

 

 

先客を見て、持っていた花束を落とした。

 

 

彼だ、事情は分からないけど帰ってきていた!

 

 

私は思わず駆け寄った、でも……結局表に出たのは嫉妬だった。

 

 

最初に姉さまに会いに来た、地理的に考えて普通なことなのに

 

 

私は、また嫉妬をぶつけてしまった。

 

 

 

________________________________________________

 

 

そして、私が正式に妾になる婚姻の日。

 

 

祭壇の前で、花嫁衣裳を着せられた私は

 

愛しても居ない男と結婚させられる。

 

 

「汝、この者と共に生涯を過ごすことを誓うか?

 

異議無きならば答えよ」

 

 

ここで肯定すれば全て終わる。

 

 

私に彼と添い遂げる資格など無いのだ。

 

 

「あ…」

 

 

 

なのに……声が止まる、返事をすることが出来ない。

 

 

何度も言う、資格など無い

 

 

「や………やだよ……こんなの……」

 

 

あの時「一緒に行こう」とも「連れて行って」と言わなかった私には

 

 

なのに…なのに………

 

 

「助けて……ロア……」

 

 

居もしない相手に助けを求めるのだろう?

 

 

今更だ、既に決まったことじゃないか、なのに…

 

 

 

 

「その婚儀、異議あり!!」

 

 

 

突然ステンドグラスが割れ、人影が飛び込んで私の前に立った。

 

 

それは………

 

 

「ろ……ロア?」

 

「間に合ったみたいだ」

 

 

周りで悲鳴に似た叫びを上がるが、当の本人はまったく気にしない。

 

 

「き、貴様はバーミリオン家の面汚しロキアード?!

 

何しに来た?!」

 

 

するとロアは私を抱き寄せ

 

 

 

「知れたことよ、俺のお姫様を助けに来たのさ」

 

 

思わず、涙が溢れた

 

 

 





アイリスを[ロアとは違う影響を受けた]という設定の元

このような過去と性格にしてみたんですが


自分、心理学の知識等は殆どありません。


なのでどうしても矛盾はあるでしょうが、ご容赦ください。


後ステンドグラスを割って登場させた理由、それは………



カッコいいからです!!(大真面目に)



_____________________________________

今回のオマケ



ロア「無理無茶無謀と笑われようと、ただ信じて突き進む!」

明久「壁があるならフッ飛ばす!、道が無いならこの手で作る!!」


ロア・明久「「心に一つの未来を秘めて!!」」


明久「僕を!」

ロア「俺達を!」


ロア・明久「「誰だと思ってやがるーーー!!!」」

バックで火山噴火

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。