ALDNOAH.ZERO -Earth At Our Backs-   作:神倉棐

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本作品を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
自分にとって処女作となる本作品につきましては長らく未完の状態ではありましたが、突然ではありますが連載再開と現在構想中の作品の実験の為にも一度内容の修正と改善の為に一部改稿させて頂きました。
今後とも一層のご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


0/2 「生まれ変わりと始まりと」

0/2 「生まれ変わりと始まりと」

 

【??? ◼️月◼️日 ◼️時◼️分】

〈??? ◼️◼️◼️◼️hrs. ◼️◼️◼️◼️ ◼️◼️, ◼️◼️◼️◼️〉

 

 

気が付けば辺り一面が白、白、白の白一色。前後左右どころか上下すら曖昧になるような自分が果たして本当に寝転がっているのか、それとも立っているのかさえも見失ってしまうような謎の場所。まさにただ「白い」と称する他に無い、そんな真っ白なだだっ広い空間に俺──(もとい)八朔 一帆(ほずみ かずほ)は居た。

 

「………知らない天井だ」

 

いや、天井という概念すら有るのかさえ疑わしいが現実逃避も兼ねて八朔は定型文(テンプレ)なのでそう言っておく。

 

『ようこそ、身の程知らずの大馬鹿野郎。テンプレはいいからコッチに注目』

 

しかしそれに返事が返ってくるのは()()()であり、そして同時に()()()であった。

 

「………」

 

声に従い八朔は目線を声の方へと向ける。八朔が視線を向け、そしてむくりと身を起こして座り込んだ先にはいつの間にか顔の無い「◼️◼️(誰か)」がそこに居た。

 

「なあ……、ひとつ聞いて良いか?」

『良いぞ?』

「「アルドノア・ゼロ」、まだ俺読んで無いのになんでお前が先に読んでるんだよ?」

『良いじゃん、君寝て(死んで)たんだし』

 

───いや良くはないだろ

 

八朔の問いに対しあっけからんと答えたその「◼️◼️(誰か)」に内心ツッコミを入れる一方で、まるで()()()()()事かのように伝えられたその事実に一度口を噤まずにはいられない。

 

「俺は……やっぱり死んだのか?」

『その通り、そうでもなければお前は今ここにいない』

「海斗と……彼女は?」

『生きてはいるよ、君のおかげでね』

 

目の前の存在(誰か)は俺が買ったはずなラノベを読みながら淡々と話す。まるで人の生死など「興味がない」とでも言うかのようにただ機械的に。

 

「…………」

 

故に八朔は再び口を噤む。目の前にいる「◼️◼️(誰か)」から感じた余りの異質さにどうしても理解と思考が追い付かなかったのだ。

 

『さて、それじゃあ本題といこう。お前にチャンスをやる。()()()()()()()()

 

しかし戸惑う八朔に対し「◼️◼️(誰か)」は待ってくれない。口調は若い少年の様な軽いものだがそこに込められる重みは永き月日を経た先人たちの様でちぐはぐで当てはまらない。まるで中身だけが歳を取った『老人』のような『少年』が目の前にいる。

 

───は?

 

だがらだろうか、八朔は「◼️◼️(誰か)」が告げたその言葉の示すその意味をすぐに理解する事ができなかった。

 

「……つまり転生して人生をやり直せって事ですか?」

 

口調が意図せず敬語に切り替わる。八朔の本能が叫んだのだ。目の前にいる存在はヒトと似て異なるモノ、人とは違う『上位存在』であると。

 

『その通り、理由は特にない。強いて言えば偶然君が死ぬ瞬間を見かけたから、あと退屈凌ぎだし』

 

◼️◼️(誰か)」はページをめくりつつそう言う。

 

『でもまた簡単に死んだり潰れられたらつまらない。幾つか「お願い」は聞いてあげるよ。何が良い?』

「……まず質問良いですか?」

『何?』

「俺はどこの世界に転生するんですか?」

 

そこでようやく話の内容を咀嚼し理解が追い付いた八朔は「お願い」を頼む前に質問を投げ掛ける。「◼️◼️(誰か)」の言う「人生をやり直せ」と言う事が俗に言う「異世界転生」とやらの場合、生まれ変わった先の世界がもし平和な世界だったりしたのならば無敵の力なんかを貰ってもただの無用の長物、宝の持ち腐れになるためである。

 

『そうだなぁ……じゃあ丁度良いからこの「アルドノア・ゼロ」の世界にするか。その方が面白そうだ』

「なら……「VF–25 メサイア」と、それを乗りこなせる「リボン付き」のチカラが欲しい」

『なるほど、乗りこなすチカラとその乗り物か……ちょっと待て』

 

とはいえその心配は杞憂(?)だったらしい、案の定「平和」なんてものはクソ食らえみたいな世界にご案内との事で、ならばと貰えるものとして自分の知識と記憶の中で最善らしいものを考えて伝えた八朔に対し、「◼️◼️(誰か)」は書籍から目を逸らすと何処からか液晶型携帯端末らしき端末を取り出し弄りだす。

 

『えー……なになに?「リボン付き(メビウス1)」、青いメビウスの輪をパーソナルマークとしたISAF空軍所属の戦闘機パイロットにして大陸戦争を逆境から見事勝利へと導いた英雄(エース)。「VF–25 メサイア」、オーバーテクノロジー・オブ・マクロスを用いて開発されたバルキリーの通称で呼ばれる可変戦闘機(ヴァリアブル・ファイター)のひとつで武装はレーザー機銃や機関砲、アサルト・ナイフやミサイルが主である……と、パイロットとしてのチカラはともかくこの機体が欲しいなら君は火星側の人間になるね。それじゃあ面白くないし……ああ、そうだ。これなら良いか、すぐには手に入らないけどちゃんと手に入るだろうし』

 

……どうやらこの「◼️◼️(誰か)」さんはリボン付きの事もVF-25の事も知らなかったらしい。わざわざ検索までして調べたらしいその「◼️◼️(誰か)」はひとりで勝手に悩み勝手に結論を出してそう呟き頷く、話を聞く限りどうやらすぐに八朔はVF–25に乗れないし地球人スタートらしい。

 

『……これで良し、後はお前を此処から送り出すだけだ』

 

そう「◼️◼️(誰か)」が呟くと同時にその「◼️◼️(誰か)」の背後に1枚のモノリスのような扉が出現する。刻まれた図柄は何もかもが足りず何なのかさえ判別不能な未完作、しかし何故か何処か酷くそれを見る己に()()()()()を感じるその図柄に、何となく八朔は「やり直し」を要求されたその理由が理解できたような気がした。

 

「最後に……良いですか?」

『何だ?』

 

未完の扉を前に、最後の質問として半ば答えに辿り着きつつあるその問いを八朔は「◼️◼️(誰か)」に問いかける。

 

「貴方は「誰」なんですか?」

 

その問いに「◼️◼️(誰か)」は笑った。

 

『オレか?俺はお前達が「世界」と呼ぶ存在。あるいは「宇宙」、あるいは「神」、あるいは「真理」、あるいは「全」、あるいは「一」』

 

何処かで聞いた文言だ、この風景と合わせて八朔はようやく目の前の存在が何たる()かを納得する。

 

───つまり貴方(お前)

 

外観と声や口調が一致しない理由は単純、思考や知識・知恵・本質を除く外観と声色や口調・性格は全て相対していた人間を鏡のように鏡面反射した虚像を纏う性質を持っていた所為である。

 

『そしてオレはお前()だ』

 

◼️◼️(オレ)」はそう宣言し書籍(アルドノア・ゼロ)を閉じる。その時初めて八朔()と「◼️◼️(オレ)」の目が合った。

 

 

そして今、扉が開く。

 

 

『じゃあな大馬鹿野郎()、2度目の人生をやり直して来い。今度こそ守り抜け、今度こそ救って見せろ。そしてお前だけの「ソラの色」を見つけて見せるがいい』

 

無数の手に引かれ、境界を越えた八朔の視界は暗転した。

 

 

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